• 更新日 : 2024年4月5日

さとり世代とは?ゆとり世代やつくし世代との違いや特徴を解説!

さとり世代とは、「物欲が少なく消費行動よりも安定した生活を好む」若者気質を指した言葉です。1980年代後半から2000年代前半に生まれた人々を指します。「インドアを好む」「合理的」「非ブランド志向」などのいくつかの特徴があります。ここでは、さとり世代の特徴や適した接し方について解説します。

さとり世代とは

さとり世代とは、「物欲が少なく消費行動よりも安定した生活を好む」若者気質を指した言葉です。明確な定義はありませんが、1987〜2003年頃に生まれた世代で、2010年代に若者であった人々を指します。さまざまな物を欲しがる物欲にとらわれない様子が、あたかも悟りを開いているようだとして、インターネットから広まった言葉といわれています。

2013年に、新語・流行語対象にノミネートされ、書籍タイトルにも使われたことから、広く知られるようになりました。

さとり世代とゆとり世代の違い

ゆとり世代とは、いわゆる学習指導要領の改定によるゆとり教育を受けた世代をいいます。ゆとり世代の範囲は諸説ありますが、狭義には1987年から2004年産まれのゆとり教育を受けてきた世代といわれています。2002年度に施行された「生きる力」を主題とした学習指導要綱のもとで教育を受けた世代です。

ゆとり世代は、受けてきた教育方針から「他者と同じような評価を得ることに安心する」傾向があるといわれます。さとり世代とは年代が重なる部分が多いですが、それぞれ特徴としているポイントが異なります。

さとり世代とつくし世代の違い

つくし世代とは、「人に尽くす」という行動傾向が高い世代を指した言葉です。明確な定義はありませんが、主に1985年以降に生まれた人を指すといわれます。

ゆとり世代、さとり世代と重なる世代ですが、つくし世代の特徴は主に人間関係にあらわれます。SNSで地元の友達とつながり、年齢が上がっても付き合いが続いている点が特徴です。また、1992年の学習指導要綱で小学校において個性を重視する教育が行われたことから、つくし世代は自分の価値観やフィーリングを重視する傾向があります。

さとり世代とZ世代の違い

Z世代とは、主に1990年代後半から2012年頃に生まれた世代を指します。主に欧米での呼び方であり、デジタルネイティブ、SNSネイティブとも呼ばれる世代です。さとり世代と重なる部分はありますが、さらに若い年代といえます。

さとり世代はいつの世代?年代について

1980年後半から2000年代前半に生まれた人々を指すさとり世代。物をあまり欲しがらない、昇進や昇給に興味を示さない、安定した生活を好むという世代の特徴には、生まれ育った時代背景が関係しています。

  • 1991~1993年頃:バブル崩壊
  • 1995年:阪神淡路大震災
  • 2009年:リーマンショック
  • 2011年:東日本大震災

バブル崩壊時、幼少期だったさとり世代には、「日本の経済がよくなる」という感覚がありません。10代・20代に差し掛かったころにリーマンショックが発生し、就職活動に影響があったという世代でもあります。さらに、大きな自然災害は人生観そのものに影響を与えています。

さとり世代の特徴

生まれた年代のすべての人がさとり世代の特徴を持つわけではありませんが、一般的にいわれていることがあります。さとり世代の特徴について見てみましょう。

非ブランド志向

物欲の少ないさとり世代は、高級ブランド品に興味を示さない傾向があります。過剰な浪費を好まないという点も関係しているでしょう。ブランド品=ステータスが高いという意識が一般的ではありません。

一方、他者の口コミなどを参考に実用性の高い製品を手に入れることが得意です。不要なものは売買し、自分が好むものを手にれるといったように、物を購入する際に合理的な部分を重視します。

デジタルネイティブと呼ばれる

さとり世代は、インターネット技術の発展とともに成長してきたことから、デジタルネイティブとも呼ばれます。インターネット、パソコンはもちろんのこと、幼少期からSNSやディバイスがあるのが当たり前だった、という人も少なくありません。

