- 更新日 : 2024年10月18日
アウトソーシングの意味とは?メリットやデメリット、派遣との違いを解説
アウトソーシングとは、社内の業務を外部に委託するサービスです。人材不足の解消や業務の効率化など、さまざまなメリットがあります。アウトソーシングにより、従業員は成果を生む主要業務に集中できるのも利点です。
本記事ではアウトソーシングの意味を簡単に説明し、対象業務や種類、活用場面などを解説します。
目次
アウトソーシングとは?
アウトソーシングとは、業務の一部を外部に委託することです。業務の効率化や人材不足の解消などを目的として、利用する企業が増えています。
アウトソーシングと似ているのが、人材派遣です。両者の違いをみていきましょう。
人材派遣との違い
人材派遣とは、派遣会社と雇用関係にある派遣スタッフが、派遣先企業で業務を行うサービスです。アウトソーシングも人材派遣も、外部の人材に業務の一部を任せるという点で共通しています。しかし、両者は業務管理の形態や報酬の発生形式などが異なります。
アウトソーシングは、依頼する業務を外部企業に委託する形態です。作業する場所や業務を行う人材の管理は、すべて委託先の企業が行います。
一方、人材派遣は人材派遣会社から必要な人材を手配してもらい、派遣先企業の担当者から指揮命令を受ける形で業務を行う点が特長です。
また、両者は報酬の発生形式も異なります。アウトソーシングでは業務や成果物に対して報酬を支払う方法が一般的です。これに対し、人材派遣は派遣社員の労働時間に応じて報酬を支払います。
アウトソーシングの対象業務
アウトソーシングの対象業務は各種事務や受付、営業など幅広く、特に単純作業や定型的な業務が適しています。
ここでは、アウトソーシングの代表的な対象業務について解説します。
各種事務
一般事務や営業事務、経理事務など、各種事務は定型業務や単純作業が多く、アウトソーシングに向いています。
一般事務はファイリングや書類作成、データ入力、発送業務などがアウトソーシングの対象になります。営業事務では、主に受発注業務や請求書発行などの委託が可能です。
経理事務は月末などに繁忙期が集中するという特徴があり、経費精算や入金処理など、大量に集中する業務はアウトソーシングに適しています。
受付
受付業務もアウトソーシングが可能です。総合受付での訪問者の対応や応接室案内、代表電話応対、会議室の予約など幅広い受付業務を依頼できます。
受付業務をアウトソーシングすることで、顧客対応の品質向上や顧客満足度のアップを図れる点がメリットです。顧客満足度の向上は、企業イメージのアップにもつながります。
コールセンター・ヘルプデスク
コールセンターの受信・発信やヘルプデスク業務もアウトソーシングに向いています。コールセンターを自社で設置するとなると、電話・ネット回線や機材の用意など、多額の費用がかかります。さらに、採用や教育のコストも必要です。
アウトソーシングにより、これらのコストを抑えられます。
また、コールセンターは直接顧客の声を聞く重要な役割を果たすため、一定の電話応対スキルが求められます。直接雇用した場合、人材育成は必要ですが、アウトソーシングによりスキルの高い人材に業務を委託できるため応対品質を確保できます。
採用代行業務
一連の採用活動もアウトソーシングが可能です。近年は少子高齢化による労働力人口の減少が続いており、人材確保に苦戦する企業は少なくありません。そのため、ノウハウを持つ外部業者にアウトソーシングを依頼する企業も増えています。
採用活動には媒体選定・運用や紹介会社の選定、先行受付、電話・メール対応など間接的な業務も多く、これらをアウトソーシングして、自社はコア業務に集中するという利用もできます。
営業
ルート営業や新規開拓など、営業の仕事もアウトソーシングが可能です。アウトソーシングの利用により営業のスキル・経験を持つ人材を、必要なとき・必要な人数を確保できます。採用や教育にかかるコストを抑えるとともに、プロの営業スキルを自社に取り入れることも可能です。
時期により需要が異なる商品・サービスの営業では、繁忙期に人材が不足します。このような場合にも、必要なときに人材を確保できるアウトソーシングが役立ちます。
健康管理
健康管理は煩雑で、人事担当の負担が大きい業務です。特に社内外の関係者と連携しながら進める健康診断は、社内だけでは対応できない部分もあります。
従業員への健診案内や結果確認、医療機関への健診契約、労働基準監督署への健康診断結果の報告など、その業務は多岐にわたります。これらをアウトソーシングを利用することで、スムーズな健康診断を実施でき、担当者の負担を軽減できるでしょう。
