• 更新日 : 2023年10月20日

メンバーシップとは?意味や使い方・雇用形態を解説!

メンバーシップとは?意味や使い方・雇用形態を解説!

メンバーシップとは、各メンバーが役割を果たすことで組織全体に貢献することを意味する用語です。例えば、看護の分野ではチームで目標を共有しメンバーが協力して患者に最善の看護を提供することをいいます。人事においては、人材を採用した後に仕事を割り振るメンバーシップ雇用も一般的です。当記事ではメンバーシップについて解説します。

メンバーシップとは?

ビジネスにおけるメンバーシップとは、メンバー一人ひとりが与えられた役割を果たすことで組織全体に貢献すること、およびその能力を意味するビジネス用語です。看護や人事の分野で頻繁に用いられるメンバーシップですが、リーダーシップやフォロワーシップとは何が異なるのでしょうか。ここでは、それらの違いについて解説します。

リーダーシップとの違い

リーダーシップは日本語で統率力や指導力を意味し、一定の目的やゴールに向けて目標や戦略を掲げ、周囲を導く力を指します。個人やチームに対しゴールに向けた行動を促す力、と言い換えることも可能です。

一方、メンバーシップは手段や戦術を考え実行する力を意味します。目的やゴールに向けて自らの役割を考え実行するメンバーシップに対し、目標や戦略を掲げて周囲を導くリーダーシップと区別することが可能です。

フォロワーシップとの違い

フォロワーシップとは、組織の成果を最大化するため、メンバーの立場からリーダーやチームに働きかけ支援することです。リーダーやチームの意思決定や行動に誤りを感じた場合、役職や立場に関わらず健全な批判を行ったり、新たな提言を行ったりします。

自律的かつ主体的な働きかけで組織を支援するフォロワーシップに対し、一人ひとりが与えられた役割を果たすことで組織を支援するメンバーシップと区別することが可能です。

メンバーシップという言葉が使われるケース

現在では、さまざまなシーンでメンバーシップという言葉が多く使われるようになりました。ここでは、メンバーシップという言葉が使われるケースについて紹介します。

商品・サービスにおける会員の意味

商品やサービスにおいては、会員の意味でメンバーシップという言葉が使われます。例えば、動画共有サイトにおいては、チャンネルのメンバーシップになることで、限定の動画や生放送などを閲覧することが可能です。ソーシャルネットワークサービス(SNS)などにおいては、限定コンテンツやメンバーシップ専用スタンプなどを利用できます。

インターネット上以外では、街中の店舗でもメンバーシップを募って独自のポイントサービスなどを展開するケースも一般的です。

看護

看護の分野においても、メンバーシップという言葉はよく用いられる用語です。チームで目標を共有し、各メンバーが協力し合って患者に対して効果的な医療を提供することをメンバーシップといいます。

日本看護協会が定める「看護師のクリニカルラダー(JNAラダー)」においては、あらゆる場の全ての看護師に共通する看護実践能力の一つに「協働する力」が定められており、適切な医療を提供するためにはメンバーシップを高める取り組みが必要です。

看護師の仕事は役割分担や引き継ぎがあり一人では完結しないため、どのような看護方式でもメンバーシップは欠かせません。新人看護師は、看護師長や先輩看護師から助言を得ながらチーム内での役割を認識することが重要です。

参考:教育計画|研修ポータルサイト|日本看護協会

ビジネス

ビジネスの場面でメンバーシップという言葉が使われる場合は、組織に属する一人ひとりがそれぞれに与えられた役割を果たして組織全体に貢献すること、またはその能力を指します。

メンバーシップを高めることで与えられた役割への理解が深まり、自身の役割を踏まえて自発的に行動することや、必要に応じて他のメンバーに協力を要請することも可能です。メンバーシップを高めることによって、同じ目標を共有する組織の一体感が高まり、メンバー一人ひとりのモチベーションがアップすること、そして業績アップも期待できることなどがメリットとして挙げられます。

メンバーシップ雇用とはいったいどういうもの?

