- 作成日 : 2023年3月10日
特別休暇とは?給料は支払われる?種類や日数も解説!
労働者に与える休暇のうち、法定休暇とは別に企業が任意で付与する休暇を特別休暇と言います。企業は特別休暇の種類や付与日数、給料支払いの有無などについて自由に設定でき、無給としても問題ありません。
代表的な特別休暇には病気休暇や慶弔休暇、裁判員休暇が挙げられます。国家公務員や地方公務員にも同じような特別休暇制度があります。
目次
特別休暇とは?
特別休暇とは法律で付与が定められていないものの、独自の判断により制度を設け、労働者に付与する休暇を言います。労働基準法などで定められている「法定休暇」に対して、特別休暇は「法定外休暇」に該当します。法定休暇には以下のものがあります。
- 年次有給休暇
- 産前・産後休業
- 生理休暇
- 育児休業
- 介護休業
- 子の看護のための休暇
年次有給休暇や産前・産後休業、生理休暇は「労働基準法」に付与が規定されている休暇です。
育児休業や介護休業、子の看護のための休暇は「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」に基づいて付与される休業です。法定休暇は法律で労働者に付与することが定められているため、付与を行わないと法律違反になります。
法定休暇に対して、法定外休暇は法律で労働者に付与することが定められていません。付与を行わなくても法律違反にはならず、特別休暇を設けるかどうかは企業に任されています。令和4年就労条件総合調査では特別休暇制度のある企業は58.9%となっています。
参考:令和4年度就労条件総合調査 結果の概要(労働時間)|厚生労働省
特別休暇の種類
特別休暇はそれぞれの企業が設定するため、さまざまな種類があります。特別休暇制度を導入している多くの企業が設けている、一般的な特別休暇の種類をご紹介します。
病気休暇
病気休暇は疾病で治療を必要とする労働者に対して、療養のために付与する休暇を指します。入院のための長期休暇のほか、通院のため時間単位・半日単位で付与する休暇も含まれます。
裁判員休暇
裁判員休暇は従業員が裁判員に選ばれた際に、必要な休暇を与える制度です。裁判員制度は無作為に選ばれた6名が裁判に参加し、被告人について罪の有無や重さ、科すべき処罰の内容の決定に関わる制度です。仕事を休まなければならないという心理的負担から裁判員の職務に支障が出ることを防ぐ目的で付与される休暇です。
ワクチン休暇
ワクチン休暇は新型コロナウイルス感染症の感染・重症化予防のためにワクチン接種を行う従業員に対して付与される休暇です。仕事が休めないためにワクチンを打てないということをなくす目的で付与されます。
慶弔休暇
慶弔休暇は従業員や従業員家族に、慶事や弔事があった場合に付与する休暇です。慶事には結婚や出産、弔事には親族の死亡が挙げられます。慶事や弔事に必要な式典や行事に必要な休暇を与え、お祝いや慰労の意味合いも込めて休暇を付与します。
リフレッシュ休暇
リフレッシュ休暇は心身の疲労回復が必要な従業員に対して付与する休暇です。勤続期間が長くなると心身ともに疲労が溜まり、労働意欲の減退などが引き起こされ、生産性の低下につながる恐れがあります。節目に休暇を付与することで長期間にわたる勤務に区切りをつけ、リフレッシュする目的で与える休暇がリフレッシュ休暇です。
バースデー休暇
バースデー休暇は授業員の誕生日に付与する休暇です。自分で自由に過ごしたり、家族で祝ったりするために付与します。
アニバーサリー休暇
アニバーサリー休暇は結婚記念日など、従業員の記念日に付与する休暇です。バースデー休暇と同様に自分で自由に過ごしたり、家族で祝ったりするために付与します。
夏期・冬期休暇
夏期・冬期休暇は、お盆や正月に合わせて付与する休暇です。8月15日や1月1日を中心に、従業員が連続して休暇を取得できるように付与します。
ボランティア休暇
ボランティア活動のために付与する休暇がボランティア休暇です。社会貢献活動や地域貢献活動、死産・環境保護活動、災害支援復興活動といったボランティア活動を行う従業員に付与します。ボランティア休暇の導入には従業員のボランティア活動を支援することによって企業イメージが向上するというメリットがあります。また従業員のスキルアップや会社への帰属意識・貢献意欲の高まりも期待できます。
特別休暇でも給料は支払われる?
