- 更新日 : 2024年12月3日
厚生年金番号とは?いまは基礎年金番号?
厚生年金番号は、厚生年金保険加入者を識別するために用いられてきたものです。1997年1月、基礎年金番号の導入にともなって「基礎年金番号」に統合されました。厚生年金番号は、年金の種類に関係なく割り振られる基礎年金番号とは異なります。
この記事では厚生年金番号の概要や、年金番号の調べ方を紹介します。
目次
厚生年金番号とは?
厚生年金番号とは、1996年まで厚生年金への加入者一人ずつに定められていた番号のことです。
当時は厚生年金・国民年金・共済組合が独自に加入者への番号割り振りを行っており、別の年金に加入する際は番号も変更されていました。しかし、基礎年金番号が導入された1997年以降は、各年金ごとに割り振っていた番号がすべて同じ種類の番号に統合されています。
この章では厚生年金番号および基礎年金番号の概要、さらに厚生年金番号と同じく一人ずつ定められるマイナンバーとの違いについて解説します。
現在は、国民年金番号と統合され、基礎年金番号で統一
昔利用されていた厚生年金番号は、1997年に実施された国民年金番号との統一により「基礎年金番号」になりました。現在は各加入者の年金加入記録を管理するために活用されています。
こうした厚生年金番号ですが、従来は国民年金・厚生年金・共済組合がそれぞれ加入者の番号を割り振っていました。一方、基礎年金番号はいずれの年金でも共通で割り振られます。
この年金番号の統一によって、転職・退職で加入する年金が変わったり、年金を受給したりするようになっても同じ番号が使用され続けるようになりました。年金の支払いや相談をスムーズかつ確実に行えるようになったのです。
1997年1月以降に初めて年金加入する人は、基礎年金番号の割り振りを最初から受けた状態で加入します。加入時期が1996年12月より前であった場合、加入している年金が国民年金・厚生年金ならば従来の年金番号がそのまま基礎年金番号になります。年金を受給している場合は、最後に加入していた年金で用いられていた番号を基礎年金番号として扱います。共済組合の場合は新しく番号が割り振られます。
マイナンバーとなにが違う?
マイナンバーと基礎年金番号(厚生年金番号)は、主に利用目的が異なります。
マイナンバーは日本国内に住民票を置くすべての人を対象に割り振られている番号で、外国人であっても関係ありません。社会保障・税金・災害対策などの分野において、個人確認を行いやすくするために使用されます。
対して、基礎年金番号は年金加入関連の記録管理を行いやすくするために、各年金加入者へと割り振られている番号です。
近年では基礎年金番号でなくマイナンバーを使用するケースが多くなっており、従来ほど年金番号を用いる機会がありません。年金番号を使用する機会は減少しましたが、海外への転出や国民年金保険料の口座振替申し出などを行う際には基礎年金番号が用いられます。そのため、基礎年金番号を確認できる年金手帳などの書類は必ず保管しておきましょう。
厚生年金番号の調べ方
自分の厚生年金番号を確認する場合、さまざまな調べ方が利用できます。多くの場合は各資料で基礎年金番号を確認する形になるため、基礎年金・厚生年金両番号の関係について知っておかなくてはなりません。各種書類を利用しても年金番号がわからない場合は、勤め先の会社に確認する方法も考慮しましょう。
厚生年金番号は年金に関する手続きを行う際に高確率で求められます。年金番号の確認方法を覚えておき、必要に応じてすぐ確認できるように努めましょう。厚生年金番号を調べる方法について以下で詳しく解説します。
基礎年金番号通知書
基礎年金番号通知書が送付されている場合、通知書を確認すれば厚生年金番号がわかります。基礎年金番号通知書は「基礎年金番号が導入される以前から年金への加入を行っていた」「共済組合以外に加入していなかった」といった場合に送付されています。また、通知書には氏名・生年月日などと一緒に基礎年金番号も明記されています。4桁+6桁の基礎年金番号を確認しましょう。
もし基礎年金番号導入時点で厚生年金番号の割り振りを受けていた場合、基礎年金番号には元々の厚生年金番号が引き続き割り振られます。そのため、通知書に記載されている基礎年金番号と厚生年金番号は同じ値になっています。すでに年金の給付を受けていた場合も同様です。基礎年金番号として割り振りを受ける番号は、最後に加入していた年金の番号と同一になります。
年金手帳(2022年4月から廃止)
年金手帳を所持している場合、表紙の色が青ければ厚生年金番号を確認できます。青い年金手帳は1997年以降に年金加入を行った人に発行されたもので、手帳のなかで基礎年金番号を確認することが可能です。厚生年金への加入を行っていれば、基礎年金番号を厚生年金番号としても使用できます。ちなみに、年金手帳の色は時期によって水色のものもありました。青色と間違えないように注意しましょう。
