- 更新日 : 2026年9月1日
マイナンバーは法定調書にどう記載する?源泉徴収票・支払調書の書き方と提出義務をわかりやすく解説
法定調書へのマイナンバー記載は税務署提出用に必要で、本人交付用への記載は禁止です。
- 税務署・市区町村提出用は番号記載が必須
- 本人交付用への記載は法律上禁止
- 猶予規定は令和3年末にすべて終了済み
Q. 従業員に渡す源泉徴収票にマイナンバーを書いてよいか?
A. 記載してはいけません。本人交付用への記載は特定個人情報の提供制限に抵触します。
マイナンバーは、税務署に提出する法定調書の作成に深く関わる情報です。本記事では、マイナンバー 法定調書の関係性を軸に、源泉徴収票や支払調書における番号記載のルール、法定調書合計表の書き方、猶予規定の終了時期など、最新の制度内容を整理して解説します。
法定調書とマイナンバーはどのような関係にある?
法定調書とは、所得税法などの規定により税務署への提出が義務づけられている資料の総称であり、給与所得の源泉徴収票や支払調書など複数の書類が含まれます。国税庁は現在63種類の法定調書を案内しており、平成28年1月1日以後に支払われた給与などに係る法定調書には、個人番号または法人番号の記載が必要とされています。
法定調書は税務署へ提出が義務づけられている書類
法定調書とは、所得税法、相続税法、租税特別措置法、国外送金等調書法の4つの法律に基づき、税務署へ提出が義務づけられている書類のことです。適正・公平な課税を実現するための資料として位置づけられており、支払いを受ける側が正しく申告しているかどうかを税務署が照合する目的で使われます。国税庁は令和8年時点で63種類の法定調書を公表しており、そのうち所得税に関する調書が大半を占めています。
マイナンバーが記載される主な法定調書の種類
マイナンバーの記載が必要となる法定調書は、給与や報酬など人的な支払いに関連するものが中心です。代表的な書類は次の通りです。
| 法定調書の名称 | 提出義務者 | マイナンバー記載欄 |
|---|---|---|
| 給与所得の源泉徴収票 | 給与を支払う事業者 | あり(本人交付用は不要) |
| 退職所得の源泉徴収票 | 退職金を支払う事業者 | あり |
| 報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書 | 報酬等を支払う事業者 | あり |
| 不動産の使用料等の支払調書 | 不動産賃借料等を支払う法人・個人事業者 | あり |
| 給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表 | 提出義務者本人 | 提出者の法人番号・個人番号 |
参考:F 法定調書関係|国税庁
源泉徴収票・支払調書の作成とマイナンバーの関わり
源泉徴収票・支払調書はいずれも所得税法上の源泉徴収事務の結果として作成される書類であり、マイナンバーは提出先や書類の種類によって記載の要否が異なります。給与所得や退職所得の源泉徴収手続には年末調整業務が付随するため、事業者だけでなく従業員自身も扶養控除等申告書の作成時にマイナンバーの記入が求められます。
なお、支払調書の税額計算方法そのものはマイナンバー制度の影響を受けません。たとえば原稿料など報酬・料金の源泉徴収税額は、支払金額と税率にもとづいて計算した後、その結果を支払調書に記載する際にマイナンバーを併せて記入する、という流れになります。
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源泉徴収票にマイナンバーの記載は必要?
税務署や市区町村へ提出する源泉徴収票にはマイナンバーの記載が必要ですが、従業員本人へ交付する源泉徴収票には記載しません。この区分を誤ると、特定個人情報の提供制限に抵触するおそれがあるため注意が必要です。
税務署提出用と本人交付用の違い
同じ源泉徴収票でも、提出先によってマイナンバーの記載要否が異なります。
| 提出・交付先 | マイナンバーの記載 |
|---|---|
| 税務署提出用 | 必要 |
| 市区町村提出用(給与支払報告書) | 必要 |
| 従業員本人への交付用 | 不要(記載禁止) |
本人へ交付する報酬・料金等の支払調書についても同様で、そもそも本人への交付義務がない書類であるうえ、写しを渡す際にマイナンバーを記載すると特定個人情報の提供制限に触れる可能性があります。写しを交付する場合は、番号を削除するか復元不可能な状態にマスキングしたうえで渡す必要があります。
平成27年の制度改正での変更点
当初は従業員へ交付する源泉徴収票にもマイナンバーを記載する予定でしたが、平成27年10月2日の所得税法施行規則等の改正により、本人交付用の源泉徴収票などへのマイナンバー記載は不要とされました。これは、個人情報漏えいのリスクやコスト面への配慮によるものです。
現在も、税務署・市区町村への提出用と本人交付用とで記載ルールが分かれている点は変わっていません。給与計算や年末調整の実務を行う担当者は、この区分を必ず押さえておく必要があります。
法定調書合計表はどのように作成する?
