- 更新日 : 2024年9月6日
不採用通知の書き方、郵送・メール電話のコツや例文を紹介(テンプレート付き)
不採用通知は、採用を見送ったことを伝えるものです。不採用通知の連絡方法は、メールや電話、書類の郵送といったものが挙げられます。応募者は、連絡が遅いと「返信はいつ来るのか」と心理的負担にもつながるため、誠意を持った対応が必要です。
本記事では不採用通知の書き方や送る際のポイント、無料で使えるテンプレートなどを紹介します。
目次
不採用通知とは?
不採用通知とは、応募者に不採用を伝えるものです。加えて、求人に応募し、採用選考を受けてくれたことに対する感謝を述べる意味合いもあります。不採用の事実は応募者にマイナスの感情を抱かせるため、相手を気遣う内容を入れることも大切です。
なお、不採用通知の送付は義務ではないため、送らなくても法律上は問題ありません。しかし、合格者にのみ連絡するなどの条件を事前に伝えていないにも関わらず、不採用通知を送らなければ、信用を失う可能性が高くなります。
例えば、応募者が不採用となった企業の商品を買わなくなったり、不採用通知が送られてこないことをSNSに投稿して炎上したりするリスクを考えると、不採用通知を送らないことは得策ではありません。不採用だとしても、応募者は自社を選んでくれた存在です。不採用通知を送るのは手間がかかりますが、誠実な対応をして企業のイメージを損なわないようにしましょう。
不採用通知を送るタイミング
不採用通知を送るタイミングはケースバイケースですが、一般的に書類選考は7日以内、面接の場合は3日以内を目安にするのがおすすめです。
例えば、翌日に不採用通知が届くと「しっかりと採用を検討していない」「最初から採用するつもりがなかった」と悪印象を抱かれてしまうかもしれません。また、求職者は採用されたかどうかで今後就職活動を続けるか否かが決まるため、返信が遅いと身動きが取れず、心理的にも不安になります。そのため、何日以内に結果を通知するとあらかじめ伝えておくとよいでしょう。
万が一期間内に通知できなくなりそうな場合は、通知が遅れることと、新たな結果通知日をきちんと連絡するなど、誠意を持った対応を取ることが大切です。
不採用通知の連絡方法
不採用通知の連絡方法は、メールや電話、書類の郵送といったものが挙げられます。
インターネットが普及した現在、メールはもっとも一般的な方法で、手軽に送付できるだけでなく、内容を文章として残せるのもメリットです。また、電話と異なり、それぞれの都合が良いときに確認できます。しかし、他のメールに埋もれて見落としたり、開封されなかったりすることもあるかもしれません。内容が簡潔に伝わる件名にするとともに、早朝や深夜を避けて送るなど、見てもらいやすいよう工夫をすることも大切です。
なお、履歴書などの書類を返送する必要がある場合は、基本的に不採用通知を書類に同封して郵送します。また、電話で不採用の旨を伝えるのも一つの方法です。しかし、不採用というネガティブな内容を伝えるため、トラブルになるケースもあります。例えば、相手から不採用の理由を聞かれるなど、返答に困ることもあるかもしれません。電話で連絡する場合は、伝えるべき内容をしっかりと固めてから電話をするようにしましょう。さらに、認識の相違を防ぐため、メールも送り文章として残しておくことも重要です。
直接応募ではなく人材紹介会社が仲介している場合は、応募者本人ではなく人材紹介会社の担当者に不採用の旨を連絡するのが原則となります。
選考関連のテンプレート-無料ダウンロード
不採用通知は自ら作成することも可能ですが、テンプレートを利用することで作成にかかる時間を大幅に短縮できます。そこで、マネーフォワードでは労務の専門家でもある社会保険労務士監修のもと、不採用通知のテンプレートを作成しました。テンプレートは、汎用性が高く編集もしやすいワード形式とエクセル形式からお選びいただけます。以下のWebページから無料でダウンロードできるため、用途に合わせて編集して自由にご活用ください。
不採用通知の書き方
不採用通知のフォーマットは会社によってさまざまですが、記載すべき内容はある程度決まっています。必要な項目を網羅しつつ、なるべく先方に不快感を与えない内容になるよう心掛けましょう。
不採用通知の記載事項
不採用通知は、認識に齟齬が生じないよう、先方に不快感を与えないよう気をつけつつ、端的かつ明確に作成する必要があります。一般的に、不採用通知に記載すべき項目は以下の通りです。
郵送の場合
- 日付
- 宛名
- 差出人名
- 件名
- 頭語
- 時候の挨拶
- 謝意
- 選考結果
- 応募者を気遣う文章
- 応募書類の処理方法
- 締めの言葉
- 結語
メールの場合
- 件名
- 宛名
- 挨拶
- 謝意
- 選考結果
- 応募者を気遣う文章
- 応募書類の処理方法
- 締めの言葉
- 差出人名
郵送、メールに関わらず、応募者の宛名は必ずフルネームで記載しましょう。件名は「選考結果のご連絡」といった端的でわかりやすいものにしてください。メールの場合は、会社名も記載しておくとよりわかりやすくなります。他のメールに埋もれて見落としや未開封が起こらないよう、一目で重要だとわかる件名にすることも大切です。
