• 更新日 : 2024年5月1日

直行直帰とは?定時前や残業代のルールなど労働時間の管理方法を解説

直行直帰は従業員が自宅から直接業務場所へ出向き、業務終了後に会社に立ち寄らずに帰宅する働き方です。本記事では、直行直帰における労働時間や残業代の扱いについて解説します。

労使間トラブルの防止のためには、労働時間の適正な管理が大切です。勤務時間の正確な把握と管理を実現するための方法についても紹介しています。

直行直帰とは?

直行直帰(ちょっこうちょっき)とは、従業員が自宅から直接業務の現場に行き、業務終了後も会社に戻ることなく直接自宅に帰る働き方です。営業職やホームヘルパー、運送業などでよく見られる働き方で、朝一番に顧客訪問をしたり終業時間直前の訪問が必要だったりする場合などに、通勤時間の短縮と業務効率の向上が期待できます。

直行直帰には上記のようなメリットがある反面、労働時間の管理が難しい点や仕事とプライベートの境界が曖昧になりやすいなどのデメリットも存在します。

直行直帰の労働時間はどこからどこまで?

直行直帰の労働時間は、どこからどこまでを算定すればよいのでしょうか。ここでは、労働時間に該当する場合としない場合に分けて解説します。

労働時間に該当する条件

直行直帰の労働時間に含まれるのは、移動中にも業務を行っている場合や、会社の指示に従っている場合です。例えば以下のような場合が該当します。

  • 移動中の顧客との電話対応
  • 会社から指示された物品の管理
  • 取引先の接待中

所定労働時間外でも上司の命令で業務を行っている場合、その時間も労働時間としてカウントされます。

労働時間に該当しない条件

直行直帰の労働時間に含まれないのは、使用者の指揮命令下に置かれていない場合です。例えば直行直帰において、会社と現場の移動の指示がなかったような場合には、労働時間には当たらないという東京地裁の判決があります。また、移動に伴う車両の運転者や集合時刻等を労働者間で決めていた場合にも、その間の移動時間は労働時間とはみなされません。

参考:そもそも「労働時間」とは?「通勤時間」とは?|厚生労働省

移動時間は労働時間に含まれる?

これまで見たように、同じ移動時間であっても労働時間に含まれる場合と含まれない場合があります。移動時間が労働時間に含まれるかどうかのポイントは、その時間が業務活動と直接関連しているかや会社の指示や管理下にあるかによります。つまり、従業員の独断で行った行為については労働時間とはみなされないのです。

直行直帰の場合、残業代はつく?

直行直帰の場合でも移動中に業務を行ったり、会社の指示に従っていたりする場合には労働時間に該当するため、法定労働時間を超えた場合には残業代が発生します。

例えば、所定労働時間が9時から18時までの従業員が、会社からの命令で8時に現場に直行した場合を見てみましょう。このとき、19時まで業務を行って直帰した場合には、休憩1時間を除く実働労働時間は10時間となり、2時間分の残業手当が必要となります。

定時前の直帰は早退になる?

定時前の直帰が早退にあたるかどうかは、具体的な労働実態や就業規則の内容により異なります。ただ、一般的には直行直帰によるわずかな不就労時間に対しては、所定労働時間を満たしているとみなされ賃金が支払われることが多いです。

直行直帰を適切に管理する方法

ここでは、直行直帰を適切に管理するための方法について解説します。

しっかりとルールを決めておく

直行直帰を適切に管理するためには、以下のように社内ルールをしっかりと決めておくことが大切です。

  • 始業と終業の時刻を定める
  • 賃金控除や残業については、就業規則に明確に記載する

一般的には始業時刻を「最初の訪問先に到着した時間」、終業時刻を「最後の訪問先から退出した時間」と設定することが多いです。就業規則にルールを定めたときには、従業員にルールを周知しましょう。

事業場外労働のみなし労働時間制を採用する

直行直帰のように事業場外での業務が主な従業員に対しては、事業場外みなし労働時間制を適用することも一つの方法です。この制度を用いることで、労働時間の算定が困難な事業場外業務に対して、所定労働時間労働したとみなせます。

事業場外みなし労働時間制を採用するためには、以下のような条件が求められます。

  • 使用者の指揮監督が及ばないこと
  • 労働時間の算定が困難であること

適用例としては、営業職が訪問先で独立して業務を行い、事業場外で会社からの指示がない場合などが挙げられます。

参照:事業場外労働のみなし労働時間制|厚生労働省

勤怠管理サービスを導入する

クラウド勤怠管理システムの導入も、直行直帰の労務管理に適しています。勤怠管理システムを利用することで、従業員はどこからでも出勤・退勤の打刻が可能となり、管理者はリアルタイムで勤務状況を把握できます。

また、GPS機能を備えた勤怠管理システムを用いることで、従業員の位置情報をもとに正確な出勤・退勤時間の記録が可能です。労働基準法に対応したシステム選びをすることで、法定労働時間の超過防止や適切な休憩時間の確保にもつながります。

労働時間を適切に管理して労使間トラブルを防ごう

直行直帰は従業員にとっては働きやすいというメリットがある反面、労働時間の管理が難しいです。場合によっては直行直帰でも残業代が発生することがあるため、労使間トラブルを防ぐためには勤怠管理サービスの導入がおすすめです。勤怠管理サービスを活用することで直行直帰の労働時間管理を適切に行い、労務トラブルを未然に防げるでしょう。


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