• 更新日 : 2018年9月10日

確定拠出年金の10のメリット

確定拠出年金は、公的年金や厚生年金基金といった確定給付年金とは違い、毎月一定額の掛金を拠出して加入者自身が運用し、その運用実績に応じた給付を60歳から受け取る年金です。

確定拠出年金は、2001年の導入から毎年加入者が増加し、2018年3月末時点で企業型・個人型併せて700万人を超えています。今回は会社と加入者それぞれの立場からみた、確定拠出年金に加入することのメリット10個をご紹介します。

会社のメリット

メリット1:退職給付債務の削減効果

確定拠出年金は、企業年金制度を持つ会社にとって「退職給付債務の削減効果がある」と言われています。現在の会計基準によると、退職金として会社が保有している資産額と、会計上の「退職給付債務」の額を比べた時の不足分に関しては、会社はその補てんを義務付けられています。

将来の退職給付額を支払う約束をする確定給付型の年金制度である限り、会社は退職給付債務を補てんするリスクから逃れることはできません。

確定拠出年金なら、会社は毎月の掛金を拠出した時点で退職給付のための支払い義務を果たしたことになり、長期の債務を負うことはありません。

メリット2:運用リスクからの解放

確定拠出年金の一番の大きな特徴は、資産の運用についての責任は加入者にあるという点です。つまり、運用でのリスクを負うのは、会社ではなく加入者本人ということになります。

会社側からみれば、従業員に毎月決まった掛金を拠出するだけでよく、確定給付年金のように運用結果に対する責任を負わずにすみます。

メリット3:年金制度導入が容易

確定拠出年金制度は、確定給付年金に比べると、比較的導入し易い制度となっています。労使の合意により定めた規約について国から承認を受け、金融機関などの運営管理機関に委託をすれば開始することができます。掛金を算定するための複雑な数理計算も不要となります。

メリット4:将来の掛金負担が予測しやすい

確定給付年金はその名の通り拠出する掛金額が確定されているため、掛金の追加負担がなく、掛金の負担が予測しやすいのが特徴です。長期的に積み立てが行われるので、知らず知らずのうちに資金を貯めることができます。

メリット5:優遇税制あり

確定拠出年金には3つの優遇税制があります。

1.掛金は非課税

企業の拠出分は全額損金算入され、個人の拠出分は全額所得控除の対象となる(個人型年金も同様)

2.運用益は非課税

特別法人税課税がありますが、2020年3月31日まで凍結中

3.給付時も税制優遇あり

年金給付は公的年金等控除、一時金給付は退職所得控除

メリット6:人材確保・モチベーション向上に有効

確定拠出年金はポータビリティがある(メリット8参照)ため、雇用の流動化に対応しやすく、短期の就労者や中途採用者を多く抱える企業にとって人材確保の強みになります。

また、会社側が掛金を拠出していることを従業員も認知しやすく、社員の自立意識を高め、モチベーションの向上につながります。

加入者個人のメリット

メリット7:運用次第で老後の収入がアップする

確定拠出年金は加入者自身が運用方法を決定し、その成果を享受することができる制度です。もちろんリスクはありますが、好調な状態での運用を維持できれば年金額を増やすことができます。運用リスクが心配な方は、元本保証型のものを選んで運用すれば、貯蓄として利用することもできます。

メリット8:ポータビリティがある

確定拠出年金制度においては、運営管理機関によって加入者ごとの年金資産が個人管理されているため、本人はいつでも残高を把握できます。

この個人別管理資産は会社間で移動(ポータビリティ)できるため、一定の要件を満たせば転職先へ積み立てた資産を移管できます。

メリット9:経済や投資への関心が高まる

確定拠出年金を自ら運用していくためには、ある程度の投資の知識が必要です。企業型年金では会社側から従業員へ投資教育を行う義務があります。

知識を身につけばさらに経済や投資への関心が高まることでしょう。また、他の資産運用にも知識を応用することができます。

メリット10:手厚い給付あり

確定拠出年金の老齢給付金は、原則60歳から年金または一時金で受け取ることができます。現在の公的年金が原則65歳からの支給開始となるため、それまでの生計のつなぎ資金となります。

ほかにも、障害になったときの支給される障害給付金を本人が年金または一時金で受け取ったり、死亡した時に支給される死亡一時金を遺族が受け取ることができるなど、公的年金に上乗せする手厚い給付があります。

国民年金基金・厚生年金基金との違い

確定拠出年金には自営業者を対象とした個人型年金とサラリーマンを対象とした企業型年金がありますが、それに対応する確定給付型の制度である国民年金基金・厚生年金基金との違いについてまとめます。

個人事業主:個人型年金と国民年金基金の違い

毎月の掛金は上限68,000円と同額。ただし、個人型年金は5,000円から1,000円単位で掛金を設定ができるのに対し、国民年金基金は口数単位での変更しかできません。また、個人型年金の掛金の拠出は、好きな時に中断したり再開したりできます。

個人型年金にはポータビリティがあるが、国民年金基金は国民年金の第1号被保険者でなくなると同時に資格を喪失し、積み立ても運用もその後はできません。

給付の受け取り方法については、個人型年金は受給時に年金期間を選べ、一時金で受け取ることも可能ですが、国民年金基金は加入時に終身か有期かの選択をしなければならない。

会社員:企業型年金と厚生年金基金の違い

受給開始年齢の違い。企業型年金は原則60歳から受給できるが、厚生年金基金は老齢厚生年金の受給開始年齢と同時。そのため老齢厚生年金の受給開始が65歳であれば、それまでは厚生年金基金も受給できない。

まとめ

以上、確定拠出年金の加入メリットについて見てきました。厳しい経済情勢の中で従業員を長期安定的に雇用できる企業も少なくなり、働き手側も1つの会社に長く勤続することが難しくなってきています。

こうした労働環境では、退職金や老後の蓄えさえも自分自身の責任で準備する必要があります。確定拠出年金の持つメリットはまさにこうしたニーズに合致したものと言えるでしょう。


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