• 作成日 : 2022年7月29日

有給休暇の規定を解説!付与日数など

有給休暇の規定を解説!付与日数など

有給休暇は、労働基準法で定められた労働者の権利です。会社は、一定の要件を満たした従業員に対して、法律の規定に従い有給休暇を付与しなければいけません。今回は、付与の条件や、有給休暇の繰り越し、リセットされるタイミングなど適切な労務管理のために必要となる知識について解説します。

有給休暇の定義

有給休暇とは、法律で定められた労働者の権利です。従業員は賃金の支払いを受けられる休暇として、原則としていつでも自由に取得することができます。ここでは、有給休暇の定義と、代休などの違いについて解説します。

労働基準法における有給休暇の定義

有給休暇(年次有給休暇)は、労働基準法第39条で定められた労働者の権利です。それによると、雇い入れた日から6カ月継続し、全労働日数の8割以上を出勤した従業員に対して、会社は勤続年数に合わせて有給休暇を付与しなければならないとしています。

第三十九条 使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない。(引用:労働基準法第39条|e-Gov法令検索

有給休暇は、業種や業態、正社員やパートタイムなどの雇用形態に関わらず、「6カ月以上の継続勤務」「全労働日の8割以上の出勤」という要件を満たした従業員に対して与えられます。

法律上、「休暇」とは本来あるべき労働義務が免除された日を指します。「休暇」には有給休暇のほか、産前産後休業や育児・介護休業、生理休暇、看護休暇、子の看護休暇などがあり、従業員は申請することによって権利を行使できます。

有給休暇と代休の違い

労働が免除され、実質賃金の減額が伴わないものに「代休」があります。代休とは、本来休日である日に出勤し、その後、代償として他の労働日を休日とするものです。

代休では、会社の規定で休日と定められている日に労働するため、その労働時間に対しては休日労働または時間外労働として割増賃金が発生します。しかし、休日出勤した代わりに休んだ日は、ノーワーク・ノーペイの原則により賃金が発生しません。したがって、同じ賃金計算期間で代休を取得した場合には、休日労働した分1日出勤が増加し、代わりに休んだ分1日出勤が減少するため、トータルの出勤日数は同じになり、賃金の減少が伴わないことになります。

対して、有給休暇は、休暇を取得しても出勤したものとして扱います。しかし、賃金が支払われる休暇ではあるものの、実際には労働していないため労働時間としてはカウントされず、代休のように割増賃金が発生することはありません。

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有給休暇の付与日数

有給休暇の日数は、従業員の勤続年数に応じて付与されます。

通常の労働者の有給休暇日数

いわゆる正社員のような、週の所定労働日数が5日以上または週の所定労働時間が30時間以上の従業員の場合、雇い入れの日から6カ月(0.5年)継続勤務した時点での付与日数は10日となります。その後、1年ごとに「11日」「12日」と増え、最大で年間20日の有給休暇が付与されます。

有給休暇の付与日数1

引用:年次有給休暇の付与日数は法律で決まっています|厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署

パートタイムやアルバイトの有給休暇日数

パートタイムやアルバイトのように「週の所定労働時間が5日未満」「週の所定労働時間が30時間未満」の両方を満たす従業員の場合は、労働日数に合わせた比例付与が採用されます。比例付与の対象となるのは、以下の2点に該当する従業員です。

  • 週所定労働日数が4日以下、または年間所定労働日数が216日以下
  • 週所定労働時間が30時間未満

たとえば、「週3日のパート従業員」の場合、雇い入れの日から6カ月(0.5年)継続した時点で5日の有給休暇が付与されます。

有給休暇の付与日数2

引用:年次有給休暇の付与日数は法律で決まっています|厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署

また、2019年4月1日より、年10日以上有給休暇が付与される労働者に対して、使用者は5日以上の有給休暇を取得させることが義務化されました。この有給取得義務は、年10日の有給休暇が付与される労働者であれば、正社員・パート・アルバイトなどの雇用形態を問わず、対象となります。

