• 更新日 : 2023年11月2日

ABWとは?新しい働き方に合わせたオフィス – メリット・デメリットを紹介

ABWとは?新しい働き方に合わせたオフィス - メリット・デメリットを紹介

ABWとは、業務内容や気分によって働く場所や時間を決める働き方です。フリーアドレスはオフィス内の自由な席で働くワークスタイルを指すのに対し、ABWはカフェや自宅など自由なスペースで働くワークスタイルを意味します。近年では、働き方改革などによって注目を集める働き方です。当記事では、メリットの多いABWについて解説します。

ABWとは?

ABWとは「Activity Based Working」の頭文字を取った略語で、その日の業務内容やその時の気分によって働く場所や時間を自由に決める働き方です。ここでは、ABWと並んで近年注目を集めるフリーアドレスやリモートワークとの違い、ABWが注目を集める背景について解説します。

フリーアドレスとの違い

ABWと似たような働き方のフリーアドレスは、オフィス内の自席を固定せずに、ノートパソコンなどを用いて業務内容や気分に応じて自由な席で働くワークスタイルです。フリーアドレスはあくまで事業所内における座席運用方法の一つであるため、働く場所はオフィス内に限られます。

一方、ABWは働く場所や時間を自由に決めることのできる新たなワークスタイルを指すため、オフィス内に限らず自宅やカフェ、サテライトオフィスなど、より柔軟に働く場所を選択することが可能です。なお、ABWに着目してフロアやエリア、仕組みや環境などを構築したオフィスを「ABW型オフィス」といいます。

リモートワークとの違い

コロナ禍で一気に浸透したリモートワークは、ICT(Information and Communication Technology:情報通信技術)を使って時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方です。場所にとらわれない新たなワークスタイルという点ではABWと同様ですが、働く場所を選ぶ基準は大きく異なります。リモートワークは感染症の防止や育児・介護と仕事の両立、通勤に支障のある社員の就労継続といった、労働者の置かれた状況によって働く場所を選ぶワークスタイルです。

一方、ABWは一人で集中したい場合は自宅やサテライトオフィス、上司や同僚とコミュニケーションを取りたい場合はオフィスなど、その日の活動によって働く場所を選ぶワークスタイルを指します。結果としてリモートワークと同様のメリットを享受することもできますが、リモートワークとABWではその目的が異なるということを覚えておきましょう。

ABWが注目されている背景

ABWやリモートワークが注目を集める背景としては、働き方改革の推進や新型コロナウイルス感染症の世界的な流行が挙げられます。働き方改革によってワークライフバランスに着目した新たな働き方が求められた結果、自由度の高いワークスタイルとしてABWやリモートワークが注目を集めました。さらに、コロナ禍によって半強制的にリモートワークを経験したことで、多くの労働者が在宅勤務の有用性や通勤時間の無駄などに気付いた一方、オフィスの役割を再認識した労働者も多くいます。

コロナ禍が明けた現在、リモートワークとオフィスワークの良いとこ取りをした新たなワークスタイルとして注目を集めているのがABWなのです。

【企業側】ABWのメリット

その日の活動に着目したABWは、企業にとっても労働者にとってもメリットの多い働き方です。ここでは、企業にとってのABWのメリットを解説します。

デスク等のコスト削減

従来の働き方では従業員1人あたり1台のデスクを用意しなければならないため、従業員が多くなればその分コストがかかります。

ABWを導入してリモートワークなども併用することで、デスクの確保にかかるコストを最小限に抑えることが可能です。あわせてフリーアドレス化を実現すれば、限られたオフィススペースを効率よく活用できます。

企業にとって、事業所やオフィスの確保に必要な地代家賃は大きな負担です。ABWによって毎月固定でかかるコストを削減できることは、大きなメリットといえるでしょう。

人材獲得で有利に働く

ABWによって働きやすい職場を印象付けることは、人材獲得で有利に働きます。若年層を中心にワークライフバランスを重視する考え方が一般的となっているため、ABWの時間や場所にとらわれない働き方は魅力的に映るでしょう。

また、働きやすい職場は優秀な人材にも選ばれやすいため、少子高齢化によって飛躍的に難易度が高まっている採用活動も有利に進められます。さらに、職場の働きやすさは従業員のエンゲージメントを高める効果もあり、貴重な人材の流失を防ぐことも可能です。

