• 更新日 : 2024年8月29日

労災事故報告書とは?提出義務がある事故や記入例を解説

労災事故報告書は、一定の労災事故があったことを届け出る際に用いる書類です。事業場内で火災などが発生した場合は、労働安全衛生規則第96条の規定により、様式第22号を用いて報告しなければなりません。作成者は事業主、届出先は所轄労働基準監督署、提出期限は「事故発生後遅滞なく」となっています。提出を怠ると、労災隠しとみなされる恐れがあります。

労災事故報告書とは?

一定の労災(労働災害)が発生した場合は、報告義務が課せられています。提出が必要とされる書類の一つが、労災事故報告書です。労災事故報告書とは何か、提出する目的、どんな事故に必要か、誰が作成しどこに提出するか、その義務・期限について説明します。

労災事故報告書とは何か?

労災事故報告書は、報告義務のある労災が発生した場合、提出が求められる書類です。労働安全衛生規則第96条に規定する事業場内での火災や爆発などの事故があった場合に、労働基準監督署へ提出します。労災事故が発生した状況や原因を把握し、再発を防止する目的で作成・提出が義務づけられています。事業者が作成し、労災事故発生後に遅滞なく提出しなければなりません。

労働者死傷病報告との違い

労災が発生した場合の報告に用いる書類には、労災事故報告書の他に労働者死傷病報告があります。労働者死傷病報告は労働安全委衛生規則第97条に規定されている書類で、労働者が労災により死亡、あるいは休業した場合に提出が求められます。労災事故報告書は、被災したことによって死亡・休業した労働者の有無に関わらず提出が必要である点が異なります。

労災事故報告書の提出義務がある事故やケース

以下のような事故が発生した場合は、労災事故報告書の提出が必要です。

  1. 事業場や附属建設物内での、次の事故①火災または爆発
    ②遠心機械、研削といし、その他高速回転体の破裂
    ③機械集材装置などの切断
    ④建設物、附属建設物、機械集材装置、煙突などの倒壊
  2. ボイラーの破裂、煙道ガスの爆発などの事故
  3. 小型ボイラー、第一種圧力容器などの破裂の事故
  4. クレーンの逸走などの事故
  5. 移動式クレーンの転倒などの事故
  6. デリックの転倒などの事故
  7. エレベーターの昇降路などの倒壊などの事故
  8. 建設用リフトの昇降路などの倒壊などの事故
  9. 簡易リフトの機器の墜落などの事故
  10. ゴンドラの逸走などの事故

労災事故報告書の書き方

労災事故報告書の必要項目は、以下のとおりです。

    1. 事業の種類

日本標準産業分類の中分類により記入します。

  1. 事業場の名称
  2. 労働者数
  3. 事業場の所在地
  4. 労災事故の発生場所
  5. 労災事故の発生日時
  6. 事故を発生した機器などの種類
    事故発生の原因となった次の機械などについて、それぞれ次の事項を記入します。

    • (1)ボイラー、圧力容器に係る事故については、ボイラー、第一種圧力容器、第二種圧力容器、小型ボイラー、小型圧力容器のうち該当するもの
    • (2)クレーンなどに係る事故については、クレーンなどの種類、型式、吊上げ荷重、積載荷重
    • (3)ゴンドラに係る事故については、ゴンドラの種類、型式、積載荷重
  7. 下請事業の場合は親事業場の名称(建設業の場合は元方事業場の名称)
  8. 事故の種類
    火災、鎖の切断、ボイラーの破裂、クレーンの逸走、ゴンドラの落下など、具体的に記入します。
  9. 人的被害
    「その他の被災者の概数」の欄には、届出事業者の事業場の労働者以外の被災者の数を記入します。
  10. 物的被害
    「建物」の欄には構造及び面積、「機械設備」の欄には台数、「原材料」及び「製品」の欄にはその名称及び数量を記入します。
  11. 事故の発生状況
  12. 事故の原因
  13. 事故の防止対策
    事故の発生を防止するために今後実施する対策を記入します。
  14. 参考事項
    労災事故において参考になる事項を記入します。
  15. 報告書作者氏名

労災事故報告書の記入例

労災事故報告書は、以下のように記入します。

労災事故報告書の記入例

労災事故報告書のテンプレート・ひな形

この記事で紹介した労災事故報告書のテンプレートは、以下からダウンロードすることができます。

労災事故に関わる手続きの流れや対応

労災事故が発生した際に必要な手続きとその方法は、以下の通りです。

  1. 死亡、重大な労働災害・事故が発生した場合直ちに発生地を管轄する労働基準監督署に電話連絡

    遅滞なく労働者死傷病報告書・労災事故報告書を所轄の労働基準監督署に提出

  2. 1.以外の休業を伴う労働災害が発生した場合遅滞なく労働者死傷病報告を所轄の労働基準監督署に提出
  3. 事業場内での火災や爆発などの事故が発生した場合遅滞なく労災事故報告書を所轄の労働基準監督署に提出

労災隠しとならないよう、労災事故報告書はきちんと提出しよう

事業場などで火災や爆発、建設物・クレーンの倒壊、ワイヤロープの切断などの労災事故が発生した場合は、労災事故報告書の提出が必要です。様式第22号の形式を用いて、事故発生後に遅滞なく所轄の労働基準監督署に届け出なければなりません。

労災事故報告書は、死傷した労働者がいる労災事故が発生した場合に提出が必要な労働者死傷病報告とは異なります。対象となる労災事故が発生した場合、必ず所轄労働基準監督署へ提出する必要があります。提出を怠ると労災隠しとみなされる恐れがあるため、事故の大小に関わらず、きちんと提出義務を果たしましょう。

よくある質問

労災事故報告書は、負傷者がいなくても提出しなければなりませんか?

事業場内での火災や爆発など、定められた事故が発生した場合は、負傷者の有無に関わらず労災事故報告書の提出が必要です。詳しくはこちらをご覧ください。

労災事故報告書の提出先は?

労災事故報告書の提出先は、所轄労働基準監督署です。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。

労災の関連記事

新着記事