• 更新日 : 2024年7月29日

ジョブ・クラフティングとは?意味やメリット・デメリット、やり方を解説

従業員の主体性を尊重し、モチベーションを高める新しい働き方として注目されているのが、「ジョブ・クラフティング」です。

単に任された業務をこなすのではなく、自分の強みや適性、価値観に合わせて仕事のやり方を見直し、よりよい働き方を実現することができます。本記事では、ジョブ・クラフティングの概要からメリット・デメリット、実践方法までを詳しく解説します。

ジョブ・クラフティングとは?

ジョブ・クラフティングとは、従業員自らが職務内容を積極的に再構築することで、モチベーションや業務への主導性を高める行為のことです。既存の仕事の枠に留まらず、自分の強みや価値観に合わせて職務を見直し、より自分らしい働き方を実現するアプローチです。

ジョブ・クラフティングには主に3つの方法があります。

  1. 職務内容の再設計(タスク・クラフティング)
  2. 対人関係の見直し(関係性クラフティング)
  3. 仕事への意味付け(認知的クラフティング)

業務の範囲や優先順位を変えたり、他者との関わり方を見直したり、仕事の意義を再認識したりすることで、自らの仕事に対するエンゲージメントを高められるのが特徴です。

「やらされる」から「やりがいのある」仕事に変える取り組み

ジョブ・クラフティングは、単に任された仕事をこなすのではなく、以下のように自らが仕事の内容ややり方を見直し、改善を重ねていくプロセスです。

  • 業務範囲の再検討(役割の拡大/縮小)
  • プロジェクトや会議への新たな参加
  • 付加価値のある業務への専念
  • 苦手なタスクの削減や外注化
  • 他部署や取引先とのコミュニケーション増加

ジョブ・クラフティングは、自分自身のスキルや興味関心に合わせて仕事を構築していくことで、生産性が向上するだけでなく、仕事へのやりがいや誇りも高まります。言われた仕事を忠実にこなす「やらされ仕事」から、自分らしいやりがいのある仕事に生まれ変わる取り組みと言えるでしょう。

ジョブ・デザインとの違い

ジョブ・クラフティングは、ジョブ・デザイン(職務設計)と混同されがちですが、両者には大きな違いがあります。

ジョブ・デザインは、経営者や管理者が従業員に対して働きがいのある仕事を設計し割り振ることを指します。つまり、組織の側から一方的に仕事の意義を押し付けるアプローチとも言えるでしょう。

一方のジョブ・クラフティングは、従業員自身が主体的に仕事の意味や目的を見出し、自分なりに仕事を作り変えていく手法です。個人の価値観や興味が重視され、自発的な取り組みが前提となります。

ジョブ・デザインが組織主導で従業員は受け身であるのに対し、ジョブ・クラフティングは従業員主導で能動的な存在となる、という大きな違いがあります。

ジョブ・クラフティングはなぜ注目されているのか

ジョブ・クラフティングはなぜ注目されているのでしょうか。ここでは、その背景と理由を探っていきます。

労働市場の変化¥

ジョブ・クラフティングが注目される背景には、労働市場の変化が大きく影響しています。従来の年功序列や終身雇用といった日本の労働慣行が崩れつつあり、労働者の価値観も多様化しています。

このような状況下で、従業員が自らのキャリアを主体的に設計し、やりがいを見出すことが求められるようになりました。

特に、転職が一般化し、キャリアアップのために企業を離れる選択肢が増えている現代では、従業員のモチベーションを高め、企業へのエンゲージメントを強化する手法としてジョブ・クラフティングが有効とされています。

業務の複雑化と専門化

ビジネス環境の変化に伴い、業務がますます複雑化・専門化しています。これにより、企業が従業員一人ひとりのニーズやモチベーションを把握し、適切な仕事を設定することが難しくなっています。

