• 作成日 : 2022年11月11日

令和4年度版 – 労災保険料率とは?計算方法についても解説!

【令和4年度版】労災保険料率とは?計算方法についても解説!

労災保険料率は、労災保険料の計算に用いられる料率です。賃金の総額にかけて、労災保険料を求めます。労災が起こりやすい危険な業種には、高い労災保険料率が設定され、反対に労災発生の危険があまりない安全な業種には低い労災保険料率が設定されています。多くの事業では、労災保険料は雇用保険料と一緒に労働保険料として手続きされます。

労災保険料率とは

労働者が1人でもいれば、その事業には労災保険が適用されます。事業者は、必要な手続きを行い、労災保険料を納付しなければなりません。労災保険料の計算には、労災保険料率と呼ばれる料率が用いられます。

そもそも労災保険料とは

労災保険料率とは、労災保険料の計算に用いられる料率のことをいいます。労災保険料は、労災保険の給付を行うために徴収される保険料です。労働災害や通勤災害に遭ってしまった労働者に対する給付のために徴収される保険料で、全額が事業主から徴収されます。

労災保険について、詳しくはこちらの記事で説明しています。

労働災害でケガをした労働者が必要とする給付を行うことから、労働保険料率は業種によって異なっています。建設業などの危険な業種の労災保険料率は高く、労災事故が起こりにくい業種の労災保険料は低く設定されています。

令和4年度の労災保険率

労働保険料率表

引用:労災保険率表|厚生労働省

上記の表が令和4年度の労災保険料率です。労働保険率は、次の「労働保険の保険料の徴収等に関する法律」の規定にしたがって設定されます。

労働保険の保険料の徴収等に関する法律
第12条 第2項

労災保険率は、労災保険法の規定による保険給付及び社会復帰促進等事業に要する費用の予想額に照らし、将来にわって、労災保険の事業に係る財政の均衡を保つことができるものでなければならないものとし、政令で定めるところにより、労災保険法の適用を受ける全ての事業の過去三年間の業務災害、複数業務要因災害及び通勤災害に係る災害率並びに二次健康診断等給付に要した費用の額、社会復帰促進等事業として行う事業の種類及び内容その他の事情を考慮して厚生労働大臣が定める。

引用:労働保険の保険料の徴収等に関する法律|e-Gov法令検索

将来にわたる労災保険事業の財政が均衡保持できるよう、労災保険料率が設定されます。約3年ごとに審議され、改定が行われます。平成17年3月に出された「労災保険率の設定に関する基本方針」では、労災保険率の算定の基礎として「算定の基礎は、過去3年間の保険給付実績等に基づいて算定する料率設定期間における保険給付費等に要する費用の予想額とする。」とされています。

参考:労災保険率の設定に関する基本方針(平成17年3月25日制定)|厚生労働省

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労災保険料の計算方法

労災保険料は、賃金の総額に労災保険料率をかけて計算します。賃金の総額とは、労働者に支払った賃金を合計した金額です。給料や賞与、手当など、どんな名称であっても、労働の対価として支払われるものは全て賃金に該当します。現金での給付以外に、通勤に使用する定期券といった現物で支給するものも賃金の総額に含まれます。

一般的に就業規則や賃金規則で労働者に対して支給することが規定されているもの全てが賃金の総額に含まれますが、退職金やお見舞金などは、その性質上賃金の総額に含める必要はありません。

労災保険料率は、先述した労災保険料率表による数値です。賃金の総額にかけて労災保険料を計算します。労災保険は、社会保険のように従業員との折半ではなく、全額を事業が負担します。実際の計算は、以下のように行います。

実際の計算例

例①業種舗装工事業
賃金の総額2億円
労災保険料200,000,000×9/1000=180万円
例②業種コンクリート製造業
賃金の総額1億8千万円
労災保険料180,000,000×13/1000=234万円
例③業種ビルメンテナンス業
賃金の総額1億円
労災保険料100,000,000×5.5/1000=55万円
例④業種卸売業
賃金の総額5千万円
労災保険料50,000,000×3/1000=15万円
例⑤業種不動産業
賃金の総額3千万円
労災保険料30,000,000×2.5/1000=7万千円

上記の例のうち、建設業である例①については、特例が認められています。建設業の場合、数次の請負によって事業が行われることが常態となっているため、工事全体の賃金総額を把握することは困難です。そこで請負金額(消費税を除く)に所定の労務比率をかけて賃金総額を算定します。

舗装工事業の場合、17%(平成30年4月1日以降のもの)が労務比率になります。したがって、例①では、賃金総額=請負金額×0.17=2億円ということになります。

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労働保険料と労災保険料の違い

労災保険料と雇用保険料を合わせたものが、労働保険料です。労災保険料は労災保険、雇用保険料は雇用保険の保険料ですが、労災保険と雇用保険は多くの事業で一緒に取り扱われます。労災保険と雇用保険が一緒に取り扱われる事業を一元適用事業、別々に取り扱われる事業を二元適用事業といいます。

  • 一元適用事業
    • 二元適用以外の事業

  • 二元適用事業
    • 都道府県に準ずるもの、および市町村に準じるものの行う事業
    • 6大港湾における港湾運送事業(東京港・横浜港・名古屋港・大阪港・神戸港・関門港)
    • 農林水産の事業
    • 建設の事業

一元適用事業では、労災保険料と雇用保険料が一緒に労働保険料として扱われ、労災保険料は労働保険料の一部ということになります。二元適用事業では、労災保険料、あるいは雇用保険料のみが労働保険料として申告や納付が手続きされます。

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労災保険料率について理解を深め、正しく労災保険料の計算を行いましょう

労災保険は労働者保護の観点から、労災事故が起こった場合に保険給付を行うことを目的として設けられた公的保険制度です。労働災害補償保険法に基づいて労災事故で被災した労働者をはじめとして、仕事中や通勤中にケガをした労働者、業務が発症の原因となった疾病の労働者などに必要な給付を行います。労災保険にかかる労災保険料の全額は事業主が負担しなければなりません。

労災保険料は、労災保険料率を用いて計算されます。業種別に定められている労災保険料率と賃金の総額をかけあわせた金額が、労災保険料の金額です。正しく計算して正確な労災保険料納付に努めましょう。

よくある質問

労災保険料率とは何ですか?

労災保険料の金額を計算する際に用いる料率で、業種別に定められています。詳しくはこちらをご覧ください。

労働保険料と労災保険料の違いは何ですか?

労働保険料は労災保険料と雇用保険料を合わせたもので、労災保険料は労災保険にかかる保険料のことです。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

監修:坪 義生(社会保険労務士)

じんじ労務経営研究所代表(社会保険労務士登録)、労働保険事務組合 鎌ヶ谷経営労務管理協会会長、清和大学法学部非常勤講師、「月刊人事マネジメント」(㈱ビジネスパブリッシング)取材記者。社会保険診療報酬支払基金、衆議院議員秘書、㈱矢野経済研究所、等を経て、91年、じんじ労務経営研究所を開設。同年より、企業のトップ・人事担当者を中心に人事制度を取材・執筆するほか、中小企業の労働社会保険業務、自治体管理職研修の講師など広範に活動。著書に『社会保険・労働保険の実務 疑問解決マニュアル』(三修社)、『管理者のための労務管理のしくみと実務マニュアル』(三修社)、『リーダー部課長のための最新ビジネス法律常識ハンドブック』(日本実業出版社、共著)などがある。

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