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有給休暇に関する注意点

有給休暇の適切な管理のためには、従業員ごとの付与日数をきちんと把握することが重要です。有給休暇の繰り越し期限やタイミングの扱い、週20時間未満などの短い勤務時間で働くパートやアルバイトの有給休暇への注意点について解説します。

有給休暇の繰越とリセットのタイミング

有給休暇は、入社後6カ月時点から権利が発生し、1年経過するごとに新たな有給休暇が付与されるのが通常の流れです。付与された有給休暇は、2年間有効であり、年間最大20日を繰り越すことができます。

たとえば、入社6カ月で付与された10日の有給休暇を5日消化した場合、入社1年6カ月の時点で新たに有給が付与されると、「繰り越した5日+新たに付与された11日=16日」という有給休暇の残日数の計算になります。有給休暇の時効は2年間ですので、入社から2年6カ月経過するまでに一番最初に付与された5日間を取得しなかった場合、その有給休暇は消滅します。

未消化の有給休暇については、「会社側が買い取る」ように従業員から要望を受けるケースもあるでしょう。しかし、会社側が有給休暇を買い上げ、金銭と交換することを約束して、有給休暇の残日数を減らしたり、労働者が請求した日に有給休暇が取得できないようにすることは違法であるとの行政解釈も示されています。これは、有給休暇を買い取ることで、本来の「労働者を休憩させ、心身の回復を図る」という有給休暇の目的に反してしまうためです。

ただし、時効を迎える有給休暇の消滅時、または退職時に残っている有給休暇を会社側が買い上げることは、事前の買い上げとは異なり、法律には反しないと見なされることもあります。

パート・アルバイトの有給休暇

パートやアルバイトは有給休暇の対象ではないと主張する会社もありますが、それは誤りです。労働基準法に定められた通り、週所定労働日数、時間が短い従業員に対しても、比例付与に従い有給休暇が与えられます。

ただし、比例付与の要件に合致していることが重要です。たとえば、「1日の所定労働時間が4時間、週5日勤務、合計20時間勤務」という勤務体系の場合、比例付与の要件である「週所定労働日数が4日以下」を満たしません。その場合は、正社員などの通常の労働者と同じ日数で有給休暇が付与される点に注意が必要です。

有給休暇の制度は会社によって違う

これまで説明した有給休暇の付与タイミング、日数、繰り越し上限等は、全て法律で定める下限値となります。会社が独自の規定を設け、従業員に有利な形で制度を整えることは問題ありません。

たとえば、有給休暇の日数の管理をしやすいよう、入社日から付与する形で制度設計する会社もあります。特に、近年は「年5日の有給休暇取得の義務」が定められたことにより、会社に対して適切な有給休暇の管理が求められています。自社の状況を把握すると共に、有給休暇の取得を促す体制を整えましょう。

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規定を理解した上で有給休暇を正しく付与しよう

有給休暇は、労働基準法で定められた労働者の権利です。「パートだから」「アルバイトだから」と、単純に雇用形態の違いを理由として、有給休暇の権利がはく奪されることはありません。
法律の規定に従い、従業員ごとに付与されるべき有給休暇の日数を正しく管理しましょう。管理が複雑になる場合は、勤怠管理システムと連携させることで、状況把握がスムーズになります。

よくある質問

有給休暇の定義を教えてください

労働基準法第39条で定められた労働者の権利です。有給休暇は労働する義務を免除され、賃金が支払われる日のことを指します。会社は、要件を満たした従業員に対して継続年数に応じた有給休暇を付与します。 詳しくはこちらをご覧ください。

有給休暇の繰越とリセットのタイミングを教えてください

有給休暇は翌年度に限り繰り越すことができるため、年間で最大20日繰り越すことが可能です。また、有給休暇の時効は2年間です。付与されたタイミングから2年を経過した時点でその有給休暇は消滅します。 詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

監修:加治 直樹(経営労務コンサルタント)

銀行に20年以上勤務し、融資融資から資産運用、年金相談まで幅広く相談業務の経験あり。中小企業の決算書の財務内容のアドバイス、資金調達における銀行対応までできるコンサルタント。退職後、かじ社会保険労務士事務所として独立。現在は行政で企業及び労働者の労働相談業務を行いながら、セミナー講師など幅広く活動中。

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