• 更新日 : 2022年3月22日

契約社員は年末調整の対象?確定申告をしたほうがいいケースも解説

契約社員も年末調整の対象です。ただし、契約社員が自分で確定申告をしなければならないケース、確定申告をしなければ受けられない控除があって所得税還付のためにも自分で確定申告をしたほうがいいケースがあります。

ここでは、どのような働き方が契約社員に当てはまるのかを紹介し、契約社員の年末調整・確定申告について解説します。

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契約社員の定義

自分が契約社員に当てはまるのかどうかを確認するには、まずは基本的な働き方の違いを知ることが重要です。正社員、契約社員、派遣社員、アルバイトなどとさまざまな名称がありますが、その違いは、すべて雇用形態の特徴の違いにあります。

最近では、正社員の中でも「勤務地限定正社員」「短時間正社員」「勤務時間限定正社員」などと、多様な働き方のニーズに合わせて雇用形態ごとに異なる名称が用いられています。正社員は、労働契約に契約期間の定めがなく、フルタイムで働く直接雇用の労働者であることが一般的です。勤務地、所定労働時間、働く時間帯を限定するような、いわゆる「多様な正社員」というのは、正社員として労働契約の期間に定めはないものの、働き手のニーズに合わせて、時間や勤務地などの範囲を限定した正社員のことをいいます。

以上のことから考えても、「契約社員」という定義は法律上ありません。したがって、契約社員の定義は会社独自の判断で決定することができます。正社員と非正規社員を区別するために「契約社員」という名称を使うこともあれば、フルタイムで働くアルバイトよりも正社員に近い働き方として、「契約社員」という名称を使うこともあり、会社によって雇用形態の特徴はさまざまです。

一般的には、契約社員は「有期雇用労働者」に当てはまることが多いでしょう。有期契約労働者とは、以下のような働き方をする雇用形態のことです。

  • 労働契約にあらかじめ契約期間が定められている
  • 契約期間満了にともない自動的に労働契約が解消される(更新することも可能)
  • 1回の契約期間は最長で一定の場合を除き3年

参考:さまざまな雇用形態|厚生労働省

つまり、契約社員の場合、雇用契約書に「契約期間:1年」や「〇年〇月〇日をもって契約満了とする」といった雇用期間を限定する文言がある契約内容になっているケースが多いでしょう。

契約期間が定められている有期労働契約の場合、反復更新して通算5年を超えたときは、労働者の申し出により期間の定めのない無期労働契約に転換することができます。そして、会社は無期労働契約に転換することを断ることができません。

また、契約期間の定めのある労働契約の場合、会社はやむを得ない事由がなければ、契約期間中の労働者の解雇は認められていません。やむを得ず解雇する場合でも、30日前に予告することや、予告を行わない場合には30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)を支払うことが労働基準法で定められています。

参考:有期契約労働者の無期転換サイト|厚生労働省

契約社員と派遣社員の違い

契約社員と派遣社員とでは、雇用主が異なります。契約社員は会社が直接雇用する形態です。派遣社員は派遣元(人材派遣会社)と雇用契約を結び、その上で、人材派遣会社が派遣先(働く会社)に労働者を派遣します。

このように、派遣社員は雇用されている会社と実際に指揮命令を受けながら業務する会社とが異なります。そのため、待遇や契約については、労働者派遣法で細かいルールが定められています。

契約社員とアルバイトの違い

契約社員の多くは、正社員と比べ昇給や昇格の機会が限定されていることが少なくありません。業務内容もほぼ変わらない場合、「アルバイト」と混同してしまうこともあるでしょう。契約社員とアルバイトとの大きな違いは「所定労働時間」にあります。

アルバイトは、パートタイム・有期雇用労働法上の「パートタイム労働者」に該当します。「パート」「アルバイト」と呼び方の違いはありますが、法律上の区分は同じです。こうしたパートタイム労働者は、契約で定められる1週間の所定労働時間が正社員より短く設定されています。

