• 更新日 : 2023年8月10日

「メラビアンの法則」とは?好印象な話し方やビジネスの応用例をわかりやすく解説

「メラビアンの法則」とは?好印象な話し方やビジネスの応用例をわかりやすく解説

メラビアンの法則とは、コミュニケーションにおいて、言語情報が7%、聴覚情報が38%、視覚情報が55%影響するという法則です。この法則は1971年にアメリカのアルバート・メラビアンという心理学者が提唱しました。法則の解釈については諸説あるようです。この記事では、メラビアンの法則の概要や効果的な活用方法について解説します。

「メラビアンの法則」とは?

メラビアンの法則(Mehrabian’s rule)とは、アメリカの心理学者メラビアンが提唱した法則です。コミュニケーションにおいて、言語情報が7%、聴覚情報が38%、視覚情報が55%影響するとされています。

3Vの法則(7-38-55のルール)

メラビアンの法則は、「言語情報(Verbal)」「聴覚情報(Vocal)」「視覚情報(Visual)」それぞれの英語の頭文字を取って「3Vの法則」とも呼ばれます。言語情報が7%、聴覚情報が38%、視覚情報が55%という数字から、「7-38-55のルール」と呼ばれることも少なくありません。

メラビアンの法則 3Vの法則(7-38-55のルール)

言語コミュニケーションと非言語コミュニケーション

コミュニケーション方法には、大きく分けて以下の2種類があります。

  • 言語コミュニケーション(バーバルコミュニケーション)
    • 直接的に話したり、書いたりすることで相手に伝える情報
  • 非言語コミュニケーション(ノンバーバルコミュニケーション)
    • 言語に頼らず相手に伝える情報

メラビアンの法則では、言語情報が言語コミュニケーションに、聴覚情報と視覚情報が非言語コミュニケーションに該当します。この法則において、非言語コミュニケーション(聴覚・視覚)が占める割合は93%です。従って、言葉の内容や意味よりも、話し方や見た目など聴覚や視覚から入ってくる情報の方が印象に影響を与えるとされています。

メラビアンの実験

メラビアンは以下の実験を行い、この法則を導き出しました。

実験内容:「好意」「嫌悪」「中立」これら3つのキーワードを用意し、言語情報・聴覚情報・視覚情報が一致しないとき、人はどの情報を重要視するか検証する

この実験では「好意」がイメージできる言葉で「嫌悪感」をイメージする「話し方」「表情」を組み合わせた写真や録音を被験者に示し、最終的にどのイメージが強く残ったかを確認しました。たとえば、賞賛する内容(言語情報)を怒っているような声のトーン(聴覚情報)で話す音声を流し、不機嫌な表情(視覚情報)の写真を提示する、というものです。

結果として、被験者は言語情報・聴覚情報・視覚情報が一致しないとき、言語情報>聴覚情報>視覚情報の順で情報が優先されることが証明されました。

メラビアンの法則の誤解

この法則では、言葉ですべてをうまく伝えられなくても、声のトーンや表情などの非言語コミュニケーションが補う役割を果たすことを示すものでした。しかし、このパーセンテージばかりを注目し、「人は見た目が9割」「第一印象がすべて」「話す内容はほとんど伝わらない」と解釈するのは誤りです。

特定の状況下で行った実験のため、すべてのコミュニケーションに当てはまるわけではありません。実際の会話では、見た目ばかりにとらわれるのではなく、言語コミュニケーションと非言語コミュニケーションの両方を適切に活用することが大切です。

メラビアンの法則でコミュニケーションをアップするコツ

伝えたい気持ちや情報を相手に正しく伝えるために、メラビアンの法則を活用しましょう。ここでは、法則をうまく活用してコミュニケーションをアップするコツを紹介します。

視覚・聴覚・言語の情報を一致させる

意図した情報を正しく相手に伝えるためには、視覚・聴覚・言語それぞれの情報を一致させることがポイントです。たとえば、感謝の気持ちを伝えているのに、無表情だったり、暗い声のトーンだったりすると、相手の誤解を招くかもしれません。嬉しそうな表情や声のトーンで感謝の言葉を伝える、というように非言語コミュニケーションと言語コミュニケーションの一致を意識してみましょう。

見た目の印象や表情、態度を意識しよう

前述のとおり、この法則は外見を重視するものではありません。「見た目」というのは表情や態度、ボディランゲージなど視覚から入ってくる情報のことです。相手が真剣に話しているときは、真剣な表情と態度を心掛けましょう。何かを説明するときは適度にボディランゲージを使うと伝わりやすくなります。また、謝罪のときはきちんとした服装にすることもポイントのひとつです。自分の意図を適切に伝えるためにも、言葉に加えて見た目の印象や表情、態度も意識してみましょう。

メラビアンの法則から相手に伝わりやすい話し方

ここでは、法則に基づいた相手に伝わりやすい話し方を3つ紹介します。
それぞれ意識してコミュニケーションをとってみましょう。

わかりやすい表情を心掛ける

明るい話題には笑顔、謝罪のときは申し訳なさそうな顔、というようにわかりやすい表情を心掛けましょう。無表情や曖昧な表情では、相手に真意を伝えられません。誰が見ても感情を読み取れるような表情だと伝わりやすくなります。表情で表すことが苦手な人は、周囲の人で表情が豊かな人を参考にしてみましょう。最初は難しくても意識しているうちに、会話の内容に合った表情を自然とできるようになります。

