• 更新日 : 2023年12月8日

HSP(Highly Sensitive Person)とは?敏感からこそのメリット、向き合い方を解説

HSP(Highly Sensitive Person)とは?敏感からこそのメリット、向き合い方を解説

HSPは人の気質を表す言葉で、光や音、匂いなどに敏感な人を意味します。刺激に弱いことから疲れやすい、体調を崩しやすいという特徴がありますが、病気や障害ではないため矯正や治療を必要とせず、治療法もありません。いくつかの質問に答える方法でセルフチェックもでき、DOESと呼ばれる項目に全て当てはまるとHSPに該当します。

HSPとは?

HSPは「Highly Sensitive Person(ハイリー・センシティブ・パーソン)」の略語です。人の性質を表し、敏感な人や感受性の高い人を意味します。感覚が優れていることから神経細やかな人、よく気がつく人ともされますが、刺激に弱い、繊細で疲れやすいといった短所も持っています。しかし、HSPは病気や障害ではないため、治療や矯正は必要ではありません。5人に1人がHSPだとされますが、自覚していない人もたくさんいます。

HSPの理論的背景

HSPはアメリカの心理学者であるエレイン・N・アーロン氏によって1996年に提唱された、比較的新しい概念です。4つの特徴全てに当てはまる人がHSPであり、1つでも欠けていればHSPには該当しないとされます。4つの特徴は頭文字を取ってDOES(ダズ)と呼ばれます。

  • Depth of processing:深く考える簡単なことも難しく捉えて、考え過ぎる。
  • Overstimulation:刺激を過剰に受け取る光や音、匂いなどの刺激を強く感じて、反応する
  • Emotional response and empathy:感情移入しやすい他者や物語の登場人物に感情移入しやすい
  • Sensitivity to subtleties:些細なことに気づく周囲の微細な変化に敏感である

HSPの人の特徴

HSPの人は敏感な性質で、具体的に次のような特徴を持っています。

些細なことに気づく

HSPの人には、些細なことに気づくという特徴があります。敏感であるため他の人が気づかないような音、光、匂いなどの小さな変化が分かり、雰囲気や空気感の変化を感じ取れます。また、他人の感情の揺れやニーズの変化も敏感で、言われなくても相手のして欲しいことが分かるという長所も持ち合わせています。

光や匂いなどの刺激を受けやすい

HSPの人の特徴には、光や匂いなどの刺激を受けやすい点も挙げられます。他の人より太陽光や照明を眩しく感じたり、料理や洗剤の匂いを強烈だと感じたりするため、生活に支障を及ぼす場合があります。

共感力が高い

共感力が高いこともHSPの人の特徴です。他人の感情がよく分かり、その人の感じている痛み、抱えている悩みを自分のことのように感じることができます。共感力が高いため他人からの信頼が得られやすいこともHSPの人の特徴に挙げられます。

深く考えがち

HSPの人には深く考えがちであるという特徴もあります。些細なことにも気がつき、理由や背景などが気になることから、日常的な出来事についても深く考え込むようになります。感情が動きやすく、他人に共感しようと努める性質であることも、深く考えがちになる理由です。

自己否定をしやすい傾向がある

自己否定をしやすい点もHSPの人の特徴です。HSPの人は繊細で、また細かな気づきが多く、さまざまなシーンで他の人とは違う感じ方を経験しています。感覚の違いから自分を異常である・劣っていると思ってしまい、自己否定へとつながります。

HSPのセルフチェック方法

自分がHSPかどうかの判断は、セルフチェックで行えます。刺激に対する反応、他人との接し方、悩みなどについての次のような質問に答え、当てはまる項目が一定以上あるとHSPだと判断されます。

HSPのセルフチェックに用いられる質問例

  • 太陽を眩しく感じますか?
  • 大きな音がすると驚くことが多いですか?
  • 香水の匂いを不快に感じますか?
  • 他人と長時間にわたって一緒に過ごすと疲れますか?
  • 相手の表情の変化が気になりますか?
  • 大勢の人が集まる場所が苦手ですか?

HSPのメリット・長所

HSPの人のメリット・長所には他人から嫌われることが少なく、多くの人と良好な人間関係が築ける点が挙げられます。HSPの人は共感力が高く、他人の感情を察することにたけています。心情を理解して寄り添うことができ、他人を怒らせたり衝突したりもしません。人から信頼され、良好な関係が築けます。

美術的・芸術的に優れたセンスを持っている点も、HSPの人のメリット・長所です。感覚が鋭いHSPの人は、視覚や聴覚においても高い能力を有しています。美術・芸術方面の活動で能力を発揮し、優れた作品を生み出すことが期待できます。

