• 作成日 : 2022年6月10日

産休手当を受給できる条件は?計算方法についても解説!

産休手当を受給できる条件は?計算方法についても解説!

産休手当は、健康保険の被保険者が出産のために会社を休んだときに支給される手当のことで、正式名称は「出産手当金」です。産休手当として支給される金額がいくらくらいなのか、支給される条件にはどのようなものがあるのか、気になっている方も多いでしょう。今回は産休手当が支給されるための条件や計算方法、振込日を解説します。

産休手当とは?

産休手当は、原則、健康保険に加入している女性が出産のために会社を休んだときに受け取れる給付金のことで、正式名称は「出産手当金」です。

労働基準法によって、出産予定日を基準として6週間前以内の労働者から休業したいとの申し出があった場合は、就業させてはいけないことが規定されています。

一方で産後は、出産した日から8週間以内は基本的に就業させることは認められません。ただし、産後6週間が経過していて労働者が希望しており、医師に支障がないと認められた業務へ就業させることは可能です。

つまり産前6週間は労働者からの申し出によって休みますが、少なくとも産後6週間は労働者の申し出の有無は問わず、労働者が希望しても就業させてはいけません。

このように産前と産後はやや扱いが異なるものの、産前産後休業、いわゆる産休を取得するのが一般的です。この間、会社側に給与の支払い義務は発生せず、ほとんどのケースで無給となります。そのためお金の不安を抱えずに安心して休めるように、生活を一部保障することを目的に設けられたのが産休手当です。

先ほどお伝えしたように、労働者が希望した場合は産前でも休まず、出産直前まで通常通り働き続けることも可能です。その場合、手当として受け取れるのは産後休業の分のみになります。

なお、出産手当金が支払われる場合、業務外のけがや病気による休業中に支払われる傷病手当金は受け取れないことに注意しましょう。

また、産休手当と似た手当として、「出産一時金」があります。産休手当が産休中の生活保障を目的とするのに対し、出産一時金は出産にかかる費用の負担軽減が支給の目的です。

金額も、産休手当は被保険者の収入や出産日によって異なりますが、出産一時金は子ども1人につき42万円(産科医療補償制度に加入の場合)が支給されます。このように、両者は目的も金額も異なることを覚えておきましょう。

出産後は多くの方が育児休業制度を利用します。育児休業を取得しやすい環境整備を目的に「産後パパ育休」が創設されるなど、育児・介護休業法が改正されます。詳細はこちらをご確認ください。

産休手当を受給できる条件

次の条件をすべて満たしていれば、産休手当を受給できます。

  • 勤め先の健康保険に加入している(被保険者である)
  • 妊娠4ヵ月以降の出産である
  • 出産のために休業している

本人が勤め先の健康保険に加入している必要がありますが、必ずしも正社員である必要はなく、パートやアルバイトであっても対象になります。

妊娠4ヵ月(85日)以降の出産であることも条件の一つです。妊娠4ヵ月以降の早産や流産、死産、人工中絶の場合も給付されます。

また、産前産後休業中で給与が支払われていない、支払われていても産休手当よりも少ない金額である場合、支給の対象になります。給与の支払いがある場合に支給されるのは、給与と産休手当の差額分です。

ちなみに以下のケースにあてはまれば、会社を退職した後でも産休手当を受け取ることが可能です。

  • 退職前に継続して1年以上、健康保険に加入していた
  • 退職日が産前産後休業の期間内である
  • 退職日当日に勤務していない
  • 退職日に産休手当の支給を受けている

産休手当はいくらもらえる?計算方法について

産休手当として1日あたりに受け取れる金額は、イメージとしては日給の3分の2に相当する金額です。月々のお給料の金額をもとに産休手当の金額が決まるため、人によって支給される金額が異なることがポイントといえるでしょう。