法定調書合計表とは、源泉徴収票や支払調書を事業者ごとに1枚にまとめた書類であり、マイナンバー対応版では提出者の番号記入欄が設けられています。作成の流れは以下の手順で進めます。
STEP1:提出者の番号を記入する
提出者に関する法人番号13桁、または個人事業主の場合は個人番号12桁を記入します。e-Taxを利用する場合、個人番号は自動的に右詰めで入力される仕様になっています。法人が提出者となる場合、代表者や作成担当者の氏名欄はありますが、その担当者個人のマイナンバーを記入する必要はありません。
STEP2:本人確認書類の写しを準備する
法定調書合計表の提出時には、運転免許証やパスポート、個人番号カードといった顔写真付き身分証明書の写しの添付が必要です。マイナンバーカードの写しのみで対応することも可能です。
STEP3:各法定調書の内容を記載・集計する
源泉徴収票は中途退職者を含むすべての受給者の情報を記載し、不動産の使用料等の支払調書は税務署への提出有無にかかわらず支払いが確定した金額をすべて記載します。法定調書合計表自体は税務署への提出専用の書類であるため、個人番号が第三者に悪用される危険性は他の書類と比べて高くありません。そのためマスキング処理や空欄印字といった特別な対策は不要とされています。
マイナンバーの記載が猶予される法定調書はある?
マイナンバーの記載に関する猶予規定はすでに終了しており、現在はすべての対象法定調書で番号記載が必要です。猶予期間は令和3年12月31日をもって終了し、令和4年1月1日以降の支払等からは経過措置の対象だった書類についても番号の告知を受ける必要があります。
猶予規定の対象と終了時期
法定調書の作成に関わる源泉徴収は、利子所得・配当所得・給与所得・退職所得・公的年金等・報酬料金等の6パターンに分かれます。このうち給与所得、退職所得、報酬・料金の源泉徴収については番号記載が即時導入され、利子所得・配当所得・公的年金等に関する法定調書については、6年間の猶予規定(経過措置)が設けられていました。
この猶予規定は令和3年12月31日で終了しているため、現時点で新たに猶予を適用できる法定調書はありません。過去に経過措置の対象だった書類についても、令和4年1月1日以後の支払等では番号の告知を受けたうえで記載する必要があります。
マイナンバーの提供を拒否された場合はどう対応する?
マイナンバーの提供を拒否された場合でも、税務署は番号未記載のまま書類を受理する運用としています。ただし記載自体は法律上の義務であるため、提供を求める対応を継続する必要があります。
対応の手順
- マイナンバーの記載が国税通則法・所得税法等で定められた義務であることを本人・取引先へ説明する
- 利用目的を明示したうえで、繰り返しマイナンバーの提供を要請する
- 提供を受けられない場合は、要請した日付・方法・対応者などの経過を記録・保存する
- 記録をもとに、番号未記載であっても義務違反ではないことを説明できる状態にしておく
なお、提供を求めた経過の記録・保存自体は法令上の義務ではありませんが、後日「いつ、どのように提供を求め、結果として提供を受けられなかったか」を説明できるようにしておくことが望ましいとされています。
記録・保存すべき内容
拒否された際に記録しておくとよい項目は、要請を行った日付、要請の方法(書面・電話・対面など)、対応した担当者名、相手の回答内容です。これらを整理しておくことで、税務署から未記載の理由を問われた際にも、正当な経緯として説明しやすくなります。
法定調書の提出方法や今後の制度変更で押さえておくべき点は?
法定調書の提出方法については、電子提出義務の対象となる枚数基準が今後さらに引き下げられる予定です。また令和8年8月には税務署提出用の書面様式そのものが変更される点にも注意が必要です。
e-Tax等による提出義務の基準変更
現行制度では、前々年に提出すべきであった法定調書の枚数が100枚以上の場合、e-Tax、光ディスク等、または認定クラウド等による提出が義務づけられています。この基準は令和9年1月以後に提出する法定調書から30枚以上に引き下げられる予定であり、対象となる事業者の範囲が広がります。
参考:e-Tax等による法定調書の提出が義務化されています!|国税庁
令和8年8月の様式変更への対応
令和8年8月には、税務署提出用の法定調書の書面様式が変更される予定です。書面での提出を行っている事業者は、変更後の様式を使用する必要があるため、社内の帳票やソフトウェアが最新の様式に対応しているか、事前に確認しておくことが重要です。
参考:F 法定調書関係|国税庁
マイナンバーと法定調書の記載ルールを正しく押さえよう
マイナンバー 法定調書の関係は、源泉徴収票や支払調書の提出先によって番号記載の要否が異なる点、猶予規定がすでに終了している点、そして今後の提出義務基準の変更や様式改定など、押さえるべきポイントが複数あります。個人番号や法人番号の記載義務は原則すべての対象書類にあてはまりますが、住民票がない場合や海外居住者、要件を満たさない法人などには番号自体が付与されないため、その場合は空欄のまま受理されます。制度変更の情報は随時更新されるため、国税庁の最新情報を定期的に確認しながら実務対応を進めましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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