• 更新日 : 2024年5月9日

ES(従業員満足度)とは?調査方法・ひな形、向上への取り組みを解説

ES(従業員満足度)とは?調査方法・ひな形、向上への取り組みを解説

ES(従業員満足度)とは、職務内容や待遇などの労働条件、労働環境や福利厚生、人間関係など、仕事や職場に対する従業員の満足度を表す指標のことをいいます。

近年、ES向上に取り組む会社が増えています。この記事では、ESの意味や構成要素、ESを高めるメリット、ESの調査方法、ESを高めていく方法などについて解説していきます。

ES(従業員満足度)とは?

従業員満足度は英語の「Employee Satisfaction」のことであり、その頭文字から「ES」と呼ばれています。

ES(従業員満足度)とは、職務内容や待遇、労働環境や福利厚生、人間関係など、さまざまな労働条件や職場環境に対する従業員の満足度を表す指標です。

近年、人材不足や人材の流動性の高まりなどもあり、ESを重視する会社が増えてきています。働き方改革を進めていくうえでも、ESの向上は、会社が取り組むべき課題の1つです。

ESを高めると、従業員の仕事に対するやりがいや人材の定着率向上の効果が期待できます。離職者が減少し、従業員が仕事にやりがいを感じて働くことができるようになれば、生産性向上や企業価値向上をもたらすことでしょう。その結果として顧客ニーズに合った商品やサービスの提供が可能となり、顧客満足度を高めることにもつながります。

エントリーシートの省略も「ES」と呼ばれるので注意

従業員満足度のことを「ES」と呼びますが、就職活動している学生が会社に応募するために提出する応募書類も「エントリーシート」の略称として「ES」と呼ばれることがあります。略称が同じ「ES」になり、紛らわしいためネット検索などをする際には注意が必要です。

ES(従業員満足度)を構成する要素

ES(従業員満足度)を高めていくためにはどのように進めていけばよいのか、あまりにも漠然としているのでわからないのではないでしょうか。

ESを構成している要素を把握して、それぞれの満足度を向上させていく方法を考えていくとスムーズに進めることができるでしょう。ここからは、ESを構成する要素について解説していきます。

① ミッション・ビジョン・カルチャーへの共感

会社が掲げるミッションやビジョン、カルチャーへの共感は、ES(従業員満足度)を構成する要素の1つになります。

会社が掲げるミッションやビジョン、カルチャーに従業員が共感できれば、従業員は自らの業務に誇りを持って取り組むようになり、会社のために貢献しようと自ら考え行動します。

➁ マネジメントへの信頼・納得感

マネジメントへの信頼や納得感も重要な要素です。上司と部下が円滑なコミュニケーションを取れているか、上司が部下の能力を正確に把握して適切な業務指示を出しているか、部下にとって納得感のある評価を上司がしているかなども、ES(従業員満足度)を構成する要素になります。

上司が部下に仕事を丸投げしていたり、部下が上司から正当な評価をされていないと感じたりするような状況では、信頼関係を築くことは困難です。部下の不満が高まれば離職してしまうこともあるでしょう。これは、ESが低くなっていることが要因となっているからです。

③ 職場における人間関係

会社内の人間関係を理由とした退職は、離職理由の上位になっています。人間関係が良好でなければ、従業員が仕事に対する意欲を失ってしまうこともあるでしょう。職場における人間関係は、その職場で働く従業員に大きな影響を与えます。

従業員は会社内で一日を過ごすことが多いため、社内の人間関係の悪化は従業員にとって大きなストレスになります。良好な人間関係を保ち、従業員が安心して仕事ができるような職場環境の構築が必要です。

④ 個々人が社会・会社に与える影響

ES(従業員満足度)を構成する要素には、従業員の社会に対する貢献度や会社に与える影響力とも関係性があります。「自分の行っている業務は社会に何も貢献していない」「自分は会社に何の影響も与えられない」と思っていては、ESは低下してしまうでしょう。自分の仕事が社会への貢献や会社の業績に影響を及ぼしていると感じられることは、ESを高めていくうえで欠かせない要素となるのです。

⑤ 職場環境・福利厚生

職場環境や会社の福利厚生を整備することもES(従業員満足度)を向上させるための取り組みの1つです。従業員が利用しやすい福利厚生制度を導入する、就業規則を整備して労働基準法などの法律を上回る休暇制度を設ける、などといった取り組みは「ワーク・ライフ・バランス」を実現しやすくします。

