• 更新日 : 2026年9月1日

有給休暇の規定とは?付与日数・繰り越し・時季変更権をわかりやすく解説

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Point有給休暇の規定はどう決まる?

有給休暇の規定は労働基準法第39条に基づき、付与条件・日数・繰り越し・時季変更権など複数のルールで構成されています。

  • 入社6カ月・出勤率8割以上で付与
  • 最大20日、パートは比例付与
  • 未消化分は2年で時効消滅

Q. 有給休暇は年何日取得しなければなりませんか?

A. 年10日以上付与される労働者は、使用者が年5日を時季指定して取得させることが法律で義務付けられています。

有給休暇の規定は、労働基準法第39条を根拠に、付与条件や日数、繰り越し、時季変更権など複数のルールで構成されています。本記事では、年次有給休暇の定義から、正社員・パートの付与日数、繰り越しと時効、半日・時間単位年休、労務担当者が管理で直面しやすい課題まで、企業の労務管理に必要な知識を整理して解説します。

有給休暇の規定とは?

有給休暇の規定とは、労働基準法第39条に基づき、一定の要件を満たした労働者に対して賃金を減額せずに休暇を付与することを定めたルールを指します。業種・業態や雇用形態を問わず、要件を満たす労働者すべてが対象となる点が特徴です。

労働基準法における有給休暇の定義

有給休暇(年次有給休暇)は、雇い入れの日から6カ月継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した労働者に対して付与しなければならないと定められています。条文には「使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない」とあります。

正社員だけでなく、パートタイマー・アルバイト・契約社員・派遣社員なども、この2つの要件を満たせば対象となります。有給休暇の目的は、労働者の心身の疲労回復とワークライフバランスの確保にあるとされています。

参考:労働基準法|e-Gov法令検索

有給休暇と代休・休日の違い

有給休暇は「本来の労働日に休んでも賃金が支払われる」制度であり、休日出勤の代償として別日を休みにする代休とは性質が異なります。代休は休日労働分の割増賃金が発生する一方、代わりに休んだ日はノーワーク・ノーペイの原則により賃金が発生しないため、トータルの出勤日数と賃金は変わらない仕組みになっています。

これに対し有給休暇は、実際には労働していないにもかかわらず出勤したものとして扱われ、賃金が支払われる休暇である点が代休や、法定休日・所定休日とも異なります。

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有給休暇の付与日数はどのように決まる?

有給休暇の付与日数は、労働者の週所定労働日数・時間と勤続年数によって決まります。フルタイムの正社員は最大20日、パート・アルバイトは所定労働日数に応じた比例付与という2つの体系があります。

通常の労働者(正社員など)の付与日数

週の所定労働日数が5日以上、または週の所定労働時間が30時間以上の労働者は、雇い入れから6カ月継続勤務した時点で10日の有給休暇が付与されます。その後は1年ごとに勤続年数に応じて日数が増加し、最大で年20日となります。

勤続年数 付与日数
6カ月 10日
1年6カ月 11日
2年6カ月 12日
3年6カ月 14日
4年6カ月 16日
5年6カ月 18日
6年6カ月以上 20日

参考:年次有給休暇の付与日数は法律で決まっています|厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署

パート・アルバイトの比例付与

週所定労働日数が4日以下、または年間所定労働日数が216日以下で、かつ週所定労働時間が30時間未満の労働者には、労働日数に応じた比例付与が適用されます。たとえば週3日勤務の場合、雇い入れから6カ月継続した時点で5日の有給休暇が付与されます。

なお、週の労働時間が30時間未満であっても、週5日勤務の場合は比例付与の対象外となり、正社員と同じ日数が付与される点に注意が必要です。比例付与の具体的な日数は、週所定労働日数(または年間所定労働日数)と勤続年数の組み合わせによって、以下のように定められています。

週所定労働日数 年間所定労働日数 6カ月 1年6カ月 2年6カ月 3年6カ月 4年6カ月 5年6カ月 6年6カ月以上
4日 169日〜216日 7日 8日 9日 10日 12日 13日 15日
3日 121日〜168日 5日 6日 6日 8日 9日 10日 11日
2日 73日〜120日 3日 4日 4日 5日 6日 6日 7日
1日 48日〜72日 1日 2日 2日 2日 3日 3日 3日

参考:年次有給休暇の付与日数は法律で決まっています|厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署

有給休暇はいつ、どのように取得できる?

