- 更新日 : 2025年9月18日
給与計算・給与管理・給与明細の無料テンプレート 18選(Excel・自動計算)
毎月の給与計算は、正確性と迅速性が求められる重要な業務です。とくに、創業期や従業員数が少ない中小企業では、コストを抑えるためにExcelの給与計算テンプレートの活用を検討するケースも多いのではないでしょうか。無料で手軽に始められる一方、法改正への対応やセキュリティなど、知っておくべき注意点もあります。
この記事では、すぐに使える無料テンプレート18選から、Excel利用のリスク、さらには事業の成長に合わせた次のステップまで、わかりやすく解説します。
目次
給与計算の無料テンプレート一覧(Excel)
給与計算の無料テンプレートをご紹介します。正社員向けからアルバイト、個人事業主向けまで、自社の状況に合ったものをダウンロードしてご活用ください。
給与計算のエクセルフォーマット(賃金台帳、給与計算表)
賃金台帳としても利用できる、労働基準法に準拠した基本的な給与計算シートです。毎月の給与計算から法定三帳簿の管理まで幅広く対応します。
時給計算での給与計算表
アルバイトやパート従業員向けの、時給計算に特化したテンプレートです。労働時間を入力するだけで、簡単に給与額を算出できます。
1分単位の給与計算(パートタイマー用)
パートタイマーやアルバイトの勤務時間を1分単位で正確に集計し、日給を自動計算できる給与計算テンプレートです。
給与計算 15分単位※出勤を切下げ、退勤を切上げ
15分単位など、企業で定めた単位で勤怠時間をまるめる(切り上げ・切り捨て)計算に対応したテンプレートです。
所定労働日数22日給与計算シート
所定労働日数が22日の場合に給与計算が簡単に行えます。1ヶ月の給与額や残業時間、割増賃金率などを入力するだけで、所定労働時間分の賃金、残業代、合計金額が自動計算されます。
給与所得控除かんたん計算シート
給与収入の金額から給与所得控除額を自動で算出し、課税対象となる給与所得金額を簡単に確認できます。
年末調整 給与所得金額計算シート
年末調整の際に、一年間の給与総額から給与所得金額を算出するために使用する計算シートです。
産休中の給与かんたん計算シート
女性従業員が産前産後の休業中に出勤した日がある場合の給与を計算するためのシミュレーションシートです。
給与管理の無料テンプレート一覧
給与管理のエクセル無料テンプレートをご紹介します。年間の給与の推移を一覧で確認できます。
給与管理(エクセル)
従業員ごとの給与データを年間で管理し、昇給の履歴や支給額の推移を一覧で確認したい場合に便利なテンプレートです。
給与明細の無料テンプレート一覧
給与明細のエクセル無料テンプレートをご紹介します。役員報酬やアルバイト・パート、日払い、英語対応など用途に応じてご利用ください。
給与明細(自動計算できる計算式入り)
従業員ごとに支給額や控除額、勤怠状況を反映した給与明細を作成できる、シンプルで作業効率の高いテンプレートです。
給与明細(役員報酬)
役員の報酬体系に合わせた給与明細テンプレートです。基本報酬や役員手当といった項目が設けられており、従業員とは異なり雇用保険の控除がないなど、役員特有の計算に対応しています。
給与明細 (アルバイト)
時給制で働くアルバイト・パート向けの給与明細テンプレートです。時給を基に給与を計算し、残業時間や遅刻・早退など勤怠状況を記録できるため、シフト制の勤務体系に適しています。
個人事業主・青色専従者向けの給与明細
個人事業主が家族に支払う青色事業専従者給与に対応した給与明細で、経費計上のための適切な書類作成に役立ちます。
給与明細(日払い)
日雇いや短期アルバイトなど、給与を日払いで支給する際の明細発行に特化したテンプレートです。
給与明細(業務委託)
給与ではなく報酬として支払いを行う、業務委託契約の相手方へ渡す支払明細書として利用できます。
給与明細(英語)
外国人従業員向けに、支給や控除などの各項目を英語で表記したグローバル対応の給与明細テンプレートです。
給与計算の誤りに気づいたら
万が一給与計算に誤りがあった場合は、速やかに該当従業員へ誠実な謝罪を行うことが大切です。ミスの原因と正しい金額を明確に説明し、不足分の支払い方法や今後の再発防止策を具体的に伝え、信頼回復に努めましょう。
給与計算テンプレート(Excel)を使う際の4つの注意点
無料のExcelテンプレートは手軽ですが、「法改正への手動対応」「ヒューマンエラー」「属人化」「セキュリティ」という4つの大きなリスクが伴います。これらのリスクを事前に理解し、対策を講じることが、後々のトラブルを防ぐ上で不可欠です。
法改正や保険料率の変更に手動で対応する必要がある
給与計算に関連する法律や制度(所得税法、労働基準法、社会保険制度など)は、頻繁に改正されます。たとえば、毎年のように更新される社会保険料率や雇用保険料率、定額減税のような突発的な税制改正など、変更点は多岐にわたります。
給与計算ソフトであれば自動でアップデートされますが、Excelテンプレートの場合は、担当者が自ら情報を収集し、計算式や税率テーブルを正確に手動で修正しなければなりません。この作業を怠ると、給与の誤払いや追徴課税のリスクが生じます。
計算式のエラーや入力ミスが起こりやすい
Excelは自由度が高いツールですが、その分ヒューマンエラーが起こりやすい環境でもあります。テンプレートに埋め込まれた計算式を誤って消してしまったり、参照範囲をずらしてしまったりするリスクは常につきまといます。
また、勤怠データや従業員情報の入力ミスが、そのまま給与額の間違いに直結します。ダブルチェックの体制を整えるなどの対策が必要となり、かえって業務が煩雑になることも考えられます。
属人化しやすく引き継ぎが難しい