人事の分野では、メンバーシップ雇用という採用手法も広く採用されています。メンバーシップ雇用とは、あらかじめ人材を採用しておいて、後から仕事や役割を割り振る採用手法です。ここでは、メンバーシップ雇用とジョブ型雇用との違いを解説します。

ジョブ型雇用と比較した時

ジョブ型雇用とは、職務内容や就業場所、就業時間、報酬、責任範囲、評価基準などをあらかじめ明確にした上で人材を採用する手法です。職務内容を明文化した職務記述書(ジョブディスクリプション)に基づいて雇用契約を結ぶため、職務記述書に記載されていない職務への配置や、就業場所の変更などは原則認められません。

日本の企業では、旧来からメンバーシップ雇用が広く採用されてきました。例えば、職務内容や就業場所を限定せずに新卒社員を一括採用する手法などは典型的なメンバーシップ雇用です。職務にマッチした人材を採用するジョブ型雇用に対し、会社にマッチした人材を採用するメンバーシップ雇用と区別できます。

メンバーシップ雇用はなぜ注目されている?

経済のグローバル化が進行するなか、日本独自のメンバーシップ雇用から欧米では一般的なジョブ型雇用への移行を促す動きが活発化しています。しかし、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行を始めとした社会構造の変化に伴い、メンバーシップ雇用が再び注目を集めているのも事実です。

そもそもメンバーシップ雇用では、幅広い分野の総合的なスキルと経験を身に付けられます。一方ジョブ型雇用は職務が限定されているため、特定の分野の専門的なスキルや経験に特化するのが原則です。目まぐるしく変化する社会情勢においては、人事異動や転勤が容易なメンバーシップ雇用の方が雇用を維持しやすいという考え方もあります。

いずれにしても、企業はメンバーシップ雇用やジョブ型雇用といった採用手法にとらわれることなく、時代の変化に合わせて柔軟に対応していくことが重要です。

メンバーシップ雇用のあり方

メンバーシップ雇用には「終身雇用」「年功序列」「企業別組合」の3つの特徴があります。いずれも欧米では見られない日本型雇用に独自の特徴です。ここでは、これら3つの特徴について詳しく解説します。

終身雇用

終身雇用とは、企業が正社員を定年まで雇用し続ける制度で、日本の雇用制度においては代表的な慣行の一つです。右肩上がりで経済が成長し続けた高度経済成長を背景に、優秀な人材を確保する目的で導入されました。

なお、終身雇用は法律で定められた制度ではなく雇用慣行に過ぎませんが、日本では懲戒処分に値するような不祥事を起こさない限りは解雇されないのが実情です。原則正社員は入社してから定年を迎えるまで同じ企業に籍を置くことになるため、安定した収入と雇用を確保できる仕組みと考えられます。

年功序列

年功序列とは、社員の年齢や勤続年数といった属人的な要素によって賃金や役職を決定する人事制度です。我が国日本においては、終身雇用と並んで長年代表的な雇用慣行の一つとなってきました。年齢や勤続年数が高くなればスキルや経験が蓄積し、職務上の重要度が増すという前提に立った制度となっており、戦後日本の高度経済成長を支える重要なシステムだったのです。

離職率が低下し優秀な人材が確保できる、評価基準が明確で人事評価も容易であるといったメリットがある一方、能力のある優秀な若手はモチベーションが下がってしまう恐れがあるというデメリットもあります。

労働組合の設置

日本的雇用慣行の3つ目は、企業別組合の存在です。企業別組合は企業内組合とも呼ばれ、企業に在籍する社員によって組織された労働組合を指します。欧米では一つの産業を組織単位とし、産業別組合を組織するのが一般的です。

終身雇用が一般的な日本においては、一つの組織に長期間所属することになるため、企業を組織単位として社員が団結して企業別組合を結成し、労使交渉を行ってきました。企業別組合は日本独自の慣行ですが、たとえ不当な扱いを受けた場合でも企業側に苦情を訴えやすく、団体交渉や団体行動によって企業側と対等に交渉できるというメリットがあります。

