- 更新日 : 2023年2月16日
公休とは?有給との違いや給料の発生有無について解説!
会社員には休日や休暇など仕事を休める日があり、その種類は多岐にわたります。
土曜日・日曜日や祝日、年末年始、夏季休暇、慶弔休暇、年次有給休暇などがありますが、「公休」はどれに該当するのでしょうか。
今回は公休について、その意味や他の休日との違い、給与の扱いなどについて解説します。
目次
公休とは?
公休は、国語辞典などでは「労働者が権利として与えられている休日」「休日・祝日以外に勤労者が権利として認められている休み」などと定義されています。
しかし法律では、公休は会社が指定する休日を指します。一般的な企業は、土曜日・日曜日や祝日を公休としています。
法定休日・法定外休日との関係
休日とは、もともと労働義務がない日のことです。
労働基準法では、法定休日について
使用者は、労働者に対して、毎週少なくとも1回の休日を与えなければならない
(参考:労働基準法三十五条一項|e-Gov法令検索)
と規定しています。
これは「週休制の原則」と呼ばれるもので、法定休日としては週に最低1日の付与を義務付けています。例外として、特定の週に休日がなくても「4週間を通じ4日以上の休日」を確保すればよいとしています(労働基準法三十五条二項では、変形休日制と呼ばれています。
法定休日の付与については、これらのルールを守っていれば、土日や祝日を労働日としていても適法です。
労働基準法は、労働条件の最低基準を定めた法律ですから、企業が独自に就業規則などで休日を増やすことができ、それらは法定外休日と呼ばれます。
有給との違い
有給(有給休暇)は、休日のようにもともと労働義務がない日ではありません。
有給(有給休暇)は、休暇に分類することができます。休暇には、有給以外に無給の休暇もあります。
いずれにしても、本来は労働義務がある日(労働日)の労働義務を企業が免除している休みが休暇です。
そして、有給(有給休暇)は給料が支払われる休暇を意味します。
有給といえば、一般的には後述の労働基準法で定める年次有給休暇を指しますが、法定外の特別休暇であっても給料が支払われるのであれば、有給になります。
特別休暇との違い
特別休暇は法定休暇ではなく、企業が就業規則などで独自に設けた休暇です。
特別休暇には、以下のようなものがあります。
慶弔休暇
従業員本人や近親者の慶事や弔事に対して、特別に休暇を付与するものです。
リフレッシュ休暇
従業員に心身ともにリフレッシュしてもらうことを目的として、特別に休暇を付与するものです。
特別休暇は企業が就業規則などで福利厚生の一環として設けるものですが、有給にするか無給にするかは企業によって異なります。
年休との違い
労働基準法では、年次有給休暇について
使用者は、その雇入れの日から起算して6ヵ月間継続勤務し全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、継続し、または分割した10労働日の有給休暇を与えられなければならない
(参考:労働基準法三十九条|e-Gov法令検索)
としています。
年次有給休暇は、一般的に「有給」「有休」「年休」などと呼ばれています。
あくまで休暇であり、休日のようにもともと労度義務がない日ではなく、労働義務が免除される休みです。
祝日との違い
祝日とは、国や国民一般の恒例の出来事や、国にまつわる出来事を記念する目的で制定された記念日のことです。
日本では、「国民の祝日に関する法律」で「祝日」として定められている日を指します。年間で計16の日が「国民の祝日」とされ、それぞれの日の趣旨が定められています。また、「国民の祝日」は休日とされています。
祝日も休日であるため、もともと労働義務がない日である点は公休と同じですが、労働基準法では週休制の原則で国民の祝日を休日とすることを義務付けていません。
実際にサービス業などでは、土日や祝日が出勤日であることは珍しくありません。
公休は無給扱い?それとも有給?
前述のとおり公休は休日であり、もともと労働義務がない休みです。労務が提供されないことが前提であるため、対価となる給与の支払い義務はありません。
就業規則の作成義務がない小規模の企業では、慶弔休暇を特別休暇として定めておらず、「公休扱い」とするところもあります。
公休に出勤する場合の給与はどうなる?
