• 更新日 : 2024年3月26日

ES(従業員満足度)とは?向上の方法や高い企業の特徴

ES(従業員満足度)とは?向上の方法や高い企業の特徴

ES(従業員満足度)とは、職務内容や労働環境、待遇、人間関係、福利厚生などにおける、仕事や職場に対する従業員の満足度を表す指標のことをいいます。

近年は、ES向上に取り組む会社が増えています。この記事では、ESの意味合いや構成要素、ESを高めるメリット、ESの調査方法、ESを高めていく方法などについて解説していきます。

ES(従業員満足度)とは?

従業員満足度は「ES」と略称で呼ばれることもあります。「ES」は英語では「Employee Satisfaction」といい、その頭文字から「ES」と呼ばれています。

ES(従業員満足度)とは、職務内容や労働環境、待遇、人間関係、福利厚生などにおける、従業員の仕事や職場に対する従業員の満足度を表す指標です。

近年は、人材不足や人材の流動性の高まりなどもあり、ESを重視する会社が増えてきています。働き方改革を進めていくうえでも、ESの向上は、会社が取り組んでいくべき対応の1つです。ESを高めれば、生産性も高くなり、その効果で顧客満足度も高めることにもつながっていきます。

エントリーシートの省略も「ES」と呼ばれるので注意

従業員満足度のことを「ES」と呼びますが、就職活動している学生が会社に応募するために提出する応募書類も「ES」と呼ばれています。こちらは「エントリーシート」の略称になります。略称が同じ「ES」になり、紛らわしいのでネット検索などする際には注意が必要です。

ES(従業員満足度)を構成する要素

ES(従業員満足度)を高めていくためにはどのように進めていけばよいのか、あまりにも漠然としているのでわからないのではないでしょうか。

ESを構成している要素を把握して、それぞれの満足度を向上させていく方法を考えていくとスムーズに進めることができます。ここからは、ESを構成する要素について解説していきます。

① ミッション・ビジョン・カルチャーへの共感

会社が掲げるミッションやビジョン、カルチャーへの共感は、ES(従業員満足度)を構成する要素の1つになります。

会社が掲げるミッションやビジョン、カルチャーに従業員が共感できていれば、従業員は誇りを持ち、それを実現するために、自ら考え、貢献しようと行動します。

➁ マネジメントへの信頼・納得感

次の要素は、マネジメントへの信頼や納得感です。マネージャーが部下と円滑なコミュニケーションが取れているか、部下の能力を正確に把握して適切な業務指示が出されているか、部下が納得感のある評価をされているか、などがES(従業員満足度)を構成する要素になります。

仕事が部下に丸投げされている場合、部下が正当な評価をされていると感じられない場合などは、従業員の離職率も高くなります。これは、ESが低くなっているからです。

③ 職場における人間関係

会社内の人間関係での従業員の退職は、離職理由の上位になっています。人間関係が良好でないと、従業員の仕事に対する意欲や働き方に大きな影響を与えます。従業員はほぼ一日を会社で過ごしており、会社内での人間関係がこじれてしまうと、従業員には大きなストレスを与えてしまうことになるのです。

良好な人間関係を保ち、従業員が安心して仕事ができるような職場環境の構築が必要です。

④ 個々人が社会・会社に与える影響

ES(従業員満足度)を構成する要素として、自分が社会にどのくらい貢献しているか、会社の業績にどのくらい寄与しているかということも挙げられます。

自分の仕事が社会や会社の業績に影響を及ぼしていると感じられることは、ESを高めていくうえで欠かせないことでしょう。

⑤ 職場環境・福利厚生

職場環境や会社の福利厚生を整備することもES(従業員満足度)を向上させるための取り組みの1つです。従業員が利用しやすい福利厚生制度を導入する、就業規則を整備して法定外の休暇制度を設ける、などにより、ワークライフバランスを実現しやすくします。

このように職場環境を整えることによって、働きやすさが高まり、従業員の業務効率も上がるため、ESを高めることにつながっていきます。

ES(従業員満足度)を高めるメリット

ES(従業員満足度)を高めることは、従業員だけにメリットがあるように感じますが、実際には会社にもメリットがあります。ESを高めることによって双方が得られるメリットについて見ていきましょう。

離職率の低下

ES(従業員満足度)を高めるメリットとして、離職率の低下が挙げられます。ESが高い会社は、職務内容や労働環境、待遇、人間関係、福利厚生などについて、従業員の仕事や職場に対する従業員の満足度が高いということです。

