• 更新日 : 2023年9月12日

休職願(休職届)の書き方や手続き方法、人事労務の対応について解説

家庭の事情や急な病気により会社を休職したことがある方もいることでしょう。

休職とは、個人的な事由で就労が困難になった際に雇用関係を維持したまま一定期間仕事を休むことです。

休職は法的な制度ではなく、取り扱いは会社によって異なります。また、休職時には休職願(休職届)が必要です。当記事では休職の概要と休職願について解説します。

休職願(休職届)とは?

「休職願(休職届)」について解説する前に、「休職」についておさらいしておきましょう。
休職とは、病気やケガ、その他の個人的な事由によって就労が困難になった際に、雇用関係を維持したまま一定期間仕事を休むことです。

休職は法律で定められた制度ではないため、その取り扱いは会社によって異なります。休職制度については、労働条件や職務上の規則を定めた就業規則に規定されるのが一般的です。

欠勤や休業との違いについても解説します。
欠勤は所定の労働日に自己都合で短期間休むことです。
休職は事前の相談に基づき中長期間休みを取ることなので、事前相談の有無や取得期間などが異なります。

一方、休業は会社都合もしくは法的な制度に基づく休みです。休職は法律で定められた制度ではありませんが、休業は法律で定められた制度で、育児休業や介護休業などが該当します。

休職を申請する際には原則、休職願(休職届)の提出が必要です。
休職願とは、休職する際に会社へ提出する書類で、一般的には休職の期間や理由、休職中の連絡先などを記載します。会社によっては休職願の提出が必要ない場合もあるため、就業規則等で確認してください。また、休職しなければならない事態が発生した場合は、すみやかに上司に相談し指示を仰ぎましょう。

主な休職の理由

前章でも解説したとおり、休職とは自己都合によって雇用関係を維持したまま一定期間仕事を休むことです。家庭の事情や傷病などによる休職だけでなく、何らかの事由により起訴された就労が不適切と判断された場合や、公職に就任して就労が困難になった場合も休職に該当します。ここでは、主な休職理由について一つひとつ紹介しましょう。

病気やケガなどの疾病休職

休職で最も多いケースが、病気やケガによる疾病休職です。私傷病休職と呼ばれることもあります。
例えば、うつ病や適応障害などと診断され一定期間の療養が必要になった場合などは、疾病休職を取得することになるでしょう。ここでいう病気やケガは、業務外の私的な傷病が該当します。業務上の事由による傷病は労働災害(労災)となるため、混同しないようにしましょう。なお、労災に該当する場合は、一定期間休業補償給付を受けることができます。

私的な傷病によって疾病休職を取得するには、主治医による診断書が必要です。また、休職期間中はノーワーク・ノーペイの原則に従い賃金が支給されません。ただし、全国健康保険協会(協会けんぽ)または健康保険組合の健康保険に加入している労働者は、一定期間傷病手当金を受け取れる可能性があります。一方、国民健康保険には傷病手当金という制度はないため気をつけましょう。

疾病休職は一定期間の労働を免除し、復職可能かどうかを判断する期間であり、実質的には解雇の猶予期間でもあります。そのため、休職期間満了までに傷病から快復した場合は復職となるものの、依然として就労が難しい場合は労働契約上の「労務の提供」という債務の不履行に該当し、自動的に退職もしくは解雇となるのが一般的です。

自己都合の休職

家庭の事情や個人的な事情で一定期間仕事を休む場合は、自己都合休職に該当します。それ以外では、災害復興支援への参加や社会福祉施設での奉仕活動などによる休職も自己都合休職です。加えて、キャリア形成を目的とした、労働者の希望による留学なども自己都合の休職となります。

自己都合休職を認めるか否かは会社の規定次第ですが、社員の自己研鑽をサポートする休職は会社にとってもメリットとなるため、制度として規定しているケースもあるようです。

事故欠勤休職

事故欠勤休職とは、傷病以外の事由による長期の休職です。具体的には、何らかの容疑がかけられ、逮捕・勾留されたケースなどが事故欠勤休職に該当します。名称に「事故」とついていますが、交通事故などによる休職ではない点に注意しましょう。

交通事故によって負傷した場合は、業務外であれば疾病休職、業務内であれば労災扱いです。なお、規定の休職期間内に就労可能になれば復職となりますが、就労不可能な状態のまま期間満了を迎えた場合は自動的に退職もしくは解雇となります。

