• 更新日 : 2024年8月21日

ネガティブフィードバックは危険?意味やNG例、伝え方のコツを解説

フィードバックにはいくつか方法がありますが、その1つがネガティブフィードバックです。相手の良くなかったネガティブな点を指摘して、改善を促すフィードバックをしていきます。

ただし、マイナス面に目を向ける評価手法のため、注意したいポイントがあることも事実です。本記事では、ネガティブフィードバックについて解説するとともに、ネガティブフィードバックの利点や伝え方の注意点、危険性について解説します。

ネガティブフィードバックとは?

ネガティブフィードバックとは、相手の行動において良くなかったマイナス点を指摘して、改善を促すフィードバック手法のことです。ネガティブフィードバックでは相手のマイナス点(改善点)を指摘するため、好ましくない手法では?と思われがちですが、部下の行動に的確な評価をくだしたり、改善を促したりするうえでは不可欠なものです。

ネガティブフィードバックのビジネスにおける目的は、被評価者をプラスの方向へと転換させることにあります。ただし、マイナスな指摘は聞きたくないと感じる恐れもあるため、ネガティブフィードバックを行う際には注意が必要です。

ネガティブフィードバックのメリット

ネガティブフィードバックには、2つのメリットが存在します。

従業員エンゲージメントが向上する

ネガティブフィードバックを行うと、従業員エンゲージメント向上が期待できます。

従業員エンゲージメントとは、従業員が企業に貢献したいと自発的に考える度合いのことです。積極的にネガティブフィードバックを行うと、従業員は「自分の課題を的確に指摘してくれる良い企業だ」と感じるでしょう。その結果、自社に対する信頼・愛着などが高まる効果も期待できます。

会社の目標達成につながる

ネガティブフィードバックを活用すると、自社の目標達成を促進させる効果が期待できます。なぜなら、ネガティブフィードバックを行うそもそもの目的が、従業員の目標達成や成長の促進にあるためです。

ネガティブフィードバックを適切に行えば、各従業員の業務効率や業務の質が改善されるため、生産性の向上につながります。さらに、それが企業全体の目標達成にもつながるでしょう。

ネガティブフィードバックはなぜ危険?

ネガティブフィードバックは、人によっては人間関係の悪化や、信頼感の喪失につながる恐れがあるため注意が必要です。ここでは、ネガティブフィードバックが危険といわれる理由について解説します。

人間関係が悪くなることがある

ネガティブフィードバックでは、改善点(マイナス点)を指摘するため、信頼関係が構築されていない場合や相手にとって理解できる伝え方でない場合、互いの人間関係が悪くなる恐れがあります。間違ったネガティブフィードバックによって、信頼関係が傷ついたり、上司の言うことを部下が適当に聞き流すようになったりして、ギスギスした職場になることが懸念されるため、注意しましょう。

モチベーションが低下するおそれ

ネガティブフィードバックを受けると、誰しもモチベーションが下がる恐れがあることは理解しておきましょう。前述したように、部下の自尊心を傷つけ、仕事に対するモチベーションを低下させてしまうと、フィードバック前より仕事のパフォーマンスが落ちることもあります。その結果、楽しくやりがいのある職場がそうではなくなり、最悪の場合退職するリスクもありえるでしょう。

新しいことにチャレンジしなくなる

ネガティブフィードバックが適切に行われないと、部下のモチベーションを下げることにつながる恐れがあるのは、前述のとおりです。やる気が下がると、新しいことにチャレンジしなくなる弊害が出てくる恐れがあるため、注意しましょう。

やる気がなくても、目の前の短期的にやらなければならない仕事には取り組めますが、中長期的な目標に対するチャレンジなどは、モチベーションが低いために消極的になりがちです。

伝え方によってはパワハラの可能性も

ネガティブフィードバック自体がマイナス点を伝えるフィードバック方法であるため、伝え方や言葉遣いによっては意図していない方向に内容が伝わりかねません。最悪の場合、パワハラととらえられる恐れもあるため、細心の注意を払うようにしましょう。

たとえば、相手の人格を否定したり、声を荒げたりする行為はNGです。

ネガティブフィードバックの伝え方

適切にネガティブフィードバックを行うためには、ネガティブフィードバックの正しい伝え方を理解しておくことが重要です。ここでは、ネガティブフィードバックの伝え方について解説します。

信頼関係を構築しておく

部下に対して厳しい指摘を行うネガティブフィードバックにおいては、信頼関係を構築しておくことが重要です。信頼関係のない上司からネガティブフィードバックを受けても、部下としては、否定された、叱られたと勘違いしてしまいます。素直に指摘を受け入れられなかったり、モチベーションが下がったりすることにつながるため、信頼関係を構築することから始めましょう。

人格を否定しない

ネガティブフィードバックでは、人格を否定しないことも大事なポイントです。ネガティブフィードバックで指摘する際は、指摘を通して変わるところ=問題のある行動にフォーカスしてフィードバックしましょう。

変わるところは、効果が出やすいところとも言えます。指摘に対して行動をとることで結果につながるため、部下は達成感や充実感を得られやすいでしょう。その結果パフォーマンスも向上するため、指摘してくれた上司に対する信頼関係も強くなり、以降の指導もしっかり受け入れてくれるようになります。

すぐにフィードバックする

ネガティブフィードバックは、スピード感を持って行うようにしましょう。指摘された部下からすると、行動直後や結果が出た直後に指摘された方が、記憶がハッキリしているうちに問題点を自己分析できるためです。