特別休暇について給料を支払うかどうかは、企業が決めることができます。無給としても問題はなく、有給とする企業もあります。労働基準法によって付与する年次有給休暇は有給とすることが法律で定められていますが、特別休暇は法定外休暇であるため、法律に規定がありません。そのため無給・有給のどちらでも、企業が判断して決定することが認められています。
特別休暇の取得日数 – 一般的な日数
特別休暇の一般的な日数は、以下の表の通りです。
一般的な日数 | |
---|---|
必要な日数・時間数 | |
必要な日数・時間数 | |
1日 | |
従業員が結婚する場合5日 配偶者・子どもが死亡した場合10日 父母が死亡した場合5日 祖父母・兄弟姉妹・配偶者の父母が死亡した場合3日 その他の親族が死亡した場合1日 | |
勤続年数5年に対して3日 勤続年数10年に対して5日 | |
1日 | |
1日 | |
3~5日 | |
ボランティア活動による |
公務員の特別休暇
公務員の特別休暇制度には以下のようなものがあります。
- 公民権行使
選挙権などの公民権を行使する場合に、必要と認められる期間 - 官公署出頭
裁判員などとして官公署に出頭する場合に、必要と認められる期間 - 骨髄等ドナー
骨髄又は末梢血管細胞の提供者となる場合に、必要と認められる期間 - ボランティア
ボランティア活動に参加する場合に、1年につき5日の範囲内の期間 - 結婚
正職員が結婚する場合に、結婚の日5日前の日から結婚の日後1月を経過する日までの期間において連続する5日の範囲内の期間 - 忌引
親族が死亡した場合に、親族に応じて連続する日数の範囲内の期間
特別休暇が無給だった場合は違法?
特別休暇は無給であっても問題はなく、違法でもありません。福利厚生充実を目的に、企業が独自の判断で任意に設ける休暇制度が特別休暇です。法律では定められていない休暇であり、有給としても無給としても法律違反にはなりません。
特別休暇の申請方法と労務担当者の社内手続き
まず特別休暇を導入するには、就業規則への記載が必要です。従業員に付与する休日や休暇は就業規則に記載しなければならないことが、労働基準法で定められています。
特別休暇も例外ではなく、制度を設ける際は、就業規則に定めなければなりません。定めておく内容は対象者や付与日数などです。
導入後の運用は、以下のように行います。
↓
申請内容についてチェックを行う
<チェック内容>
・特別休暇の対象従業員かどうか
・特別休暇の取得条件を満たしているかどうか
・休暇の付与日数は規定通りかどうか
↓
問題がなければ休暇を付与する
↓
有給か無給化により給与計算を正しく行う
自社に合った特別休暇を導入し、福利厚生の充実などのメリットにつなげよう
特別休暇は企業が任意で付与する休暇です。年次有給休暇などは法律で付与が義務づけられていますが、特別休暇は付与しなくても問題ありません。導入する場合も種類や付与日数は企業が自由に決定でき、給料を支払わずに無給とすることも認められています。
特別休暇制度の導入目的には福利厚生の充実が第一に挙げられますが、企業イメージ向上の効果もあります。また従業員のモチベーションアップによる生産性向上も期待できるため、自社に合った特別休暇の導入を検討しましょう。
よくある質問
特別休暇とは何ですか?
法定休暇以外に会社が任意で付与する休暇で、病気休暇や慶弔休暇、ボランティア休暇などがあります。詳しくはこちらをご覧ください。
特別休暇についても有給と同様に給料は支払われますか?
特別休暇を有給にするか、無給にするかは会社に任せられているため、給料が支払われるとは限りません。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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