起訴休職

刑事事件で起訴され場合は、起訴休職に該当します。広義の意味では自己都合による休職に含まれますが、会社が当該社員の就労は不適切であると判断した場合は起訴休職という扱いです。ただし、社員が起訴されたからといって直ちに起訴休職扱いできる訳ではなく、当該社員が就労することで会社の社会的信用が著しく損なわれる場合や、会社に多大な混乱をもたらす場合などに限られます。

会社が起訴休職と判断するには、社会通念上の相当性が求められるため十分注意しましょう。なお、起訴休職の期間は、就業規則等に定められた一定期間もしくは判決確定までとなります。

公職就任休職

公職に就任した場合は、公職就任休職を取得するのが一般的です。公職とは、地方議員や国会議員、都道府県知事や市町村長などが該当します。これらの公職に就任することで就労が困難になった場合に利用する制度が公職就任休職です。

なお、裁判員制度に基づき裁判員に選出された場合、会社は労働基準法第7条の規定に従い当該社員に特別休暇を付与しなければなりません。有給休暇とするか無給とするかは会社の判断に委ねられていますが、積極的な参加を促すために有給休暇とすることが求められています。

参考:労働基準法(第七条) | e-Gov法令検索

従業員が休職を希望した際の手続き

実際に従業員が休職を希望した場合、どのような手続きを踏めばよいのでしょうか。休職の具体的な手順は、就業規則等の規定に従うのが一般的です。ここでは、休職申請を受けた際の手続きを紹介します。急な休職申請で慌てないよう、手続きの流れをしっかりと把握しておきましょう。

休職願(休職届)の提出を依頼

従業員が休職を希望した場合は、まず就業規則等に定められた休職に関する規定を確認しましょう。休職は法律で定められた制度ではないため、運用方法は会社に一任されています。スムーズに休職手続きを進めるためにも、就業規則等の確認は重要です。

多くの会社では、休職申請の際に休職願(休職届)の提出を必須としています。従業員が休職を希望した際は、まずは休職願の提出を依頼してください。休職願には休職期間や休職の理由、休職中の連絡先などを記載してもらいましょう。休職願の提出を求めるか否かは会社の一存ですが、後々トラブルとならないよう省略せずに明文化しておくことが重要です。

疾病休職の場合は診断書が必要

休職の理由が私傷病による疾病休職に場合は、主治医の診断書もあわせて提出するよう依頼してください。休職診断書は医師が休職の妥当性を証明した書類であるため、従業員を休職させるかどうかを判断する際の重要な判断材料となります。休職願と同様、診断書の提出も会社の規定に依りますが、疾病休職の場合は原則診断書の提出を求めましょう。なお、診断書には通常、療養に必要な期間が記載されるため、これを元に休職期間を定めるのが一般的です。

診断書は即日発行されることもありますが、数週間かかることも珍しくありません。特に、メンタルに関する診断書は発行まで時間がかかる場合もあるため気をつけましょう。加えて、診断書の発行には数千円程度の費用が必要です。休職は原則個人の都合によるものなので、費用は従業員の負担となります。

傷病手当金や労災保険の給付金について対応

業務外の私的な傷病による疾病休職期間中は、賃金は支給されないのが一般的です。ただし、健康保険に加入している労働者は、条件を満たすことで一定期間傷病手当金を受け取ることができます。傷病手当金とは、病気やケガによって就労が困難となり十分な報酬が受けられない場合に、被保険者とその家族の生活を保障するために設けられた制度です。支給期間は、支給を開始した日から通算して1年6ヶ月となっています。

一方、業務上の事由による傷病については、労災として扱われ一定期間休業補償給付を受けることができます。休業補償給付とは、業務上の事由または通勤による傷病等に対して、労働者やその家族のために必要な保険給付を行う制度です。

傷病によって休職もしくは休業する場合は、傷病手当金や休業補償給付を受けられる場合があるため、忘れずに対応するようにしましょう。

参考:傷病手当金 | こんな時に健保 | 全国健康保険協会
参考:労災補償 |厚生労働省

社会保険料や住民税の支払い方法について確認

休職期間中は原則賃金が支給されませんが、社会保険料や住民税は納付しなければなりません。

社会保険料は会社と労働者で半額ずつ負担する労使折半となっているため、従業員負担分を毎月の給与から控除し、会社負担分と合わせて一括で納付することになります。休職したからといって被保険者の資格を喪失したり保険料が免除されたりすることはないため、会社は休職中の従業員からも保険料を徴収しなけなりません。

