- 更新日 : 2024年8月26日
5月病とは?症状や対策、治し方を解説
5月病とは、新年度になり環境が変わったことにより、環境に適応しきれないなどの原因で、心身の不調に悩まされる症状です。5月病を抑制するためには、日常生活における心がけや工夫が大切です。
また、5月病の裏には適応障害やうつ病などが潜んでいることもあるため、症状に悩まされている場合は医療機関へ相談しなくてはいけません。本記事では、5月病がどのようなものかを理解するため、症状や対策、治し方を解説します。
目次
5月病とは?
5月病とは、新しく学生や社会人になった人などが新しい環境に適応できないなどの原因により、無気力になったり眠れなくなったりする状態を指します。慣れない環境により、本人も知らず知らずのうちにストレスを溜め込んでしまうことなどによって発生するといわれています。
場合によっては、適応障害やうつ病へ発展してしまうケースもあるため、周囲の人たちの気づきや、自覚した場合の医療機関への相談が重要です。
5月病は病名として存在する?
厳密にいえば、5月病という病名は存在しません。いわゆる俗称であり、比較的症状が近い病気として「適応障害」などが挙げられます。
適応障害とは、特定の事象がストレスとなって起きる精神的な病気の1つで、心理面や行動面にさまざまな影響を及ぼします。例えば、不安や憂鬱な気分になりやすくなることや、涙もろくなってしまうといった症状です。
どのような事象がストレスとなるかは人によって異なります。例えば、それまで学生だった人が新たに社会人になる場合、環境の変化が大きくストレスを抱え込みやすくなるでしょう。そのため、新年度から一定期間が経過した5月に、このような症状が出る人が多いといわれています。
なお適応障害は、ストレスとなる状況や出来事が明確であれば、その原因から離れることにより症状が次第に改善される可能性は高いです。一方、ストレスの原因がなかなか取り除けない場合は、症状が慢性化することもあるため注意しなくてはいけません。
5月病の症状
5月病の症状は人によって多種多様です。また5月病の症状の中には、不調を見逃してしまうものもあるため注意しましょう。自分では症状に気付けないこともあるため、5月病の可能性を頭に入れながら、周囲の人が注意を払うことも重要です。ここでは、おもな5月病の症状を紹介します。
無気力になる
5月病の代表的な症状の1つとして、無気力が挙げられます。この状態になると、具体的には以下のような心理状態に悩まされることになります。
- 今まで何気なくできていたことができなくなる
- それまで夢中になっていた趣味や遊びに興味がなくなる
過度なストレスや疲労、望ましくない状況に起因して、脳内の神経伝達物質のバランスが乱れることなどが原因として考えられます。
不安感が強くなる
前述の無気力状態とあわせて、5月病の代表的な症状として挙げられるのが「強まる不安感」です。これは、5月病を疑われる社員が診断されることのある適応障害にも見られる症状です。
常に漠然とした不安がある場合や、落ち着かない心理状態に陥った場合は、5月病の可能性が高いかもしれません。
胃痛・食欲不振・頭痛・めまい・不眠
5月病では心理面における症状のほか、胃痛、食欲不振、頭痛、めまいや不眠などの身体面の症状が現れることもあります。また、自律神経失調症と診断されることも多いです。自律神経が乱れると、胃などの臓器の不調や頭痛などが引き起こされます。
5月病になる原因
5月病になる代表的な原因として、ストレス過多が挙げられます。それ以外では環境の変化によって引き起こされるものが多いようです。ここでは、5月病になる原因を確認しておきましょう。
ストレス過多
5月病のおもな原因は、ストレス過多です。例えば人が新しい環境に身を置くと、生活リズムの変化や、新しい環境の人間関係などにより、少なからずストレスがかかります。
また中には、希望を持って新年度を迎えたものの「思っていたように仕事を覚えられない」「入社前のイメージと違う」など、理想と現実のギャップによって精神に負荷がかかる場合もあるでしょう。このような原因が積み重なることで、5月病へつながる場合があります。
進学・就職・転居などの環境変化
環境の変化は、人によっては大きなストレスとなります。進学・就職やそれに伴う転居などは、大きく環境が変わるタイミングです。例えば、今まで学生だった人が新社会人となると、生活リズムも大きく変化するでしょう。
また進学・就職を機会に、新しい人間関係を構築する必要もあります。人によっては、学校のクラスや職場にうまく馴染めないと感じる場合もあるでしょう。
5月病を防止するためには?
