• 更新日 : 2026年9月11日

所得税はいくらから給与天引きされるか?2026年最新の年収の壁と源泉徴収を解説

Point所得税の給与天引きはいくらから?

所得税が給与から天引きされるのは、年収160万円を超えた場合です(2025年分・2026年分の月次)。

  • 非課税ラインは103万円→160万円に引き上げ
  • 2026年分は年末調整で178万円まで精算
  • パート・アルバイトの月収基準はその月の社会保険料等控除後の給与等の金額が105,000円未満

Q. 毎月の給与天引きに178万円の壁は反映される?

A. 反映されません。178万円への引き上げ分は2026年12月の年末調整または確定申告で精算されます。

給与明細を見ると、所得税や社会保険料が天引きされていることがわかります。天引きが始まる年収のボーダーラインは2025年度・2026年度の税制改正で大きく変わりました。当記事では、所得税の給与天引きについて、最新の基準額や仕組み、変動時の確認方法までを解説します。

所得税はいくらから給与天引きされるか?

所得税が給与から天引きされ始めるのは、年収が「160万円」を超えた場合です(2025年分・2026年分)。2025年度税制改正で基礎控除給与所得控除が引き上げられ、以前の「103万円の壁」が「160万円の壁」に変わったためです。

所得税がかからない年収の壁は現在いくらか

現在の非課税ラインは、基礎控除58万円(合計所得金額2,350万円以下の場合。控除の特例を含めると95万円)と給与所得控除の最低保障額65万円を合計した金額で決まります。2026年度税制改正ではさらに引き上げが決定しており、段階的に金額が変わっています。

適用年分 所得税の非課税ライン 内訳(給与所得控除+基礎控除)
〜令和6年分 103万円 55万円+48万円
令和7年分・令和8年分(月次) 160万円 65万円+95万円(特例込み)
令和8年分(年末調整で精算) 178万円(先取り引き上げ) 74万円+104万円(本則62万円+特例42万円)

注意点として、178万円への引き上げ分は、令和8年(2026年)12月の年末調整または確定申告で精算される仕組みです。毎月の給与から天引きされる源泉徴収税額そのものには、2026年中は反映されません。

参考:令和8年度税制改正による所得税の基礎控除の引上げ等について|国税庁

パートやアルバイトの月収基準はいくらに変わったか

パートやアルバイトで「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出している人(甲欄)の場合、社会保険料等を控除した後の給与等の金額が105,000円未満であれば、毎月の源泉所得税は原則として0円です。105,000円以上になると、扶養親族等の数などに応じて源泉所得税が発生します。以前の88,000円未満という基準から引き上げられています。

区分 令和7年分以前 令和8年分
源泉徴収が発生しない月収ライン(扶養0人・甲欄) 88,000円未満 105,000円未満

正社員は年収が上記のラインを超えているケースが大半のため影響は限定的ですが、パートやアルバイトで年収の壁を意識して働いている人は、最新の基準を確認しておく必要があります。

参考:令和8年分 源泉徴収税額表|国税庁

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所得税の給与天引きの仕組みとは?

所得税を給与から天引きする仕組みを「源泉徴収」と呼びます。企業は源泉徴収義務者として、従業員に給与を支払うたびに源泉徴収を行うことが法律で義務付けられています。

源泉徴収の対象となる支払い

源泉徴収の対象は、従業員への給与や賞与だけではありません。弁護士等への報酬や原稿料なども対象であり、企業がこれらを支払う際には支払額から源泉徴収を行う必要があります。

年末調整と確定申告の違い

会社員は、所得税の過不足を精算する「年末調整」の対象となるため、自分で税務手続きを行わずに正しい納税が完了します。一方、自営業者などは年末調整の対象外であり、自ら「確定申告」を行う必要があります。

会社員であっても、寄附金控除雑損控除医療費控除など年末調整では適用できない控除を受ける場合や、年末調整を受けた給与所得者であっても、給与所得・退職所得以外の所得の合計額が20万円を超えるなど、一定の要件に該当する場合には確定申告が必要です。

給与から天引きされる税金・保険料の種類は?

給与から天引きされるのは所得税だけではありません。住民税や社会保険料も、それぞれ異なる仕組みで天引きされています。

天引きされる保険料の内訳

住民税は年間税額を12等分した額が毎月天引きされ、企業が従業員に代わって市区町村へ納付します。この仕組みは「特別徴収」と呼ばれます。また、健康保険料・厚生年金保険料・雇用保険料の従業員負担分も毎月の給与から天引きされます。なお、労災保険料は企業のみが負担するため、天引きの対象にはなりません。

天引きは原則違法という法律上の位置づけ

給与からの天引きは、原則として違法です。労働基準法が定める「賃金の全額払い」の原則に触れるためです。所得税や住民税、社会保険料の天引きが認められているのは、所得税法や地方税法など、それぞれの法令に特別の定めがあるからです。労使協定を締結すれば、社宅費や組合費などの天引きも例外的に認められます。

給与明細で所得税の天引きを確認する方法は?

