• 更新日 : 2024年2月29日

兼業とは?副業との違いやメリット・デメリット、注意点を解説!

兼業とは?副業との違いやメリット・デメリット、注意点を解説!

兼業とは、本業と同等の他の仕事を掛け持ちすることです。兼業の働き方は、企業などに雇用されるものや、起業して事業主として働くものなど様々です。本記事では、兼業とは何かや副業との違い、メリット・デメリット、注意点について解説します。

兼業とは?

兼業とは、本業と同等の収入や労働時間の他の仕事を掛け持ちをして行うことをいいます。本項では、兼業の定義や副業との違いについて解説していきます。

兼業の定義

兼業という働き方に、明確な法的定義はありません。一般的には、本業の他に同等な他の仕事を兼務していることを、兼業と呼んでいます。

兼業には明確な定義がないため、兼業を禁止する法律もありません。そのため、兼業を認めるかどうかも企業の裁量で決められますが、近年では兼業を認める企業も増えています。

兼業と副業の違い

兼業・副業ともに、本業以外の仕事を掛け持ちして行うことは同じです。しかし、両方とも明確な法的定義がないため、大きな違いはなく区別することもほとんどありません。

一般的に、副業は本業よりも低い収入や短い労働時間でのサブ的な仕事と捉えられていて、兼業は本業と同等の収入や労働時間の仕事として捉えられることが多いです。

兼業が注目される背景は?

近年働き方が多様化して、兼業を希望する方が増えています。収入を増やすため、本業だけでは生活できない、時間を有効活用するためなど理由は様々です。兼業が注目されるようになった背景に、国が働き方改革や人材の流動化のために兼業を積極的に推進していく方針があります。

本項では、兼業が注目されるようになった「副業・兼業の促進に関するガイドライン」「モデル就業規則の改訂」について解説します。

副業・兼業の促進に関するガイドライン

2018年1月に厚生労働省が副業や兼業を促進するために、「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を作成しました。このガイドラインは、兼業を導入する企業や労働者に対して、現行の法令のもとでの注意点や、導入の方法などをまとめたものです。

このガイドラインは、安心して副業や兼業をできるようなルールを明確化するために2020年9月に1度目の改定をしています。また、2022年7月には、労働者が適切な職業の選択と、多様なキャリア形成を図っていくために2度目の改定をしています。

参考:副業・兼業の促進に関するガイドライン|厚生労働省

モデル就業規則の改訂

2018年1月のモデル就業規則の改定により、労働者の遵守事項にあった「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと」 という規定を削除しています。また、モデル就業規則に、副業、兼業についての規定を新設しています。

参考:モデル就業規則|厚生労働省労働基準局監督課

兼業のメリットは?

従業員が兼業すると、従業員だけでなく企業も様々なメリットを得ることが可能です。本項では、従業員が兼業することによる企業側のメリットについて解説します。

従業員の知識やスキルが向上し自社へ還元される

従業員が兼業することにより、社内だけでは取得できない知識やスキルを獲得できます。その結果、知識やスキルが社内に還元され、自社の生産性が向上し事業機会の拡大につながるでしょう。

従業員の自律性や自主性を促してモチベーション向上につながる

従業員が自社以外の仕事をすることにより、自律性や自主性を促してやりがいをみつけることができます。また、兼業することで収入が増えたり、成功したり、活躍の場が増えたりすることで、本業へのモチベーションの向上にもつながるでしょう。

優秀な人材流出の防止につながる

企業が兼業を認めることにより、企業を辞めずに兼業として従業員のやりたい仕事ができるようになります。その結果、企業の満足度が上がり、優秀な人材が流出することがなくなって企業の価値も低下せずに済みます。

企業がイメージアップすることで優秀な人材の獲得につながる

兼業を認めている企業ということをアピールすることで、企業のイメージアップにつながります。イメージアップすればその企業で働きたい人が増えて、優秀な人材の獲得につながるでしょう。

兼業のデメリットは?

従業員が兼業することを企業が認めることは、企業にとってメリットだけではありません。本項では、従業員が兼業することによる企業側のデメリットについて解説します。

自社の業務への影響がある

従業員が兼業すると自社の業務以外の仕事に時間を取られることになり、少なからずとも時間や労力がかかり疲労を感じる可能性もあります。その結果、作業効率が落ちて自社の業務に影響する可能性があるため注意が必要です。

労務管理が複雑になる

従業員が兼業している場合、2社に勤務しているなどの状況によっては、自社の労働時間と他社の労働時間を通算します。時間外労働に対する割増賃金についても、自社の労働時間と他社の労働時間を通算して発生し、支払義務があるのは後から雇用契約を締結した企業です。

兼業している従業員の労働時間を把握するためには、他社での労働時間を聴取する必要があり、兼業をしていない従業員よりも労務管理が複雑になります。

機密情報漏洩のリスクがある

兼業をしている従業員が、一方の企業で他方の企業の機密情報を漏らしてしまうリスクがあります。自社の保有している技術や重要な情報などが漏洩してしまった場合には、企業が受けるダメージも大きくなるでしょう。兼業をする従業員には、事前に秘密保持契約を交わしておくことが大切です。

優秀な人材の流出につながる可能性がある

従業員が兼業をすることで、一方の企業に魅力を感じたり、独立や起業につながったりすることがあります。その結果、優秀な人材が流出してしまう可能性もあるでしょう。

企業が兼業を認める場合の注意点は?

企業が兼業を認める場合には、注意しておかなければならない様々な点があります。本項では、企業が兼業を認める場合の注意点について解説します。

就業規則に兼業のルールなどを記載しておく

兼業を認める場合であっても、兼業を認める条件や兼業する場合の届け出、企業秘密の漏洩の禁止など、兼業に関するルールを就業規則に記載しておく必要があります。就業規則にきちんと兼業のルールを記載していない場合、トラブルに発展する可能性があるため注意が必要です。

兼業についての届出制度の制定

兼業をする場合には、適切な労務管理を行うために、他社での業務内容や労働時間の届け出をしてもらう必要があります。また、情報漏洩などのトラブルを防ぐために、自社の業務に支障をきたさないための誓約書などを提出してもらうとよいでしょう。兼業を認める場合には、届出制度の制定をすることが重要です。

秘密保持義務などの確保

従業員が兼業を始める場合に疎かになりがちな、従業員の職務専念義務秘密保持義務競業避止義務をどう確保するかが注意点になります。

職務専念義務とは、就業時間中に職務に専念しなければならない義務のことです。秘密保持義務とは、自社の技術や機密情報などを漏洩させない義務になります。競業避止義務とは、自社に不利益になるような競業行為を禁止することです。

兼業に関するルールを徹底することが企業と従業員の双方のメリットとなる

企業が従業員に兼業を推進する場合、ルールを決めずにただ認めるだけでは、お互いの兼業に対する認識が異なりトラブルに発展する可能性があります。

一方、企業と従業員の兼業に対する双方の認識が共有できていれば、従業員のスキル向上による企業の生産性の向上、優秀な人材の獲得や流出防止につながります。

兼業を企業と従業員双方の大きなメリットにつなげるためには、就業規則などの社内規定に兼業に関するルールを記載して徹底することが大切です。


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