5月病を防止するためには、大きくストレスの発散と生活リズムの維持という2つの手段が有効です。新年度から環境が大きく変化する場合、ストレスを発散する機会が減少してしまったり、生活リズムが乱れたりすることも少なくありません。普段の心がけにより、それらを改善できるため、以下の取り組みを実施してみるとよいでしょう。
趣味があれば継続して行う
5月病の対策として有効なものが、趣味の活動です。趣味の時間は人が幸せを感じられる時間の1つといわれており、継続することによって5月病の防止に効果があると考えられています。そのため趣味を持つ人は、就職や入学などで環境が変わってしまったとしても、継続するよう努めてみましょう。
趣味は登山やテニスのような運動系だけでなく、読書や料理のようなインドア系の趣味でも構いません。大事なのは趣味に集中する時間を作ってストレスを発散すること、趣味を続けて自己実現感や達成感を得ることです。
適度な運動をする
適度な運動をすることも、5月病の予防には有効です。仕事や学校で疲れているという理由により運動不足に陥った場合、ストレスや睡眠不足につながる恐れがあります。
逆に、適度な運動を行うことにより、ストレスを発散することが可能です。運動(特に有酸素運動)中にはエンドルフィンという脳内物質が多く分泌され、運動した後の爽快感やストレスの解消に大きく貢献することが報告されています。
PCやスマホなど刺激になるものを遠ざける
就寝前にPCやスマホなどの刺激物を見ることは、5月病防止の観点からは避けるべきです。PCやスマホの光を見ることにより、体内のリズムが乱れることや、睡眠の質が低下することもあります。
体内のリズムが乱れたり睡眠の質が低下したりすると、体調不良の原因につながる可能性が高いです。そのため、寝る前はPC・スマホなどの刺激物に触れることを避けて、規則正しい生活を心がけましょう。
似たような環境の人とつながる
似たような環境の人たちとつながってお互いのストレスを共有することは、5月病の防止に有効だといわれています。例えば、互いに悩みや愚痴を言い合うことにより、ストレスの軽減につなげることが可能です。
仕事に限らず、不平不満を誰にも打ち明けられないのは大きなストレスだといえます。また、悩みや愚痴を話すことにより、自分自身の気持ちの整理にもつながることもメリットです。似た環境にいる人に自分のストレスを打ち明け、共感してもらうことにより、ストレスを減少させる効果が期待できるでしょう。
5月病の治し方 – 酷い場合には医療機関へ相談
以下の状況の場合、早めに医療機関を受診し、専門的な治療やケアを受けることが賢明です。医療機関では、適切な診断と治療を提供し、必要に応じてカウンセリングや薬物療法を行います。
- 5月病の症状(やる気が出ない、疲れが抜けない、不安を感じるなど)が2週間以上続く場合
- 自分で対処しても症状が改善しない、または悪化する場合
- 5月病が原因で職場や学校に行けなくなる、またはうつ病になる可能性がある場合
5月病はストレスが原因で起こる心の病気であり、自己管理だけでなく、適切な医療的な介入が必要な場合もあります。自分1人で抱え込まず、必要なときには専門家の助けを借りることも大切です。
軽く考えず、できるだけ早い対応を
今回は5月病の症状やその原因、防止法などについて解説しました。一見すると症状が分かりづらく、本人も含めて見逃してしまうことの多い5月病ですが、症状が長引くと適応障害やうつ病など、重大な症状にもつながりかねません。
家族はもちろん、上司や同僚、友人など周囲の人の気づきも重要なため、軽く考えず、心配な場合はできる限り早く医療機関に相談し対応しましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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