• 更新日 : 2026年3月31日

労災保険の時効は2年?5年?申請期限と延長ができるケースを解説

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労災保険の申請には期限があります。​申請が遅れると、受け取れるはずの給付金が受け取れなくなることもあります。​この記事では、労災保険の時効について、具体的な期限や起算日の数え方、時効を過ぎた場合の対処法などをわかりやすく解説します。

労災保険の時効とは?

労災保険にも時効があります。労災保険における時効とは、労働者やその遺族が労災保険給付を請求できる法的な期限のことです。つまり、ケガや病気、死亡などがあっても、申請をしないまま放っておくと、一定期間を過ぎた時点で給付できる権利が消滅してしまいます 。

例えば、通勤途中に交通事故にあって長期間入院したとしても、労災保険の申請をせず2年以上経過してしまったら、治療費の補償が受けられなくなることがあります。

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労災給付の種類ごとの時効期間と起算日

労災保険の給付には種類ごとに申請できる期限があり、その期間を過ぎると請求できなくなります。給付にはそれぞれ「起算日(きさんび)」があり、時効のカウントが始まる日が決まっています。この起算日がいつになるかによって、申請の期限も変わってきます。

例えば、時効期間が「2年」で、2023年4月1日が起算日なら2025年3月31日が期限です。

以下に、給付ごとの時効期間と起算日を一覧でご紹介します。

給付の種類 内容の概要 時効期間 起算日
療養(補償)給付の療養の費用の支給 医療費の補償。治療にかかった費用を支給 2年

※療養補償給付自体は現物給付であるため、時効の問題は生じない

治療費を支払った日の翌日から
休業(補償)給付 仕事を休んだ期間の収入減少を補う給付 2年 賃金の支払いを受けなかった日ごとにその翌日から
葬祭給付 労働者が亡くなった場合の葬儀費用 2年 労働者が死亡した日の翌日から
介護(補償)給付 常時または随時介護が必要な場合の補償 2年 介護を受けた月の翌月の1日から
障害(補償)給付 障害が残った場合の補償 5年 ケガや病気が治癒(症状固定)した日の翌日から
遺族(補償)給付 労働者が亡くなった際に遺族へ支払われる補償 5年 労働者が死亡した日の翌日から
傷病(補償)年金 長期療養後も治らず、傷病が固定した場合の年金 なし(労働基準監督署長の職権によって支給が決まる) 請求時効なし(支払い請求権は会計法上5年)

労災の時効期間は多くのケースで「2年」か「5年」です。

  • 2年以内に申請が必要な給付:治療費、休業補償、介護、葬儀費用など
  • 5年以内に申請が必要な給付:障害が残った場合や、労働者が亡くなった場合
  • 傷病年金(長期の重い病気など):起算日なし。支給は長期継続の状態に応じて判断されます。

給付の種類ごとに時効がカウントされる

同じケガ・病気でも、給付の種類ごとに時効がカウントされるため、「治療費だけ時効を過ぎてしまったが、休業補償はまだ請求できる」などのケースもあります。

給付の内容によって起算日が違うため、「何が」「いつ」発生したかを整理しておくことが大切です。
忘れないようにするためには、診断書や医療費の領収書、会社からの通知など、関係書類を整理しておくと安心です。

労災を遡って請求できる?

労災が起きた当時は、ケガの対応や復職などに追われて申請どころではなかった、という方も少なくありません。このような場合、労災の時効の範囲内であれば、過去の分も請求できます。

時効内であれば遡って請求できる

労災保険は、時効期間内であれば、遡っての申請が可能です。

例えば、2年前に起きたケガの治療費をまだ申請していない場合でも、その治療費の支払いが「2年以内」であれば、今からでも申請できます。すでに治療が終わっている場合や、仕事に復帰していたとしても、時効内であれば関係ありません。

例1:療養給付(治療費)の遡り請求

2023年6月10日に整形外科で労災による治療を受け、自己負担で1万円を支払ったが、まだ労災申請していないケース。
→ 起算日は2023年6月11日
2025年6月10日までに申請すればOK

つまり、2025年6月10日までは、遡って請求できます

退職した後でも労災の請求はできる

労災が発生した職場をすでに退職している場合でも、時効の期間内であれば労災保険の請求は可能です。

退職の有無にかかわらず、「ケガや病気が勤務中に起きたものであること」が証明できれば、給付を受けることができます。申請の際には、勤務当時の状況を説明できる資料(就業中の事故報告、診断書、出勤記録など)をそろえておくとスムーズです。