メンバーシップ雇用のメリット

経済のグローバル化によってジョブ型雇用が注目されていますが、社会情勢の変化によって従来のメンバーシップ雇用が見直されているのも事実です。ここでは、メンバーシップ雇用のメリットを紹介します。

メンバーの業務に対する理解・意欲が深まる

メンバーシップ雇用の場合、集合研修やOJT(On-the-Job Training)を始めとした学習の機会が用意されるケースが一般的です。ジョブ型雇用の場合は、採用の時点で企業が求める職務を担うためのスキルや経験を持っている必要があり、スキル・経験が不足している場合は自己研鑽や独学が求められます。

メンバーシップ雇用では一律に研修の機会が与えられるため、メンバーの業務に対する理解が深まり、仕事への意欲も高まるのがメリットです。メンバー一人ひとりが組織内での役割を認識し、最大限のパフォーマンスを発揮できるのもメンバーシップ雇用のメリットといえるでしょう。

チームや組織の一体感に貢献

メンバーシップ雇用では、メンバー一人ひとりが組織内での役割を認識し、チームに貢献するよう努めます。与えられた役割を果たすなかで上司や同僚、後輩といった社員同士の関係性が構築され、チームや組織に一体感が生まれるのもメンバーシップ雇用のメリットです。

チームワークが醸成されれば知識や経験を補完しあうことができるため、チームとしての生産性も向上します。メンバーシップ雇用によってチームワークが形成され、生産性が向上することは大きなメリットといえるでしょう。

異動や配置の柔軟性

メンバーシップ雇用の場合は、ジョブ型雇用と異なり職務を限定して採用しているわけではないため、会社の都合で人事異動や配置転換が自由にできます。終身雇用を前提として採用されているため、社員は合理的な事由がない限りは辞令に従わなければなりません。

ジョブ型雇用は、原則として職務記述書(ジョブディスクリプション)に記載されていない職務への配置は認められません。一方、メンバーシップ雇用の場合は会社の方針、人事戦略、急な欠員などで柔軟に人材配置できるのは大きなメリットです。

会社に対する従業員の帰属意識が高まる

メンバーシップ雇用では終身雇用が原則となるため、一つの組織に長期間在籍し続けることになります。在籍期間が長くなればなるほどメンバーとの信頼関係が生まれ、会社に対する帰属意識も高まるのが一般的です。

また、年功序列の人事制度では、長く働けばそれだけ評価されるため、社員の帰属意識はさらに高まるでしょう。帰属意識は愛社精神と言い換えることも可能です。愛社精神が高い状況では社員のモチベーションも高まるため、生産性の向上も期待できます。

メンバーシップ雇用とそれに付随する終身雇用・年功序列は、社員の帰属意識・愛社精神とモチベーションを高め、生産性の向上も期待できることは大きなメリットです。

採用におけるコスト・ハードルを下げられる

メンバーシップ雇用の場合は一般的に、新卒時に一括で採用活動が行われます。通年採用の場合は欠員が生じるたびに採用活動を行わなければならないため、人件費や採用広告費などが馬鹿になりません。

さらに、人材不足が深刻化している現代においては、採用活動の難易度は格段に上昇しており、募集しても思うように人材が集まらないなど、採用活動の長期化も懸念されます。新卒者を対象とした一括採用であれば採用のハードルも低く、コストを最低限に抑えて効率的に採用活動を行うことが可能です。

メンバーシップ雇用のデメリット

日本においては従来、広く一般に採用されてきたメンバーシップ雇用ですが、一定のデメリットがあるのも事実です。ここでは、メンバーシップ雇用のデメリットを紹介します。

専門家の育成が難しい

専門家の育成という観点では、メンバーシップ雇用はジョブ型雇用に劣ります。そもそも特定の分野に特化したスペシャリストを育成するジョブ型雇用に対し、メンバーシップ雇用はあらゆる業務を幅広く担うことができるゼネラリストの育成に向いた採用手法です。