なお、年金手帳は2022年3月までで廃止されており、新規の発行がなされなくなっています。すでに所持している年金手帳は使用できますが、新しく年金に加入する人や年金手帳の再発行を希望する人などには基礎年金番号通知書が交付されるため注意しましょう。基礎年金番号通知書にも基礎年金番号が表示されているため、厚生年金番号確認に利用できます。
参考:基礎年金番号・年金手帳について|日本年金機構
参考:日本年金機構からのお知らせ|日本年金機構
年金証書
年金の受給資格を満たした際に交付される年金証書でも、自分の厚生年金番号を確認できます。年金証書は「年金を受け取る資格がある」と証明する書類で、交付のためには必要な条件を満たした状態で厚生労働大臣に請求手続きを行う必要があります。年金証書は上部に基礎年金番号が記されており、厚生年金番号も同様の番号のためすぐに把握できます。
また、年金証書は紛失しても年金事務所・年金事務センターで再発行の申請が可能です。再発行申請のためには「年金証書再交付申請書」の提出が求められます。用紙は年金事務所などでもらえるため、身分証などを持参して記入・提出しましょう。年金手帳のように、基礎年金番号がわかるほかの書類を持参すればよりスムーズに進みます。
年金額改定通知書・年金振込通知書
年金受給者に送付される年金額改定通知書と年金振込通知書からも、厚生年金番号を確認できます。2種類の通知書は基本的に6月上旬~中旬に届き、両通知書が一体になった状態で送付されます。年金額改定通知書は改定された年金額について連絡する書類で、年金収入額の確認や証明に利用します。年金振込通知書は年度ごとの年金振込額を伝える書類で、「特別徴収」と呼ばれる天引きの詳細も確認できます。なお、両通知書はまとめて「統合通知書」とも呼ばれます。
2種類の通知書はどちらも「ねんきんネット」や「ねんきんダイアル」を利用して再発行の依頼が可能です。内容を確認したいだけであれば、再発行せずともねんきんネットから内容を閲覧できます。ねんきんネットの利用には登録IDが、ねんきんダイアルにはマイナンバー・基礎年金番号などの情報が必要です。
参考:毎年6月に届く年金額改定通知書・年金振込通知書とは?紛失したときは?(くろまめ)|取手市
会社に聞く
各種書類などを利用して確認できない場合、会社員であれば勤務先の会社に聞く方法もあります。会社に勤務している人は原則として厚生年金に加入しており、厚生年金加入の際に厚生年金番号が活用されます。そのため、会社側が各従業員の厚生年金番号を記録しています。会社の総務部・管理部・経理部などに聞けば、データを調べて教えてくれるでしょう。厚生年金・基礎年金の両番号は同じ値になるため、基礎年金番号を確認できるならばそちらでも問題ありません。
確認すべき部署はおおよそ会社の規模によって異なります。ある程度大きな会社では保険を扱う総務部や管理部が情報を持っているケースが一般的です。対して、小規模の会社では経理担当が給与明細の制作を担当しているでしょう。さらに小さな会社の場合、社外の社労士・税理士などによる役務提供を受けている可能性もあります。
自分の厚生年金番号を確認しよう
厚生年金番号の概要を解説して、さらに年金番号の確認に役立つ方法も複数紹介しました。厚生年金番号は現在「基礎年金番号」という名で扱われており、基本的には基礎年金番号を利用する形になっています。基礎年金番号は年金関連の各種書類で確認できるため、必要になったタイミングですぐ確認できるよう備えておきましょう。各種書類の再発行方法まで把握していれば、万が一紛失しても手間や被害を少なく抑えられます。
以前は厚生年金に加入している人がスムーズに年金の支払い・受け取りを行うために、厚生年金番号が重要でした。しかし、基礎年金番号に統合された現在では、ほかの保険との連携もスムーズに行えるようになり、幅広く年金番号を活用できるようになっています。厚生年金番号や基礎年金番号を問題なく扱えるように、まずは自分が割り振られている番号を確認してみましょう。
よくある質問
厚生年金番号とはなんですか?
厚生年金保険に加入している人に1996年まで定められていた番号で、1997年から基礎年金番号に変わりました。詳しくはこちらをご覧ください。
厚生年金番号はどうやって調べられますか?
年金手帳・基礎年金番号通知書・年金証書など、年金に関する各種書類に記載されています。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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