産休手当の1日あたりの金額を算出する計算式は以下のとおりです。

支給開始日の以前12ヵ月間の標準報酬月額を平均した金額÷30日×2/3

「支給開始日」は、産休手当の支給が開始する日とされます。「標準報酬月額」は、主に給与の金額をあらかじめ定められた区分にあてはめたもので、健康保険や厚生年金保険で月々の保険料や保険給付額の計算に使用する金額です。

ここからは、実際に事例を確認してみましょう。12ヵ月間の標準報酬月額を平均した金額が30万円で、出産前42日間、出産後56日間産休を取得した場合、支給される産休手当の総額は次のようになります。出産当日は産前に含めて計算しましょう。

30万円÷30日×2/3=6,667円(小数点第1位を四捨五入)
6,667円×(42日+56日)=65万3,366円

このケースでは、総額65万3,366円の産休手当、つまり出産手当金が支給されることがわかります。 

産休手当に関してよくある疑問

ここからは産休手当に関する、以下のよくある疑問に対して解説していきます。

  • 産休手当の対象となる期間は?
  • 産休手当の申請を忘れた場合に後から申請できる?
  • 産休手当が振り込まれる日はいつ?
  • 出産にともなって退職した場合も産休手当はもらえる?

一つずつ確認していきましょう。

産休手当の対象となる期間は?

産休手当は、産前産後休暇中の生活を一部保障する位置づけの手当であることは、すでにお伝えしたとおりです。そのため産前産後休暇の期間内である、出産予定日以前42日前(多胎妊娠の場合は98日)から出産日の翌日以後56日目までのうち、会社を休んだ期間に対して支給されます。

予定日よりも後に産まれた場合、遅れた日数分も加えて受け取ることができます。

産休手当の申請を忘れた場合に後から申請できる?

産休手当の給付対象であるにも関わらず、申請するのを忘れていた場合、産休が始まった日の翌日から2年以内の期間であれば全額請求することが可能です。

しかし、2年を過ぎてしまうと、日にちが経過するごとに受け取れる日数が1日ずつ減ってしまうため、早いうちに手続きをおこなうことをおすすめします。

産休手当が振り込まれる日はいつ?

産休手当は申請してから1〜2ヵ月ほどで、指定口座に一括で振り込まれます。産休手当の支給が決定すると、申請から2〜3週間程度で「給付金支給決定通知書」が届くため、対象者の名前や請求期間に間違いがないか確認しておきましょう。 

出産にともなって退職した場合も産休手当はもらえる?

前述のとおり、出産にともなって退職した場合でも、条件にあてはまれば産休手当が支給されます。具体的には、退職日までに1年以上続けて健康保険に加入しており、被保険者の資格を喪失するときに産休手当を受給する資格を満たしているか、受給していることが求められます。

退職日が産休手当の支給期間である「出産予定日以前42日前(多胎妊娠の場合は98日)から出産日の翌日以後56日目まで」に入っていない場合は、支給されません。また、退職日当日に業務の引き継ぎなどで出勤した場合も、支給対象から外れてしまうことに注意が必要です。 

産休手当を受け取るために支給条件を確認しておこう

産休手当とは、健康保険の被保険者が出産のために会社を休んだときに支給される手当のことで、正式には「出産手当金」と呼びます。

産前産後休暇中、働くことができず無給であることがほとんどであるため、その間の生活を一部保障するために支給されるものです。出産にかかる費用の負担軽減を目的に支給される出産手当一時金と、混同しないようにしましょう。

出産を機に退職した場合でも、支給要件を満たしていれば受給することができます。産休手当が支給される条件や支給額の計算方法を確認しておきましょう。 

よくある質問

産休手当とは何ですか?

健康保険に加入している女性が出産のために会社を休んだときに受け取れる給付金のことです。詳しくはこちらをご覧ください。

産休手当を受給できる条件について教えてください

「健康保険に加入している」「妊娠4ヵ月以降の出産である」「出産のために休業していること」が条件です。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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