勤続年数が長くても人事異動や配置転換、ジョブローテーションなどが行われるため、スペシャリストの育成に向いていないのはメンバーシップ雇用のデメリットといえるでしょう。

終身雇用や年功序列によって人件費が増加

メンバーシップ雇用においては、終身雇用と年功序列が原則です。そのため、勤続年数が長くなればなるほど、賃金は上昇します。一方、ジョブ型雇用の場合は原則として昇給や昇進はありません。採用時のコストは抑えられても、中長期的に見ると企業が負担しなければならない人件費は大きくなるという点はメンバーシップ雇用のデメリットといえるでしょう。

解雇等の決断が難しい

メンバーシップ雇用は、解雇等がしにくい点がデメリットです。一見メリットのように見えるかもしれませんが、生産性の低い社員がいても簡単に人員整理することはできません。一方、ジョブ型雇用の欧米ではレイオフが日常的に行われています。メンバーシップ雇用が一般的な日本では非常に厳しい解雇規制が敷かれているため、従来は出向や左遷を行うことで自主的な離職を促すという方法が取られてきました。しかし、このような不当な人事は問題視されているため、現在はますます解雇等がしにくい状況となっています。

雇用形態によって差が生まれやすい

正規雇用と非正規雇用の不合理な格差は大きな問題です。働き方の多様化によって、短時間労働者や有期契約社員、派遣労働者を始めとした非正規雇用労働者は増加しています。一方で、正規雇用をよしとする風潮は根強く残っており、賃金や待遇といった正規雇用労働者との不合理な格差はたびたび問題視されてきました。

そのような中、より多様な働き方を実現するため、2020年には働き方改革の一環として「同一労働同一賃金制度」が導入されます。今後は正規雇用労働者と同一の労働を行う非正規雇用労働者に対し、同一の賃金を支給しなければならないため注意が必要です。

参考:同一労働同一賃金特集ページ |厚生労働省

賃金に見合った生産性を達成しにくい

メンバーシップ雇用における年功序列では、社員の年齢や勤続年数といった属人的な評価軸によって賃金や役職が決まります。そこに仕事の成果や業績は介在しないため、たとえ生産性が水準を満たしていなくても、長く勤めれば一定の賃金は保証されるのが原則です。

一方、能力があり優秀な若手はどれだけ成果を上げたとしても、勤続年数が短ければ働きに見合った賃金は得られません。成果が正しく評価されないとモチベーションは低下するため、生産性も低下してしまうでしょう。

年功序列では、優秀な若手のモチベーションは低下し、生産性の低い社員が常態化する恐れがあります。

メンバーシップ雇用の例・事例

世界的自動車メーカーであるトヨタ自動車株式会社は、長年メンバーシップ雇用を採用してきた企業の一つです。例えば、昇給制度の採用や見習社員制度の実施を始めとした人事制度だけでなく、社員への新車斡旋や定年退職者への海外旅行制度の実施など、メンバーシップを高めるさまざまな取り組みを実施しています。また、会社と社員の間で労使宣言に調印し、労使間の信頼関係構築に努めてきました。社員一人ひとりを大切にして企業の成長を実現する取り組みは、典型的なメンバーシップ雇用といえます。

参考:トヨタ企業サイト|トヨタ自動車75年史|労使関係|労使宣言・調印書

メンバーシップとは役割を果たして組織に貢献すること

今回はメンバーシップについて解説しました。メンバーシップとは、メンバー一人ひとりが与えられた役割を果たすことで組織に貢献することです。人事や看護の分野では、特に頻繁に用いられています。戦後日本の高度経済成長においては、人材を採用した後に役割を付与するメンバーシップ雇用が経済を支えてきました。しかし、経済のグローバル化によってメンバーシップ雇用のデメリットが浮き彫りになり、欧米式のジョブ型雇用が注目を集めています。一方で、新型コロナウイルス感染症の流行を始めとした社会情勢の変化によって、メンバーシップ雇用が見直されているのも事実です。当記事を参考に概要やメリット・デメリットを整理し、改めてメンバーシップ雇用について確認してみましょう。


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