なお、契約社員であってもアルバイトであっても、条件に合致すれば社会保険雇用保険の適用対象になり、年次有給休暇も発生します。

参考:パートタイム・有期雇用労働法の概要|厚生労働省

契約社員と個人事業主の違い

契約社員やパート、アルバイト、そして派遣労働者はそれぞれ労働法の保護の対象となります。こうした労働者と違う立場にいるのが、フリーランスや業務委託、個人事業主といった方々です。

個人事業主とは、個人で独立して仕事をすることで継続的に収入を得ている人、つまり、法人を設立せずに個人で事業をしていれば個人事業主です。職種・業種に関係なく、個人名で税務署に開業届を提出して事業をすれば、誰でも個人事業主になれます。

最近ではフリーランスという言葉が話題になりますが、フリーランスは、働き方の呼称といえるでしょう。フリーランスは、企業と雇用関係を結ばずに企業や取引先と「業務委託契約」もしくは「請負契約」を結び、成果物や役務の対価として報酬を得ます。フリーランスは個人事業主だけではなく法人設立も可能ですが、「企業や団体に属さずに個人で業務を請け負うような働き方をする人」をいい、明確な定義はありません。

契約社員は労働法の保護対象となる労働者の雇用形態の1つであり、事業主に雇用されて仕事をします。労働者の場合には、社会保険・雇用保険に加入し、その保険料の一部は事業主にも負担してもらえますが、個人事業主の場合は、国民健康保険や国民年金に全額自己負担で加入する必要があります。

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契約社員は年末調整の対象になる?

契約社員は原則として年末調整の対象になり、各種控除が適用されます。年末調整の対象者とは、以下のような労働者を指します。

会社が「給与」を支払っている

契約社員は、雇用する会社が給与を支払っています。年末調整は、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出し、月々の給与から源泉徴収として税金を天引きしている人が対象となりますので、契約社員も年末調整の対象に含まれます。

一方、個人事業主やフリーランスのように業務委託・請負などの契約で働く人の報酬は給与ではなく事業収入であり、年末調整の対象外です。派遣社員は、雇用している派遣元である人材派遣会社の従業員ですので、派遣元で年末調整を行います。

会社で1年を通じて働いている

1年を通じて働き収入源が契約社員の給与のみであれば、年末調整の対象になります。副業をしつつ契約社員の仕事をしている場合も、1年を通じて働いていれば年末調整の対象です。

仕事を複数かけ持っており、別に「主たる収入源」がある(本業として働いている勤務先にだけ「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出して源泉徴収されている)場合は、年末調整の対象にはなりません。

中途入社で年末(12月31日)に会社に在籍している

年末時に会社に在籍している人が年末調整の対象になります。年の途中で退職した人は、一定の場合を除き原則として年末調整の対象にはなりません。

それ以外に、その年の年収や源泉徴収票の有無も、年末調整を行う上での要件となります。

【年末調整の対象にならない人】

  • 給与収入が年間2,000万円を超える人
  • 年の途中で入社した人で前職での源泉徴収票が提出できない人
  • 複数の企業に勤務し、自社以外の企業に「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出している人
  • 「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」未提出の人
  • 災害減免法の規定により、その年の給与に対する所得税及び復興特別所得税の源泉徴収の徴収猶予や還付を受けた人

参考:No.2665 年末調整の対象となる人|国税庁

契約社員の可能性として一番考えられるのが、副業やアルバイトなど、他の収入源があるケースです。基本的に、年末調整を行う勤務先へは、入社時に「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出しています。複数の勤務先がある場合は、扶養控除申告書をどこに提出したのかを今一度確認しましょう。