インターネットを通じての情報収集が、さとり世代の通常の方法です。友人とつながることもSNS・デジタルがきっかけとなります。

現実主義

自然災害や不況などの社会的影響を見てきたさとり世代は、実現困難な目標をあまり持たないという傾向があります。挑戦しても叶うか分からない夢には、消極的になるというのがさとり世代の特徴です。現実と安定性を重視するため、努力の結果が見えやすい物事には着実に取り組む傾向があります。

安定性を重視する

さとり世代は安定性を重視します。といっても、一つの企業に留まれば安定という生き方は、さとり世代にとっては常識ではありません。むしろ、経済的不安により大企業でも倒産する可能性があると知っているからこそ、企業に依存せずに働けるキャリアを模索します。自らスキルを磨いたり、パラレルワークなどの掛け持ちをしたりするのも、さとり世代の特徴といえます。

他人との衝突を嫌う

さとり世代は、他人との衝突を避け、適度な人間関係が保たれるのを好みます。職場の飲み会に参加しないなど、他人と親密になりすぎるのを避けるのがさとり世代の傾向といえます。といっても、人付き合いが苦手なわけではありません。他人との良好な関係を好むことから、基本的に人当たりのよいコミュニケーションに長けています。

アウトドアよりもインドア派

インターネットの普及とともに育ったさとり世代は、インドア派が多いといわれます。Webサービスなどを活用し、インドアでも友人たちとの交流も可能です。自分のペースで楽しめる休日の過ごし方を好むのが、さとり世代の傾向といえます。

さとり世代の仕事のやり方

さとり世代と職場でうまく付き合うためには、さとり世代の仕事観を押さえておきましょう。

効率重視・スピード感がある

さとり世代は、タイムパフォーマンスを重視します。IT技術を活用し、旧来の方法を変えて効率的なやり方を好む傾向があります。限られた時間内に行う業務に適しているといえます。

必要以上の仕事をしない・指示には忠実

自ら仕事を探すといった能動的な傾向が少ないさとり世代には、明確な指示が重要です。何をして欲しいのか会社の期待感を伝えるとともに、具体的な仕事内容についての指示を出しましょう。

プライベートを重視する

さとり世代は、プライベートの時間を重視します。決まった勤務時間は真面目に働きますが、急な残業等には難色を示すこともあります。繁忙期など、あらかじめ忙しくなることが分かっている場合には、勤務時間や仕事量について共有したほうがよいでしょう。

帰属意識が低め

終身雇用を前提としないさとり世代は、会社への帰属意識が低い傾向にあります。個人としてのスキルアップを仕事で重視しているため、自分にとって有益でない仕事と判断した場合には、転職の決断が早い場合もあります。

さとり世代の仕事のマネジメントの仕方

さとり世代を育成する際のマネジメントのポイントについて解説します。

① 主体性を重んじた提案を行う

具体的な指示を必要とするさとり世代ですが、「上司が指示するだけ」という状況だと、指示を命令と捉えてしまう可能性があります。具体的な指示を前提としつつ、提案ベースで物事を進め、相手の主体性を重んじる形式にしましょう。「〇〇については、〇〇がいいと思うけど、どうかな?」と、相手が主体的に仕事に関われるようマネジメントを行います。

➁ 結果よりもプロセスを評価する

さとり世代は、仕事に対して適切に評価されていないと不満を感じる傾向があります。帰属意識が少ないため、不満が離職につながる可能性も高いといえます。結果だけではなく、プロセスを評価するのは、さとり世代に有効です。

③ PNP法を積極的に活用する

PNP法とは、よい点をはじめに伝え、次に改善点を伝え、最後によい点を伝えて終わるというフィードバックの方法です。

SNSでの「いいね!」という他者からの高評価を手軽に得られるさとり世代は、受け入れられない相手を「ブロック」してしまう傾向があります。PNP法を活用することで、さとり世代にとって受け入れやすいフィードバックを行うことが可能です。

