• 作成日 : 2022年7月22日

有給休暇は何日もらえる?付与日数や繰越の仕組み

有給休暇は何日もらえる?付与日数や繰越の仕組み

有給休暇は何日もらえる?付与日数や繰越の仕組み

日本の労働者の年次有給休暇の取得率は、欧米先進諸国のなかでは最低水準にあります。働き方改革が施行され、やや改善したとはいえ、取得率は50%程度に過ぎません。年次有給休暇を取得することは労働者の権利でもあり、法律上のルールをよく理解し、積極的に利用すべきです。

今回は、支給の条件、付与日数、繰越や期限、買い上げなどのほか、パート・アルバイトの比例付与についても解説していきます。

有給休暇は何日もらえる?

年次有給休暇は、労働基準法で一定の要件を満たした場合、使用者が労働者に所定の日数の付与が義務付けられている有給の休暇です。

まず、労働基準法ではどのようなルールになっているのか、確認していきましょう。

有給休暇の付与日数は法律で決まっている

労働基準法39条では、年次有給休暇の付与日数は、勤続年数によって定めています。

有給休暇の付与日数は法律で決まっている

勤続年数6ヵ月が経過した権利発生日(基準日)に労働者は10日、その後、勤続年数が増えるにつれて、段階的に増えていく仕組みです。

有給休暇がもらえる条件

同じく労働基準法39条では、次の2点を有給休暇の支給要件としています。

  1. 6ヵ月以上継続勤務していること
  2. 全労働日の8割以上出勤していること

つまり、労働者がこの2つの要件を満たしている場合、前述のように勤続年数6ヵ月の労働者には1年間に10日の年次有給休暇を与えなければなりません。

継続勤務とは、労働者の採用日から起算した在籍期間を意味します。また、全労働日は、算定期間の総暦日数から就業規則などで定めた休日を除いた日数(所定労働日)のことです。

なお、次に挙げる日は、全労働日から除くことになります。

  • 慶弔休暇
  • 使用者の責に帰すべき事由によって休業した日
  • 休日労働させた日

また、次の日は出勤日として扱います。

  • 遅刻、早退した日
  • 業務上の負傷・疾病などにより療養のため休業した日
  • 産前産後の女性が労働基準法第65条の規定により休業した日
  • 育児・介護休業法に基づき育児休業または介護休業した日
  • 年次有給休暇を取得した日

特に最後の「年次有給休暇を取得した日」も、欠勤ではなく出勤扱いになることは、しっかり覚えておきましょう。

有給休暇は時間単位でももらえる

年次有給休暇は、本来、「労働者の心身の疲労を回復させ、労働力の維持培養を図るとともに、 ゆとりある生活の実現にも資する」という趣旨から一定日数を取得させるのが原則です。従って、時間単位で付与することは、もともと想定されていませんでした。

しかし、近年のワーク・ライフ・バランスや働き方改革を背景に2010年4月に労働基準法が改正され、一定の要件で時間単位での取得ができるようになりました(法39条4項)。

その要件とは、次の2つです。

  1. 就業規則で定めること(常時10人以上の労働者を使用する事業場)
  2. 所轄の労働基準監督署に届け出る必要があります。

  3. 労使協定を締結すること
  4. 労使協定とは、労働者の過半数で組織する労働組合または労働者の過半数を代表する者との間で締結する協定です。この労使協定は所轄の労働基準監督署に届け出る必要はありません。

この2つの要件を満たすと、年5日の範囲内で時間単位での取得が可能になります。

病院への通院や、子どもの学校行事への参加、家族の介護など、労働者の事情によって年次有給休暇を柔軟に取得することができます。

有給休暇がもらえる時季

年次有給休暇はいつ取得できるのでしょうか。本来であれば、自分が取得したいときということになるのでしょうが、そうではありません。

年次有給休暇の取得率の低い理由の一つとして「みんなに迷惑がかかると感じるから」が7割を超えるという調査結果があります(厚生労働省「労働時間等の設定の改善を通じた仕事と生活の調和の実現及び特別な休暇制度の普及促進に関する意識調査(平成26年)」)。

しかし、年次有給休暇をいつ取得するかは、労働者自身が決める「時季指定権」と呼ばれる権利があります。使用者には、事業の正常な運営の妨げになるような場合には、「時季変更権」が認められていますが、年度末の業務繁忙期や、同じ時期に請求が集中したような場合などに限られています。

有給休暇についての注意点

そのほか、年次有給休暇についての注意点をみていきましょう。

有給休暇の繰越や期限

年次有給休暇の消滅時効は2年です(法115条)。有給休暇を消化しなければ、基準日から2年で権利はなくなります。

時効は、年次有給休暇を行使できる日から起算しますので、前年度に年次有給休暇を消化しきれなかった場合は、翌年に限り繰り越されることになります。

例えば、新入社員であれば、入社して6ヵ月過ぎれば10日間の年次有給休暇が付与されますが、5日しか消化しなかった場合、使用者は残り5日を翌年度に繰り越す義務があります。この5日間の有給休暇は、入社後6ヵ月を経過した基準日から2年後に時効消滅します。

