- 更新日 : 2026年6月10日
住民税の扶養控除とは?扶養控除の有無による住民税額を比較
親族の年齢や同居の状況に応じて、翌年度の税額が段階的に軽くなります。
- 16歳以上かつ前年所得58万円以下(給与収入のみなら123万円以下)の親族が対象になる
- 控除額は一般33万円から特定扶養45万円まで年齢区分で異なる
- 給与収入のみなら令和9年度以後は年収136万円以下まで対象が広がる
自身に扶養している親族がいる場合、扶養控除を受けることで、住民税の負担がおさえられます。
控除額は扶養親族の年齢や同居の有無により異なるため、自身に当てはまるケースの控除額を把握しておきましょう。
※本記事の内容は2025年12月公表の税制改正大綱をもとにしています。税制改正大綱は自民党が毎年12月頃に発表する改正のドラフトであり、国会での審議を経て翌年春頃に法律として制定されます。最終的に制定された法律の内容と異なる場合があります。
目次
住民税の扶養控除とは?
住民税の扶養控除とは、納税者本人に扶養している親族がいる場合に受けられる所得控除です。要件を満たす扶養親族がいれば課税対象となる所得金額が減り、翌年度の住民税をおさえられます。
令和8年度税制改正大綱では、扶養親族として認定される際の所得要件が引き上げられます。本章では、受けられる条件と対象となる親族の年齢区分ごとの控除額を解説します。
扶養控除を受けられる6つの条件
住民税の扶養控除は、納税者に特定の扶養親族がいる場合に、所得額から一定額を控除できる制度です。控除額は、扶養親族の年齢や同居の有無により異なります。
扶養控除を受ければ所得から一定金額が控除され、住民税の額が小さくなる可能性があるため、家計の負担軽減が期待できます。
扶養控除を受けるには、以下に当てはまる扶養親族がいることが条件です。
- 本人と生計を一にする親族であること
- 配偶者以外の親族(6親等内の血族および3親等内の姻族)であること
- 16歳以上であること
- 親族の前年度の合計所得が58万円以下であること
- 青色事業専従者給与の支払いを受けていないこと
- 事業専従者に該当しないこと
扶養親族の所得要件は、給与収入のみの場合、現在の「123万円以下」から、令和9年度分以後の個人住民税では「136万円以下」に引き上げられる見込みです。
なお、ここでいう「扶養」は税法上の扶養の話です。社会保険上の扶養(いわゆる130万円の壁など)は判定基準が異なるため、混同しないよう注意しましょう。
年齢区分ごとに控除額が異なる
住民税の扶養控除額は、扶養している親族の年齢と同居の有無によって変わります。
| 一般扶養親族(16歳~18歳、23歳~69歳) | 33万円 |
|---|---|
| 特定扶養親族(19歳~22歳) | 45万円 |
| 老人扶養親族(70歳以上) | ・同居老親等以外:38万円 ・同居老親等:45万円 |
※16歳未満は扶養控除の対象となりません(児童手当の対象となるため)。
また同居老親等とは、当年の12月31日時点で年齢が70歳以上の方、かつ本人の配偶者または直系尊属で、本人や配偶者と同居している人をいいます。
なお、19歳以上23歳未満の特定扶養親族については、子の合計所得金額が58万円を超えた場合でも、令和7年度税制改正で新設された「特定親族特別控除」により段階的な控除を受けられる場合があります(個人住民税は令和8年度分以後に適用)。
子のアルバイト収入が増えたときに確認したい制度です。
所得税の扶養控除よりも控除額が小さい
住民税の扶養控除額は、同じ区分の所得税の扶養控除額よりもいずれも少額に設定されています。住民税は、日々の暮らしに密着した行政サービスの財源であるため、なるべく多くの住民に広く負担してもらう、という考え方があるためです。所得税と住民税では基礎控除や他の控除も金額が異なるため、扶養控除の額だけで全体の税負担を判断しないように注意しましょう。
所得税と住民税で扶養控除額を比較すると、次のとおりです。
所得税と住民税の扶養控除額の比較
| 区分 | 所得税の控除額 | 住民税の控除額 |
|---|---|---|
| 一般の扶養親族(16歳〜18歳、23歳〜69歳) | 38万円 | 33万円 |
| 特定扶養親族(19歳〜22歳) | 63万円 | 45万円 |
| 老人扶養親族(70歳以上/同居老親等以外) | 48万円 | 38万円 |
| 老人扶養親族(70歳以上/同居老親等) | 58万円 | 45万円 |
扶養親族の所得要件(合計所得金額58万円以下/令和9年度分以後の個人住民税では62万円以下に引き上げ予定)は、所得税と住民税で共通です。ただし、所得税は令和8年分以後、個人住民税は令和9年度分以後に新しい要件が適用されるため、改正の適用開始時期にずれがある点に注意しましょう。
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扶養控除を受けたら住民税額が下がる理由は?
