- 更新日 : 2024年3月22日
仕事を辞める人の前兆とは?7つのサインと会社がとるべき対策を解説
人材不足に悩む企業や職場で、突然辞める人が出ると大きな痛手です。事前に退職の兆候がつかめれば引き止められるかもしれません。しかし、意志を固めて退職を申し出た人を説得するのは難しいでしょう。
本記事では、仕事を辞める人の前兆について解説します。仕事を辞めてしまう原因や引き止め方も紹介しますので、退職防止対策の参考にしてください。
目次
仕事を辞める人の前兆のサイン
突然の退職の申し出に驚きつつも、後でよく考えてみると 前触れだと思われる言動があったことに気づくことがあります。これが、仕事を辞める人の前兆のサインです。前兆のサインを捉えられれば、退職の申し出前に対応することが可能です。主な前兆のサインは次の通りです。
- 仕事へのやる気が見えない
- コミュニケーションが減る
- 会議での発言が減る
- 待遇や評価に不満を示す
- ネガティブな発言が増える
- 新しい仕事を避ける
- 遅刻や早退、欠勤が増える
それぞれについて解説します。
仕事へのやる気が見えない
退職を考えている人は、仕事へのやる気が見えなくなることがあります。「辞めるから頑張っても仕方がない」「評価も気にならない」と考えることが原因です。
また、転職活動のことや有給休暇の消化の仕方などが気になって、仕事に身が入らないということもあります。
コミュニケーションが減る
会社を辞めれば職場での人間関係を気にする必要がないため、周囲とのコミュニケーションが減ることもあります。親しくなると辞めにくい、周りの人に関心がなくなることなどが原因となることもあるでしょう。
また、仕事中のコミュニケーションだけでなく、昼食や飲み会などに参加しなくなることも前兆のサインの1つです。
会議での発言が減る
会議での発言が急に少なくなった場合も、仕事を辞める前兆のサインかもしれません。転職が決まっており、現在の仕事に興味がなくなったり、退職すると自分が関わらない仕事に対して無責任な発言はできないと考えたりするためです。
待遇や評価に不満を示す
従業員が急に待遇や評価に対する不満を言い出す場合も、退職の前兆のサインと考えてよいでしょう。仕事を続けるつもりであれば、待遇や評価に不満があっても文句を言って上司に睨まれたり、人間関係がギクシャクすることを恐れて表立って言わなかったりする人が多いためです。
また、退職を考えるほど会社に対する不満が高まっているケースも考えられます。
ネガティブな発言が増える
ネガティブな発言の増加も、前兆のサインの1つです。ネガティブな発言の内容は、会社や業務の将来性、仕事の意義、自分の能力や存在意義などさまざまです。
何らかの理由で物事を前向きに考えられず、仕事をする気になれなかったり将来に希望を見いだせなくなったりしているかもしれません。
新しい仕事を避ける
退職を考えている人は、新しい仕事を避けがちです。「辞めるなら、苦労して新しい仕事を覚えても意味がない」と考えるためです。また、仕事に対する興味をなくしていることもあります。
さらに、退職時には仕事の引き継ぎが必要なため、新しい仕事を増やしたくないことも理由として考えられます。
遅刻や早退、欠勤が増える
退職申し出前に、遅刻や早退、欠勤が増えることもあります。仕事をする気がしない、転職活動をしている、有給休暇を消化しようとしているなど、さまざまな理由が考えられます。
また、正常勤務が困難なくらいに体調や精神状態が悪化していることもあるでしょう。
仕事を辞めてしまう原因
仕事を辞めてしまう原因は人それぞれ異なりますが、主な原因として次の5つが考えられます。
- 人間関係
- 待遇や給与
- キャリアアップ
- 労働時間
- 育児や介護など
以下で、それぞれについて解説します。
人間関係
仕事を辞めてしまう原因の1つが人間関係です。対象は上司や同僚、部下など、さまざまです。パワハラやセクハラなど悪質なケースもありますが、上司と相性が悪い、同僚と打ち解けられないなどの理由によって仕事を辞めるケースもあります。
毎日顔を合わせる人や、席が近い人との関係が悪くなると、業務時間中は常にストレスを感じます。また悩みを相談できる人がいない場合、退職につながる可能性が高いです。
待遇や給与
希望する待遇や給与を得られないため、仕事を辞めることもあります。低賃金で生活が厳しいケースや、仕事や成果に見合った待遇や給与が受けられないことに不満を感じるケースなどが考えられるでしょう。また、現状よりも将来に不安を感じて仕事を辞める人もいます。
人手不足が深刻化する近年においては、従業員の待遇を改善しなければ、優秀な人材を確保できない可能性が高いです。
キャリアアップ
転職によるキャリアアップを目指して会社を辞める人もいます。優秀な人材ほど上昇志向が強いため、企業にとっては注意が必要です。
