• 作成日 : 2015年9月18日

マイナンバー制度と税金、変わる税金申告の様式をわかりやすく解説

マイナンバー制度の本格運用が2016年より始まりました。運用が始まり、それ以後に提出する「税金申告」の様式が変更になります。マイナンバーの記載欄が加わるだけなので、様式自体の大きな変更はありませんが、その数はかなりの数になりました。事前にきちんとチェックしておきましょう。

マイナンバー制度の導入で税金の申告に必要な書類の量が増える?

税金申告に必要な書類は増えません。ただし、税金申告に関する多くの書類でマイナンバーの記載欄が増えますので、旧様式を使わないよう注意してください。
税理士に税金申告を委託している場合、ほとんどの事業所で、税務署へ提出する書類は、法定調書のみということが多いと思います。ここでは、変更となる法定調書関係書類をあげます。

【税関連】法定調書で変更になる主な様式

給与所得源泉徴収票
給与支払報告書
退職所得の源泉徴収票
・報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書
・配当、剰余金の分配及び基金利息の支払調書
・不動産の使用料等の支払調書
・不動産等の譲受けの対価の支払調書
なお、法定調書関連以外で変更になる税金関連の書類は以下の通りです。

【税関連】法定調書関連以外で変更になる主な様式

ここに上げるものは、税理士に税金申告を委託している場合は、ほとんど必要のないものですが、知識として把握しておくといいかもしれません。
申告所得税関連
申告書A第一表
・申告書A第二表
・申告書B第一表
・申告書B第二表
・所得税の青色申告承認申請書
・青色事業専従者給与に関する届出・変更届出書
・所得税の棚卸資産の評価方法・減価償却資産の償却方法の変更承認申請書
・所得税・消費税の納税地の変更に関する届出書
源泉所得税関連
・給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書
・源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
相続税・贈与税
・相続税の申告書第一表
法人税関連
・別表一(一) 各事業年度の所得に係る申告書-普通法人(特定の医療法人を除く。)、一般社団法人等及び人格のない社団等の分
法人設立届出書
消費税関連
・消費税課税事業者選択届出書
・消費税課税事業者届出書(基準期間用)
・消費税課税事業者届出書(特定期間用)
法定調書関連
・報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書
・給与所得の源泉徴収票
ただ、数としては、この他に税関係だけで400近くの様式が変更となりますので、利用される際は気をつけるようにしてください。
年度途中で退職した者に関しては、退職日から1か月以内に離職者と税務署に源泉徴収票を交付することが義務づけられています。2016年1月1日以降に発行する場合にはマイナンバーの記載が必要となります。
【図表1】

給与所得の源泉徴収

(出典:給与所得の源泉徴収票pdf|国税庁HP

税金以外の社会保障分野でも

社会保障分野でも多くの様式が変更となりました。
雇用保険関連
・雇用保険被保険者資格取得届
・雇用保険被保険者資格喪失届
・雇用保険適用事業所設置届 等
健康保険・厚生年金保険関連
・健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届
・健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届
・健康保険被扶養者(異動)届 等
また、社会保障分野では、雇用保険関係で、平成28年1月1日提出分から様式が変更となりました。健康保険・厚生年金保険関係では、多くが平成29年1月1日提出分から変更となりましたので注意が必要です。
【図表2】

雇用保険被保険者資格取得届

(出典:社会保障・税番号制度の導入に向けて(社会保障分野)事業主の皆様へpdf|厚生労働省HP

マイナンバー制度で変わる税金の手続?

マイナンバーの導入により税金の手続は、大きくは変わりません。ただ、マイナンバーの記載を求められる書類はかなりの量になりました。
また、これまでは特に身分証明書の添付は必要ありませんでした。ところが、マイナンバーの導入により、税金申告等の際、個人番号カードの写しの提示・添付や、通知カード+顔写真付きの身分証明書又は顔写真のない身分証明書2通の提示・添付が必要になります。くれぐれも注意してください。
2016年度分以降の確定申告に関してはマイナンバーの記載と個人番号カードや通知カード+顔写真付きの身分証明書等の写しの提示又は添付が義務づけられています。あわせて漏れのないように気を付けましょう。

まとめ

マイナンバー制度の導入により、税金や社会保障の様式などが変更になりました。マイナンバーの記載が加わるだけの変更が多く、それほど見た目の変化はありません。ただし、その数はかなり膨大なものとなりました。旧様式と新様式を間違って使わないように、適用時期や、適用される場合などをよく知っておく必要があるかもしれません。
また民間企業もマイナンバーの取扱については、「個人番号事務取扱者」として位置づけられ、企業の規模を問わず厳しい情報管理の体制を求められています(中小企業については一定の緩和措置はあります)。しっかりとした情報管理体制を整えることも同時に検討してください。


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