• 作成日 : 2022年2月16日

年末調整でふるさと納税の控除ができない理由とは?正しい申告方法を解説

ふるさと納税」では、税金が還付されることは多くの方がご存じでしょう。しかし、毎年、勤務先で手続きしている年末調整では、ふるさと納税の控除はできません。ふるさと納税の控除手続きは、確定申告やワンストップ特例制度で行います。今回は「ふるさと納税」の税金の控除の正しい申告方法ついて解説します。

年末調整でふるさと納税の控除ができない理由

ふるさと納税の税額控除は、年末調整ではできません。ふるさと納税の申し込み自体は、1年365日、24時間いつでも好きなタイミングで行うことができますが、控除を受けるために総額が確定する期間は1月1日~12月31日の1年の区切りです。

一般的に会社が年末調整を実施するのは12月の給料日であり、12月31日の時点では把握できないことになります。したがって、その1年間に行ったふるさと納税は、すべて翌年に税務上の手続きを行うことになります。

これは、ふるさと納税に限ったことではなく、医療費や住宅ローンの控除などにも言えることです。

つまり、会社員の方でふるさと納税の還付を受ける場合は、自分で税務申告をする必要があるのです。

ふるさと納税で控除を受けるための手続き

ふるさと納税は、年末調整ではなく、次の2つのいずれかの手続きにより、還付のための控除を受けることになります。

  1. 確定申告
  2. ワンストップ特例申請

どちらの手続きが便利かは、申告する方の状況によって違ってきます。

なお、確定申告では、所得税の還付と住民税の控除の組み合わせ、ワンストップ特例申請では住民税のみの控除という違いがありますが、基本的に最終的な控除額は同額となります。

確定申告で控除を受ける方法

2014年度までは、ふるさと納税の控除は確定申告で行うことになっていました。確定申告は、1年間(1月1日~12月31日)の所得を確定させ、年1回、税金を申告する制度です。

ふるさと納税で6団体以上の自治体に寄附をする場合や、医療費や住宅ローンなど、年末調整でできない控除がある人は、確定申告を選ぶことになります。また、個人事業主や会社員であっても次に挙げる項目に該当する方は、確定申告が必要です。

  1. 給与の年間収入金額が2,000万円を超える方
  2. 給与を2カ所以上から受けていて、かつ、その給与の全部が源泉徴収の対象となる場合において、年末調整をされなかった給与の収入金額と、各種の所得金額給与所得退職所得を除く)との合計額が20万円を超える方
  3. 公的年金等による収入が400万円以上あって、それ以外の所得が20万円を超える方
  4. 源泉徴収されない退職所得がある方
  5. 給与について災害減免法の適用によって源泉徴収税の猶予や還付を受けた方

ふるさと納税の確定申告の方法は、次の手順で行います。

  1. 寄附した自治体から「寄附金の受領書」を受け取る
  2. 確定申告書と「寄附金の受領書」等、必要な添付書類を準備する
  3. 確定申告書に必要事項を記入する
  4. 確定申告書を提出する

「寄附金の受領書」については、これまで寄附ごとの「寄附金の受領書」が必要でしたが、令和3年分の確定申告からこれに代えて国税庁長官が指定した特定事業者が発行する年間寄附額を記載した「寄附金控除に関する証明書」を添付することができるように申告手続が簡素化されました。

特定事業者とは、ふるさと納税について、地方公共団体と特定寄附金の仲介に関する契約を締結している事業者のことです。

参考:令和3年分の確定申告からふるさと納税(寄附金控除)の申告手続が簡素化されます|国税庁

ふるさと納税の確定申告の方法の詳細についてはこちらを参照してください。

ワンストップ特例制度で控除を受ける方法

ワンストップ特例制度は、年1回だけの確定申告によらず、ふるさと納税の寄附金控除が受けられる便利な仕組みとして2015年度から実施されたものです。寄附の都度、その自治体に申請書を提出すれば住民税の控除を受けられるため、確定申告と比べて手軽な手続きと言えるでしょう。

ワンストップ特例制度で控除の申請を行う場合は、ふるさと納税の寄附先が5団体以内であることと、医療費控除などほかの事由で確定申告する必要がないことが条件となります。

ワンストップ特例制度による控除申請は、次の手順で行います。

  1. 寄附先の自治体から「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」を入手する
  2. 「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」に必要事項を記入する
  3. 「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」と必要書類を郵送する

寄附金税額控除に係る申告特例申請書
引用:寄附金税額控除に係る申告特例申請書|総務省

「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」の記入の際に特に注意すべき事項を挙げておきます。

①には個人番号(マイナンバー)を記入します。
②には寄附した年月日と金額を記入しますが、同じ自治体に複数回、寄附をしたときには、その都度、この申請書の提出が必要となります。
③医療費控除等がなく、確定申告をする必要がない人がふるさと納税の寄附をした場合にだけチェックを入れてください。
④その年のふるさと納税による寄附先が5自体以下の場合にチェックを入れてください。
⑤あなたの住所と氏名を記入します。

③と④については、前述したワンストップ特例制度の利用条件になりますので忘れないようにしましょう。

ふるさと納税の控除申告で必要な書類

確定申告とワンストップ特例制度のそれぞれについて、ふるさと納税による控除の手順および申請方法を解説しました。次に申告書や申請書以外に必要となる書類をみていきます。