ジョブ・クラフティングは、従業員が自らの業務を再設計し、やりがいを見出すことで、業務の効率化や生産性の向上を図る手法として注目されています。

顧客ニーズの多様化

現代のビジネス環境では、顧客ニーズが多様化・複雑化しており、企業は迅速かつ柔軟に対応することが求められています。

従業員が主体的に業務を再設計し、顧客ニーズに応じたサービスを提供することで、企業全体の競争力を高めることができます。

ジョブ・クラフティングは、従業員が自らの業務に対する責任感を持ち、顧客ニーズに応じた柔軟な対応を可能にする手法として注目されています。

働き方改革と多様な価値観

働き方改革の進展により、雇用形態や勤務形態が多様化しています。従業員の価値観も多様化しており、「やりがい」や「キャリア開発」といった個々のニーズに応じた働き方が求められています。

ジョブ・クラフティングは、従業員が自らの価値観に基づいて業務を再設計し、やりがいを見出すことで、個々のニーズに応じた働き方を実現する手法として注目されています。

組織の柔軟性とイノベーション

ジョブ・クラフティングは、組織の柔軟性を高め、イノベーションを促進する効果も期待されています。従業員が主体的に業務を再設計し、新しいアイデアを積極的に提案することで、組織全体の創造性が向上し、競争力が強化されます。

特に、従業員の情熱やモチベーションが高まることで、自然発生的なリーダーが生まれやすくなり、組織の成長を促進する効果が期待されています。

ジョブ・クラフティングで働き方を変える3つのポイント

では、ジョブ・クラフティングで働き方を変えるには、どのようなポイントがあるのでしょうか。作業クラフティング、人間関係クラフティング、認知クラフティングという3つの視点を挙げて解説していきます。

作業クラフティング

作業クラフティングとは、従業員が自らの業務内容や手順を主体的に変更し、仕事の効率や満足度を高める取り組みです。具体的には、以下で取り上げるように業務の追加・削除、手順の見直し、優先順位の設定などが含まれます。

  • 業務の追加・削除

従業員は、自分のスキルや興味に基づいて業務を追加したり、逆に不要な業務を削除したりすることができます。これにより、仕事の内容がより充実し、やりがいを感じやすくなります。

  • 手順の見直し

従来の業務プロセスを見直し、より効率的な手順に変更することも作業クラフティングの一環です。例えば、目標設定やスケジュール管理を工夫することで、業務の効率化が図れます。

  • 優先順位の設定

業務の優先順位を明確にすることで、重要なタスクに集中できるようになります。これにより、仕事の質が向上し、達成感を得やすくなります。

人間関係クラフティング

人間関係クラフティングとは、職場での人間関係を積極的に構築・改善することで、仕事の満足度ややりがいを高める取り組みです。具体的には、以下のように同僚や上司とのコミュニケーションを強化し、良好な人間関係を築くことが含まれます。

  • コミュニケーションの強化

従業員は、職場でのコミュニケーションを積極的に行い、同僚や上司との関係を深めることが重要です。これにより、仕事に対するフィードバックやサポートを得やすくなり、業務の質が向上します。

  • 新しい関係の構築

新しい人間関係を築くことも人間関係クラフティングの一環です。例えば、他部署のメンバーと協力してプロジェクトを進めることで、異なる視点やスキルを取り入れることができます。

  • 良好な人間関係の維持

既存の人間関係を良好に保つことも重要です。定期的なミーティングやフィードバックセッションを通じて、互いの意見を尊重し合う環境をつくることが求められます。

人間関係クラフティングは、職場での人間関係を積極的に構築・改善することで、仕事の満足度ややりがいを高める効果があります。

認知クラフティング

認知クラフティングとは、仕事に対する認識や意味付けを主体的に変えることで、仕事のやりがいや満足度を高める取り組みです。具体的には、仕事の目的や意義を再定義し、自分の価値観と結びつけることが含まれます。

  • 仕事の目的の再定義

従業員は、自分の仕事の目的や意義を再定義することで、仕事に対するモチベーションを高めることができます。例えば、日常の業務がどのように会社全体の目標に貢献しているかを考えることで、仕事の意義を見出すことができます。

  • 自分の価値観との結びつけ

仕事を自分の価値観や興味と結びつけることで、より一層のやりがいを感じることができます。例えば、社会貢献に興味がある従業員は、自分の仕事がどのように社会に貢献しているかを考えることで、仕事に対する満足度を高めることができます。