官庁・地方公共団体業務
官庁・地方公共団体向けのアウトソーシングもあります。
国民健康保険関連や住民記録関連などの窓口受付・交付業務、各種証明書の発行業務といった幅広い業務にアウトソーシングが活用され、各公共機関での人材不足を解消します。
アウトソーシングの種類
アウトソーシングにはさまざまな種類があり、請け負う業務の内容によって、次のような手法に分けられます。
- BPO
- ITO
- KPO
それぞれの内容をみていきましょう。
BPO
BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)とは、企業の業務を一括して外部に委託する手法です。人事・総務・経理・受付など、バックオフィス業務やコールセンターなどの業務をメインに活用されています。
専門性の高いBPOを活用することで、企業はコア業務へ経営資源を集中でき、コスト削減や人材不足の解消ができます。さらに、業務品質を高めることで、顧客満足度の向上も図れるでしょう。
ITO
ITO(インフォメーション・テクノロジー・アウトソーシング)とは、IT分野に関連した業務を外部に委託する手法です。
IT技術が急速に進化し、新しい技術やサービスを取り入れる企業も増えてきています。しかし、社内にITに精通している人材が不足してシステムの運用が難しいケースも少なくありません。そのような場合に、高いスキルを持つITOが活用されています。
人材の獲得や社員への教育にかけるコストの削減につながるでしょう。
KPO
KPO(ナレッジ・プロセス・アウトソーシング」とは、知的生産活動をアウトソーシングする手法です。情報収集や高度な分析、解析、加工などを中心とした、マニュアル化できない知的処理業務を委託します。
購買や行動のデータなど社内・社外で蓄積されるデータは膨大であり、これらビックデータを扱うためには、データを加工・分析して次の行動につなげる高度なスキルが必要です。
そのために活用されるのがKPOであり、医療開発や株式調査、ビジネスの市場調査など、高い分析力や判断力が求められる業務で利用されます。
アウトソーシングはどういった場面で活用できる?
アウトソーシングが活用されるのは、主に人材が不足して採用活動が難しいときや、すぐに人手が必要なときがあげられます。
ここでは、アウトソーシングが活用される場面をみてみましょう。
人材が不足しており採用もうまくいかないとき
アウトソーシングは人材が不足し、採用活動がうまくいかない場面で多く活用されています。日本の労働力人口は年々減少しており、新たな人材を確保するのが難しい状況です。
経営を継続して成長していくためには、社内の限られた人員で生産性を維持・向上させなければなりません。そのため、従業員が売上に直結するコア業務に集中できるよう、それ以外の業務をアウトソーシングする企業が増えています。
すぐにでも人手が欲しいとき
繁忙期などで人手が足りず、採用活動を行っている時間がない場合、アウトソーシングが役立ちます。人材を採用するには時間がかかり、採用後も新たな業務を身につけるまでに一定の期間が必要です。そのような余裕がなく、即戦力の人材を求める場合に活用されるのがアウトソーシングです。
また、早いビジネス環境変化の中で、社内のノウハウだけでは対応できないときも、アウトソーシングが役立ちます。アウトソーシングにより社外の専門知識やノウハウを効果的に活用し、取り入れることが可能です。
アウトソーシングを活用するメリット
アウトソーシングを活用することで、次のようなメリットを得られます。
- 従業員が主要業務に集中できる
- 社外のノウハウを取得できる
- 人件費や固定費のコスト削減につながる
それぞれ、詳しく解説します。
従業員が主要業務に集中できる
自社の生産力や競争力を高めるには、主要業務に集中することが大切です。しかし、企業活動を続けるにはバックオフィス業務をはじめとした補助業務にも対応しなければならず、主要業務に注力できないのが実情です。
しかし、補助業務をアウトソーシングすることで、従業員は主要業務に集中できます。
社外のノウハウを取得できる
アウトソーシングにより、社外のノウハウや知識を獲得できるのもメリットです。ただ業務の負担を軽減するだけでなく、従業員のスキルアップや最新情報の取得にも役立ちます。
ビジネスの環境変化は早く、技術の進化や新しいサービスの登場、法改正などに自社だけで対応していくのは難しいこともあるでしょう。アウトソーシングにより、情報やノウハウの不足による対応漏れなどを防げます。