例えば、退職後に体調が悪化し、「あのときの仕事が原因だったかもしれない」と気づいた場合でも、2年や5年の時効内であれば申請が認められる可能性があります。

注意点としては、会社側の協力が得られないこともあるため、労働基準監督署に直接相談するのがよいでしょう。本人の申し出で手続きを進めることができます。

時効を過ぎると原則請求できない

原則として、時効を過ぎたものは請求できません。

どんなに労災の内容が明らかであっても、「期限が過ぎている」という理由で受け付けてもらえないことがあります。

ただし、「やむを得ない事情」があったときは、次章で説明するような対応が認められるケースもあります。

【例外】労災の時効が過ぎても請求できるケース

原則として、労災保険給付の請求は、時効期間(2年または5年)を過ぎると消滅してしまいます。例えば、療養費用の支給の場合、治療費を支払った日の翌日から2年が経過すると、その治療費についての請求はできなくなります。ただし、すべてのケースで門前払いになるわけではありません。特別な制度によって、請求できる場合があります。

特別な法律によって救済されるケース(アスベストなど)

通常の労災申請では時効を過ぎていても、別の法律によって補償が受けられる場合があります。

例えば、アスベスト(石綿)による健康被害については、発症までに数十年かかることもあるため、「石綿による健康被害の救済に関する法律」に基づいて、特別遺族給付金が支給されることがあります。

この制度には別の申請期限が設けられているため、注意が必要です。

労災の申請ができるかどうか不安なときは、労働基準監督署や社労士、弁護士など専門家に早めに相談してみてください。

労災とは別に会社へ損害賠償請求した場合の時効は?

労災保険の給付とは別に、会社に対して損害賠償を請求できる場合があります。十分な安全対策をしていなかった場合や、長時間労働で健康を害した場合などが該当します。ただし、こうした請求にも時効があり、労災保険の時効とは異なる点に注意が必要です。

安全配慮義務(債務不履行)に基づく損害賠償請求の時効

会社が職場の安全に対する配慮を怠っていた場合、「安全配慮義務違反」として損害賠償を求めることができます。

この場合の時効は、権利を行使できると知ったときから5年、かつ事故などの原因が起こったときから10年(人の生命又は身体の侵害による損害賠償請求権の場合は20年間)とされています。

例:

  • 2022年4月に過労によりうつ病を発症し、2022年9月に労災と認定された
    → 使用者責任を認識したのが2022年9月
    → 損害賠償請求の時効は2027年9月まで(5年間)

※ 事故の時点から10年(20年間)を超えると、それ以前の損害は請求できない可能性があります。

不法行為に基づく損害賠償請求の時効

会社が違法な労働をさせた場合など、不法行為に基づいて損害賠償を求める場合もあります。この場合、損害や加害者を知ったときから5年(3年)または事故発生日から20年が時効の目安です。

  • 損害や加害者を知った日 → 「いつから5年(3年)」が始まるかを判断
  • 行為の発生日から20年 → それ以降はどんな事情があっても請求不可

民法改正前後で時効が変わる点に注意

2020年4月1日より前に起きた事故については、旧民法が適用されることがあります。

発生日 損害賠償の時効(不法行為による場合)
2020年3月31日以前 原則:知った日から3年かつ行為から20年
2020年4月1日以降 原則:知った日から3~5年かつ行為から20年
発生日 損害賠償の時効(債務不履行による場合)
2020年3月31日以前 原則:行為から10年
2020年4月1日以降 原則:知った日から5年かつ行為から10~20年

損害が起きた時期によって請求可能な期間が変わるため、事故の年月をしっかり確認しておきましょう。

労災の時効を理解し、損しないようにしよう

労災保険の給付には、種類ごとに決められた申請期限があります。治療費や休業補償の請求は2年以内、障害や遺族補償は5年以内が基本です。起算日は支払い日や症状固定日など給付ごとに異なります。

給付を受けるために、まずは時効と起算日を確認し、記録や書類を整理しておくことが大切です。

また、労災の時効を過ぎると原則として給付は受けられませんが、事情によっては例外が認められることもあります。まずは起算日と期限を正しく把握し、できるだけ早く行動することが大切です。時効が気になるときは、専門機関へ相談してみましょう。

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