Excelテンプレートの運用は、作成者や特定の担当者のスキルに頼りがちです。複雑な関数やマクロを組んでいる場合、その担当者が退職したり異動したりすると、他の誰もメンテナンスできなくなる「属人化」のリスクがあります。給与計算という専門性の高い業務がブラックボックス化してしまうと、業務の継続性が損なわれ、将来的な引き継ぎコストも大きくなるでしょう。
セキュリティ面でのリスクがある
給与情報は、氏名、住所、生年月日、マイナンバーなど、きわめて機密性の高い個人情報の集合体です。Excelファイルは、パスワードを設定できるとはいえ、給与計算システムのような強固なセキュリティ対策が施されているわけではありません。誤送信やPCの紛失・盗難による情報漏えいのリスクは、常に意識しておく必要があります。万が一情報が流出してしまえば、企業の信用を大きく損なう事態になりかねません。
Excelでの給与計算テンプレートの作り方
自社の給与体系に合わせてExcelでテンプレートを自作する場合は、基本的な構成要素と関数を理解すれば、シンプルなテンプレートを作成することができます。
必要な項目を洗い出す
まず、給与計算に必要な項目を「支給」「控除」「勤怠」の3つのカテゴリに分けて洗い出します。
これらの項目を含めた従業員ごとのデータベースシートを作成します。
関数を活用して自動計算の仕組みを作る
次に、洗い出した項目を計算するための関数を組み込みます。たとえば、社会保険料の計算には、標準報酬月額テーブルを別シートに用意し、VLOOKUP関数を使って該当する保険料を自動で引っ張ってくるように設定します。
所得税の計算も同様に、国税庁が公開している源泉徴収税額表を基にテーブルを作成し、扶養人数と課税対象額に応じて税額を算出する仕組みを作ります。IF関数やSUM関数も多用することになるでしょう。
給与明細書として印刷できるレイアウトを整える
最後に、計算結果が反映される給与明細書のシートを作成します。従業員番号などを入力すれば、VLOOKUP関数などを使ってデータベースシートから個人の情報や計算結果が自動で転記されるように設計します。
A4用紙1枚に収まるようにレイアウトを調整し、印刷プレビューで確認しながら見やすいフォーマットに仕上げましょう。
アルバイト・パート向けの給与計算テンプレートの注意点
アルバイトやパート従業員の給与計算は、月給制の正社員とは異なる注意点があります。専用のテンプレートを用意するか、既存のテンプレートをカスタマイズする際には、以下のポイントをふまえる必要があります。
時間給やシフト制に対応した勤怠管理
アルバイト・パートの給与は、時給×労働時間で計算されるのが基本です。そのため、日々の出退勤時刻を正確に記録し、労働時間を分単位で集計できる仕組みが欠かせません。とくに、深夜労働(22時~翌5時)や法定休日労働がある場合は、割増賃金の計算も必要になります。
社会保険の加入条件の確認
パートやアルバイトであっても、所定労働時間と所定労働日数が一定の基準(いわゆる「4分の3基準」など)を満たす場合は、健康保険と厚生年金保険への加入義務が生じます。従業員数によっては、さらに加入対象が広がる「特定適用事業所」の範囲にも注意が必要です。テンプレート上で、各従業員の加入状況を正しく管理できる項目を設けるべきでしょう。
所得税(源泉徴収)の計算方法
所得税の源泉徴収は、月給制の場合と同様に「源泉徴収税額表」に基づいて行いますが、給与の支払い方によっては「日額表」の丙欄を使用するケースもあります。また、扶養控除の範囲内で働きたいと希望する従業員も多いため、年間収入の見込み額を把握しながら、毎月の所得税額を調整することも求められます。
無料テンプレートから給与計算システムへ移行するタイミング
無料のExcelテンプレートは、創業期や従業員数がごく少数の段階では有効なツールです。しかし、事業が成長し、組織が拡大するにつれて、その限界が見えてきます。以下のような状況が見られたら、より高機能で安全な「給与計算システム」への移行を検討するタイミングかもしれません。
従業員数が10名を超えたとき
一般的に、従業員数が10名を超えると、給与計算や社会保険の手続きが複雑化し、担当者の負担が急増します。入退社や異動も増え、Excelでの手作業管理ではミスが起こりやすくなるため、システム化を検討する一つの目安といえるでしょう。
毎月の給与計算業務に2日以上かかっているとき
担当者が給与計算業務に毎月2営業日(約16時間)以上を費している場合、それは業務が非効率になっているサインかもしれません。給与計算システムを導入すれば、勤怠データの自動取り込みや計算の自動化によって、作業時間を大幅に短縮し、担当者をより付加価値の高い業務に集中させることが期待できます。
年末調整の業務負担が大きいとき
給与計算と並んで担当者の大きな負担となるのが、年末調整です。従業員からの申告書回収、内容のチェック、年税額の計算、源泉徴収票の作成と、膨大な作業が発生します。多くの給与計算システムには年末調整機能が搭載されており、これらのプロセスを大幅に効率化できます。
自社に合った給与計算の方法を見直し業務全体の効率化へ
無料のExcelテンプレートは、創業期などのコストを抑えたい段階において、たしかに有効な選択肢です。しかし、この記事で解説したように、法改正への対応やセキュリティなどのリスクも伴います。
大切なのは、テンプレートの利便性とリスクの両方を理解した上で、自社の事業規模や従業員数、将来の展望に合った給与計算の方法を選択することです。適切なツールを見直し、業務を効率化していく視点が、企業の着実な成長と従業員からの信頼につながるでしょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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