• 更新日 : 2024年4月5日

人事とは?役割や仕事内容、労務との違いなどを解説!

企業が成長するためには、優秀な人材を獲得することが必要です。人材採用を担当する部署である人事が有効に機能していなければ、優秀な人材を獲得できず、企業の成長も望めないでしょう。

当記事では、人事について解説を行っています。役割や仕事内容はもちろん、労務・総務との違いなどについても解説しているため、ぜひ参考にしてください。

人事とは?

人事とは、企業の人材採用や、評価、配置、教育などを担当する部署です。企業によって、人事部の管掌する範囲や権限は異なります。しかし、企業の人材採用について、中心的な役割を果たす部署であることに違いはありません。

人事と労務の違い

人事は人材の採用や教育、配置などを行います。人材を直接的に管理する部署といえるでしょう。これに対して、労務は社会保険手続きや、安全管理体制の構築、給与計算などを行います。従業員が働きやすい環境を整えるための部署といえる存在です。

人事と労務は、両者とも企業に欠かせない存在です。しかし、人事は人を管理する部署であり、労務は環境構築を主に担当する点で異なります。また、企業によって、人事労務として一つの部署となっている場合もあります。

人事と総務の違い

人事と総務は、管理する対象が異なります。人事は人材採用などの人を担当する部署です。一方の総務は、会社の備品管理や行事の企画運営、防犯対策など企業の組織としての部分を担当しています。ただし、企業によっては、人事が総務を兼ねていることもあり、明確な区別が困難な場合もあります。

人事はなぜ必要?

優秀な人材の獲得は、企業が利益を上げて成長を続けるためにも欠かせません。また、採用した人材を教育したり、最適な部署に配置したりすることも企業の成長には不可欠です。そのため、これらの仕事を担当する人事が企業にとって、重要なのはいうまでもないでしょう。重要な経営資源となる人を扱う人事が花形部署とされる所以です。

現代の日本は、少子高齢化の急速な進展により、生産年齢人口が減少を続けています。このような背景から企業の人材獲得競争は、激化の一途を辿っており、人事の果たす役割は年々大きくなっています。また、急速なIT技術の発展や、グローバル化の進展なども、変化に対応可能な人材の需要を押し上げています。今後も人事の必要性が高まっていくことになるでしょう。

参考:人口減少と少子高齢化|内閣府

人事が行う仕事内容・役割

人事が行う仕事は、企業における人材関連全般となり、非常に広範です。本項では、その中から代表的な仕事を紹介します。

人事制度の企画・運営

人事は、企業の経営目標を達成するために、人事制度の企画運営を行います。企業が採用した人材に適切な教育を施し配置することで、目標達成に近づけるのです。適切な教育や人員配置は、従業員の能力を最大限発揮させるために欠かせません。

採用フローの確立・窓口

人材の採用は、人事の大きな仕事です。人材採用のためには、募集から採用までのフローを確立する必要があります。人事は、採用計画の立案やスケジューリングを行い、実際の採用までの流れを確立させます。また、採用後のフォローなど、採用決定後の窓口となることも重要な仕事の一つです。

人材育成・ワークショップ等の開催

企業の成長には、従業員の成長が欠かせません。人事は、従業員を成長させるために必要となる様々な施策の検討を行い、実施します。新人研修や管理職研修、ワークショップなど、必要となる施策は様々ですが、人事はその中から最適なものを選択し、実行しなければなりません。また、外部から専門家を招くような場合には、人事がその対応を担っています。

評価制度の確立

成果を適切に評価しなければ、従業員のモチベーションやエンゲージメントは低下してしまうでしょう。適切な評価のためには、適切な評価制度の確立が必要です。また、適切に評価できなければ、評価に基づいた報酬も不適当なものとなってしまいます。人事は、従業員がその働きに見合った評価を受けられる制度を構築し、運営する重要な役割を担っています。