扶養控除を受けることで、住民税額がおさえられると聞いた人もいるでしょう。
扶養控除を受けると、所得から一定額が差し引かれるため、住民税の計算の基礎となる課税所得金額が減り、結果として住民税額がおさえられます。
ここでは、住民税の仕組みとあわせて、扶養控除が住民税額に与える影響を具体的な計算例で確認します。
住民税の金額は課税所得金額で決まるため
住民税は、前年の課税所得金額に税率をかけて税額控除額を差し引いた「所得割額」と、一定額を均等に負担する「均等割額」の合計で計算されます。
所得割の税率は、市町村民税が6%、道府県民税が4%で合計10%です(政令指定都市では道府県民税が2%、市民税が8%)。
均等割額は、道府県民税1,000円+市町村民税3,000円の合計4,000円が一般的で、これに森林環境税(国税)1,000円が加算されて徴収されます。
扶養控除によって所得から一定額が控除されれば、課税所得金額が小さくなり、所得割額がおさえられる仕組みです。
扶養控除ありなしで住民税額を比較
扶養控除を受ける場合と受けない場合で、住民税にどれだけの差が生じるかを以下の条件で比較します。
- 給与年収が300万円(額面)
- 基礎控除・給与所得控除・扶養控除以外の控除は考慮しない
- 令和8年度分の住民税(給与所得控除の最低保障額74万円、住民税の基礎控除43万円を適用)
扶養控除を受けない場合
300万円 − 98万円(給与所得控除額)※− 43万円(基礎控除額)= 159万円(課税所得金額)
159万円 × 10%(税率)= 15万9,000円(所得割額)
15万9,000円 + 4,000円(均等割)+ 1,000円(森林環境税)= 16万4,000円
一般の扶養親族1人(33万円)の扶養控除を受ける場合
159万円 − 33万円(扶養控除額)= 126万円(課税所得金額)
126万円 × 10%(税率)= 12万6,000円(所得割額)
12万6,000円 + 4,000円(均等割)+ 1,000円(森林環境税)= 13万1,000円
※給与収入額220万円超~360万円以下 給与所得控除額は「収入金額×30%+8万円」で計 算されるため 300万円×30%+8万円=98万円となります。
双方の差額は3万3,000円です。扶養控除を受けることで住民税の負担を抑えられることがわかります。
なお、令和9年度分・令和10年度分の個人住民税では、給与所得控除の最低保障額が74万円に引き上げられる特例が講じられる予定のため、課税所得金額はさらに小さくなる見込みです。これは、住民税と所得税の課税タイミングが異なるため、住民税が1年遅れて税制改正が適用されることによります。
住民税の扶養控除を受ける方法は?
扶養控除の要件に当てはまる場合は、会社員であれば年末調整、自営業者等であれば確定申告で申告します。
年末調整の場合は、勤務先から配布される「給与所得者の扶養親族申告書」に必要事項を記入し、期限日までに提出します。申告書には16歳未満の扶養親族についても記載する欄があるため、もれなく記載しましょう。
確定申告の場合は、確定申告書の「配偶者や親族に関する事項」、「住民税に関する事項」に必要な情報を記入し、税務署に提出します。
年末調整により住民税額が決まる仕組みについて、以下の記事で詳しく解説していますので、自身の住民税額が知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
あわせて知っておきたい6つの所得控除
住民税額を下げるため、扶養控除のほかにも複数の所得控除があり、条件に該当していれば受けられます。扶養している親族がおり扶養控除が受けられる場合、あわせて知っておくと便利な所得控除の種類を6つ紹介します。
1.配偶者控除
住民税の配偶者控除は、納税者本人に配偶者がいる場合に受けられる所得控除です。配偶者控除を受けるには、配偶者が以下に当てはまっている必要があります。
- 民法の規定による配偶者であること(内縁関係の人は該当しない)
- 納税者と同一生計であること
- 配偶者の前年度の給与所得が58万円以下であること(給与収入のみなら123万円以下)
※令和9年度分以後の個人住民税では62万円以下/給与収入のみなら136万円以下に引き上げ予定 - 本人の前年度の合計所得金額が1,000万円以下であること
上記の配偶者がいる場合、納税者本人に対して以下の所得控除が適用されます。
| 本人の合計所得金額 | 一般の控除対象配偶者 | 老人控除対象配偶者 |
|---|---|---|
| 900万円以下 | 33万円 | 38万円 |
| 900万円超950万円以下 | 22万円 | 26万円 |
| 950万円超1,000万円以下 | 11万円 | 13万円 |
| 1,000万円超 | 適用なし | 適用なし |
老人控除対象配偶者とは、当年の12月31日時点で70歳以上の配偶者をいいます。配偶者が70歳未満か70歳以上かで控除額が異なるため注意が必要です。
2.ひとり親控除・寡婦控除
ひとり親控除とは、シングルマザーやシングルファザーの場合に受けられる控除で、令和3年に新設されました。事実婚状態を除くすべてのひとり親家庭が対象で、住民税では30万円の控除が受けられます。