確定申告でふるさと納税の控除を受けるために必要な書類

確定申告の場合は、申告書以外に次の書類が必要となります。

  1. 寄附金の受領書
    自治体から発行される寄附を証明する書類ですが、前述のように令和3年分の確定申告から、これに代えて国税庁長官が指定した特定事業者が発行する年間寄附額を記載した「寄附金控除に関する証明書」を添付することができるようになりました。
  2. 源泉徴収票(年末調整済)
    源泉徴収票に「年調未済」となっている場合は、所得控除社会保険控除、生命保険控除等)の証明書類が必要です。
  3. その他の必要資料
    確定申告で、医療費や住宅ローンなど、ふるさと納税以外に控除を受ける場合には、控除用の明細等必要資料を用意します。
  4. 本人確認書類(個人番号確認・身元確認)
    マイナンバーカードの場合は、税務署窓口で本人確認ができます。郵送の場合は、表裏両面のコピーを添付します。

本人確認書類(個人番号確認・身元確認)は、次の 「ワンストップ特例制度でふるさと納税の控除を受けるために必要な書類」と同じ扱いです。マイナンバーカードをまだつくっていない方もいると思いますが、次の項目で詳しく説明します。

ワンストップ特例制度でふるさと納税の控除を受けるために必要な書類

確定申告の場合も、ワンストップ特例制度による場合も、本人確認書類が必要です。ただし、確定申告は税務署窓口提出が可能ですが、ワンストップ特例制度では寄附を行った自治体に郵送する方法のみとなります。

税務署窓口で申告する場合は、提出時にその場で確認することができますが、郵送確認の内容は、「番号確認+身元確認」ということになっており、次のいずれかの組み合わせが必要です。

  1. マイナンバーカード
    裏面:番号確認+表面:身元確認

    両面のコピーを添付する必要があります。

  2. 通知カードまたは住民票(個人番号があること)+運転免許証またはパスポート

    通知カード(住民票)で番号確認し、運転免許証(パスポート)で身元確認をします。郵送ではコピーを添付します。

  3. 通知カードまたは住民票(個人番号があること)+健康保険証等の公的医療保険の被保険者証または年金手帳など、提出先自治体が認める公的書類2点以上

通知カード(住民票)で番号確認し、健康保険証等で身元確認をします。郵送ではコピーを添付します。

なお、健康保険証等の場合、記載されている保険証番号、被保険者記号・番号、QRコードは確認対象とはなっていません。個人情報に該当しますので、情報が見えないようにしてコピーするか、コピー後に該当箇所を消すようにしましょう。

ふるさと納税の控除申告の期限

ふるさと納税の控除申告の期限は、確定申告とワンストップ特例制度では異なります。確定申告の期限は翌年3月15日ですが、ワンストップ特例制度の申請の期限は、寄附をした翌年の1月10日となっています。

この期限は自治体必着を意味しているため、直前に郵送した場合、間に合わないケースも考えられます。郵便事情を考慮すれば、年末あるいは遅くとも年が明けてすぐに発送しておくことが望ましいと思われます。

ふるさと納税の控除申告を忘れたらどうなる?

上記のように、郵便事情でふるさと納税の控除手続の期限に間に合わないこともあるでしょうし、控除手続自体を失念してしまったということも考えられます。また、書類に不備があって返戻されるということもあり得ます。

すでに述べた通り、ワンストップ特例制度では利用条件として寄附先が5カ所以下でなければなりません。結果的に6カ所以上となった場合は、利用することはできません。医療費控除が発生した場合も同様です。

ワンストップ特例制度については、結果的に申請期限を過ぎた場合には、確定申告をすれば控除を受けることができます。寄附をした翌年の確定申告で「寄附金控除」の申請を行いましょう。

また、確定申告の期限である寄附をした翌年の3月15日を過ぎた場合も、控除をあきらめる必要はありません。還付の申告は、5年以内であればいつでもできるからです。

年末調整ではなく、確定申告もしくはワンストップ特例制度でふるさと納税分を控除しよう!

ふるさと納税の税控除と還付の手続きについて詳しく解説してきました。会社員の方は、年末調整で控除手続はできません。ふるさと納税の控除手続は、ワンストップ特例制度を利用するか、確定申告のどちらかで行うことになりますので、注意しましょう。

これから、ふるさと納税をしようか検討されている方は、ぜひ参考にしていだければと思います。

よくある質問

年末調整でふるさと納税の控除は受けられますか?

控除を受けることはできません。詳しくはこちらをご覧ください。

ふるさと納税の控除を受けるための手段にはなにがありますか?

確定申告か、ワンストップ特例制度のどちらかの方法で申請ができます。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

執筆:坪 義生(社会保険労務士)

じんじ労務経営研究所代表(社会保険労務士登録)、労働保険事務組合 鎌ヶ谷経営労務管理協会会長、清和大学法学部非常勤講師、「月刊人事マネジメント」(㈱ビジネスパブリッシング)取材記者。社会保険診療報酬支払基金、衆議院議員秘書、㈱矢野経済研究所、等を経て、91年、じんじ労務経営研究所を開設。同年より、企業のトップ・人事担当者を中心に人事制度を取材・執筆するほか、中小企業の労働社会保険業務、自治体管理職研修の講師など広範に活動。著書に『社会保険・労働保険の実務 疑問解決マニュアル』(三修社)、『管理者のための労務管理のしくみと実務マニュアル』(三修社)、『リーダー部課長のための最新ビジネス法律常識ハンドブック』(日本実業出版社、共著)などがある。

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