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契約社員が確定申告の必要なケース、したほうがいいケース

契約社員は会社から給与が支払われている給与所得者であるため、年末調整の対象となります。個人事業主とは異なり、基本的には確定申告を自分でする必要はありません。ただし、副業で収入がある場合など、確定申告をしなければならないケースがあります。また、ケースによっては確定申告を自分で行うことで年末調整では行うことができない控除の適応を受け、所得税が安くなり、結果として支払う税金が少なくなるメリットがあります。

契約社員でも確定申告が必要な「退職」と「副業」

年末調整では、1年間の収入を確定し、毎月の源泉徴収で納めていた所得税の過不足が清算されます。もし、納めた所得税が多いという場合には年末調整で還付され、不足分がある場合には税金を追加で支払います。

会社に雇用されている契約社員は、年末調整でこの所得税の清算が行われているため、自分で確定申告をする必要はありません。しかし、年の途中で退職しそのまま無職となってしまったケースや、副業を行っていて一定額を超えるケースでは、確定申告の必要があります。

年の途中で雇用契約満了により退職し無職の場合

年の途中で雇用契約が切れ、退職となった場合、通常は年末調整の対象にはなりません。退職後、年末までに別の雇用先が決まれば、新しい雇用先で年末調整が行われます。しかし、年末まで引き続き無職となった場合は、確定申告を行う必要があります。

退職後、とくに収入がないため確定申告の必要はないと考える方もいるかもしれません。しかし、契約社員として勤務していた期間は源泉徴収で税金が給与から天引きされています。確定申告で各種控除が認められると、納めるべき所得税の額が低くなり、結果として税金の還付が受けられる可能性が高くなります。「働いていないから確定申告は必要ない」とは思わずに、退職した年の分こそ、確定申告の手続きを行いましょう。

契約社員として働く会社以外に副業があるケース

近年では、ダブルワーク就業規則で認める、いわゆる副業解禁の流れが目につくようになりました。副業、アルバイトなどさまざまな形はありますが、本業である会社以外に収入がある場合は、原則として確定申告が必要となります。

このとき、副業の収入が、個人事業主のように給与ではない場合は、収入から経費を差し引いた所得金額が20万円を超えると確定申告が必要になります。もし副業がアルバイトのように、本業と同様に給与所得の場合は、給与の支給金額が20万円を超えると確定申告が必要となります。

参考:副業の確定申告はいくらから?20万円以下ならしないでいい?サラリーマン・会社員必見!

契約社員でも確定申告を行ったほうがメリットのあるケース

個人事業主ではなく、副業もしておらず、会社に雇用され契約社員一本で継続的に働いている場合、基本的には年末調整のみで、確定申告の必要はありません。しかし、以下の3つの控除は確定申告のみで控除可能です。

そのため、以下のケースに当てはまる場合は、年末調整後に自分で確定申告を行うことで、所得税・住民税の額が安くなる可能性があります。

医療費を多く支払った場合

病気やケガによる診察や入院、薬にかかった費用に対しては「医療控除」が受けられます。医療費控除とは、年間200万円を上限額として、年間に支払った医療費から保険金などで補填された額を引き、10万円または所得金額の5%のどちらか少ない額を「超えた分」が、課税所得から差し引かれる制度です。

また、医療費控除の条件には当てはまらない場合でも、一定の条件を満たした場合に利用できる「セルフメディケーション制度」もあります。この制度では、年間に購入した薬代の1万2000円を超えた金額を課税所得から控除することが可能です。(医療費控除との併用はできません)

契約社員で働きながら、病気やケガの治療など医療費が多くかかった場合には、確定申告の医療費控除を活用するといいでしょう。

参考:
医療費控除について試算例を用いてわかりやすく解説
市販薬も対象!医療費控除の特例「セルフメディケーション税制」とは

ふるさと納税を6自治体以上に行った場合

ふるさと納税を行った場合は「寄付金控除」が受けられます。寄付金控除とは、地方自治体や認定NPO法人など、特定の団体・組織に対して寄付をした金額を、課税所得もしくは所得税額から差し引ける制度です。

ふるさと納税は、5つの自治体までは「ワンストップ特例制度」を活用することで確定申告をせずに控除を受けることができますが、6つ以上の自治体へ寄付を行っている場合は確定申告をする必要があります。

参考:確定申告不要!ワンストップ特例制度を使ったふるさと納税の方法について解説!