近年、転職が特別なことではなくなり、転職エージェントに登録する人も増えており、キャリアアップを目的とした退職申し出は増えることが予想されます。そのため、キャリアプランを充実させるなど、企業の魅力を高める取り組みも大切です。
労働時間
長時間労働や休日出勤など、労働時間に不満を感じて辞める人もいます。働き方改革によって労働時間を短縮することや、在宅勤務やフレックス制度を導入する企業が増える一方、長時間労働が常態化している業界や企業も多いです。
ライフワークバランスの実現など、自分にあった働き方を求める人が増えているため、企業には長時間労働の是正など労働環境の改善が求められています。
育児や介護など
育児や介護のために、仕事を辞めなければならないこともあります。育児・介護による離職を防止するために、国は育児・介護休業法を改正するなどの対応を行っていますが、退職を選択する人も少なくありません。
休暇制度の拡充や短時間勤務・フレックス制度の導入など、育児や介護がしやすい環境整備が求められています。
仕事を辞める前兆が見えた人への対応
退職の意志を固めた従業員を引き止めるのは困難ですが、前兆に気づいてうまく対応すれば退職防止の可能性が高まります。前兆が見えた人への主な対応は次の通りです。
- 話を聞いて退職理由を確認する
- 解決策を一緒に考える
- キャリアプランを明確にする
ここでは、それぞれについて解説します。
話を聞いて退職理由を確認する
前兆が見えたら、まずはできるだけ早く相手の話を聞きましょう。いきなり退職防止を図るのではなく、辞めたいと考える理由を確認することが目的です。また、不満や悩みを人に話すことで気持ちが楽になったり、話を聞いてもらえたことで安心したりすることによって、気持ちが変わることもあります。
解決策を一緒に考える
理由がわかったら、次は解決策を一緒に考えましょう。すぐに対応できるケースと、解決に時間がかかるケース、本人と2人で解決できるケース、組織全体の対応が必要なケースなどさまざまですが、問題解決に向けて協力する姿勢を伝えることが重要です。
給与・待遇の改善など、本人の希望通りの対応ができず代替案もない場合は退職に至ることもありますが、同様の理由でほかの従業員も退職しないか考えなくてはなりません。問題があれば、時間がかかっても対策が必要です。
キャリアプランを明確にする
キャリアアップのために転職を考えている場合、社内でキャリアアップする方法を一緒に考えることも有効です。キャリアプランが明確になれば、将来への不安を払拭し希望が持てるようになる可能性があります。
仕事を辞める人を引き止める方法
予兆に気づけず退職申し出に至った場合、引き止めるための主な方法は、以下の通りです。
- 会社にとって必要な人材であることを伝える
- 希望に沿った配置転換や待遇改善を行う
- メンタルヘルスケアや休職対応を行う
それぞれについて解説します。
会社にとって必要な人材であることを伝える
退職を申し出る従業員が企業にとって必要である場合、まずはその旨を本人に伝えましょう。「辞めないでほしい」という強い気持ちを伝えることが大切です。
現在の戦力として必要である、将来の活躍を期待しているなど、会社が本人を評価し期待していることが伝われば、仕事にやりがいを感じるようになったり、安心して仕事ができるようになったりするためです。
希望に沿った配置転換や待遇改善を行う
業務内容や職場の人間関係が原因の場合、可能ならば配置転換も考えられます。また、給与や待遇が原因なら、給与アップや待遇改善も対策の1つです。
退職申し出の原因を直接解決する方法ですが、企業の方針に合わなかったり、退職申し出者を特別扱いしたりすることにもなりかねません。企業活動や社内の従業員への影響も考慮して、慎重な検討が必要です。
メンタルヘルスケアや休職対応を行う
体調不良やメンタルヘルス不調が原因の場合、体調やメンタルヘルスが改善するまで退職を引き伸ばすという方法もあります。調子の悪いときはネガティブなことしか考えられないこともあるためです。
療養やメンタルヘルスケアを行うなど、まずは体や心を正常な状態に戻すことが重要です。業務を続けながらでは難しい場合、休職して治療する方法もあります。元気になれば、仕事や会社に対する考え方も変化するかもしれません。
仕事を辞める人の前兆を捉えることが退職防止のポイント
一般的に、仕事を辞める人には仕事へのやる気がなくなる、コミュニケーションが減るなどの前兆があります。退職の意志を固めて申し出た人を説得するのは難しいですが、前兆に気づきすぐに対応すれば引き止めも可能です。
研修などにより管理者が仕事を辞める人の前兆を理解し、できるだけ早く前兆に気づいて対応できるようにすることが退職防止に役立ちます。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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