- 更新日 : 2023年1月31日
社会保険の加入条件とは?手続きやパートの場合も解説
2022年10月から社会保険の適用拡大の条件に変更があり、対象企業の範囲が拡大されています。また、育児休業中の社会保険料免除が開始日と終了日の翌日が同月であっても14日以上の育休取得で適用させるなど、さまざまな法改正が行われています。
ここでは、法改正の中から社会保険の適用拡大や、派遣社員の加入について解説します。
目次
社会保険に加入できる事業所
社会保険に加入できる事業所には、強制適用事業所と任意適用事業所があります。それぞれについて見ていきましょう。
強制適用事業所
強制適用事業所とは、社会保険の加入義務のあるすべての事業所のことです。企業の業種や規模、事業主や個人の希望は関係ありません。
株式会社や合同会社などの法人の場合は、従業員の人数に関係なく強制適用事業所となります。従業員はおらず事業主のみの場合でも社会保険の加入手続きを行う必要があります。
従業員が常時5人以上いる個人の事業所の場合は、農林漁業、サービス業など非適用業種と呼ばれる一部の業種の場合を除いて強制適用事業所となります。飲食店等のサービス業などは従業員の数に関係なく強制適用事業所にはなりません。
令和4年10月1日からは、弁護士・税理士等の資格を有している者が行う法律または会計に係る業務を行う事業が非適用業種から適用業種に変更され、従業員が常時5人以上いる場合には強制加入になりました。
任意適用事業所
任意適用事業所とは、強制適用事業所以外で、半数以上の従業員が適用事業所になることに同意し、事業主が申請、厚生労働大臣の認可を受けた事業所のことです。
適用事業所になることにより、保険給付や保険料などについては強制適用事業所と同じ扱いになります。
2022年10月からの適用拡大とは?加入基準に変更はある?
2022年10月からパートやアルバイトといった短時間労働者を対象とした社会保険の適用拡大の要件が変更され、対象となる企業の範囲が広がりました。
これまで、正社員と比べ週の所定労働時間および月の所定労働日数が4分の3以下であるパート・アルバイトについては、被保険者数501人以上となる特定適用事業所や、500人以下で労使合意のもと特定適用事業所になることを申し出た任意特定適用事業所に該当しない限り、社会保険への加入義務はありませんでした。
しかし、2022年10月から、特定適用事業所となる条件である「従業員人数501人以上」が「従業員人数101人以上」へと変更になりました。それにより、いままでは労働日数や労働時間の短いアルバイトやパートについて、社会保険に加入させる義務がなかった企業でも、社会保険加入手続きを行う必要が出てきます。
【2022年10月の社会保険適用拡大について】
- 「被保険者数501人以上」の企業 → 「被保険者数」101人以上の企業に変更
- 被保険者数のカウントの仕方は、厚生年金保険の被保険者の人数
- 条件に当てはまる企業は、特定適用事業所となる
【特定事業所で新たに加入対象となる人】
以下の条件にすべて合致するパート、アルバイトの従業員
- 週の所定労働時間が20時間以上
- 月額賃金が8.8万円以上
- 2ヶ月を超える雇用の見込みがある
- 学生ではない
パート・アルバイトの社会保険の加入条件
パート・アルバイトでも加入条件に合致する従業員は社会保険に加入することになります。
2022年10月から社会保険の適用拡大の対象となる企業の範囲が広がり、今まで加入条件を満たしていなかったパート・アルバイトの中にも、改正により加入条件を満たすことになる従業員が出てきます。そのため、社会保険に加入したくないパート・アルバイトの人には対応が必要です。
社会保険の加入条件の詳細は、こちらの記事で詳しく解説しています。
パート・アルバイトの社会保険の加入条件が月収68,000円になるのではないかという話がありました。今後変更される可能性もありますが、今のところはなにも公表されていません。
派遣社員の社会保険の加入条件
派遣社員の場合は、雇用元となる派遣元会社との労働条件によって社会保険の加入義務の有無が決まります。具体的には、派遣元会社が社会保険の適用事業所である場合、正社員やフルタイムで働く社員などと比べて、週の所定労働時間および月の所定労働日数が4分の3以上であれば、社会保険の被保険者となります。