  • ポジティブな視点の導入

仕事に対するポジティブな視点を導入することも認知クラフティングの一環です。例えば、困難なタスクを成長の機会と捉えることで、チャレンジ精神を持って取り組むことができます。

認知クラフティングは、仕事に対する認識や意味付けを主体的に変えることで、仕事のやりがいや満足度を高める効果があります。

ジョブ・クラフティングのメリット

ジョブ・クラフティングの基本事項やポイントを理解したところで、メリットとデメリットを確認していきましょう。まず、5つのメリットを紹介します。

主体的に働けるようになる

ジョブ・クラフティングの最大のメリットの一つは、従業員が主体的に働けるようになることです。従業員が自らの業務内容や手順を見直し、改善することで、仕事に対する責任感や当事者意識が高まります。

これにより、従業員は受動的な姿勢から能動的な姿勢に変わり、仕事に対するモチベーションが向上します。

従業員が自らの業務を管理し、効率化を図ることで、自己管理能力が向上します。結果的に業務の優先順位を適切に設定し、効率的に仕事を進めることができるようになります。

リーダー育成を促す

ジョブ・クラフティングは、リーダー育成にも大きな効果をもたらします。従業員が主体的に業務を見直し、改善する過程で、リーダーシップスキルが自然と育まれます。

従業員が自らの業務を管理し、他のメンバーと協力して業務を進めることで、リーダーシップを発揮する機会が増えます。

こうしたことによって、リーダーとしてのスキルが向上し、将来的なリーダー候補が育成されます。そして、リーダーシップを発揮する従業員が増えることで、チーム全体の成長が促進されます。

従業員エンゲージメントの向上

ジョブ・クラフティングは、従業員エンゲージメントの向上にも寄与します。従業員が自らの業務に対する認識を見直し、やりがいを見出すことで、仕事に対する満足度が高まります。

従業員が自らの業務に対する意義を見出すことができれば、モチベーションが向上します。従業員は仕事に対して前向きな姿勢を持ち、積極的に取り組むようになります。

また、仕事に対する満足度が高まることで、従業員は組織への愛着を持つようになります。従業員の離職率が低下し、組織全体の安定性が向上します。

アイデアが生まれやすくなる

ジョブ・クラフティングは、従業員が創造的なアイデアを生み出しやすくする効果もあります。従業員が自らの業務を見直し、改善する過程で、新しいアイデアや改善策が自然と生まれます。

従業員が自らの業務に対して主体的に取り組むことで、創造性が向上し、業務の効率化や新しいプロジェクトの立ち上げなど、さまざまな創造的なアイデアが生まれます。

離職率の低下につながる

ジョブ・クラフティングは、従業員の離職率を低下させる効果もあります。従業員が自らの業務に対するやりがいを見出すことで、仕事に対する満足度が高まり、離職のリスクが低下します。

従業員が自らの業務に対するやりがいを見出すことができれば、仕事に対する満足度が高まるでしょう。

ジョブ・クラフティングのデメリット

メリットとともにデメリットについても押さえておく必要があります。ここでは、3つのデメリットを挙げます。

仕事に負荷がかかる

ジョブ・クラフティングの一つのデメリットは、仕事に対する負荷が増加する可能性があることです。従業員が自らの業務を再設計し、やりがいや効率を追求する過程で、業務量が増加することがあります。

特に、過剰なジョブ・クラフティングは、仕事の負荷を増大させ、結果としてバーンアウト(燃え尽き症候群)を引き起こすリスクがあります。

仕事が属人化してしまう

ジョブ・クラフティングのもう一つのデメリットは、仕事が属人化してしまうリスクがあることです。

属人化とは、特定の従業員にしかできない業務が増えることで、他の従業員がその業務を引き継ぐことが難しくなる状態を指します。

ジョブ・クラフティングを通じて、従業員が自分の得意分野や興味に基づいて業務を再設計することで、その業務が特定の従業員に依存するようになります。

これにより、担当者が休職や退職した場合に、業務の継続が困難になるリスクが高まります。

従業員にプレッシャーがかかる

ジョブ・クラフティングは、従業員にとってプレッシャーとなることもあります。自らの業務を再設計し、効率化ややりがいを追求する過程で、従業員が過度なプレッシャーを感じることがあります。また、他の従業員との競争意識が高まり、ストレスが増加することもあります。