このように職場環境を整えることによって従業員が働きやすくなれば、従業員の業務効率が向上するため、ESを高めることにつながっていきます。

ES(従業員満足度)を高めるメリット

ES(従業員満足度)を高めることは、従業員だけにメリットがあるように感じますが、実際には会社にもメリットがあります。ESを高めることによって双方が得られるメリットについて見ていきましょう。

離職率の低下

ES(従業員満足度)を高めるメリットとして、離職率の低下が挙げられます。ESが高い会社は、従業員が転職するメリットを感じにくいため、離職率が低くなりやすい傾向にあります。満足度が高い従業員が多くなることは、会社のイメージアップにもつながります。それが結果的に採用活動にも効果的に影響し、採用コストや人材教育のコストを減らすことになるのです。

顧客対応の向上

ES(従業員満足度)を高めることは、顧客満足度の向上にもつながります。

ESを高めることによって、従業員の会社や自社の製品に対する愛着や貢献意欲であるエンゲージメント向上の効果が期待できます。従業員が積極的に業務上の提案をし、改善への取り組みが行われるようになれば、商品やサービスの質の向上につながり、結果的に顧客満足度につながるのです。

生産性の向上

ES(従業員満足度)を高めることは、生産性の向上をもたらします。仕事や労働環境、待遇、人間関係、福利厚生などに不満がなければ、従業員は自分の仕事に集中して前向きに取り組むようになり、成果を上げることができるようになるのです。ESを高めることは生産性向上や企業価値向上をもたらし、従業員が会社への貢献を実感することで、さらに業務への意欲が高まり、ESが高まるという好循環が生まれます。その結果として、会社の業績向上にもつながるでしょう。

ES(従業員満足度)の調査方法

ES(従業員満足度)を高めるためには、調査が欠かせません。ESを調査する方法はいくつかありますが、アンケートによる調査が一般的でしょう。ここからは、ESの調査方法について解説します。

① 調査の目的を決める

ES(従業員満足度)の調査においては、まず調査の目的を明確にして、目的や概要など、その内容を従業員に周知することから始めます。

目的を明確にしてから調査を実施しなければ、課題があってもその課題を解決する方向性を見い出すことができず、せっかく実施した調査結果が有効活用できないことになってしまいます。調査目的を決めるときには、従業員の仕事に対する意欲や働き方を向上させるためなど、目的をなるべく詳細に決めることが大切です。

➁ アンケートの作成

調査の目的が明確になったら、その調査目的に合わせたアンケートを作成します。アンケートの項目は、仕事の内容や職場環境、処遇、人間関係、会社風土、福利厚生、経営などの項目から、自社で課題となっている項目を中心に設けるのがよいでしょう。

管理職と一般職の従業員によって設問の内容も変わると考えられますので、注意しながら作成しましょう。設問数があまりにも多くなると回答者が負担に感じてしまいますので、設問数が増えすぎないようにすることも大切です。

③ 調査の実施

アンケートを作成したら実際に調査を実施します。目的や概要などを従業員にしっかりと周知していれば、アンケートの回答率を上げることが可能です。

アンケートの回答内容にはプライベートや社内の人間関係に関する内容が含まれる場合があるため、情報の取り扱いには注意しましょう。

④ 結果の分析

調査を実施した後は結果の分析を行います。最初のステップで決めた調査の目的に沿って必要な集計や項目の分析を行いましょう。満足度調査の集計や分析の方法には、単純集計、クロス集計、構造分析があります。

単純集計

項目ごとの合計や数値の平均を出す集計方法です。単純集計はその後の分析にあたっての元データになります。

クロス集計

年齢・性別、部署別、役職別など、特定の条件を設定した場合に、その傾向がどうなるのかを比較するために使う集計方法です。

構造分析

項目ごとの相関関係や因果関係を分析する方法です。「この項目の満足度が高い従業員は、他のどの項目の満足度が高かったか」という結果を導き出すような分析もできます。これらを組み合わせて課題の有無や原因について明らかにしていきます。