④ マニュアルを整備する

効率重視のさとり世代にとって、マニュアルは重要なツールです。マニュアル通りに行えば大丈夫という状況が、さとり世代にとって安心感を生み出します

⑤ 感情よりも合理性を重視する

指導する際は、感情や主観ではなく、事実と結果に基づいた指導を行います。「営業の提案件数が30%落ちているので、今月の営業成績は20%未達です。今後の提案活動件数について話し合いましょう」と、ポイントを絞った客観的なマネジメントを行います。合理性を重視するさとり世代にとっては、何をどのように改善すればいいのか受け入れやすいため、行動の改善につながります。

さとり世代との付き合いかた

世代が違えば、大事にするものや考え方も異なります。違いを踏まえたうえで付き合うのが、スムーズな人間関係構築につながります。

① プライベートを重視・下手に立ち入らない

仕事とプライベートのバランスを重視するさとり世代にとって、職場の人間関係とプライベートの人間関係は別物です。仕事上、やり取りが多くても、プライベートの話題に無理に踏み込まないことが大切です。プライベートについて知らなくても、仕事上で信頼関係を築くことは可能なので、業務を通じての付き合い方に重きをおきましょう。

➁ 精神論や根性論を語らない

合理性や効率を重視するさとり世代にとって、精神論や根性論が逆効果になることがあります。重要な業務について説明するときは、なぜ重要なのかを合理的に説明することが重要です。「前からあるものだから」「みんなが大事にしているから」というような精神論では、納得してもらえないこともあります。物事を理論的に伝えることが重要です。

さとり世代意外の世代の種類

さとり世代以外に、次のような世代の呼び方があります。

しらけ世代

しらけ世代とは、主に1950~60年代に生まれた世代といわれます。物事に対して斜めに構え、無関心に振舞うのがこの世代の特徴です。しらけ世代には、学生運動に参加した人もいます。行動しても政治が変わらなかったという経験から、社会や世間に対してしらけている、という傾向が生まれました。

バブル世代

日本の好景気に生まれた世代は、バブル世代と呼ばれます。一般的には、1965年から70年ごろに生まれた人々を指します。仕事を通じて生活がよくなる、昇進する、うまくいくというポジティブな感覚を持っています。人間関係を広げ、コミュニケーション能力に優れているのが特徴です。

氷河期世代

氷河期世代とは、バブル崩壊後の就職氷河期と呼ばれた時期に、社会に出た人々を指します。エントリーシートを送っても面接にも通らない、大学を出ても就職先がないなど、キャリア形成が難しかったというのが氷河期世代の特徴です。

社会的な不景気の影響を受けたことから、氷河期世代の非正規社員・派遣社員の不均等・不合理な待遇が社会問題にもなりました。

プレッシャー世代

プレッシャー世代とは、主に1980年代に生まれた人々を指す言葉です。ゆとり世代と氷河期世代の間に該当し、社会の困難さを見て育ちました。そのため、社会に出てまっとうに生活することにプレッシャーを感じ、そのことからプレッシャー世代と呼ばれるようになりました。

ミレニアル世代

ミレニアル世代とは、1980~1990年代半ばに生まれた人々で、インターネットの普及とともに育った世代です。インターネットでのコミュニケーションや、デジタル機器の扱い方について学びながら成長した世代ともいえます。

さとり世代の傾向を知って職場のマネジメントに役立てる

さとり世代は、効率重視、プライベート重視といった特徴があります。世代が違えば、仕事に対する価値観もさまざまです。相手の考えを知れば、効果的なアプローチをとることも可能となるでしょう。

ただし、該当する生まれた年代のすべての人がさとり世代の特徴を持つわけではありません。考え方や仕事観は人それぞれであり、なかにはさとり世代の特徴を持たない人も大勢います。大切なのは個々の性格や考え方にに合わせて、適切な指示・教育をすることです。さとり世代に対してマネジメントに悩んだ際には、さとり世代の特徴や仕事観を参考とし、個々の人間性に着目して対策を立てるのがよいでしょう。


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