ジョブ・クラフティングの実践方法

ジョブ・クラフティングのメリット・デメリットを踏まえて、どのように実践すればよいのか、具体例を紹介しましょう。

仕事の意味や目的を明確に伝える

ジョブ・クラフティングを実践する際の第一歩は、従業員一人ひとりに対して仕事の意味や目的を明確に伝えることです。

  • 組織の理念やビジョン、事業の社会的意義を共有する
  • 部門や個人の業務がそれらにどう貢献しているかを示す
  • 業務の目標設定を行い、達成によるメリットを説明する

このように、仕事のコンテクストを理解してもらうことで、従業員は自身の役割を認識し、より意欲的に取り組めるようになります。単なる雑務ではなく、大きな目的に貢献する仕事だと実感できるからです。

適切な情報提供と意識付けを行うことで、従業員自らが仕事の意味を見出し、認知的クラフティングへと発展していきます。

上司は部下をサポートする

ジョブ・クラフティングを適切に進めるには、上司による丁寧なサポートが欠かせません。具体的には以下のようなアプローチが考えられます。

  • 部下の長所や適性を的確に把握し、活かせる機会を提供
  • 新しい役割やタスクを引き受ける際の助言やフォロー
  • 成果への適切な評価とフィードバック
  • OJTやコーチングを通じたスキルの伸長支援

こうした日常的な関与を通じて、部下に合った最適な職務を見つけ出せるよう導きます。ジョブ・クラフティングの方向性を適宜修正しながら、プロセスを管理する重要な役割があります。

上司と部下が綿密にコミュニケーションを取り、お互いをサポートする関係性が何より重要です。そうした関係性があれば、ジョブ・クラフティングが着実に機能するはずです。

経営者が率先して推進する

ジョブ・クラフティングは経営陣が強力に推進し、組織風土として根付かせていくことが求められます。

  • 経営ビジョンの中でジョブ・クラフティングの重要性を言及
  • 人事制度や評価制度の見直しを行う
  • トップ自らジョブ・クラフティングを実践し、モデルケースとなる
  • 社内のコミュニケーションを活性化し、風通しをよくする

経営者の強いメッセージと行動力があれば、ジョブ・クラフティングへの機運が高まり、抵抗勢力を取り除きやすくなります。制度の見直しやシステム化を行うことで、持続的な取り組みにつなげられるでしょう。

一方で、経営陣が従業員主導の働き方を理解できずに強制的な施策を講じると、かえって従業員の反発や混乱を招く恐れがあります。丁寧なコミュニケーションが欠かせません。

成功事例の共有する

ジョブ・クラフティングの実践を促進するためには、具体的な成功事例を社内で共有することが重要です。

  • モチベーションの向上や離職防止につながった人材活用事例
  • 新規事業や新製品開発へとつながったアイデア創出事例

こうした前向きな事例を共有し、ジョブ・クラフティングのメリットを具体的に示すことで、従業員の理解と関心が深まります。さらに実践を後押しするきっかけにもなります。

一方、一時的な成功事例にすぎず、継続が困難な事例もあるでしょう。長期的に実践できる環境づくりが大切です。また、個人の尽力だけでなく、組織としての制度設計や支援体制の重要性も併せて伝えることが重要になります。

ジョブ・クラフティングの成功事例

ジョブ・クラフティングに取り組み、成功した事例をいくつか紹介しましょう。

事例1:A社のケース

A社は、優秀な人材の定着と活用を目指し、ジョブ・クラフティングを人材育成の軸に据えています。

  • 目標管理制度の中で、従業員自らが業務目標を設定
  • 強みに合わせて業務範囲を拡大し、新たな挑戦機会を提供
  • 部署を超えたタレントプール制で人材を最適配置