「拝啓」と「敬具」といった頭語と結語は、紙で郵送する場合のみ記載が必要で、メールで送る場合は必要ありません。紙で郵送する場合は、時候の挨拶を入れるとより丁寧になります。しかし、時候の挨拶よりも、謝意を丁寧に書く方が重要です。そのため、時候の挨拶は記載してもしなくても構いません。メールの場合は、時候の挨拶の代わりに「株式会社○○の○○です」と名乗りましょう。
まずは自社を選んで応募し、時間を割いて選考を受けてくれたことに対する謝意を伝えます。先に謝意を記載することで、ネガティブな印象を少しでも軽くしましょう。選考結果は「期待に添える結果をお伝えできませんでした」や「採用を見送らせていただくこととなりました」など、「不採用」という直接的な言い回しをせずに伝えることが大切です。
選考結果の後には「期待に添えず申し訳ございません」など、応募者の気持ちに配慮した文章を記載しましょう。不採用通知によるマイナスの感情をどこまで小さくできるかは、相手を気遣う文章の有無や、その内容によって左右されます。なるべく自社のイメージを損なわないように努めましょう。
なお、履歴書などの応募書類は、会社側で破棄するか郵送で返却するのが一般的です。応募書類をどのように処理するのかも、応募者にきちんと伝えてください。最後は「益々のご活躍を心よりお祈り申し上げます」など、相手を応援する文章で締めくくります。
差出人名には会社名や部署名、採用担当者名、採用担当者の電話番号を記載してください。不採用通知を紙で郵送する場合は、メールアドレスも記載しましょう。
郵送の場合は宛名の後に、メールの場合は最後に差出人名を記載します。
不採用の理由は基本的には不要
基本的に、不採用通知に不採用の理由を書く必要はありません。不採用にした理由として「能力が求めているところまで達していない」などの否定的なことを書くと、かえって応募者の気分を害してしまい、トラブルになる可能性があります。今後も顧客や取引先として関係が続いていくことを忘れずに、相手を気遣った対応をしましょう。
しかし、人材紹介会社を利用している場合は、人材紹介会社が応募者に不採用理由を聞かれたときに備えて、人材紹介会社には不採用に至った理由を伝えておく必要があります。人材紹介会社は不採用理由も踏まえて新たな推薦者を選ぶため、より自社の求める人材にマッチした求職者を紹介してもらえる可能性も高まるでしょう。
感謝の気持ちを伝えること
不採用通知は、応募者にとってネガティブな内容です。そのため、どうしても自社に対するイメージが悪くなってしまいます。しかし、どの程度印象が悪くなるかは、不採用通知の内容次第です。不採用になった応募者は、元々自社にある程度良い印象を抱いていて、働きたいと応募してきた顧客であることを忘れないようにしましょう。真摯に向き合い、抱かれるマイナスの感情をなるべく小さくするように心がけることが大切です。
多くの企業の中から時間を割いて応募し、採用選考を受けてくれたことに対して感謝の気持ちを伝えたり、否定的な言い回しを避けたりして、相手に寄り添った内容になるよう心がけましょう。
不採用通知の添え状(送付状)のテンプレート
添え状または送付状は、同封する書類の内容を示すものです。添え状・送付状を同封することで、書類の封入漏れや枚数の過不足などのミスを事前に防ぐとともに、書類を受け取った側は中身に間違いがないか確認しやすくなります。
なお、添え状・送付状は自ら作るだけでなく、テンプレートを活用して作成することも可能です。そこで、マネーフォワードでは税理士監修のもと、さまざまなビジネスシーンで利用できる添え状・送付状のテンプレートを作成しました。汎用性の高いワード形式のテンプレートは、どなたでも無料でダウンロードしていただけます。テンプレートを使って、効率良く添え状・送付状を作成しましょう。
添え状(送付状)の書き方のポイント
添え状を書く際は情報量を必要最低限に抑えて、なるべくA4用紙1枚に読みやすく簡潔に書くことが大切です。2枚以上になる場合は内容が過剰な可能性もあるため、短くできないか本文を推敲してください。
送る書類の枚数の問題でどうしても2枚以上になってしまう場合は、記書きに「別紙をご参照ください」などと書き、2枚目に書類の一覧を載せて「以上」で締めるとわかりやすくなります。
また、添え状・送付状を添えて書類を送る際は、封筒を開封してすぐ確認できるように、書類の一枚目に添え状・送付状を入れてください。
記載する項目など添え状の詳細について、詳しくはこちらの記事をご参照ください。
不採用通知をメールで送る場合
不採用通知をメールで送る際、もっとも気をつけたいのは宛名の記載です。宛名のない不採用通知は印象が悪いだけでなく、送信先を間違えた際に気付けないというデメリットもあります。宛名は忘れずに記載するよう心掛けましょう。
不採用通知のメール例文
ここでは、不採用通知をメールで送る際の例文をご紹介します。以下を参考に、必要な部分を書き換えてご活用ください。
件名:【選考結果のご連絡】株式会社〇〇
〇〇 〇〇様
株式会社〇〇採用担当の〇〇でございます。
