- 更新日 : 2026年4月10日
給与所得控除とは?計算方法や特定支出控除もわかりやすく解説
給与所得控除は、会社から給与を受け取っている従業員や役員などの給与所得者が税金を計算する際に適用される控除です。税金の計算の際にはいろいろな控除が利用できますが、給与所得控除は、給与所得者には漏れなく適用されます。
今回は、給与所得控除とはどのような控除か、所得控除との違いや給与所得控除の計算方法について見ていきます。
※本記事の内容は2025年12月公表の税制改正大綱をもとにしています。税制改正大綱は自民党が毎年12月頃に発表する改正のドラフトであり、国会での審議を経て翌年春頃に法律として制定されます。最終的に制定された法律の内容と異なる場合があります。
目次
そもそも給与所得とは?
給与所得とは、会社から受け取る給与や賞与などの所得をいいます。これらをまとめて「給与等」と呼び、給与等とは、会社が従業員に対して雇用契約に基づいた労働の対価として支払うものを指します。
給与所得の金額は、その年に得た給与等の収入金額の合計額から、法律で収入金額ごとに定められた一定の金額(給与所得控除額)を差し引いて求めます。
収入金額には、金銭で支給されるもののほか、給与に該当するとされる経済的利益(現物支給など)も含めて計算します。また特定支出控除の特例を適用する場合は、さらに特定支出控除額を差し引いて給与所得の金額を算出します。
給与収入・給与所得控除・所得の関係
給与収入とは、雇用契約のある会社から労働の対価として受け取る給与・賞与などの合計金額です。この給与収入から給与所得控除額などを差し引いた金額が給与所得額になります。
つまり、給与収入がそのまま課税対象になるわけではなく、各種控除を引いた後の金額に対して税金が計算されます。
給与所得控除と所得控除の違い
給与所得控除と同じような控除に「所得控除」があります。所得控除とは、税金計算の際に収入から引くことができる「配偶者控除」「扶養控除」「医療費控除」などの控除のことをいいます。
所得控除は「要件を満たしている扶養親族がいる」「医者にかかり医療費を支払った」など、控除の種類ごとに条件が決まっています。また、自己申告することで所得控除を受けられるため、自分で申告をしないと受けることができません。
給与所得控除は、給与等の収入金額によって控除額が決まりますので、その点に違いがあります。
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給与所得控除額の計算方法は?
次に、給与所得控除額について説明をします。
給与収入から定められた控除額を差し引く
自営業者の事業所得の計算では、商品の売上金額(収入金額)から必要経費を控除して計算します。
この場合の必要経費は、仕入原価や販売経費、従業員等に支払う給与、光熱費等、事業に関わったとされるものは基本的に該当します。
しかし給与所得者については、収入金額は明確に分かりますが、必要経費についてはどこまでが必要経費に該当するのかの線引きが難しくなり、給与を得るために支出したとする経費を正しく算出することができません。
そこで自営業者が事業所得の計算において必要経費を控除できることとの公平性のため、必要経費の代わりとして給与所得控除が認められています。
この給与所得控除額の金額は、給与年収に応じて定められています。
収入金額ごとの控除額
給与所得額は、給与等の収入金額から給与所得控除額をマイナスして算出します。この給与所得控除額は、収入金額に応じて下記のようになります。
【令和8年分・令和9年分の給与所得控除額】
| 給与等の収入金額 (給与所得の源泉徴収票の支払金額) |
給与所得控除額 |
|---|---|
| 220万円以下 | 74万円 ※ |
| 220万円超 360万円以下 | 収入金額×30%+8万円 (74万円超 116万円以下) |
| 360万円超 660万円以下 | 収入金額×20%+44万円 (116万円超 176万円以下) |
| 660万円超 850万円以下 | 収入金額×10%+110万円 (176万円超 195万円以下) |
| 850万円超 | 195万円(上限) |
参照:令和8年度税制改正の大綱|財務省、No.1410 給与所得控除|国税庁
※ 令和8年・9年分の最低保障額は、本則69万円に加え特例として5万円が上乗せされ、74万円となります。この特例による5万円の上乗せ分は月次の源泉徴収には反映されず、年末調整で精算されます。令和10年分以後は、本則の69万円が適用されます(特例の上乗せはありません)。
上表で給与所得控除を計算してみましょう。
年収が250万だとすると(収入金額が220万円超 360万円以下の場合)、
2,500,000×30%+80,000=830,000
つまり年収250万円の人なら、83万円の給与所得控除を受けられることになります。
特定支出とは?
給与所得者には、給与所得控除のほかに、特定支出控除という制度があります。
これは、特定の支出があり、その金額の合計額が、特定支出控除額で認められる金額を超えていた場合には、申告要件を満たせば、その超えた金額も給与所得控除と合わせて給与年収額から差し引くことができます。
給与所得控除額が、実際の給与年収に対する経費が明確でないことから定められたものであるのに対して、特定支出とは、ある一定の条件の範囲内の支出を、業務上の必要経費として認めるものです。
特定支出の範囲
特定支出とは、給与所得者の、次にあげる支出で、給与を支払う側から証明がされたものです。ただし、会社から支出に対して補助や手当が支給されており、その補助分に所得税が課税されていない場合、その補助された金額分は特定支出として認められません。
- 通勤のための支出(定期等)
- 職務上で直接必要な旅行のための支出
- 転勤に伴う転居のための支出
- 職務上の研修のための支出
- 資格取得のための支出(弁護士、税理士、公認会計士などの資格取得のための支出も含む)
- 配偶者と別居している単身赴任者が帰郷するための支出
職務 - 職務遂行に必要な書籍などの図書費や、事務服などの衣服費、取引先のために支払った交際費
申告要件
この特例を受けるためには、確定申告書を提出し、かつその確定申告にこの特定支出に関する明細書等の添付が必要となっています。
給与所得控除が認められる条件を再確認しましょう
給与所得控除は、年末調整を行う際に必ず差し引かないといけない控除です。給与所得控除額は法改正によって変更になる可能性のある金額ですので、最新の情報に注意して計算間違いをしないように注意しましょう。
また、給与所得者には、給与所得控除のほかに特定支出控除という制度があり、確定申告により特例を受けることができます。
これら、給与所得者が受けることが認められている条件を確認し、漏れのないように手続きを進めましょう。
よくある質問
給与所得とは?
その年の間に得た給与等の金額から控除できるものを除いた額です。詳しくはこちらをご覧ください。
給与所得控除額が認められる条件は?
自営業者の事業所得は収入金額から必要経費を控除して計算しますが、給与所得者は経費を正しく算出することができないため、かわりに給与所得控除が認められています。詳しくはこちらをご覧ください。
特定支出とは?
ある一定の条件の範囲内の支出に対して、業務上の必要経費として認めるものです。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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