ESが高い会社は、従業員が転職するメリットを感じにくいため、離職率が低い傾向にあります。満足度が高い従業員が多くなることは、会社のイメージアップにつながります。それが結果的に採用活動にも効果的に影響し、採用コストや人材教育のコストを減らすことにつながります。

顧客対応の向上

ES(従業員満足度)を高めるメリットとして、次に、顧客対応(顧客満足度)が向上することが挙げられます。

ESを高めることができれば、従業員の会社や自社の製品に対する愛着や貢献意欲であるエンゲージメントも高まります。それによって、従業員が積極的に提案したり改善への取り組みが行われたりと、商品やサービスの質の向上につながります。

それらの行動が結果的に顧客満足度につながるのです。

生産性の向上

ES(従業員満足度)を高めるメリットとして、他には、生産性の向上が挙げられます。仕事や労働環境、待遇、人間関係、福利厚生などに不満がない場合、自分の仕事に集中して前向きに取り組んだり、大きな成果を上げたりして生産性が高まります。

その結果、会社の業績向上にもつながるメリットになり得るのです。

ES(従業員満足度)の調査方法

ES(従業員満足度)を調査することは、ESを高めるためには欠かせない調査になります。ESを調査する方法はいくつかありますが、アンケートによる調査が一般的ではないでしょうか。ここからは、ESの調査方法について順番に解説していきます。

① 調査の目的を決める

ES(従業員満足度)の調査においては、まず調査の目的を明確にして、目的や概要など、その内容を従業員に周知することから始めます。

目的を明確にしてから調査を実施しないと、課題があってもその課題を解決する方向性を見つけることができず、せっかく実施した調査結果が有効活用できないことにもなりかねません。

なお、調査目的を決めるときには、従業員の仕事に対する意欲や働き方を向上させるためなど、目的をなるべく詳細に決めることが大切になります。

➁ アンケートの作成

調査の目的が明確になったら、その調査目的に合わせたアンケートを作成していきます。アンケートの項目は、仕事の内容や職場環境、処遇、人間関係、会社の風土、福利厚生、経営などの項目になります。管理職と一般職の従業員によって設問の内容も変わると考えられますので、注意しながら作成してください。

設問数があまりにも多くなると回答者が負担に感じてしまいますので、設問数が増えすぎないようにしましょう。

③ 調査の実施

アンケートが作成できたら実際に調査を実施します。最初に調査の目的を決めたステップで、目的や概要などを従業員に周知していますので、アンケートの回答率を上げることができるでしょう。

回答内容には、プライベートや社内の人間関係に関する内容が含まれる場合があるため、調査の実施を第三者機関などに委託する必要があるかもしれません。

④ 結果の分析

調査を実施した後は結果の分析を行います。最初のステップで決めた調査の目的に沿って必要な集計や項目の分析を行います。満足度調査の集計や分析の方法には、単純集計、クロス集計、構造分析があります。

単純集計

項目ごとの合計や数値の平均を出す集計方法です。単純集計はその後の分析にあたっての元データになります。

クロス集計

年齢・性別、部署別、役職別など、特定の条件を設定した場合に、その傾向がどうなるのかを比較するために使う集計方法です。

構造分析

項目ごとの相関関係や因果関係を分析する方法です。「この項目の満足度が高い従業員は、他のどの項目の満足度が高かったか」という結果を導き出すような分析もできます。これらを組み合わせて課題の有無や原因について明らかにしていきます。

⑤ 結果をもとに各種改善

次に、アンケート結果を集計・分析した結果から出てきた課題について、解決のための対策などを検討していきます。

賃金や労働時間などの処遇、人事制度や福利厚生の見直しなどが一般的な検討事項になりますが、出てきた課題によって対策が異なります。どのような対策を行うにあたっても、関係各所との連携や協力が必要になりますので、会社が一体となって対策を講じていくことが大切です。

ES(従業員満足度)調査の無料テンプレート・ひな形

従業員満足度調査を実施し、組織の成長につなげるためには、適切なツールが不可欠です。しかしながら、どのように作成すべきかお悩みの方も多いのではないでしょうか。実際に自社に合わせたシートを1から作成するのはかなりの労力が必要です。しかし、テンプレートを活用することで、運用を効率化し、手間を大幅に削減することが可能です。