休職期間中は原則無給で、保険料を控除することができないため、徴収方法については就業規則等に明記しておきましょう。収入が途絶えて保険料の負担が難しいケースも考えられるため、傷病手当金を一旦会社が受け取り、保険料を控除した上で従業員に支給する方法もあります。会社が立て替えて復職後に支払ってもらう方法も考えられますが、休職期間満了とともに退職となり立て替えた保険料を回収できない恐れもあるため、避けた方が無難です。休職に入る前に支払い方法について確認し、毎月確実に支払ってもらいましょう。

住民税については、毎月の給与から天引きされる「特別徴収」が一般的です。社会保険料とあわせて個別に徴収するか、従業員が直接市町村に納税する「普通徴収」に切り替えるかのいずれかの方法で支払うことになります。なお、休職期間中は賃金が支払われないため、所得税の負担は不要です。

社会保険料や住民税の負担は後々トラブルになる可能性があるため、休職申請を受けたら支払い方法について丁寧に説明し、従業員に理解してもらいましょう。

休職中の連絡方法の確認

休職申請を受けたら、休職期間中の連絡方法を確認しておくことも重要です。疾病休職の場合は会社側から頻繁に連絡すると療養に差し障る可能性もあるため、連絡の頻度もあわせて決めておくとよいでしょう。

休職期間中に会社から孤立させないよう、休職者とは適度に連絡を取り合ってください。復職時期のすり合わせや、復職可否を判断する上でも定期的な連絡は必須です。休職中の連絡先については、休職願に記載してもらいましょう。

休職願(休職届)の書き方・ポイント

休職願(休職届)は、休職する際に会社へ提出する書類で、休職期間や理由、休職中の連絡先などを記載するのが一般的です。必ず作成しなければならないものではありませんが、休職期間等を労使双方で確認する重要な届出書なので、なるべく省略せずに明文化するようにしましょう。

休職願(休職届)の書き方・ポイント

休職の事由とあわせて、休職期間についても具体的に記載することが重要です。疾病休職の場合は主治医の診断書を元に、社内規定の範囲内で決定してください。加えて、休職中の連絡先も記載してもらいましょう。前述の通り、復職の時期や復職の可否を判断するには定期的な連絡が必須となります。休職者の負担とならない連絡頻度や連絡方法についても話し合っておくとよいでしょう。

休職願のテンプレート

休職願のテンプレートは、以下リンクからダウンロードできます。

無料で、利用制限なく自由にご利用いただけます。ぜひご活用ください。

休職中の従業員へ会社として必要な対応

従業員が休職した場合、会社は適切にフォローアップしなければなりません。疾病休職の場合は、傷病から快復するまで十分な休養を与えてください。定期的に主治医の所見を確認し、復職に向けた準備を整えておきましょう。医師が復職可能であると判断し、休職者から復職の意向があった場合、会社は復職プランを作成します。いきなり職場復帰させるのではなく、模擬出勤や慣らし出勤を行い、休職者が徐々に復職できるような体制を構築してください。職場復帰後は定期的に面談の場を設け、復職プラン従い無理なく復職できているかを確認しましょう。

万が一の事態に備えて休職願(休職届)について理解しよう

今回は休職願(休職届)について解説しました。休職願とは、従業員が個人的な都合によって休職を希望した場合、会社に提出する届出書です。休職願の様式は会社によってさまざまですが、一般的には休職期間と休職の理由、休職中の連絡先などを記載します。休職期間は社内規定に従い具体的に定めておくことが重要です。また、復職時期や復職可否を判断するためには定期的な連絡が欠かせないため、休職期間中の連絡先も確認しておきましょう。

近年、うつ病をはじめとした精神疾患が原因で就労の継続が困難となるケースが増えています。今後休職を取得する従業員も増えることが予想されるため、万が一の事態に備えて休職願(休職届)について理解しておきましょう。

よくある質問

休職願(休職届)とは何ですか?

従業員が個人的な都合によって休職を希望した場合、会社に提出する届出書です。作成は必須ではありませんが、多くの会社では就業規則等で規定し休職希望者に提出を求めています。詳しくはこちらをご覧ください。

休職願(休職届)の書き方やポイントを教えてください。

一般的に、休職期間と理由、休職中の連絡先などを記載します。休職期間は社内規定に従い具体的に定めておくことが重要です。また、休職中は定期的な連絡が欠かせないため、連絡先も事前に確認しておきましょう。詳しくはこちらをご覧ください。


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