• 作成日 : 2022年11月25日

シフト管理表とは?作成は義務?種類をもとに解説!

シフト管理表は、従業員の勤務ローテーションをまとめた書類で、正確で誰からも見やすいことが求められます。インターネット上ではエクセルで作成した無料テンプレートが公開されています。一方で市販品の専用ソフトもあります。本記事では、それぞれのメリット・デメリットを紹介します。

シフト管理表とは?

シフト管理表とは、シフト制で働く従業員の勤務時間などを管理する書類を指します。

シフト制は、一定の時間で従業員を交代させて業務を途切れさせないようにする制度です。二交代制・三交代制など、アルバイトの経験がある方は聞いたことがあるのではないでしょうか。従業員が一定の時間で入れ替わることにより、時間外労働などに頼る必要がなく長時間業務を続けることができます。例えばお店ならば営業時間を長くすることもできるのです。そのため、シフト制勤務は、24時間稼働する工場やホテル、コンビニエンスストア、医療、介護、コールセンターなど、さまざまな業種で取り入れられています。

シフトの組み方などは事業所によって異なりますが、注意しなければならないのは、雇用時の労働条件の明示や労働時間の上限、時間外労働(36協定)、有給休暇などに関する内容です。シフト勤務ではない従業員と同等に、こうした働き方においても法律で守られています。シフト管理表に決まった様式はありませんが、シフト自体には従業員への配慮が必要です。

シフト管理表の作成は義務?

労働基準法第108条では「賃金台帳を調整し賃金計算の基礎となる事項や賃金額などを記入しなければならない」と規定されています。では、シフト管理表はどうでしょうか。

シフト管理表は、一般的にはシフトを組む際に作成されるものです。今後のスケジュールを書き込むものであり、勤務実績が記載されているわけではありません。従って、賃金計算の基礎となるものではなく、管理や保管の義務はありません。ただし、就業規則などを見ても休日が具体的にわからない場合などには、出勤簿と共に保管が必要です。

また、変形労働時間制を導入している場合には、シフトの時間を超えると時間外労働とされ、シフト表・勤怠表が残業計算の根拠となることもあります。こうしたケースも鑑みると保管をしておくほうが良いでしょう。勤務実績が記録されたタイムカードや出勤簿などは管理や保管の義務があるため、注意しましょう。保管期間は3年間です。なお、この3年間の起算日は「最後の記入をした日」とされます。

参考:労働基準法|e-Gov法令検索

シフト管理表の種類

業態によってシフト体制が異なるように、シフト管理表にもさまざまな種類があります。ここでは、主なシフト管理表の形式をみていきましょう。

時間シフト(タイムシフト)

1日の営業時間に必要な従業員の人数や、それぞれの勤務時間が書かれているシフト管理表です。勤務する従業員の人数や役割、勤務時間などが日によって変動的である場合に有効です。タイムシフトに必要な項目は以下のとおりです。

  • 勤務形態
  • 名前
  • 役割
  • 勤務時間
  • 合計時間

名前を縦軸に、それぞれの勤務時間を横軸で表すことで、時間ごとに今誰が何をしているか、何人働いているかなどがひと目でわかります。ただし、毎日作成して交換する必要があるため、手間はかかってしまうでしょう。

週間シフト

1週間の曜日ごとにシフトを記載するシフト管理表です。必要な項目はタイムシフトと変わりません。1週間単位で誰が何曜日の何時から何時まで働いているかを明確にすることができるため、曜日ごとの人数の把握がしやすく、欠員や変更希望者が出た場合のやりくりも1週間内で行いやすい利点があります。

また、同じ日に勤務する従業員が一覧でわかるため、人間関係の問題が起こった際には問題にすばやく対処することが可能です。

毎週のシフトがだいたい決まっている職場などにはとても有効なシフト管理表でしょう。

月間シフト

1ヶ月のシフトを一覧にしたシフト管理表です。スペースが限られるため、勤務時間が個々に異なるシフトの管理には向いていません。二交代制など、ある程度勤務時間がパターンに分かれている場合に、記号などでシフトのパターンを記載するのに向いています。一般的には1行を31日に区切って、従業員一人のシフトを横に記入していきます。

管理者は、本日誰が勤務に入っているかを確認し、人数のバランスを見ることはできますが、時間ごとの調整などは行えません。むしろ、従業員側が自分の勤務日を確認するために、カレンダーのように使用するには便利だと言えるでしょう。

休暇シフト

従業員のシフト管理でもう一つ大切なのは、休暇の管理です。2019年4月には働き方改革の名のもとにさまざまな法令が整備されました。年次有給休暇については、年10日以上取得している従業員について、必ず5日間は取得させることとなっています。また、パートやアルバイトなどの従業員にも週所定労働日数に比例して年次有給休暇が与えられます。これらに違反すれば、罰則が科されることもあるため、休暇の管理はしっかりと行わなければなりません。