【従業員側】ABWのメリット

ABWは企業だけでなく、従業員にとってもメリットの多い働き方です。ここでは、従業員にとってのABWのメリットを解説します。

ワークライフバランス・柔軟な働き方の実現

時間や場所にとらわれないABWは、ワークライフバランスの取れた柔軟な働き方の実現が可能です。在宅勤務を選択することで、育児や介護と仕事を無理なく両立できます。さらに、サテライトオフィスなどを利用すれば、クリエイティブな仕事に集中して取り組むことも可能です。

リモートワークなら通勤時間を削減できるため、プライベートや余暇、自己啓発、趣味の時間などを確保することもできるでしょう。若年層を中心にワークライフバランスを重視するワーカーが増えており、柔軟な働き方を実現できるのもABWの大きなメリットです。

気分転換をしやすくなる・新しい視点の獲得

カフェや屋外などオフィスではない場所で働くことで気分転換がしやすくなり、普段では思いつかないような新たなアイデアや新しい視点を獲得することが可能です。

コワーキングスペースなどを利用し同業他社や異業種のワーカーと交流を深めることで、情報交換やスキルアップ、新たなビジネスチャンスの機会を得ることなどもできます。

オフィス内でも、その日の業務やその時の気分にあわせて自由に働く場所を選べるため、効率的に仕事を進めることが可能です。

【企業側】ABWのデメリット

一方、ABWにはいくつかデメリットがあるのも事実です。ここでは、企業にとってのABWのデメリットを解説します。

労務管理・勤怠管理が難しい

働く時間や場所が自由なABWは、労務管理や勤怠管理が難しいというデメリットがあります。例えば、自宅やカフェなどで働いているワーカーの勤怠を正確に管理することは難しく、時には不正が起こってしまうかもしれません。また、直接顔をあわせる機会の少ない社員を正しく評価することは難しいため、人事評価などについて労働者から不満が出る可能性もあります。

ABWは自律的かつ主体的に働くことを前提とした自由なワークスタイルですが、公平公正に管理・評価するルールや仕組みを構築することも重要です。

導入までの整備コスト

ABWは長期的に見るとコスト削減につながる有用性の高い取り組みですが、導入には一定のイニシャルコストがかかります。例えば、ABWを円滑に進めるための仕組みやルールを整備するためのコストや、オフィス内をABWに適した環境に整備するためのコスト、物理的な距離が離れることで一時的に低下した生産性を補うためのコストなどが必要です。

労務管理・勤怠管理・コミュニケーションなどを補うツールに関する費用なども必要となるため、ABWの導入にはコストがかかるということを覚えておきましょう。

セキュリティおよび情報漏洩面でのrisk

ABWでは自宅やカフェ、コワーキングスペース、サテライトオフィスなどの遠隔地から社内のイントラネットにリモートアクセスして仕事を進めるワークスタイルが基本となるため、セキュリティには十分注意しなければなりません。

セキュアなインターネットアクセスを実現するVPN(Virtual Private Network:仮想プライベートネットワーク)や、リモートワーカーのモバイル端末を管理するMDM(Mobile Device Management:モバイルデバイス管理)などを導入することで、セキュリティリスクを低減することが重要です。

万が一情報漏洩などのトラブルが発生してしまった場合、社会的信用の失墜など企業に与えるダメージの大きさは計り知れません。

【従業員側】ABWのデメリット

デメリットがあるのは企業だけではありません。ここでは、従業員にとってのABWのデメリットを解説します。

チームワーク・連携を取るのが難しい

自宅やカフェ、コワーキングスペースやサテライトオフィスなどからのリモートワークを選択する従業員が増えれば、チームワークが低下しメンバー間の連携を取るのが難しくなる恐れもあります。