住宅ローンを支払っている場合

住宅ローンを支払っている場合は「住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)」が受けられます。住宅ローン控除とは、住宅ローン等を利用して住宅を購入した人が受けられる控除制度で、10年間で最大400万円〜500万円の控除が受けられる制度です。

この控除は、納めるべき所得税額から直接控除額が差し引かれる税額控除のため、大きな減税効果を実感できます。また、所得税で控除しきれない場合は136,500円を上限として住民税からも控除されます。

2021年12月で終わる予定だった住宅ローン控除は、2022年度税制改正で4年間延長することが決まり、内容の一部に変更がありました。控除率は1%から0.7%に引き下げられ、控除期間は新築住宅の場合は13年となり、住宅ローン控除の対象となる借入限度額なども大きく変更されています。2021年までに入居してすでに現行の住宅ローン控除を受けている方に変更はありません。しかし、マイホームを購入して2022年以降に入居する予定の方は、税制改正後の住宅ローン控除が適用されますので注意しましょう。

参考:
住宅ローン控除とは?確定申告での必要書類や条件を解説
住宅ローン減税等が延長されます!~環境性能等に応じた上乗せ措置等が新設されます~ |国土交通省

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契約社員の年末調整の仕方・書類の書き方

契約社員は、勤務先で年末調整を行い、確定申告での控除を利用する場合に自分で確定申告を行うのが基本の流れです。適切な控除を利用できるよう、まずは年末調整の書類を正しく記入しましょう。

年末調整では、以下の3つの書類を提出します。

  • 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
  • 給与所得者の保険料控除申告書
  • 給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書

これらの書類は年末調整の時期が近づくと会社担当者から配布されます。内容を確認し、きちんと記入した上で、期日までに担当者に提出しましょう。その際、控除を受けるには以下の書類が必要になるため、保険料の支払いを証明する書類などは大切に保管しておくといいでしょう。

  • 国民健康保険、国民年金、社会保険料などの支払いを証明する書類
  • 生命保険料控除証明書
  • 個人型の確定拠出年金の掛金払込証明書
  • 住宅ローンに関する年末残高等証明書など

参考:年末調整の提出書類まとめ 申告書の書き方を解説

年末調整の書類を正しく記入し、必要に応じて確定申告を行おう

契約社員は年末調整の対象です。そのため、まずは勤務先から配布される年末調整書類を間違いのないように提出しましょう。その後、医療費控除や寄付金控除、住宅ローン控除など、年末調整では受けられない控除がある場合は、自分で確定申告を行うことで税金の還付が期待できます。

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よくある質問

契約社員は年末調整の対象になりますか?

給与所得として会社から給与が支払われている契約社員は、原則として年末調整の対象となります。ただし、副業により複数の会社で勤務している場合など他に勤務先がある場合は、年末調整を行うのは1箇所のみです。詳しくはこちらをご覧ください。

契約社員にとって年末調整を行うメリットはなんですか?

年末調整では、会社で毎月天引きされた源泉所得税と正確に計算した所得税との差額清算と納税をするため、確定申告の手間が省けます。医療費控除や寄付金控除などがあるときは、確定申告をしましょう。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

監修:加治 直樹(経営労務コンサルタント)

銀行に20年以上勤務し、融資融資から資産運用、年金相談まで幅広く相談業務の経験あり。中小企業の決算書の財務内容のアドバイス、資金調達における銀行対応までできるコンサルタント。退職後、かじ社会保険労務士事務所として独立。現在は行政で企業及び労働者の労働相談業務を行いながら、セミナー講師など幅広く活動中。

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