この度は、数ある企業の中から弊社にご応募いただき、誠にありがとうございました。
厳正なる選考の結果、誠に残念ではございますが、今回は採用を見送らせていただくこととなりました。
せっかくご応募いただいたにもかかわらず、ご期待に添えない結果となり大変申し訳ございません。
恐縮ではございますが、何卒ご了承くださいますようお願い申し上げます。
なお、こちらでお預かりさせていただいている応募書類につきましては、[弊社にて責任を持って破棄いたします。/履歴書に記載されておりますご住所へ郵送にてご返却いたしますので、ご査収のほどよろしくお願い申し上げます。]
末筆ながら、〇〇様の益々のご活躍を心よりお祈り申し上げます。
株式会社〇〇
部署名 採用担当者名
TEL:採用担当者の電話番号
不採用通知を電話で伝える場合
電話をかけてその場で内容を考えながら話すと、言い間違いや失言からトラブルに発展してしまうケースがあります。また、不採用というネガティブな内容を伝えるのは気が引ける、という人も少なくないでしょう。気を遣って遠回しに伝えようとすると、曖昧な言い回しになり意図が正しく伝わらない可能性があります。さらに、知らず知らずのうちに採用基準などの情報を話してしまうこともあるかもしれません。そのような事態を防ぐため、電話で不採用を通知する際は、あらかじめ伝える内容をまとめておきましょう。
また、話す内容だけでなく、電話をする時間帯にも配慮が必要です。学生の場合は授業を受けていたり、現在別の会社で働いている場合は勤務中だったりすることもあります。そのため、事前に都合の良い時間帯を応募者に確認しておくことが望ましいでしょう。
なお、電話しても繋がらず留守番電話になった場合は、改めてかけ直してください。留守番電話で不採用を伝えることはご法度です。留守番電話は本人以外が聞く可能性もあります。不採用通知は必ず直接本人に伝えましょう。
不採用通知を送付する(伝える)際のポイント
不採用通知はネガティブなものでもあるため、通知を受けた側がなるべく気分を害することのないように心掛けましょう。ここでは、不採用を通知する際のポイントをご紹介します。
候補者全員に送付する(伝える)
不採用通知は基本的に、該当する候補者全員に送るものです。不採用通知が届かなければ、応募者は別の企業に応募するといった、次のステップに進むことができません。応募者への対応は企業のイメージにも関わるため、伝え忘れのないよう注意が必要です。
応募者が多く全員に不採用通知を送付するのが難しい場合は、選考の際に「合格者にのみ〇日以内にご連絡いたします」などと伝えておくのが望ましいでしょう。
期日を守る
合否連絡の期日を事前に伝えている場合は、期日をしっかりと守ることが大切です。応募者は自社に良い印象を抱いて応募してきます。しかし、合否連絡が期日通りにないと印象が悪くなってしまうでしょう。また、並行して応募している企業がある場合、合否がわからないと判断に困ります。合否連絡は、伝えた期日通りにきちんと連絡することが大切です。
連絡先・氏名などを慎重にチェック
不採用通知を送る際に、送り先や氏名などを間違えるケースがあります。不採用なだけでなく自分の氏名が間違っていると、応募者により一層不快な思いをさせてしまうでしょう。また、送り先を間違えている場合は、誤送信先の人からも管理がずさんだと思われてしまう可能性が高くなります。イメージの悪化を防ぐためにも、不採用通知を送付する際は連絡先や氏名を慎重にチェックしましょう。
不採用の理由を聞かれた際の対応は?
不採用になった理由を応募者に伝える法的義務はありません。トラブルを避けたり、選考基準の流出を防止したりするためにも、不採用理由は伝えないことをおすすめします。万が一不採用の理由を聞かれた場合は、「当社規定により回答いたしかねます」といった返答をすれば問題ありません。
どうしてもと聞かれた場合は、「応募者が多く選考基準が高くなった」や「スキルや経歴は魅力的だったものの、求める人材の要件とマッチしなかった」のように、当たり障りのない返答をしましょう。相手の気分を害することのないよう、丁寧な返答が大切です。それでもなお詳しく聞いてくる場合は、「採用基準は社外秘のため、これ以上はお答えできません」と伝えましょう。
不採用の通知は誠意を持った対応が大切
ネガティブな内容でもある不採用通知は、伝え方次第で自社に対する印象が大きく変わります。不採用通知の送付は義務ではないため、送付しなくても法的な問題はありません。しかし、「合格者のみに通知する」といった条件を伝えていないにもかかわらず送付しないと、不採用によるマイナスの感情が大きくなってしまう恐れもあります。そのため、不採用通知は期日を守るだけでなく、相手に寄り添った内容になるよう心掛けましょう。たとえ不採用だとしても、自社を選んでくれた応募者に対して誠意を持った対応をすることが大切です。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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