給与明細は「勤怠」「支給」「控除」の3項目に大別されます。控除の欄を見れば、自分がどの税金や保険料をどれだけ天引きされているかを確認できます。

控除欄には、通常以下の項目が設けられています。

  1. 健康保険料
  2. 厚生年金保険料
  3. 雇用保険料
  4. 所得税
  5. 住民税

なお、扶養親族等の数え方は2026年分から「控除対象扶養親族」に加えて「源泉控除対象親族」という区分が加わっています。控除対象となる家族の所得要件も変更されているため、扶養控除等申告書を確認する際は最新の様式を使う必要があります。

所得税の給与天引き額が変動した場合のチェックポイントは?

給与から天引きされる所得税は、毎月一定額ではなく変動する場合があります。変動した際にまず確認すべきなのは、扶養人数や給与額、税制改正の有無です。

所得税額が変わる主な原因

扶養人数の変更は代表的な原因の一つです。配偶者と離婚した場合や子どもが独立した場合は、所得税額が上がる可能性があります。残業代や休日出勤手当も課税対象であるため、繁忙期は天引き額が増える傾向にあります。

社会保険料の額が変われば、所得税の課税対象額も変わります。健康保険料や厚生年金保険料は、原則として標準報酬月額を基に計算され、定時決定によって原則として年1回見直されます。ただし、一定の条件を満たす固定的賃金の大幅な変動があった場合の随時改定や、育児休業等終了時の改定などにより、年度途中でも標準報酬月額が変更される場合があります。なお、雇用保険料は標準報酬月額を基準として計算するものではなく、原則として賃金額を基礎として計算します。ほかにも、税制改正そのものによる影響や、給与計算の誤りが原因となるケースもあります。

天引き額が適正か確認する方法

自分が納めた所得税を確認するには「源泉徴収票」を利用します。源泉徴収票には、支払金額や給与所得控除後の金額、所得控除の合計額、源泉徴収税額などが記載されています。

源泉徴収票は年末調整後に発行されるため、記載内容をもとに、天引きされた所得税が適正かどうかを確認しましょう。

給与天引きされる所得税はどう計算する?

毎月の給与から天引きされる所得税は「源泉所得税」と呼ばれ、国税庁が公表する「令和8年分 源泉徴収税額表」を用いて算出します。

源泉徴収税額表の見方

社会保険料等を控除した後の給与額と、扶養親族等の数(源泉控除対象配偶者・源泉控除対象親族の合計)が交わる欄の金額が、その月に天引きされる所得税額です。たとえば、社会保険料等控除後の給与が月40万円の場合、扶養人数ごとの源泉所得税は以下の通りです。

扶養する人数 源泉所得税(月) 源泉所得税(年間)
0人 15,650円 187,800円
1人 12,430円 149,160円
2人 9,190円 110,280円
3人 7,130円 85,560円
4人 5,510円 66,120円
5人 3,890円 46,680円
6人 2,280円 27,360円
7人 660円 7,920円

上記の金額は、扶養控除等申告書を提出した従業員に適用される甲欄の場合です。申告書が未提出の場合には、税率の高い乙欄が適用されるため注意してください。

参考:令和8年分 源泉徴収税額表|国税庁

定額減税は現在も続いているのか?

定額減税は2026年8月時点ではすでに終了しており、現在の給与天引きには影響しません。所得税分は2024年12月の年末調整、住民税分は2025年5月の徴収、同一生計配偶者分の繰越処理は2026年5月の徴収をもって、すべて完了しています。

定額減税の内容と実施期間の振り返り

定額減税は、2024年度税制改正に盛り込まれた措置で、納税者本人および同一生計配偶者・扶養親族1人につき、所得税3万円と住民税1万円、合計4万円が減税される制度でした。所得税分は2024年6月以降に支払われる給与等の源泉徴収税額から順次控除され、控除しきれない場合は以後の給与等から継続して控除される仕組みでした。

対象者は、2024年分の合計所得金額が1,805万円以下(給与収入のみの場合は年収2,000万円以下)の方でした。

参考:定額減税について|国税庁

給与明細で定額減税の適用を確認する方法

過去の給与明細や源泉徴収票を保管している場合は、2024年6月以降の源泉所得税欄や、源泉徴収票の摘要欄の記載から、定額減税が適用されていたかを確認できます。現在新たに定額減税が適用されることはないため、2026年8月以降の給与計算では考慮不要です。

天引きの仕組みと最新の壁を理解して正しく源泉徴収を行おう

所得税をはじめとする給与天引きには、一定以上の収入という要件があります。2025年度・2026年度の税制改正により、所得税の非課税ラインは103万円から160万円、さらに178万円へと段階的に引き上げられました。企業の担当者は、最新の源泉徴収税額表と扶養親族等の数え方を確認しながら、正しく源泉徴収を行いましょう。


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