抑揚をつけて話す

棒読みだったり、ボソボソした話し方だったりすると、どのような内容であれ相手に伝わりません。相手が話を聞きたくなるようにするためには、良い印象を持ってもらうことが大切です。聴覚情報である「話し方」は印象を左右する要素であり、内容を伝えるうえで重要な役割を果たします。好印象を持ってもらい、内容をしっかり聞いてもらうためには、相手や場所に応じて抑揚をつけて話すと良いでしょう。

言葉選びに気を付ける

何かを伝えたいときは、難しい言葉ではなく誰もが理解できるわかりやすい言葉を選びましょう。専門用語やビジネス用語など日常的にあまり使わない言葉を多用すると、伝えたい内容が思い通りに伝わりません。「みんな知っていて当たり前」と思わず、難しい言葉をかみ砕いてわかりやすく変換して話しましょう。わかりやすい言葉を正しく使い、シンプルに伝えることで、スムーズなコミュニケーションをとりやすくなります。

ビジネスでメラビアンの法則を生かすには?

ここでは、ビジネスでメラビアンの法則を活用する方法・例をケース別に紹介します。営業活動はもちろん、職場でコミュニケーションを図る際にも役立つでしょう。

オンライン会議

オンラインにおけるコミュニケーションでは、対面と比較して会話のテンポやアイコンタクトを取りづらく、情報量が少なくなってしまいます。オンライン会議では、相手の会話をしっかり聞いていることを示すために「うなずき」を意識し、カメラ目線でアイコンタクトをとるようにしましょう。そうすることで、視覚情報を与えられます。また、必要に応じて「……という認識でお間違いないでしょうか?」というように、確かめるような声のトーンを織り交ぜることで、聴覚情報にメリハリがつくでしょう。聴覚情報のメリハリをつけると同時に、自分と相手とで認識違いが生じていないか確認できます。

電話

電話は言語情報と聴覚情報のみのやり取りとなります。わかりやすい言葉を選び、抑揚を大きめにつけて話しましょう。実際に相手の話を聞いている姿を見せられないので、相手の話に適度に相づちを打つこともポイントです。相手には見えていないものの、対面で会話しているかのように表情を変えることで、聴覚情報に自分の気持ちをより反映できます。電話で謝罪するときに、電話越しにお辞儀をしたり、申し訳なさそうな表情をしたりすることも効果的です。

メール

言語情報のみのため、感情を伝えづらいと感じる人も多いでしょう。メールは事務的な連絡や日時を伝えることに向いているコミュニケーションツールです。可能であれば、メールの送信後に電話や対面で話す機会を設けるようにしましょう。電話や対面でメールの内容について直接触れることで誤解を招かなくて済みます。

商談・面談

営業活動における商談や面談では、言語情報・聴覚情報・視覚情報すべてが相手に伝わるので、これら3つの情報が一致するように意識しましょう。商品やサービスの紹介をする際も、わかりやすい言葉や例を使います。早口や大声にならないように注意しながら、抑揚をつけて話すこともポイントです。表情は明るく、適度にボディランゲージを使いましょう。信頼感や好印象を与えるためにも、スーツや髪型に清潔感が感じられるようにすることも必要です。

プレゼンテーション

対面でのプレゼンテーションは、言語・聴覚・視覚すべての情報が相手に伝わるものの、資料を見るときなど聞き手が話し手から目をそらすと視覚情報が伝えられなくなります。その結果、聴覚情報の影響が強まることになるでしょう。そこで、ところどころに「間」を作ることをおすすめします。声に抑揚をつけることも大切ですが、長時間話を聞いていると聞き手は疲れて情報を得ること自体難しくなってしまうのです。言語情報・聴覚情報・視覚情報すべてを意識しつつ、時折「間」を取って聴覚情報にメリハリをつけましょう。

採用面接

面接官は、短時間で応募者の本来の姿を引き出さなければなりません。そこで、応募者の緊張を解き、安心して話せる環境を作るために柔らかい話し方や言葉選びをしましょう。採用面接で注意したいことが、非言語情報のみにとらわれないことです。応募者は明るい表情でハキハキ話すように練習してきています。それよりも、予期せぬ質問を投げかけたときの相手の言語情報で判断するようにしましょう。また、面接官も応募者に見られていることを意識してください。面接官の印象は会社のイメージとして応募者に影響を与えることが多いためです。面接官自身も相手に良い印象を与えられるように心掛けましょう。

メラビアンの法則をビジネスで活用しよう

この記事では、メラビアンの法則を活用した好印象を与える話し方やビジネスの応用例について解説しました。この法則を正しく理解し、ビジネスに活用することで上司や同僚、顧客との信頼関係の構築に有利に働きます。コミュニケーションを図る際は言語・聴覚・視覚これらの情報を一致させて、自分の意図を正確に相手に伝えましょう。


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