また、年次有給休暇の消化率が低いということは、労働者は新規に付与された当年度分と繰り越し分の両方を有していることになります。どちらを優先させるべきかが問題となります。

これについては、特に労働基準法には定めはありませんが、所得期限が先に到来する繰り越し分から取得させるのが一般的です。ただし、就業規則に別の定めがあればそれに従うことになります。

有給休暇の上限・最大保有日数

年次有給休暇の付与日数の図表を提示しましたが、上限は6年6ヵ月以降、継続勤務した場合の20日間です。単純に考えれば、繰り越せる日数の上限も20日間ということになります。

しかし、後述のように使用者はこのうち5日間は労働者に取得させる義務があります。従って、翌年に繰り越すことができる上限は15日です。年次有給休暇の消滅時効は2年であるため、新たに発生する20日と合算すると35日が最大保有日数になります。

年次有給休暇の買い上げは可能?

年次有給休暇が給与の支給される休暇であることから、消化しない場合には会社がその分の給与を支払って買い上げることができないか、という考え方があります。

果たしてこうしたことは可能なのでしょうか。年次有給休暇の趣旨に立ち返ってみれば答えは明らかです。「労働者の心身の疲労を回復させ、労働力の維持培養を図るとともに、 ゆとりある生活の実現にも資する」ということですから、金銭で買い上げることは原則として認められていません。

しかし、時効で消滅した年次有給休暇や退職するために消化できなくなった年次有給休暇については、労働者を保護するという労働基準法の観点からは買い上げることができます。

パート・アルバイトの場合の有給休暇

年次有給休暇は、フルタイムの正社員だけでなく、所定労働時間が短いパート・アルバイトも対象になるのでしょうか。

6ヵ月間継続勤務し、8割の出勤率という2つの要件を満たせば、使用者は労働時間に応じて比例付与する義務があります。比例付与の対象となるのは、所定労働時間が週30時間未満で、かつ、週所定労働日数が4日以下または年間の所定労働日数が216日以下の労働者です。

有給休暇についての注意点

なお、図表中の太枠で囲った部分は、付与日数が10日以上であるため時季を指定して取得させることが必要です(次項で解説)。

5日の有給休暇取得義務化

2019年4月の改正によって、年次有給休暇の消化率を上げるために使用者が時季を指定して計画的に取得させることになりました。

具体的には、すでに触れているように年次有給休暇が10日以上付与される労働者については、うち年5日は、基準日から1年以内の期間に労働者ごとにその取得時季を指定しなければなりません(法39条7項、8項)。

使用者側から年次有給休暇を取得する時季を指定するのですから、かなり思い切った改正だといえるでしょう。少しでも確実に消化率を上げようという政府の働き方改革の想いが反映されています。

ただし、次季指定に当たっては、労働者の意見を聴取しなければなりません。また、できる限り労働者の希望に沿った取得時季になるように本人の意見を尊重するように努めなければならないとしています。

年次有給休暇のルールについて知っておこう!

労働者の権利である年次有給休暇について解説してきました。冒頭、日本の労働者の年次有給休暇の消化率の低さについて紹介しましたが、自分が何日、年次有給休暇を取得しているか、知らない労働者は、それ以上いるのが実情です。

働き方改革、ワーク・ライフ・バランスの考え方は、多くの企業で広がりつつあります。法律上のルールをよく理解し、積極的に年次有給休暇を取得しましょう。

株式会社親交設計 市村 啓子 様

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よくある質問

有給休暇は何日もらえますか?

支給要件を満たせば、勤続6ヵ月経過すれば10日間付与されます。詳しくはこちらをご覧ください。

有給休暇に繰越や使用期限はありますか?

2年間という消滅時効があります。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

監修:坪 義生(社会保険労務士)

じんじ労務経営研究所代表(社会保険労務士登録)、労働保険事務組合 鎌ヶ谷経営労務管理協会会長、清和大学法学部非常勤講師、「月刊人事マネジメント」(㈱ビジネスパブリッシング)取材記者。社会保険診療報酬支払基金、衆議院議員秘書、㈱矢野経済研究所、等を経て、91年、じんじ労務経営研究所を開設。同年より、企業のトップ・人事担当者を中心に人事制度を取材・執筆するほか、中小企業の労働社会保険業務、自治体管理職研修の講師など広範に活動。著書に『社会保険・労働保険の実務 疑問解決マニュアル』(三修社)、『管理者のための労務管理のしくみと実務マニュアル』(三修社)、『リーダー部課長のための最新ビジネス法律常識ハンドブック』(日本実業出版社、共著)などがある。

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