コミュニケーションツールなどを導入し、オフィスワーク以上にコミュニケーションを取りやすい環境を構築することが重要です。

ABW型オフィスを構築した場合でも、特定の場所に社員が密集していたり、顔ぶれがいつも同じだったりするケースも考えられます。

特定のメンバーがいつも同じ場所に偏るような状況が生じた場合は、定期的に座席をシャッフルする、ABWの意図を改めて社員に共有する、などの工夫が必要です。

会社から補助がない場合、環境を自ら準備する必要がある

ABWを導入する場合、最低でもパソコンの購入費用やインターネット回線の使用料が必要です。加えて、在宅勤務を選択した場合はデスクや仕事部屋の環境を整備する費用、コワーキングスペースなどを利用する場合は入会金や月額利用料などを負担しなければなりません。

コロナ禍によって在宅勤務が奨励されたことで、リモートワーク補助費などの名目で補助金を支給する会社も増えています。しかし、会社から補助がない場合は、環境を自ら準備しなければなりません。ABWの導入に自己負担が生じる可能性があることは、従業員にとっては大きなデメリットです。

ABWの導入方法

注目度が高いからといって拙速にABWを導入してしまうと、制度が形骸化して十分な効果が得られない恐れもあります。ABWを導入する場合は費用対効果を十分検討し、計画的に進めていくことが重要です。ここでは、ABWを導入する流れを紹介します。

①現状を確認し課題を把握する

まずはオフィスの現状を確認し、職場が抱える課題を把握しましょう。従業員にアンケートを取って、働き方に関するニーズを吸い出すことも重要です。

②費用対効果を確認する

課題を把握できたら、その課題がABWの導入によって解決できるかを検討しましょう。ABWの導入によって起こる変化を考慮し、費用対効果も確認してください。オフィスの現状や職場が抱える課題によって、費用対効果は異なります。費用対効果が低い場合は、ABW以外の方法も検討した方がよいでしょう。

③ABWに適した環境や仕組みを整備する

ABW型オフィスを構築する場合は、ABWに適したオフィス環境を整備しましょう。リモートワークやサテライトオフィスなども取り入れる場合は、労務管理や勤怠管理などを適切に行える仕組みを整備することも重要です。

④必要な備品やツールなどを導入しABWを実行する

ABWに必要なICTデバイスやコミュニケーションツールなどを導入し、ABWを実行しましょう。リモートワークを行う従業員に対しては、VPNやMDMを導入しセキュリティを確保することも重要です。

ABWを導入している企業事例

株式会社明電舎と、その子会社である明電興産株式会社は、本社の老朽化に伴いABWを取り入れた新社屋に立て替えました。新社屋では、黙々と働く従来の職場イメージを払拭し、イキイキワクワク働ける場所、新たな価値を創造できる場所にしたいと、職場環境を一新します。中央には闊達な意見交換を促進するコミュニケーションスペースを設け、周辺にはカウンター席や集中ブース、ビッグテーブルなど多様な作業スペースを配置しました。

仕事の内容やその日の気分によって働く場所を自由に選べる新しいワークスタイルや、明るく開放的な職場環境によってメンバー間の交流が促進されたことで、作業効率や生産性も向上しています。明電興産株式会社によるABWの取り組みはグループ会社にとっても良い刺激となり、グループ全体の働き方改革推進にも大きく寄与しました。

参考:明電興産新社屋にABW及び明電舎製マルチPCSを導入|環境省
参考:環境省「令和4年度気候変動アクション環境大臣表彰」をダブル受賞しました | 明電舎

ABWは仕事内容や気分によって働く時間や場所を自由に選ぶ働き方

今回はABWについて解説しました。ABWとは、仕事の内容やその日の気分によって働く時間や場所を自由に選ぶ働き方です。働き方改革の推進やアフターコロナのニューノーマルに合致した、新たなワークスタイルとして注目を集めています。

その日の活動に着目したABWは、労使ともにメリットの大きな取り組みです。特に、企業にとってはコストの削減や優秀な人材の確保、労働者にとってはワークライフバランスの取れた柔軟な働き方の実現などがメリットとして挙げられます。一方で、労務管理や勤怠管理が難しい、チームワークが低下しメンバー間の連携を取るのが難しいなどは、代表的なデメリットです。デメリットを最小化しメリットを最大限享受するには、課題やニーズの把握、費用対効果の確認、仕組みやルールの整備などを行った上で、段階的にABWを導入する必要があります。

当記事を参考にメリット・デメリットや導入方法、事例などを確認し、ABWの導入に取り組んでみるのもおすすめです。


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