- 作成日 : 2023年3月10日
労働時間に必要な休憩時間は何分?ルールや労働基準法から解説!
休憩は労働時間6時間で45分、労働時間8時間で1時間が必要です。労働基準法は休憩について勤務時間に対して与えなければならない時間の他にも時間外に労働させる場合は36協定が必要なことを定めています。
また「休憩の3原則」とされる「途中付与・一斉付与・自由利用の原則」も労働基準法の規定によるものです。
目次
休憩時間の定義
休憩時間とは労働時間と対になって用いられる言葉です。一般的に昼食を取るために設けられている昼休みなどを指しますが、労働基準法では、どのように定められているのでしょうか?
休憩の労働基準法における定義と、自主的に取る休憩時間の違いから考えてみましょう。
労働基準法における休憩時間の定義
休憩時間は労働基準法において、使用者が付与しなければならないものと規定されています。
休憩とは、労働からの解放が完全に保障された心身疲労の回復のための時間です。
使用者は労働時間が6時間を超える場合は少なくても45分、8時間を超える場合は少なくても1時間の休憩時間を与えなければならない、と定められています(法34条)。
法律で定められた休憩時間と就業規則上の休憩時間の違い
労働基準法では使用者が労働者に付与すべき休憩の時間について定めていますが、それはあくまでも最低基準であるため、それを上回る休憩時間を付与することはできます。
本来、就業規則で定める所定労働時間が、法定労働時間と同じ8時間であれば、45分の休憩時間で適法な扱いになります。しかし、慣行上、お昼休みとして12時からの1時間とするのが一般的です。
最低基準を超える休憩も労働基準法が定める休憩であるため、休憩である以上、法的な扱いは同じということになります。
労働時間における休憩時間 – 何時間から必要?
労働基準法は一定の労働時間ごとに休憩を与えることを規定しています。また与えるべき休憩時間も定めていますが、何時間の労働に対して、何分間の休憩を労働者に与えなければならないのでしょうか?付与が必要な休憩時間について、あらためて具体例を挙げて確認していきます。
労働時間が6時間を超える場合は休憩時間が必要
労働時間が6時間を超える場合は45分間の休憩が必要です。以下のように休憩時間を与えなければなりません。
所定労働7時間の場合の休憩の与え方
例1)
始業時間 9:00
休憩時間 12:00~12:45(45分間)
終業時間 16:45
例2)
始業時間 8:30
休憩時間 12:30~13:30(1時間)
終業時間 16:30
労働時間が8時間を超える場合は1時間の休憩時間
所定労働時間が8時間を超える場合は1時間の休憩が必要です。以下のように休憩時間を与えなければなりません。
所定労働時間に対する休憩時間の与え方
始業時間 9:00
休憩時間 12:00~13:00(1時間)
終業時間 18:00
労働時間が6時間ちょうどの場合は?
所定労働時間が6時間ちょうどの労働に対しては、休憩を与える必要はありません。しかし1分でも労働時間が6時間を超えた場合には、45分の休憩が必要です。残業によって労働時間が6時間を超える場合は、休憩を付与してから残業をさせる必要があります。
休憩時間の付与における「3原則」とは
労働基準法は休憩時間に関する規定において、3つのルールを定めています。会社はこの「休憩の3原則」に基づいて、労働者に休憩を付与しなければなりません。
途中付与の原則
「途中付与の原則」は、休憩時間は労働時間の途中で付与しなければならない、というルールです。労働基準法第34条第1項において規定されています。
自由利用の原則
「自由利用の原則」は、休憩時間は労働者を自由にさせなければならない、というルールです。労働基準法434条第3項において規定されています。
一斉付与の原則
一斉付与の原則は、休憩時間は労働者に一斉にあたらなければならない、というルールです。労働基準法第34条第2項において規定されています。
原則の適用除外
次の者は休憩の3原則のうち一斉付与の原則の適用が除外されます。
- 労使協定を締結した者
次の内容について、書面で労使協定を締結することが必要です。
休憩を一斉に付与しない労働者の範囲
休憩を一斉付与としない労働者に対する休憩の与え方 - 一定の業種の者(労基法40条・労基則31条)
運輸交通業(労基法別表第1第4号)、商業(同第8号)、金融・広告業(同第9号)、映画・演劇業(同第10号)、通信業(同第11号)、保健衛生業(同第13号)、接客娯楽業(同第14号)及び官公署の事業
休憩時間の原則に違反した場合、罰則はある?