⑤ 結果をもとに各種改善

次に、アンケート結果を集計・分析した結果から出てきた課題について、解決のための対策を検討していきます。

賃金や労働時間などの処遇、人事制度や福利厚生の見直しなどが一般的な検討事項になりますが、出てきた課題によって対策が異なります。どのような対策を行うにしても関係各所との連携や協力が必要になりますので、会社が一体となって対策を講じていくことが大切です。

ES(従業員満足度)調査の無料テンプレート・ひな形

従業員満足度調査を実施し、組織の成長につなげるためには、適切なツールが不可欠です。しかしながら、どのように作成すべきか悩んでいる人も多いのではないでしょうか。実際に自社に合わせたシートを1から作成するのはかなりの労力が必要です。しかし、テンプレートを活用することで、運用を効率化し、手間を大幅に削減することが可能です。

マネーフォード クラウドでは、今すぐ実務で使用できる、ES(従業員満足度)調査のテンプレート(エクセル・ワード)を無料でダウンロードすることが可能です。ベースを保ちつつ、自社の様式に応じてカスタマイズすれば、使い勝手のよい書類を作成できるでしょう。この機会にぜひご活用ください。

ES(従業員満足度)を高める方法

ここまで、ES(従業員満足度)を高めるメリットや調査方法について見てきました。それでは、具体的にはどのようにしてESを高めていけばよいのか、ここでは、その方法について解説します。

ミッション・ビジョン・カルチャーの浸透

会社のミッション・ビジョン・カルチャーを従業員に浸透させるということは、ES(従業員満足度)を高めるために有効な方法です。具体的には、日々のマネジメントやミーティングを通じて、会社のミッション・ビジョン・カルチャーを従業員個々人の目標にまで落とし込むことが重要になります。

従業員がそれらに深く共感できると、仕事へのやりがいも生まれ、従業員と会社の間に一体感が生まれます。また、従業員同士においても連帯感が生まれ、ESを高めていく効果が期待できます。

異動や配置の柔軟性

従業員が自分の適性に合っている仕事に就いている場合や従業員の能力を活かした仕事ができているという自覚がある場合には、ES(従業員満足度)は高まっていくと考えられます。

しかし、人の異動や配置は、経営者層のみの判断で行われることもあります。ESを高めていくためには、本人の希望にも配慮しながら、能力や適性も考えて、会社・従業員双方の将来を見据えた異動や配置を行うことが重要です。本人の希望も考慮する人事制度に見直すことで、ESも高まっていくでしょう。

職場環境の改善

職場環境を改善することもES(従業員満足度)を高めることにつながる方法です。従業員が働きやすい職場環境を提供することは、会社にとって重要な取り組みです。

働き方改革やワークライフバランスを進めていくために、フレックスタイム制の導入や時短勤務、テレワークなど、さまざまな勤務形態を選択できるようにする取り組みもESを高める効果があります。

また、社内のコミュニケーションが悪い場合、それをよくする方向への対策を取ることは、業務遂行のうえでもよい影響を与えることができるでしょう。

このようにESを高めていくことは従業員の定着率の向上につながり、生産性の向上にも貢献します。

労働時間の削減・業務効率化

労働時間の削減や業務効率化もES(従業員満足度)を高めます。残業や非効率的な業務が多いといった意見が多かった場合は、業務の洗い出しを行い、業務改善・業務効率化のための対策を行います。このような対策が実を結べば、結果的に残業時間の短縮につながり、働きやすさが向上し、ESが高まることになります。

このような対策も、ひいては従業員の定着率の向上につながり、生産性の向上にもプラスに働いていくことでしょう。

評価制度の見直し・レポートラインの整理

従業員に対する評価は特に難しい問題です。評価に不満を持つ従業員が多くなるとES(従業員満足度)は低くなっていきます。

「どうして自分はこの評価なのか」「どうして自分は昇給しないのか」などの不満を持つ従業員に対して、あいまいな説明しかできず、納得性のある明確な説明がなされないことは、ES低下の原因の1つです。これにより、従業員のモチベーションが下がり、生産性が下がってしまうことになれば、会社にとって大きな損失となります。

評価制度を見直して、評価基準を明確に定め、客観的で公平な評価ができる制度を構築することができれば、ESを高めるための取り組みになります。

福利厚生の整備

福利厚生を充実させることもES(従業員満足度)を高めるための要因の1つになります。具体的には、住宅手当の支給、借上社宅家賃補助、財形貯蓄、食事補助、保養所利用などが挙げられます。