有給休暇の取得時季は、原則として労働者自身が指定する権利(時季指定権)を持ちます。ただし事業の正常な運営を妨げる場合に限り、会社側に休暇時季を変更する権利(時季変更権)が認められています。

労働者の時季指定権と会社の時季変更権

労働者が請求した時季に有給休暇を与えると事業の正常な運営が妨げられる場合、使用者は休暇日の変更を求めることができます。ただし、この時季変更権が認められるのは、同じ日に多くの労働者が休暇を集中して指定した場合などに限られ、単なる「業務多忙」を理由とした変更は認められないとされています。

年5日の時季指定義務と有給休暇管理簿

2019年4月1日以降、年10日以上の有給休暇が付与される労働者に対して、使用者は年5日について時季を指定して取得させることが義務化されました。この時季指定にあたっては、使用者はあらかじめ労働者の意見を聴取し、その意見を尊重するよう努めることとされています。また、使用者は労働者ごとに年次有給休暇管理簿を作成し、3年間保存しなければならないと定められています。

この年5日取得義務は、正社員・パート・アルバイトなど雇用形態を問わず、年10日以上の有給休暇が付与されるすべての労働者が対象となります。

参考:年5日の年次有給休暇の確実な取得|厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署

有給休暇はどのタイミングで繰り越され、消滅する?

有給休暇の請求権は、発生の日から2年間で時効により消滅します。付与から2年間は繰り越しが可能なため、当年度に消化しきれなかった分は翌年度に持ち越すことができます。

繰り越しの計算例

有給休暇は入社後6カ月時点から権利が発生し、1年経過するごとに新たな日数が付与されます。たとえば、入社6カ月で付与された10日の有給休暇を5日消化した場合、入社1年6カ月の時点で新たに11日が付与されると、残日数は「繰り越し5日+新規付与11日=16日」となります。

時効による消滅と買い上げの扱い

年次有給休暇は、発生の日から2年間で時効により消滅すると労働基準法第115条に定められています。したがって、最初に付与された分は入社から2年6カ月を経過する時点で未消化のまま消滅します。

また、会社が有給休暇の買い上げを約束して残日数を減らしたり、労働者が請求した日に取得させないようにしたりすることは、有給休暇本来の目的に反するため違法とされています。一方で、時効消滅時や退職時に残っている未消化分を事後的に買い上げることは、事前の買い上げとは異なり、法律に反しないと解釈される場合があります。

有給休暇は半日単位・時間単位で取得できる?

有給休暇は1日単位での付与が原則ですが、労使協定を締結すれば時間単位年休として取得させることも認められています。半日単位についても、労働者の希望と会社の同意があれば運用可能とされています。

半日単位の有給休暇

半日単位の有給休暇は法律上明文化された制度ではありませんが、使用者が任意に導入することを妨げるものではないとの司法判断が示されています。労働者が希望し、会社が同意した場合に限り、半日単位での取得が可能となります。

時間単位年休の上限

事業場の労働者の過半数で組織する労働組合、または過半数代表者との労使協定を締結すれば、時間単位で有給休暇を与えることができます。ただし、時間単位で取得できる日数は年5日分が上限と定められています。

参考:年5日の年次有給休暇の確実な取得|厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署

有給休暇の規定に基づいた管理の実態

有給休暇の付与や繰り越しには様々な規定がありますが、実務において多くの労務担当者がその管理に負担を感じています。株式会社マネーフォワードが有給休暇の管理業務に携わる担当者を対象に実施した調査で、管理実務において特に工数がかかっている作業を尋ねました。その結果、最も工数がかかっているのは「半日単位や時間単位など、複雑な取得形態への対応」で29.6%でした。次いで「繰り越し分の有効期限(時効)の管理」が28.9%、「入社時期や労働条件に応じた付与日数の算出」が28.5%と続いています。

このように、従業員一人ひとりの労働条件に合わせた付与日数の計算や、2年で時効を迎える繰り越し日数の管理は複雑化しやすく、人事労務担当者の大きな課題となっています。

適切な有給休暇の管理に向けて

有給休暇の付与日数や繰り越しの計算を手作業で行うことは、ヒューマンエラーの原因となり得ます。そのため、勤怠管理システムなどを導入し、複雑な日数の算出や有効期限の管理を自動化することが重要です。システムの活用により、担当者の実務負担を軽減しつつ、法律の規定に則った正確な有給休暇の管理が可能になります。

出典:マネーフォワード クラウド、管理実務において特に工数がかかっている作業【有給管理に関する調査データ】(回答者:有給休暇の管理業務に携わっている646名、集計期間:2026年4月実施)

有給休暇の規定を正しく理解し適切な運用につなげよう

有給休暇の規定は、労働基準法第39条を基本に、付与条件・日数・繰り越し・時季変更権・時季指定義務など複数のルールで成り立っています。年次有給休暇の管理を正しく行うためには、雇用形態を問わず要件を満たす労働者に日数を正確に付与し、時効や取得義務の管理まで一貫して行う体制づくりが重要です。

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よくある質問

有給休暇の定義を教えてください

労働基準法第39条で定められた労働者の権利です。有給休暇は労働する義務を免除され、賃金が支払われる日のことを指します。会社は、要件を満たした従業員に対して継続年数に応じた有給休暇を付与します。 詳しくはこちらをご覧ください。

有給休暇の繰越とリセットのタイミングを教えてください

有給休暇は翌年度に限り繰り越すことができるため、年間で最大20日繰り越すことが可能です。また、有給休暇の時効は2年間です。付与されたタイミングから2年を経過した時点でその有給休暇は消滅します。 詳しくはこちらをご覧ください。


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