• 作成日 : 2015年9月15日

マイナンバーの利用目的に関するルール3選

マイナンバーには利用の制限があります。マイナンバーを利用できる事務作業はマイナンバー法による原則的な利用目的として定められています。
具体的にどのような利用目的に限定されているのかを確認しましょう。

利用目的は「税と社会保険と防災」に関することに限定されています

個人情報保護法の利用目的は「できる限り特定」するものでしたが(個人情報保護法第15条利用目的の特定)、マイナンバー法では利用範囲(番号法第9条)や特定個人情報の提供制限(番号法第19条)として特定個人情報が「社会保障、税、防災」に関する特定事務に限られています。
たとえば源泉徴収を義務付けられている事業者が源泉徴収票を作成するために従業員に対して個人番号の提供を求めることができます(番号法第14条第1項)。また従業員から提供を受けた個人番号をデータベース化するなど、他の目的に利用することは禁止されています(番号法第20条)。したがって個人番号を社員番号として管理するなどの行為は認められません
また個人番号を分解して別の数字に置き換えたとしても、元の番号に復元できる可能性があるため、利用目的以外の用途に供することはできません。ただし、個人番号が記載された書類であったとしても個人番号が判読不能な状態であれば、個人情報を含まないと解釈することができるため、個人情報保護法の利用目的の範囲内で利用することが可能となっています。

利用目的を本人に通知し、マイナンバーの収集に努めなければなりません

行政機関や事業者は利用目的の範囲を特定し本人に対して個人番号の提供を求めることができますが、必ず利用目的を通知しなければなりません(個人情報第18条)。
個人番号を含む特定個人情報の利用目的は、個人情報保護法の利用目的と区別せずに包括的に明示することも可能ですが、利用目的の範囲外まで含めないように気を付けなければなりません。
また利用目的に関連した具体的な提出先を明示したり、本人の同意を得たりする必要はありません。利用目的の通知方法は、就業規則に記載する方法や、利用目的を記載した書類を配布したり掲示したりする方法が挙げられます。
ただし個人情報保護法における個人情報取扱事業者にあたらない場合は、個人情報保護法が適用されないため利用目的の通知義務(個人情報保護法第18条)は課されませんが、利用目的を特定する義務からは免れることはできません。

利用目的が果たされた時点で特定個人情報を廃棄しなければなりません

個人番号を含む特定個人情報は、利用目的が果たされた時点で適切な方法で廃棄する必要があります。
しかし、その年の特定個人情報関係事務手続きが終了したとしても、翌年度以降も継続して利用することがあらかじめわかっている場合は、保管し続けることができます。つまり、従業員に関する特定個人情報を一度収集したら退職したり個人番号変更が行われたりしない限り、廃棄する必要はありません
また、特定個人情報関係事務手続きにおける利用目的を包括的に明示する場合において一部の利用目的が果たされたとしても、特定個人情報を保管し続けることができます。
さらに、下記のようなケースにおいても廃棄せずに保管することが可能となります。

・退職した従業員に対して、退職後も繰延分の給与や賞与を支払う必要がある場合
・雇用契約が終了し特定個人情報の利用目的が果たされたとしても、関連法令によって一定期間の保存義務がある場合
・復職を前提とした休職中の社員がいる場合
・個人番号を保有している本人が死亡したとしても、利用目的が果たされていない場合

まとめ

個人情報保護法における利用目的の内容は、具体的にどのように利用されるのか事業者ごとに定めるものでしたが、マイナンバーにおける利用目的は税、社会保障、防災分野に特定されているものであるため、マイナンバーを社員番号に流用するといった利用方法は認められません。
またマイナンバーの提供を要求する場合、利用目的を本人に通知したうえで収集する必要があり、従業員だけでなく取引先へも明示する必要があります。廃棄の際は雇用契約の終了や取引終結によって個人番号の利用目的が果たされた段階で、適切に廃棄する必要があります。
利用目的に関するルールを正しく理解することで、マイナンバーを適切に取り扱うことができるのです。
photo by DonkeyHotey


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