• 更新日 : 2023年11月30日

コンティンジェンシーとは?リーダーの特徴やメリット・デメリットを解説

コンティンジェンシーとは?リーダーの特徴やメリット・デメリットを解説

コンティンジェンシー理論は、経営や組織論において重要な概念であり、組織や経営の成功は状況に依存するという考え方です。企業でこの理論を導入することは、現代の不確実性のある環境で競争力を維持し、成果を最大化するために不可欠です。今回は、コンティンジェンシー理論の基本から、導入のメリット・デメリット、活用方法をご紹介します。

コンティンジェンシー理論とは?

まず、コンティンジェンシー理論の意味と概要、活用場面について確認していきましょう。

そもそもコンティンジェンシー理論って何?

コンティンジェンシー理論とは、組織の構造やリーダーシップスタイルを状況に応じて変える考え方を指します。組織の特徴や環境要因によって、最適な組織形態やリーダーシップが異なるため、固定的な考え方を避け、状況に応じた柔軟な対応が重要です。また、コンティンジェンシー理論を発展させたものとして、組織構造と状況だけでなく組織の戦略も重要な要因と捉えるべきだとする状況適合理論があります。

活用する場面は?

コンティンジェンシー理論は、組織改革や新規事業の立ち上げ、M&Aなどの組織再編の際に活用できます。また、業績の低迷時には、環境変化に柔軟に対応できていないことが原因と考え、組織構造や役割を見直す際の指針とすることもできます。コンティンジェンシー理論は、組織と状況のフィットを最大化するための有効なアプローチとして、幅広い場面で活用できる理論だと言えるでしょう。

コンティンジェンシー理論が注目される背景

日本では1990年代以降、コンティンジェンシー理論が注目されるようになりました。その背景には、高度成長期に確立した日本的経営が、バブル崩壊後の低成長期には必ずしも適さなくなったことが挙げられます。また、グローバル化の進展により、多様な環境変化に柔軟に対応する必要性が高まったことも、コンティンジェンシー理論が注目されるようになったことも背景にあると考えられます。

このため、状況に応じた組織変革の重要性を説くコンティンジェンシー理論は、日本企業の硬直した組織とマネジメントを改革するための基盤として注目されるようになりました。

コンティンジェンシー理論を企業に導入するメリット

コンティンジェンシー理論は、企業が変化の激しいビジネス環境に対応し、成果を最大化するための重要なツールになりますが、3つのメリットを挙げることができます。

柔軟性の高い組織がつくれる

コンティンジェンシー理論を企業に導入する最大のメリットは、柔軟性の高い組織を構築できることです。この理論に基づく経営アプローチでは、状況に応じて戦略やプロセスを調整することが奨励され、組織は外部環境の変化や市場の要求に的確に対応し、迅速な適応力を持てるようになるでしょう。この流れによって、競争力を維持し、持続可能な成長を達成するための条件が整います。

従業員の能力を発揮しやすい

コンティンジェンシー理論は、従業員の個々の能力や特性を軸として考えています。この理論を基に動くと、組織は従業員の強みを最大限に活用し、適切な役割や責任を割り当てることができるのです。一方、従業員は自身のスキルや経験を最大限に発揮し、モチベーションを高めることにつながります。結果として、生産性や満足度の向上が期待できるでしょう。

変化対応力があるリーダーを育成できる

コンティンジェンシー理論を活用する企業は、変化に対応できるリーダーを育成する環境を整えられます。リーダーシップスタイルや戦略は状況に合わせて変更されるため、リーダーは柔軟性を発揮し、新たな課題に対処するスキルを養うことが求められます。これにより、組織全体が変化に適応し、持続可能な成功を収める可能性が高まります。

コンティンジェンシー理論を企業に導入するデメリット

コンティンジェンシー理論はメリットがある一方で、導入したことによってデメリットも生じる場合があります。ここでは3つのデメリットを解説します。

組織にノウハウが蓄積しにくい

コンティンジェンシー理論は、状況に応じて戦略やアプローチを調整するアプローチを提唱していますが、そのためには状況ごとに異なるアクションプランを立てることが必要です。アクションプランの柔軟性を必要以上に持たせると、組織内で特定の最善とされる方法や標準化されたプロセスを確立せず、組織にノウハウが蓄積しにくくなります。結果として、組織の学習効果や継続的なプロセス改善が難しくなるでしょう。

従業員への負担が大きくなる

コンティンジェンシー理論に基づいたアプローチは、組織や個々の従業員に対して柔軟性と適応性を必要とします。従業員は常に状況に応じて行動や戦略を変更しなければならず、ストレスや負担がかかることがあります。一部の従業員はこのような環境に対応できない可能性があり、ワークライフバランスの悪化やストレスにつながることが懸念されます。

組織が誤った方向に進む可能性もある

コンティンジェンシー理論は一概に最適な組織形態を示しているわけではないため、組織の状況判断を誤ると非効率的な組織改革を行ってしまうリスクがあります。例えば、組織の環境変化を過大評価し、部門改編などを行った結果、コストや労働力の無駄遣いを招くことも考えられます。したがって、コンティンジェンシー理論を活用する場合は、組織の実情を深く分析し、変革の必要性を十分に検討することが重要です。

コンティンジェンシー理論を活用するには?

コンティンジェンシー理論を導入するメリットとデメリットをみてきましたが、これらを踏まえて企業はどのように活用すればよいのか考えてみましょう。

多様な人材を採用する

コンティンジェンシー理論を活用するためには、多様な人材を採用し、異なる視点やスキルを組織に取り入れることが重要です。異なるバックグラウンドや専門知識を持つ従業員は、さまざまな状況や課題に対処するために貴重な人的資源となります。多様性を尊重し、個人の強みを最大限に活用する環境を整備することが必要です。

グローバル化に対応する

コンティンジェンシー理論は状況に応じたアプローチを提唱していますが、これは地域や国によって異なる状況を考慮する必要があることも意味します。グローバル化が進む現代では、異なる市場や文化に適応する能力が求められます。組織は国際的な視野を持ち、地域ごとに異なるビジネス環境に対応する柔軟性を兼ね備える必要があります。

人事制度や評価制度を見直す

コンティンジェンシー理論を活用するためには、従業員の特性や状況に合わせた人事制度や評価制度を設計し、定期的に見直すことが必要です。例えば、業績評価の基準や報酬制度を状況に合わせて調整することで、従業員のモチベーションを高め、組織の成功に貢献します。柔軟性のある人事制度と評価制度を構築し、適切に運用することが重要です。

組織の成功に寄与するコンティンジェンシー理論を導入しよう!

コンティンジェンシー理論は、組織や経営の成功は状況に依存するというアプローチです。これを導入することで、柔軟性のある組織を構築し、従業員の能力を最大限に発揮させ、変化に適応するリーダーを育成できます。ただし、ノウハウの蓄積が難しく、従業員に負担をかける可能性もあるため、注意が必要です。


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