• 更新日 : 2021年11月26日

マイナンバーと法定調書の関係をもう一度確認しよう

法定調書は法人や個人が所轄の税務署に提出する所得税に関する書類です。マイナンバーは税に関する分野と緊密な関わりがあるため、作成する法定調書へ差し響くことになります。
マイナンバーの作用を受けて法定調書がどのように変更されたのか、法定調書を作成する上での注意点をまとめました。

法定調書の種類は60種類

法定調書とは税務署に提出が義務付けられている書類を指し、未施行を含めると平成30年1月1日現在、60種類もの法定調書が存します。
所得税法相続税法、租税特別措置法、内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律の4つの法律に関連した書類ですが、なかでも所得税に係る法定調書は43種類あり、法定調書の大半を所得税法が占めている事実がわかります。
所得税法に関する法定調書のうちマイナンバーが反映される調書は、主に下記の書類があります。

給与所得源泉徴収票
退職所得の源泉徴収票
・報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書
・不動産の使用料等の支払調書
・給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表

源泉徴収票、支払調書とも、所得税法における源泉徴収事務手続きを実施した結果として作り上げる書類となり、給与所得と退職所得に関する源泉徴収手続には源泉徴収票作成事務に付随して年末調整業務が包含されています。そのため事業者だけでなく、給与所得者である従業員も「給与所得者の扶養控除等申告書」を作り上げる際にマイナンバーを書くことが強制されます。
実際には企業の担当者が源泉徴収票を作成しますが、源泉徴収票を作成するためには扶養控除等(異動)申告書の提出が入用であることから、事務担当者ではなくても間接的に法定調書の作成を行なっていることになります。
また、支払調書を作成するための税率や計算方法そのものはマイナンバーの影響を受けません。たとえば1回の原稿料120万円を支払う場合、100万円を超える20万円の部分に関しては20.42%の税率がかかるため40,840円、100万円に対しては10.21%の税率がかかるため102,100円、合計142,940円が原稿料120万円に対する源泉徴収税額となります。最終的に税額計算した結果を支払調書として作成する際に、マイナンバーの記入を行ないます。

事業者がマイナンバーを記載する書類(参考例)税分野

(出典:いよいよマイナンバー制度が始まりますpdf|政府広報

マイナンバーに対応した法定調書合計表の作成方法

法定調書合計表は源泉徴収票と支払調書を事業者ごとに1枚にまとめた書類となります。
法定調書合計表をマイナンバーに対応させるためにはどのように作り上げればよいのかをみていきましょう。
マイナンバーに対応した法定調書合計表を作成するためには、提出者に関する法人番号13桁もしくは個人番号12桁を記入する作業を行います。
e-Taxを使用するのであれば、個人番号は自動で右詰めされます。法人が提出者となる場合、代表者や作成担当者の記入欄がありますが、法人担当者の個人番号を記入する必要はありません。
法定調書合計表を提出する際に免許証やパスポート、個人番号カードなどの顔写真入りの身分証明書のコピーが要添付となります。法定調書合計表そのものの作成方法は、これまでの方法と同じです。
源泉徴収票は中途退職者を含めたすべての受給者に関する情報を書き記します。不動産の使用料等の支払調書は税務署に提出するかしないかに関係なく、支払いの決した金額すべてを書記します。法定調書合計表に関しては税務署に提出するためだけの書類となるため、個人番号が第三者によって悪用される危険性は高くありません。他の書類と比較して個人番号をマスキング処理したり空欄で印字出力したりというような用心をする必要はありません。

マイナンバーの記載が猶予されている法定調書

法定調書を作成する源泉徴収には、

・利子所得の源泉徴収
配当所得の源泉徴収
・給与所得の源泉徴収
・退職所得の源泉徴収
・公的年金等の源泉徴収
・報酬、料金等の源泉徴収

の6パターンがあります。
このうち給与所得、退職所得、報酬、料金の源泉徴収が猶予を待たずに即導入されることになっており、残りの利子所得、配当所得、公的年金に関する20種類の法定調書について猶予規定が取り計られています。

No調書の種類
1利子等の支払調書
2国外公社債等の利子等の支払調書
3配当、剰余金の分配および基金利息の支払調書
4国外投資信託または国外株式の配当等の支払調書
5投資信託または特定受益証券発行信託収益の分配の支払調書
6オープン型証券投資信託収益の分配の支払調書
7配当等とみなす金額に関する支払調書
8株式等の譲渡の対価等の支払調書
9交付金銭等の支払調書
10信託受益権の譲渡の対価の支払調書
11先物取引に関する支払調書
12金地金等の譲渡の対価の支払調書
13名義人受領の利子所得の調書
14名義人受領の配当所得の調書
15名義人受領の株式等の譲渡の対価の調書
16上場証券投資信託等の償還金等の支払調書
17特定口座年間取引報告書
18非課税口座年間取引報告書
19国外送金等調書
20国外証券移管等調書

(出典:番号の猶予規定が設けられている法定調書の一覧表(別紙)|国税庁HP

まとめ

原則としてマイナンバーの記載欄がある場合はすべて書き記す責務がありますが、すべての個人や法人が番号を持っているわけではありません。
たとえば住民票がない場合や海外居住者には個人番号が通知されません。また要件を満たさない法人や人格のない社団や団体へは法人番号が指定されません。このような場合には番号を書き記すことはできないため、空白の状態で受理してもらうことになります。


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