また、法令遵守の面だけではなく、従業員の休暇を把握しておくことで、業務スケジュールがたてやすくなるなどのメリットもあります。

参考:「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」について|厚生労働省
参考:年5日の年次有給休暇の確実な取得|厚生労働省

シフト管理表はエクセルで作る?それともクラウド?メリット・デメリット

シフト管理表は、エクセルの知識が少しあれば自力で作成することが可能です。また、インターネット上にも、エクセルを使用したシフト管理表のテンプレートが多く公開されています。一方で、クラウドを使用して情報を一元化するなど、市販の勤怠管理システムには優れたシフト管理表作成ツールも存在します。

ここでは、それぞれのメリットとデメリットを紹介します。

シフト管理表をエクセルで作るメリット・デメリット

エクセルを使用してシフト管理表を作成するメリットは、以下のとおりです。

  • 低コスト
    専用のソフトなどを購入せず、普段使用しているエクセルで作成できます。
  • テンプレートの種類が豊富
    エクセルについてある程度知識を持った従業員がいれば、インターネットからダウンロードした無料テンプレートに少し手を加えることにより、理想に近いシフト管理表ができ上がります。
  • 事業所内で実際にシフト管理表を使用する人が作成できる
    エクセルの知識を持つ人は少なくないため、使用する本人が使いやすいようにカスタマイズできる場合があります。

もちろん、独自のものを作りたければまっさらな状態から作成することもできますが、そのためには多くの関数やマクロなど、ある程度Excelを使いこなすスキルが必要になります。この点がまさにデメリットというべき点です。エクセルでシフト管理表を作成するデメリットは、以下のとおりです。

  • エクセルがまったくわからないと作成が困難
    テンプレートに変更を加えたい場合などは、使用されている関数の知識がないと難しいでしょう。
  • 大人数のシフトや、複数のシフトを調整しにくい
    専用のシフト管理システムのようにスケジュール調整などの機能はついていないため、大人数のシフト調整などは煩雑になります。
  • 人的ミスと属人化
    数式や関数など、人が入力したものであるため、ミスが起こる場合があります。
    また、入力された数式や関数などを引き継ぐことをしないと属人化が起こり、その人が転勤や退職でいなくなった際に困る場合があります。

シフト管理表をクラウドで作るメリット・デメリット

それでは、シフト管理表の専用ソフトを導入した場合、どのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。メリットは、以下のとおりです。

  • 業務効率化
    市販の専用ソフトはクラウドを利用しており、各従業員がいつでもアクセスすることができます。そのため、シフトを作成する際の調整が圧倒的に楽になり、管理者の業務効率化につながります。また、シフトが決まる過程を可視化することもできるため、不公平感などが発生するのを防ぐことができます。また、シフト作成業務が効率化することにより、従業員それぞれの希望や適性を生かした配置を行うことができ、現場の業務効率化にもつながります。
  • 人的ミスと属人化を防ぐ
    エクセルのシフト管理表では、数式や関数を間違えたり誤って削除したりするなどの人的ミスや、「作った人にしかわからない」という属人化が起こりがちです。専用ソフトはUIを考え、誰が見てもわかりやすいように作られているため、そのような問題は起こりません。
  • 他業務との連携
    多くのシフト管理表作成ソフトは、給与計算や勤怠管理機能に紐づいています。そのため、給与計算や勤務時間の管理などまで、一元化して行うことができます。

デメリットは、以下のとおりです。

  • 導入コストがかかる
    システムを導入する際にはある程度の導入コストがかかります。いま行っている業務がどれだけ効率化されるか、抱えている問題点は解決するかなどを考慮し、導入コストと釣り合うかどうかを考えてみると良いでしょう。
  • 業務フローの変更
    ソフトを導入することにより、これまで紙ベースで行ってきたシフト申請などの業務をスマートフォンやパソコンに移行できます。業務の流れを大きく変えることになるため、場合によっては戸惑ったり反感を持つ従業員がいるかもしれません。導入後はどのような流れで業務を行うのか、十分な説明が必要です。

目的に合ったシフト管理表で業務効率アップ

シフト管理は従業員が多くなるほど管理が大変になります。どの時間に誰を何人配置するかなど、業務の実態や従業員個人の希望、人件費などを考えながら決めなければなりません。

人員配置によっては業務効率化により生産性が向上したり、経験の少ない従業員の成長につながったりすることもあるため、管理者は繁忙期・閑散期、従業員の経験を踏まえた組み合わせ、相性など、よく考えてシフトを組む必要があります。自社業務に合った使いやすいシフト管理表を作成し、ぜひ活用してください。

よくある質問

シフト管理表とはなんですか?

シフト制で働く従業員の勤務日や勤務時間などを管理するための表です。時間ごと、週ごと、月ごとの3種類があり、勤務体制に合わせて最も使いやすい種類で作成されます。詳しくはこちらをご覧ください。

シフト管理表をエクセルで作るメリット・デメリットについて教えてください。

メリットは導入コストがかからないことです。デメリットは、人数が増えるとシフトの調整が大変なことと、人的ミスが起こりやすいことです。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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