今まで行っていなかった福利厚生の導入を検討したり、すでに行っている福利厚生の内容を充実させたりする検討を行うことも有効な手段です。

ES(従業員満足度)が高い会社の事例

2024年版日本における「働きがいのある会社」ランキング ベスト100の中から、ES(従業員満足度)が高い会社の具体的な取り組み事例を見てみましょう。

参考:2024年版 日本における「働きがいのある会社」ランキング|働きがいのある会社研究所(Great Place To Work® Institute Japan)

株式会社あつまる

集客プラットフォーム事業を展開する株式会社あつまるでは、半期に一度、特に素晴らしい成果を収めた従業員の功績をたたえるための表彰制度を実施しています。非日常体験・国内研修・海外研修などが表彰内容によって贈られ、表彰された従業員は国内外の「一流の方々の価値観」を学ぶことができます。このような表彰制度も、従業員のモチベーション向上につながり、ES(従業員満足度)を高める取り組みと言えるでしょう。

参考:表彰制度 | 株式会社あつまる 中途採用サイト

株式会社All Ads

「革新的なマーケティングにより、世界を牽引する企業になる」ことをビジョンに掲げる株式会社All Adsでは、従業員が常にベストな状態で仕事ができるように「働く環境」を提供しています。ワークスペースにはミーティングスペースやソファーが配置されており、カフェラウンジはリフレッシュスペースとして多目的に利用可能です。これらの施設は、当社で働く従業員にとってコミュニケーションが取りやすい環境と言えるでしょう。そのほか、恋活休暇、結婚記念日休暇、誕生日休暇などといった休暇制度や、認可外保育園補助、子供手当、住宅手当など、従業員をサポートする制度が充実しています。

参考:働く環境|株式会社All Ads

DHLジャパン株式会社

物流業界の大手企業であるDHLジャパン株式会社では、毎年無記名式の従業員を対象とした意識調査を実施しています。従業員の生の声が反映された調査結果をもとに、働きやすさの改善や向上につながるアクションを実行しており、日本では99%の従業員がこの調査に参加し、職場環境の改善に生かされています。従業員目線で職場環境に対する課題・問題点を精査し、即時実行に移すことは、ES(従業員満足度)を高める重要な取り組みです。こうした取り組みが、コミュニケーションを取りやすい職場環境を作り、従業員同士の一体感の醸成に結び付いています。

参考:日本における「働きがいのある会社」にDHLジャパンは、9年連続でランクインしました。|DHL – Japan 日本

アチーブメント株式会社

人材教育コンサルティング事業を行うアチーブメント株式会社では、組織の理念に共感した人材を採用し、育成の体系を整えることで、ES(従業員満足度)が高い組織を目指しています。当社の従業員への取組は、一人ひとりの付加価値を高めるための「理念から一貫した社員教育」です。従業員同士が支援し合える組織風土づくりに力を入れています。

参考:対社員の取り組み|人材教育コンサルティングのアチーブメント株式会社

株式会社ディスコ

精密加工装置の製造・販売事業を行う株式会社ディスコでは、「従業員満足志向(ESO)経営」に力を入れています。無記名による従業員満足度調査を2003年度から実施し、経営陣で構成される「ESコミッティ」で改善策を議論しています。100を超える調査項目のすべてに目を通して状況把握を行い、調査結果を全従業員にフィードバックすることは大変な作業です。しかし、当社は従業員満足度を高めることによる企業収益向上の好循環を生み出すための投資を行い、積極的に取り組んでいます。

参考:従業員満足志向(ESO)の取り組み | 人的資本 | SDGs / ESG / CSR | 株式会社ディスコ

ES(従業員満足度)を高めて会社も従業員もWin-Winの関係に

ESを高めていかないと、従業員のモチベーションが上がらず、離職する率が高くなる、生産性が上がらない、といった会社にとっても従業員にとってもメリットのない状況になってしまいます。

ES調査などで改善点を洗い出し、それを見直すことによって、ESを高めることができます。それが、従業員の満足感を生み出し、生産性を上げることにつながり、会社の業績も上がり、顧客満足度も上がる、というような状況を作るのです。ESを高めるような対策を行って、会社も従業員もWin-Winの関係になるように進めていきましょう。


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