HSPの人が抱えやすい悩み

HSPの人には敏感であるため、多くの人と良好な人間関係が築ける、美術的・芸術的センスが優れているというメリットがあります。一方で、疲れやすいといったデメリット・短所もあり、多くのHSPの人が次のようなことに悩んでいます。

内気や敏感で積極的に動けない

HSPの人の多くは内気や敏感であるために、積極的に行動できないという悩みを抱えています。内向的な性格なために自分からアグレッシブに動けなかったり、敏感で些細なことに気がついてしまうが故にいつもと違う行動を取ることを苦手としたりするためです。自分が望む行動ができないことが、さらに自己肯定感の低下を招くリスクとされます。

環境の変化による影響が大きい

環境の変化による影響が大きいという悩みもHSPの人の多くが抱えています。音や光、匂いなどに対して敏感なHSPの人は、ちょっとした刺激でも過剰な反応を示します。他の人にとっても刺激だと感じるものはHSPの人にとっては大きな刺激となり、対応できずに心身の不調を招く恐れがあります。体調を崩したりメンタルに異常が出たりする危険もあることに注意しなければなりません。

些細なことに深く悩んでしまう

傷つきやすく、些細なことでも深く悩んでしまうという点に悩んでいるHSPの人も多くいます。人の微妙な表情や言葉遣いなどに違和感があったり不安を感じたりして人とのコミュニケーションが苦手になるなど、周囲のちょっとしたことが自分にとって大きな負担となるためです。

対人関係において疲れやすい

HSPの人は対人関係において疲れやすいという点で悩んでいる人も多くいます。接している人のわずかな変化にも気づいてしまい、仕草や話し方が普段と違っていたり途中から変わったりすると自分のせいではないかと考えてしまうからです。相手のことを気遣い過ぎて、自分よりも相手を優先してしまうことでも、人付き合いで必要以上に疲れてしまう原因になっています。

香水などの匂いに弱い

HSPの人は刺激に敏感で、匂いも他の人より強く感じます。香水の香りに弱く、気分が悪くなったり頭が痛くなったりすることに悩んでいる人も多くいます。香水以外にも衣類の洗濯洗剤・柔軟剤やタバコの臭いにも敏感で、人の多く集まる場所に行けないことを悩んでいる人も少なくありません。

HSPとの向き合い方

HSPの人は自分の性質をよく理解し、デメリット・短所を克服するようにしなければなりません。次のHSPとの向き合い方が求められます。

視覚情報を少なくする

HSPの人は刺激に敏感で多くのことを感じ取ってしまうため、情報過多になりがちです。目から入ってくる視覚情報を少なくすることで、多過ぎる情報を理解・整理しようとして疲れてしまったり、処理が追いつかずにパニックになったりするのを防ぐことができます。過度な明るさを避けるために照明を落とすとリラックス効果も期待でき、HSPの人のストレスを減らす効果も期待できます。

イヤホンなどで音楽を聴く・耳からの情報を減らす

HSPの人は情報が過度に入ってこないようにすることで負担を減らすことができ、にぎやかなところより静かな環境で過ごすようにすることが生きやすさにつながります。また、イヤホンで音楽を聴くと外からの不要な音をカットされます。集中して好きな音楽に触れていられることでリラックスもできます。自分の世界に没頭できる環境づくりも、HSPの人が上手に自分の特性と向き合うには大切です。

ゆったりした服を着る

ゆったりとした服は身体への負担が少なく、ストレスを感じさせません。リラックスして着用でき、気持ちも安定します。身体や気持ちに負担をかけずに過ごせ、HSPの人が日常的に感じる生きづらさから解放されます。

マスクを装着する

マスクをすると外から受ける刺激が減らせます。HSPの人がマスクを着用すると、苦手な刺激が減少でき、負担を減らすことができます。鼻を覆うようにきちんと着用することで、HSPの人は特に苦手とする匂いをカットできます。

HSPの人の困難さを克服するため、周囲から積極的に協力しよう

HSPの人は敏感で、光や音、匂いなどが他の人より強く感じます。そのため、外部の刺激に過剰反応してしまい、疲れてしまいます。些細なことに気づける、共感力が高い、深く思考する、という特徴から多くの人と良好な人間関係が築ける、美術的・芸術的センスがあるというメリット・長所があります。その一方で、積極的に自分から動けない、環境の変化に適応しにくい、些細なことで悩む、人と付き合うと疲れる、香水などの匂いに弱いといったことに悩んでいます。

HSPの人は自分の性質をよく理解し、上手に付き合う努力をしなければなりません。会社もHSPの人の困難さに理解を示し、少しでも困難さが軽減するよう協力しましょう。

HSPの論文を含め、HSPについてより詳しい方はこちらの記事もご参考ください。

【HR Journey】HSPとは?特徴や診断チェックリスト・仕事の適性


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談していただくなど、ご自身の判断でご利用ください。

関連記事