組織配置の企画・実行

人事は、企業にどのような部署が必要となり、どのような人材を配置すればよいのかといった組織配置の企画を行う場合もあります。折角優秀な人材を獲得しても、能力を発揮できる部署がなければ、宝の持ち腐れです。従業員が最大の能力を発揮するためにも、組織配置は重要であり、人事の大切な仕事となります。

各種システム・制度や環境の整備

評価システムや育成制度などをはじめとする社内の各種システム・制度を整備することも人事の仕事の一つです。制度の整備には、福利厚生制度の構築なども含まれており、従業員の働きやすさに大きな影響を与えます。システムや制度を整備する際には、透明性のある公正なものにすることが重要です。

労務管理

人事が労務を兼ねている場合には、労務管理も人事の仕事となります。労務管理の範囲は、就業規則の作成整備や、社会保険手続き、給与計算など、多岐にわたります。細々としたデータを扱い、一見地味な仕事ですが、正確な社会保険手続きや給与計算などは、従業員だけでなく、企業にとっても非常に重要です。

人事の仕事の魅力的な点

企業において、人を扱う人事の仕事はどういった点が魅力なのでしょうか。一つずつ見ていきましょう。

企業の花形・会社のイメージに直結する

従業員は企業の生産性に直結する要素です。優秀な人材の存在がなければ、企業が利益を上げることも成長することも望めません。そのため、人材の採用や教育を担当する人事は企業の花形部署となっています。

どのような人材を採用するかは、企業のイメージにも直結するため、採用の判断には細心の注意が必要です。採用の仕事は責任も重大ですが、企業の生産性やイメージにも直結する魅力も有しています。

社員の成長に貢献できる

従業員の成長は、企業の成長に不可欠です。従業員を成長させるために行われる教育訓練などの施策の企画運営は、人事が担当することが多くなっています。従業員の成長に貢献できる教育訓練の企画運営は、やりがいのある魅力的な仕事となります。

成長のために行われる教育は、適切なものを選択しなければ、逆効果となる場合すらあり得ます。そのため、企画運営には苦労も多いですが、上手くいった際の感慨もひとしおでしょう。

人事をこなす上で必要なスキル

人事の仕事は、企業の中でも非常に重要です。人事として仕事を進めるうえで、重要となるいくつかのスキルについて紹介します。

法令に関する知識

人事の仕事を行ううえでは、関連する法令の知識が不可欠です。採用にあたっては、労働基準法や最低賃金法の基準を下回ってはなりません。また、パートタイム・有期雇用労働法など、雇用形態によって適用される法律も変わります。

関連する法令の知識がなければ、知らぬ間に法違反を犯してしまいかねません。法違反を行った企業として社会的信頼を損なわないためにも、正確な法令知識の獲得が必要です。また、人事に関連する法令は頻繁に改正されるため、常に最新の情報にアップデートすることも求められます。

多様性を尊重した視点

多様性を尊重した社会実現のために、現代の企業には性別や国籍、年齢、信条などに囚われることなく、人材採用を行うことが求められています。このような採用をダイバーシティ採用と呼びます。

ダイバーシティ採用を行うためには、多様性を尊重した視点を持つことが必要です。実際に採用計画を立案する人事にも、当然そのような視点が求められます。偏見や凝り固まった価値観の持ち主には、人事の仕事は務まらないでしょう。

コミュニケーションスキル

人事は、採用において直接応募者と関わります。そのため、人事には高いコミュニケーションスキルが必要です。

コミュニケーションスキルが低ければ、面接時に不信感を抱かれる恐れもあります。また、人事は、企業への応募者だけでなく、採用計画の立案において様々な部署や役職と接する機会が多くなっています。コミュニケーションスキルがなければ、相手からのヒアリングもこちらからの企画提案も上手くいかないでしょう。

社会や世の中に関する知識

人事には、社会や世の中の動きから、企業に必要となる人材を割り出す能力が求められます。社会情勢に合わない人材を獲得しても、能力を発揮させることはできないでしょう。そのため、人事の仕事を行ううえでは、社会や世の中の動きに対して、常にアンテナを張り巡らせて、情報収集することが必要です。