令和8年度税制改正大綱では、この住民税のひとり親控除額を30万円から33万円に引き上げることが盛り込まれました。適用は令和10年度分以後の個人住民税からで、令和9年度分までは現行の30万円が適用されます。また、ひとり親本人の合計所得金額の上限が500万円以下から、1000万円以下に大幅に引き上げられます。
一方で寡婦控除は、以下に当てはまる女性を対象としており、26万円の控除が受けられます。なお、ひとり親控除と異なり、寡婦控除額は据え置かれています。
- 夫と死別または生死不明、離婚したあと再婚していない
- 子以外の扶養親族がいる
- 前年度の合計所得金額が500万円以下である
ひとり親控除と寡婦控除は内容が似ていますが、ひとり親控除は性別問わず受けられます。また双方の控除の併用はできません。
ただし配偶者が死亡した年に限り、配偶者控除とひとり親控除もしくは寡婦控除の併用が可能です。
3.障がい者控除
障がい者控除は、納税者自身またはその配偶者、扶養親族が障がい者である場合に適用される所得控除です。
また障がい者控除は、扶養控除の適用がない16歳未満の子を扶養している場合においても適用されます。
障がい者控除には3つの区分があり、それぞれの控除額は以下のとおりです。
- 障がい者:26万円
- 特別障がい者:30万円
- 同居特別障がい者:53万円
特別障がい者には重度の障がいをもつ方が含まれ、同居特別障がい者は、生計を一にする配偶者や扶養家族の中で、特別障がい者に該当する方を指します。
4.医療費控除
医療費控除とは、1年間に支払った医療費の合計金額をもとに控除金額が決まる所得控除です。最高で200万円の医療費控除が受けられ、控除額は以下の式で算出します。
ただし、以下の費用は医療費として認められないため注意が必要です。
- 医師等への謝礼
- 親族へ支払った療養上の世話費
- 病気予防や健康増進のための医薬品購入費(サプリメント含む)
- 健康診断や人間ドックの費用
- 通院のための自家用車のガソリン代
医療費控除を利用して住民税を安くする方法について、以下の記事で詳しく解説しています。医療費控除の利用を検討している方は、あわせてお読みください。
5.生命保険料控除
生命保険料控除は、納税者が支払った一般生命保険料・介護医療保険料・個人年金保険料に応じて、一定金額の所得控除が受けられる制度です。
支払った保険料の合計金額に応じて、生命保険料の3つの区分それぞれについて28,000円を上限とした控除が受けられます。
平成24年1月1日以降に締結した保険契約等(新契約)の場合は、以下の式で控除額を算出します。
| 【新契約】年間で支払った保険料 | 控除額 |
|---|---|
| 12,000円以下 | 全額 |
| 12,000円超え 32,000円以下 | 支払保険料等×1/2+6,000円 |
| 32,000円超え 56,000円以下 | 支払保険料等×1/4+14,000円 |
| 56,000円超え | 28,000円 |
一方で、平成23年12月31日以前に締結した保険契約等(旧契約)の場合は、以下の式で控除額を算出します
| 【旧契約】年間で支払った保険料 | 控除額 |
|---|---|
| 15,000円以下 | 全額 |
| 15,000円超え 40,000円以下 | 支払保険料等×1/2+7,500円 |
| 40,000円超え 70,000円以下 | 支払保険料等×1/4+17,500円 |
| 70,000円超え | 35,000円 |
旧契約の一般生命保険料控除と個人年金保険料控除は、ともに35,000円が控除額の上限です。
生命保険料控除を利用する方法や申請方法について、以下の記事で詳しく解説しています。生命保険に加入しており、控除の利用を検討されている方は、あわせてお読みください。
6.地震保険料控除
地震保険料控除とは、損害保険契約等の地震等損害部分において、保険料または掛金を支払った場合、支払った金額にもとづき控除が受けられる制度です。
支払った金額別における控除額は以下のとおりです。
| 支払った保険料の金額 | 控除額 |
|---|---|
| 50,000円以下 | 支払金額の2分の1 |
| 50,000円超え | 25,000円 |
平成18年の税制改正により、平成19年分から損害保険料控除が廃止されました。ただし経過措置として、以下の要件を満たす一定の長期損害保険契約等の損害保険料についても、地震保険料控除の対象です。
- 平成18年12月31日までに締結した契約(保険期間または共済期間の始期が平成19年1月1日以後のものは除く)
- 満期返戻金等のあるもので、保険期間または共済期間が10年以上の契約
- 平成19年1月1日以後に契約した損害保険契約等の変更をしていないもの
| 支払った保険料の金額 | 控除額 |
|---|---|
| 5,000円以下 | 全額 |
| 5,000円超え15,000円以下 | 支払金額の1/2+ 2,500円 |
| 15,000円超え | 10,000円 |
夫婦共有名義の建物に対して加入している地震保険でも、控除を受けられるのは保険契約者の一人のみです。また控除を受けるためには地震保険料控除証明書の提出が必要であり、毎年郵送で送られてくるため、無くさないようにしましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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