マネーフォードクラウドでは、今すぐ実務で使用できる、ES(従業員満足度)調査のテンプレート(エクセル・ワード)を無料でダウンロードいただけます。ベースを保ちつつ、自社の様式に応じてカスタマイズすれば使い勝手の良い書類を作成できるでしょう。この機会にぜひご活用ください。

ES(従業員満足度)を高める方法

ここまで、ES(従業員満足度)を高めるメリットや調査方法について見てきました。それでは、具体的にはどのようにしてESを高めていけばよいのか、ここでは、その方法について解説します。

ミッション・ビジョン・カルチャーの浸透

会社のミッション・ビジョン・カルチャーを従業員に浸透させるということは、ES(従業員満足度)を高めるために有効な方法です。具体的には、日々のマネジメントやミーティングを通じて、会社のミッション・ビジョン・カルチャーを従業員個々人の目標にまで落とし込むことが重要になります。

従業員がそれらに深く共感できると、仕事へのやりがいも生まれ、従業員と会社の間に一体感が生まれます。また、従業員同士においても連帯感が生まれ、ESを高めていく効果が期待できます。

異動や配置の柔軟性

従業員が自分の適性に合っている仕事に就いている場合や従業員の能力を活かした仕事ができているという自覚がある場合には、ES(従業員満足度)は高まっていくと考えられます。

しかし、人の異動や配置は、会社のみの判断で行われることもあります。ESを高めていくためには、本人の希望にも配慮しながら、能力や適性も考えて、会社の将来を見据えた異動や配置を行うことが必要になります。

そのためには、本人の希望も考慮する人事制度に見直すことで、ESも高まっていくのではないでしょうか。

職場環境の改善

職場環境を改善することもES(従業員満足度)を高めることにつながる方法です。従業員が働きやすい職場環境を提供することは、会社にとっては大事な取り組みです。

働き方改革やワークライフバランスを進めていくために、フレックスタイム制の導入や時短勤務、テレワークなど、さまざまな勤務形態を選択できるようにする取り組みもESを高める効果があります。

また、社内のコミュニケーションが悪い場合に、それを良くする方向への対策を取ることにより、業務遂行のうえでも良い影響を与えることができるでしょう。

このようにESを高めていくことにより、従業員の定着率の向上につながり、生産性の向上にもプラスになっていきます。

労働時間の削減・業務効率化

労働時間の削減や業務効率化もES(従業員満足度)を高めます。残業や非効率的な業務が多いといった意見が多かった場合、業務改善についての対策を行います。そうすることによって、業務効率化が進んで、結果的に残業時間の短縮につながり、働きやすさが向上すればESは高まることになります。

このような対策も、ひいては従業員の定着率の向上につながり、生産性の向上にもプラスに働いていくことでしょう。

評価制度の見直し・レポートラインの整理

従業員に対する評価は特に難しい問題です。会社の評価に不満を持つ従業員が多くなるとES(従業員満足度)は低くなっていきます。

「どうして自分はこの評価なのか」「どうして自分は昇給しないのか」などの不満を持つ従業員に対して、あいまいな説明しかできず、納得性のある明確な説明がなされないことが原因の1つです。これにより、従業員のモチベーションが下がり、生産性が下がってしまうことになれば会社にとってダメージが大きくなります。

対策としては、評価制度を見直して、評価基準を明確に定め、客観的で公平な評価ができる制度を構築することができれば、ESを高めるための取り組みになります。

福利厚生の整備

福利厚生を充実させることもES(従業員満足度)を高めるための要因の1つになります。具体的には、住宅手当の支給、借上社宅家賃補助、財形貯蓄、食事補助、保養所利用などが挙げられます。

今まで行っていなかった福利厚生の導入を検討したり、すでに行っている福利厚生の内容を充実させたりする検討を行うことも有効な手段です。

ES(従業員満足度)を高めて企業も従業員もWin-Winの関係に

ESを高めていかないと、従業員のモチベーションが上がらず、離職する率が高くなる、生産性が上がらない、といった会社にとっても従業員にとってもメリットのない状況になってしまいます。

ES調査などで改善点を洗い出し、それを見直すことによって、ESを高めることができます。それが、従業員の満足感を生み出し、生産性を上げることにつながり、会社の業績も上がる、顧客満足度も上がる、というような状況を作ります。ESを高めるような対策を行って、会社も従業員もWin-Winの関係になるように進めていきましょう。


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