人件費や固定費のコスト削減につながる
アウトソーシングの活用により、人件費など固定費や採用・教育にかかるコストを削減できます。
人材を雇用する場合、固定の人件費を支払う必要はありますが、アウトソーシングを活用する場合、費用が発生するのは発注したタイミングだけです。状況に応じて繁忙期だけ委託するなど、人件費を調整できます。
アウトソーシングを活用するデメリット
アウトソーシングの活用は、デメリットな側面もあります。社内にノウハウが蓄積しない、セキュリティリスクがあるといった点です。
アウトソーシングを活用することでどのようなデメリットがあるのか、みていきましょう。
社内にノウハウが蓄積しにくい
アウトソーシングをすると、社内にノウハウを蓄積しにくいという問題があります。特に丸投げをしてしまうと起こりやすいデメリットです。
外部に委託した業務について従業員は経験を積めないため、将来的に自社で行う場合にすぐ対応できないことになります。委託先の企業が事業から撤退した場合にも、同じような問題が起こるでしょう。
情報漏洩などのセキュリティ面でのリスク
委託する業務によっては、顧客情報や従業員の情報など機密性の高い情報を提供する場合があり、情報漏洩などのリスクがあります。
基本的にアウトソーシングの会社はセキュリティ体制を強化していますが、自社のルールよりもレベルが低い可能性もあるでしょう。情報が漏洩したら、情報を管理している発注元企業が責任を問われます。
アウトソーシングを依頼する際には「情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)」といった情報セキュリティに関する認証を取得しているかという点も選択基準にするとよいでしょう。
業務の進捗を直接管理できない
アウトソーシングでは、業務の進捗状況を直接管理できないというデメリットもあります。業務工程に目が届かず、品質管理がうまくできない可能性もあります。自社で行っていたよりも業務の品質が落ち、業務効率が悪くなることもあるでしょう。
このようなリスクを防ぐためには、委託先に一任するのではなく、進捗を報告してもらうなど、コミュニケーションをとりながら進めていくことが必要になります。
アウトソーシングの導入方法・成功のポイント
アウトソーシングを導入する際は、まず現状の課題を分析し、アウトソーシングで課題を解決できるかを検討することが大切です。また、どの業務を外部に委託するのかを決めるため、委託する業務の定義も必要になるでしょう。
ここでは、アウトソーシングの導入方法や成功させるポイントを紹介します。
現状の課題分析
アウトソーシングの導入を決める前に、自社の課題について分析が必要です。まずは社内の業務を洗い出し、どのような課題があるか抽出します。
単に人材不足といっても、その課題はさまざまです。業務量が多く対応できる人材が少ない場合もあれば、業務フローが複雑で無駄な作業が多いケースもあります。専門的な知識やノウハウが社内にないという問題もあるでしょう。課題を明らかにすることで、アウトソーシングにより解決できるかがわかります。
課題の内容によっては他の手段の方が適切な場合もあり、社内で改善することによって対応できることもあるでしょう。
委託する業務の定義・明確化
課題の抽出と分析を完了し、アウトソーシングすると決めた場合、どの業務を外部に委託するのかを決定します。アウトソーシングに向いているのは、基本的に定型的な間接業務(ノンコア業務)です。
主要業務(コア業務)と間接業務は、次のように分類できます。
- 主要業務:成果や利益を生む・定型化しにくい・専門性が高い
- 間接業務:主要業務を補助する・定型化しやすい・専門性や難易度は低い
アウトソーシングを導入する前に、従業員でしかできない主要業務とそれ以外の業務に分類し、委託できる業務を決定しましょう。
アウトソーシングを上手に活用しよう
アウトソーシングは外部に業務を委託することで、上手に活用すればコスト削減や業務の効率化につながります。提携業務を委託することで従業員は主要業務に注力でき、生産性向上につながるでしょう。
ただし、委託先に任せきりにすると自社にノウハウを蓄積できなかったり、進捗状況を把握できずに品質管理ができなかったりするリスクがあります。
メリット・デメリットを把握しながら、自社の課題を解決できるアウトソーシングを選びましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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