戦略的思考

優秀な人材だからといって、ただ闇雲に採用しても企業の成長にはつながりません。あくまでも企業の経営戦略に沿った人材の採用が必要となります。企業の経営戦略を理解し、それに沿った採用計画を立案するためには、戦略的思考が必要です。戦略的思考に基づいた人事は、企業の成長を大きく助けます。

秘情報の扱いに長けている

採用をはじめとする人事の仕事は、個人情報を扱うことが多くなっています。また、採用計画や、教育企画立案の必要性から、企業の機密情報にアクセスする場合もあるでしょう。情報漏えいは、その情報の重要性が高いほど影響も大きくなります。個人情報や機密情報を扱うこともある人事の仕事を行うのであれば、情報に対するセキュリティ意識も高めなくてはなりません。

人事で活用できる?評価制度の種類

評価制度は、企業ごとにその基準も様々です。評価制度の種類を知ることで、適切な基準の設定につなげられるでしょう。

一般的な評価制度

評価制度は、企業によって異なります。また、評価制度における評価項目も、種々様々であり、一律ではありません。しかし、一般的に売上やアポイント率などの定量的な項目と、勤務態度やチャレンジ精神などの定性的な項目の2種類に大別されます。

評価制度の目的は、業績の向上や報酬をはじめとする処遇決定などにあります。評価制度を導入することで、企業と従業員は目標を共有可能となり、公正な評価は従業員のモチベーション向上につながります。どのような評価項目によって評価するにしても、評価制度の目的自体は変わりません。

等級制度

等級制度は、従業員の能力や業務成果などに応じて、等級を付与する制度です。等級には序列が存在し、付与された等級に基づいて処遇や権限が決定されます。

等級制度を導入することで、各等級で満たすべき基準が明確化され、公正な基準に基づいた処遇が可能です。等級制度があれば、従業員の処遇に対する納得度も高くなるでしょう。また、各等級に応じた権限も明確になるため、スムーズな役割分担が可能となり、円滑な企業運営が可能となります。

報酬制度

報酬制度は、従業員に支払う報酬を決定するための制度です。従業員に対する評価や等級などに応じて報酬を決定する人事評価制度の一つとなります。

旧来は、勤続年数に応じて報酬が決定される年功序列型の報酬制度が主流でした。しかし、終身雇用制度が崩壊した現在においては、成果や職能、等級に応じた報酬制度を導入する企業が多くなっています。勤続年数などと異なり、自身の働きに応じて報酬が変動するため、従業員のモチベーション向上の効果も期待されます。

人事評価において用いられる手法

人事評価は適正な方法で行わなければ、従業員のモチベーションを下げ、最悪離職にまで発展しかねません。そのような事態を避けるためにも、評価手法を知ることが大切です。

MBO

MBOは、「Management By Objectives」から取られた略語です。経済学者であるドラッカーによって、提唱された目標管理制度であり、設定された目標の達成度や進捗度に応じて評価されます。報酬と達成度が直結するため、従業員のモチベーション維持にも役立ちます。

OKR

OKRは、「Objectives and KeyResults」の略語であり、目標設定および管理に特化した人事評価の手法です。目標と主要な結果を定めることで、優先順位を定めつつ方向性を統一するために用いられます。組織の方向性統一に役立つ手法といえるでしょう。

コンピンテンシー評価

コンピテンシー評価は、従業員のスキルではなく、行動の特性によって評価することに特徴があります。職種ごとに成果を上げている行動特性をモデルとして、従業員の評価に反映させます。モデルが設定されているため、評価基準が明確となります。

360度評価

360度評価では、上司や部下、同僚などが様々な立場から、評価対象者を多角的に評価します。特定の人物からのみの評価よりも、客観的かつ公正な評価を下せることが特徴です。ただし、評価に慣れていない人物が参加する場合には、かえって公平性が下がってしまう恐れもあります。

人事は企業の要

企業運営には、優秀な人材の獲得が欠かせません。そのため、採用を担う人事部門は、企業の要ともいえるでしょう。当記事を参考にして、人事部門の強化につなげてください。


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