また、行動直後のフィードバックであればあるほど、早期の改善もできます。

大勢の前ではなく個別に指摘する

ネガティブフィードバックは、スピード感を持って伝えることが大事だと解説しましたが、フィードバックする場所も重要な要素です。ネガティブフィードバックを大勢の前ですると、指摘された本人は必要以上に傷つきます。

ネガティブフィードバックは、相手が受け入れてこそ機能するものです。素直に受け入れてくれるように、適切な場所を選ぶように配慮しましょう。

サンドイッチ型フィードバックを活用する

ネガティブフィードバックを行う場合は、サンドイッチ型フィードバックを活用すると良いでしょう。

サンドイッチ型フィードバックとは、ポジティブな話題の間にネガティブな話題を挟み込むフィードバックです。

たとえば、

  1. Aさんは報告書の提出がいつも早くて助かります。
  2. ただし、もう少し具体的な数字を盛り込むとより良い報告書に仕上がると思うよ。
  3. 目のつけどころ自体はしっかりしているから、次の提出時に数値部分を反映させてみてください

という話の流れで話すと良いでしょう。

ネガティブフィードバック伝え方の具体例

実際にネガティブフィードバックをする際の伝え方の具体例を紹介します。

ネガティブフィードバックの例文

ネガティブフィードバックの例文は次のとおりです。部下にクライアントへの提案資料の作成を依頼した際のフィードバックです。

「作成してもらった提案資料は、過去の既存資料をつなぎ合わせただけのどの企業にも当てはまる平凡なものでした。これでは提案するクライアントへの説得力に欠けるため、次回からは提案企業に向けた内容にする工夫をお願いします。

そのためには、聞き取り段階でクライアントの潜在ニーズを深掘りしておくことが欠かせません。また、効果的に聞き取りを実施するうえでは、事前の企業リサーチが重要です。

今回はリサーチ不足だったと思いますが、次回以降もっとリサーチ時間を増やして、魅力的な提案資料を作れるようにしましょう」

問題点を指摘しつつ、具体的な改善策や次回以降のアクションに言及する方法が、ネガティブフィードバックのポイントです。

サンドイッチ型フィードバックの例文

サンドイッチ型フィードバックの例文を見ていきましょう。上記同様、部下にクライアントへの提案資料の作成を依頼した際のサンドイッチ型フィードバックです。

「短い時間で、提案資料を完成させてくれてありがとう。これでクライアントへの提案が可能になりました。

読んでいて1点、改善できそうな点があったのでお伝えしておきます。作成してもらった提案内容は、多くのクライアントに当てはまるもので、今回提案する企業に特化したものではありません。企業に特化した提案資料を作るためには、事前の調査や聞き取りが重要になってくるため、次回以降はそこも意識したスケジュール調整をして、特化した内容にできるように取り組んでみてください。

とはいえ、伝えたいことがまとまった資料で非常にわかりやすく仕上がっていると思います。市場動向などがわかるデータを盛り込むなど、クライアントが理解しやすくなる工夫が見られて良いと感じました」

「できなかったこと」を「良かったこと/できたこと」で挟んで伝えれば、伝えるべきこと(マイナスな指摘点)を伝えつつも、全体的にマイルドな印象で伝えられます。

ネガティブフィードバックが向いている人

ネガティブフィードバックは、誰に対しても同じような結果をもたらすわけではありません。ネガティブフィードバックとの相性が良い人、そうでない人が存在するため、相性を見極めることも重要です。

相性が良いとされるのは、次の2タイプとされています。

  • 自己肯定感が強い人
  • 成長志向の高い人

ネガティブフィードバックの内容によっては相手を傷つける恐れがありますが、自己肯定感が高い人は、行動に悪影響を与える水準を低く保つことができるといわれています。そのため、問題点を指摘されても、「自分のために言ってくれた」と感じることが可能です。

自己肯定感が強い人は、自分の意見をハッキリ表明したり、難しい仕事や困難な状況にも積極的に取り組んだり、他人の成功を一緒に喜んだりできる特徴があるため、そのような人を探すと良いでしょう。

また、成長志向の高い人とも相性が良いとされています。自分の能力を高めたいと考えている人は、ネガティブフィードバックの内容を成長の糧にしようとするためです。

成長志向の高い人は、成長のために時間を積極的に使っている、安定した環境よりも困難な状況に飛び込んでいく傾向があります。

このような人には、ネガティブフィードバックを実施しても悪い影響は少ないでしょう。

ネガティブフィードバックとポジティブフィードバックの違い

フィードバックを行うことで、相手の行動改善につながります。そんなフィードバックは、ポジティブ/ネガティブの2つに分けられます。

ポジティブフィードバックは、相手の行動に対して肯定的に評価することで、良いパフォーマンスを維持・強化するために効果的です。一方のネガティブフィードバックは、改善が必要な行動を指摘することで、相手に改善を促していくために行われます。

どちらを選ぶかは、相手の性格や状況に合わせて判断してください。

ネガティブフィードバックは正しい伝え方を理解することが欠かせない

ネガティブフィードバックは、相手の行動におけるマイナス点をピックアップして指摘し、改善を促すフィードバック手法のことです。プラスの方向へと被評価者を導くことに目的はあります。

ただし、ネガティブフィードバックはやり方によっては相手を傷つけたり、やる気をそいだりする結果につながるため注意が必要です。本記事で紹介した方法や注意点を参考に、適切なネガティブフィードバックが行えるようになりましょう。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。

関連記事