- 更新日 : 2025年6月23日
生産年齢人口とは?日本の割合や推移、減少している理由を解説!
生産年齢人口とは生産活動を支える15〜64歳の人口層のことです。就業者や完全失業者を指す労働力人口とは異なります。少子高齢化によって日本の生産年齢人口は年々減少を続けており、企業の人手不足を招いている状況です。
本記事では、生産年齢人口の定義や割合と推移、人口減少が起こる理由などを解説します。
目次
生産年齢人口とは?
生産年齢人口とは、国内の生産活動を中心となって支える人口のことです。ここでは、生産年齢人口の定義や、労働力人口との違いについて解説します。
生産年齢人口の定義
生産年齢人口とは、生産活動を支える15〜64歳の人口のことです。労働の中核的な担い手として経済と社会保障を支えていると考えられている層で、実際に生産活動に従事しているかどうかは問いません。
生産年齢人口に対し、14歳以下を年少人口、65歳以上を老年人口と呼び、生産年齢人口に対して「被扶養人口」とも呼ばれます。
生産年齢人口と労働力人口との違い
生産年齢人口とは別に、労働力人口という言葉があります。労働力人口とは労働への意欲や意思・能力を持つ人口層のことです。15歳以上の「就業者」と「完全失業者」の総数であり、年齢の上限はありません。
生産年齢人口は生産能力の高低や労働意欲の有無を問わないのに対し、労働力人口は実際に働いている者、または働きたいという意思を持ち、仕事があればすぐに就業できる者を指します。
生産年齢人口は減少を続けていますが、労働力人口はほぼ横ばいで推移しています。労働力人口が減少しないのは、女性や高齢者の労働参加が進んでいるためです。
生産年齢人口に含まれない65歳以上の人でも働いていたり働く意思を持っていたりすれば、労働力人口に含まれます。少子高齢化で企業の人手不足が深刻化する中で、特に高齢者の労働力人口が増えている状況です。
日本の生産年齢人口の割合や推移は?
日本の生産年齢人口はピークの1995年に総人口の69.5%を占め、その後は少子高齢化により減少に転じています。
2065年には約4,500万人となる見通しで、2020年と比べて約2,900万人の減少になると予想されています。
2065年の見通しでは、老年人口の割合は約4割まで上がり、生産年齢人口の割合は約5割に低下するとされています。老年人口が増える一方で年少人口が減少し、労働力の不足や経済の衰退が懸念されている状況です。生産年齢人口の減少は、社会保障を支える基盤が減ることも意味しています。
参考:令和4年版高齢社会白書|内閣府
参考:人口減少と少子高齢化|内閣府
日本の生産年齢人口が減少している理由は?
日本の生産年齢人口が減少している原因は、出生率の低下と高齢化です。出生率が減少しているのは、主に次の2つの理由が考えられます。
- 女性の社会進出
- 経済の低迷
それぞれ、詳しくみていきましょう。
女性の社会進出
社会進出によって経済的に自立できる女性が増えていることで、結婚の必要性を感じない人も増加しています。その結果、未婚・晩婚が加速し、出生率の低下につながっているのが実情です。出生率の低下は、生産年齢人口の低下に直結する理由です。
男女とも未婚の人は年々増えており、2020年国勢調査における生涯未婚率(50歳時未婚率)は男性28.3%、女性17.8%という数字で、1920年から始まった調査で最高記録となっています。
経済の低迷
日本経済の低迷により将来に不安を感じる人も多く、その結果、結婚を選択をしない人も増えています。結婚はしたくても、経済的な事情でできないという人も少なくありません。
結婚の選択は個人の自由で、あえて未婚を選ぶのも人生の選択肢のひとつです。しかし、結婚を選びたいのに経済的な理由で選択できない状況は問題であるといえるでしょう。
日本の生産年齢人口の減少による問題は?
生産年齢人口の減少により企業の人材不足が深刻化し、労働環境が悪化するなどの問題が起こりやすくなります。社員のモチベーションが下がり、生産性が低下するなどのケースもあるでしょう。
ここでは、日本の生産年齢人口が減少することで起こる問題について解説します。
人手不足による労働環境の悪化
生産年齢人口が減少することで企業の人材獲得競争が激しくなり、人手不足に陥る企業が増えてきます。採用活動がうまくいかず、少ない人材で事業を運営していかなければなりません。
少ない人材で従来と同じかそれ以上の生産性を確保するためには、システムの導入などで業務の効率化を図る必要があります。それができなければ、社員にこれまで以上の労働を求める必要があるでしょう。
残業など時間外労働の増加や有給休暇取得の減少など、労働環境の悪化が懸念されます。社員が離職する原因にもなり、さらに人手不足に陥るという悪循環を招くことになります。離職率の高い企業は、求職者から敬遠されることにもなるでしょう。
生産性の低下
労働環境の悪化は、社員の労働意欲やモチベーションの低下を招きます。働く意欲を失うことで仕事のクオリティも下がり、商品・サービスの品質低下につながるでしょう。顧客満足度が下がり、企業イメージや企業価値の低下にもつながります。
人手不足によって書類作成や問い合わせ対応など補助的な業務が増えると、社員は利益に直接つながるコア業務に専念できなくなる可能性が高いです。その結果、生産性が下がり、業績の低迷につながるでしょう。優秀な人材が能力を発揮できず、仕事へのやりがいを失うことにもなります。
このような状況を避けるには、従来と同じ労働量、もしくは労働量を削減しながらも、より高い成果を生み出せるよう業務の効率化を図ることが欠かせません。
生産年齢人口を正しく理解しよう
生産年齢人口は、15歳以上65歳未満の生産活動を支える人口層を指します。少子高齢化により生産年齢人口はこれからも減少していくと予測され、企業の人手不足はさらに進むと考えられるでしょう。
人手不足により、労働環境の悪化や生産性の低下などが懸念されています。企業の成長を推進するためには、業務の効率化など人手不足を解消するための対策が求め
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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