公休は労働基準法では労働義務がない日であり、原則として労働させてはならないことになっています。
例外として、休日労働をさせる場合は労使間で「時間外労働・休日労働に関する協定書」を締結した上で、「36協定届」を労働基準監督署に提出する必要があります。
その場合は通常の賃金に加え、3割5分以上の割増賃金を支払わなければなりません。
公休は月に何回必要?
公休については、週休制の原則および例外となる変形休日制により、1ヵ月に少なくとも4日の付与が必要です。
労働基準法では、労働時間の限度を
原則として1週40時間以内、かつ1日8時間以内(参考:労働基準法三十二条|e-Gov法令検索)
としています。
つまり、法定労働時間は週休2日制を想定しており、年間365日(52.14週)を考慮すると、年間105日が公休を含めた年間休日の最低ラインとなります。
一般的に、年間休日は120日前後です。
公休の扱いについて知っておこう!
公休について、その意味や他の休日との違い、給与の扱いなどについて解説しました。
会社員にとって休日は心身をリフレッシュするために、また家族サービスをするために不可欠ですが、年間休日数は知っていても、その内訳は意外と知らないものです。
公休と他の休日や、休暇との法的な違いについて知っておきましょう。
よくある質問
公休とは何ですか?
会社が就業規則などで指定する休日のことです。詳しくはこちらをご覧ください。
公休と有給との違いは何ですか?
公休は休日であり、もともと労働義務がない日です。一方で有給は休暇であり、労働義務がある日(労働日)の労働義務を企業が免除している休みです。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
人事労務の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
在宅勤務とは?テレワーク・リモートワークの違いやおすすめアプリを紹介
在宅勤務とは、オフィスに出社せずに自宅を就業場所とする勤務形態のことです。似た言葉としてテレワークやリモートワークがありますが、いずれも在宅勤務よりも広義で使われます。本記事では、在宅勤務の概要や向いている職種、メリット・デメリットを解説し…
詳しくみる就業規則がない会社は問題あり?違法かどうかなど解説
常時10人以上の労働者を雇用している会社には、就業規則の作成が義務付けられています。従業員数が10人に満たない場合は就業規則を作成していなくても違法ではありません。しかし、可能であれば就業規則を作成しておくことが求められます。記載内容も労働…
詳しくみる有給休暇の5日取得義務とは?違反した場合の罰則や内容を解説!
労働者の心身をリフレッシュさせ、パフォーマンスを維持するためにも適切な休暇の取得は 重要です。しかし、業務の繁忙などにより、なかなか休暇を取れない場合もあるでしょう。 当記事では、有給休暇の年5日取得義務について解説します。取得義務対象者な…
詳しくみる自然災害発生!その時、労務管理上使用者が守るべきこと
自然災害と休業 近年、地震や局地的な豪雨といった自然災害が各地で発生しています。大規模な自然災害発生時には、被災地および被災地に関連する企業の企業活動や労務管理上も大きな影響が考えられます。 大規模自然災害発生時の労務管理としてまず考えなけ…
詳しくみる時短勤務(短時間勤務制度)とは?育児・介護と仕事の両立支援
時短勤務は育児・介護どちらでも使える 国は子育てや介護をしながら働き続けられ、家庭と仕事の両立しやすい職場環境づくりに積極的に取り組んでいます。 時短勤務(短時間勤務制度)は従業員が育児・家族の介護期間中に利用できる制度です。法定の制度であ…
詳しくみる休憩とは?法律上の定義や3原則、休憩から外れるケースを解説
ずっと働き詰めでは仕事のパフォーマンスも低下してしまいます。パフォーマンスの維持向上のためにも、適切な休憩時間を設定することが推奨されます。 当記事では、労働基準法における休憩について解説を行っています。法律上の休憩の定義や、何時間から休憩…
詳しくみる