また、特定適用事業所の要件についても、就業する派遣先の会社ではなく、派遣元の会社の被保険者数によって判断します。そのため、2022年10月以降、派遣元の会社が従業員規模101人以上である場合、短時間労働者が社会保険に加入する要件に合致する派遣社員は、社会保険の被保険者となります。
派遣社員の場合、派遣元と結ぶ雇用条件では、臨時に使用されるものとして就業期間が「2ヶ月以内」となっているケースもあります。2ヶ月以内の期間で契約して使用される場合には社会保険の加入対象になりません。
社会保険加入におけるメリット
社会保険に加入することによって、保険料や将来もらうことができる年金において数々のメリットを受けることができます。
将来もらえる年金や負担する保険料に関するメリットを見ていきましょう。
将来貰える年金が増える
社会保険に加入している場合、厚生年金保険料を納付します。この保険料は、定額の国民年金保険料と異なり報酬に応じた保険料額になりますが、65歳になるまでは国民年金(基礎年金)にも加入していることにもなります。納付した分、将来の年金額が増えるというメリットがあります。
保険料を会社と折半できる
社会保険に加入している場合は、保険料が全額自己負担になるのではなく、会社と個人が保険料を半額ずつ負担することになります。そのため、個人負担が少ないというメリットがあります。
上記で示した内容以外にもメリットがあります。詳細はこちらの記事で解説しています。
社会保険加入に必要な手続き
事業所が社会保険の適用を新たに受けるためには、事業所の新規適用の加入手続きが必要です。
強制適用事業所が新規加入する際には、「健康保険・厚生年金保険 新規適用届」を提出します。任意適用事業所が新規加入する際には、上記の新規適用届と一緒に「健康保険・厚生年金保険 任意適用申請書」も提出します。
さらに、以下の書類が必要になります。
- 法人の場合:登記簿謄本
- 強制適用の個人事業所:事業主の世帯全員の住民票
- 賃貸契約書のコピーなど(法人の所在地が登記上と異なる場合や、個人の事業所の所在地が住民票記載の住所と異なる場合には、事業所の所在地を確認する資料として必要)
提出時期は「加入条件を満たした事実の発生の日から5日以内」に行います。
同時に従業員の新規加入を行う場合は、下記書類も提出します。
- 健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届/厚生年金保険 70歳以上被用者該当届
家族を被扶養者にする場合は下記の書類も準備します。
- 健康保険 被扶養者(異動)届(国民年金第3号被保険者関係届)
パート・アルバイトや派遣社員も条件が合致すれば社会保険の加入対象となる
2022年の法改正で社会保険の適用拡大の対象となる企業の範囲が広がったことにより、パートやアルバイト、派遣社員でも、社会保険の加入の対象になるケースがあります。
これまで社会保険の対象外となっていた従業員でも、新たに加入する必要のあるケースがあります。社会保険の加入条件を満たす従業員となるかをよく確認し、該当する場合にはすみやかに手続きを行いましょう。
よくある質問
社会保険に加入できる事業所にはどういったものがありますか?
法人に加え、適用業種の常時5人以上の従業員を雇用する個人の事業所はは、強制適用事業所となります。2022年10月以降は常時101人以上の事業所は、特定適用事業所として社会保険の適用拡大の対象になります。詳しくはこちらをご覧ください。
社会保険加入におけるメリットについて教えてください
病気や怪我などで働けないときに健康保険の傷病手当金を受けられるほか、医療機関を受診する際の医療費で補助を受けられます。また産前産後出産時に受けられる出産手当金や出産育児一時金もあります。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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