休憩時間の原則に違反した場合、労働基準法に規定している休憩を与えなかったとみなされます。労働基準法第119条第1項の罰則の対象となり、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられます。
会社だけでなく、労働時間の管理者が罰則を受ける場合もあります。
休憩時間における注意点
休憩時間は適切に付与されなければ労働基準法違反として罰則の対象となります。わかりにくかったり混同しやすかったりする点もあるため、注意が必要です。
雇用形態(パート・アルバイト・正社員)により休憩時間付与の違いはある?
休憩時間の付与方法について、パート・アルバイト・正社員といった雇用形態による違いはありません。休憩が必要か不要か、あるいはどのぐらいの長さが必要かは、労働時間のみが関係して定められています。
雇用形態は関係なく、パート・アルバイトであっても6時間を超えて労働させる場合には45分、8時間を超えて労働させる場合には1時間の休憩を与える必要があります。反対に正社員という身分であっても労働時間が6時間に満たなければ休憩を与える必要はありません。
残業時間でも休憩時間は発生する?
残業時間によって休憩時間は発生する場合もあれば、発生しない場合もあります。休憩時間は労働時間が6時間を超えると45分、8時間を超えると1時間が必要になります。
労働時間には所定労働時間と残業時間が含まれ、所定労働時間に残業時間が加わることで労働時間が6時間や8時間を超える場合は45分や1時間の残業が必要になります。途中付与の原則により休憩は労働時間の途中に与えなければなりませんが必ずしも所定労働時間内ある必要はありません。残業時間によって付与義務が発生した休憩を、残業時間中に与えることも認められています。
休憩時間の分割付与は可能?
休憩を分割して与えることを労働基準法は禁止していません。しかし「3分」「5分」などの休憩時間では、本来の休憩の目的である心身疲労の回復ができないため、自由利用の原則に反するという問題が生じる恐れがあります。
労働協約で休憩時間がなしの場合
労働組合がある場合、労使間で労働条件等のルールを労働協約で定めることができます。しかし、労働基準法で定める基準を下回る労働協約の規定は無効です。6時間を超える労働時間に対し45分、8時間を超える労働時間に対し1時間の休憩を付与していない労働協約は無効として扱われます(この場合、労働基準法で定める基準)。
6時間以下の勤務で残業が発生し、結果的に6時間以上働いた場合
残業時間によって労働時間が6時間や8時間を超えた場合には、45分間や1時間の休憩が必要になります。具体例は以下の通りです。
例1)所定労働時間5時間の労働者が2時間残業した場合
所定労働時間と残業時間の合計が7時間となり、労働時間が6時間を超えることから45分間の休憩が必要になります。
例2)所定労働時間7時間30分の労働者が、1時間残業した場合
所定労働時間と残業時間の合計が8時間30分となり、労働時間が8時間を超えることから1時間の休憩が必要になります。所定労働時間に対する休憩時間が45分であった場合は、15分の休憩を追加して与えなければなりません。
休憩時間はいつとっても大丈夫?
一斉付与の原則により休憩は一斉に付与され、原則的には定められた休憩時間を取らなければなりません。やむを得ない事情により一斉付与の休憩時間を取れなかった場合は、管理者の了承を得た時間に休憩を取ることが認められます。
必要な時間や3原則を理解し、正しく休憩を付与しよう
使用者は労働者に対して休憩時間を与えなければならないことは労働基準法で定められています。所定労働時間が6時間を超える場合は45分、8時間を超える場合は1時間の休憩時間が必要です。また休憩時間は労働時間の途中に、一斉に付与され、労働者が自由に利用できるものでなければなりません。
「途中付与・一斉付与・自由利用の原則」は、「休憩の3原則」と呼ばれます。
休憩時間を与えなかったり、時間数が満たなかったり、3原則に違反したりすると、労働基準法違反になります。休憩時間のルールをしっかりと理解し、正しい付与を行いましょう。
よくある質問
休憩時間の定義について教えてください
定義規定はありませんが、法解釈上、休憩とは、労働からの解放が完全に保障された心身疲労の回復のための時間です。詳しくはこちらをご覧ください。
休憩の3原則とはなんですか?
途中付与の原則、一斉付与の原則、自由利用の原則を指します。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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