こうした取り組みにより、キャリア意識の向上と自発的な成長意欲が喚起されました。高いエンゲージメントを持つ人材が定着し、業績向上にも大きく寄与しています。

事例2: B社のケース

B社は、ジョブ・クラフティングによるアイデア創出を通じて新規事業を次々と立ち上げています。

  • 従業員に業務の見直しを促し、新たな価値提供を募集
  • 独自のクラウドサービスやアプリ開発などのアイデアを複数採用
  • 事業企画には当事者が中心となって携わる仕組み

このように、積極的にボトムアップを後押しした結果、非連続的な発想の新規事業が生まれています。単なるアイデア募集に留まらず、実現に向けた環境づくりが成功のカギとなっています。

事例3: C社のケース

C社では、働き方改革の一環としてジョブ・クラフティングに取り組み、生産性向上と労働時間削減に成功しました。

  • 全従業員を対象に、業務の棚卸しとクラフティングを実施
  • 付加価値の低い業務の見直しや自動化・外注化を推進
  • 得意分野に特化し、新たな役割を創出する動きが活発化

こうした従業員主導の改革により、無駄な業務が大幅に削減されました。生産性は30%以上向上する一方、時間外労働は半減しました。働き方改革と生産性向上の両立を実現しています。

このように、ジョブ・クラフティングには従業員のエンパワーメントはもちろん、事業成長やイノベーション促進、業務改革など、さまざまな効果が期待できることがわかります。戦略的な施策として活用する動きが、日本企業でも本格化しつつあります。

ジョブ・クラフティングの注意点

最後に、ジョブ・クラフティングの注意点を挙げておきます。実施する際には以下の点に留意する必要があります。

組織のガバナンスとの整合性

ジョブ・クラフティングでは、従業員が自発的に業務の範囲や内容を見直すため、組織としての統制が効かなくなるリスクがあります。

  • 業務の棲み分けが不明確になり、責任の所在が曖昧になる可能性
  • 個人の利益優先で無秩序な動きが生じ、組織目標から外れかねない
  • 従業員間で格差が生まれ、公平性が損なわれる恐れ

そのため、ジョブ・クラフティングの範囲やルールを組織として設定し、一定のガバナンスを保つ必要があります。個人の自由裁量が過剰にならないよう、上限を設けることも検討すべきでしょう。

また、業績評価制度や報酬制度とうまく連動させ、組織にとって望ましい行動を後押しできる仕組みが求められます。

上司のマネジメント能力

部下のジョブ・クラフティングを適切にサポートするには、上司の高いマネジメント能力が必須となります。

  • 部下一人ひとりの個性や適性を的確に見極める能力
  • 新しい役割を引き受ける際の助言やOJTを行うスキル
  • フォローアップやタイムリーなフィードバックを欠かさない

上司は、単に自由に任せるのではなく、部下の行動を見守りながら、必要な支援を行っていく重要な役割があります。マネジメント力の低い上司では、部下のモチベーション低下や無秩序な動きを招きかねません。

そのため、上司に対するマネジメント研修の徹底や、上司本人を評価する際の部下育成力の重視が求められます。人材育成の面でも、組織としての体制整備が欠かせません。

従業員のマインドセット

ジョブ・クラフティングでは、従業員自らが主体的に考え行動する必要があります。そのため、一定のマインドセットが必要不可欠です。

  • 自己実現や成長意欲の高さ
  • 創造性とチャレンジ精神
  • 責任感と組織への貢献意識
  • 好奇心と学習意欲

こうしたポジティブで前向きな姿勢がなければ、単に適当に業務範囲を狭めて、逃げを打つだけに終わってしまう恐れがあります。組織の発展につながらず、かえってネガティブな影響をおよぼしかねません。

そのため、ジョブ・クラフティングに取り組む前に従業員の意識改革を図ることが重要です。教育・研修やキャリアカウンセリングなどを通じて、正しいマインドセットを育てる必要があるでしょう。

このように、ジョブ・クラフティングを円滑に進めるには、組織とマネジメント、従業員がそれぞれ注意すべき点があります。いずれかの環境整備が不十分では、メリットを最大化できません。バランスの取れた取り組みが肝心です。

組織とマネジメント、従業員の三位一体が成功のカギ!

ジョブ・クラフティングは、従業員の主体性とエンゲージメントを高める有効な手段です。自らの強みを最大限に発揮できる環境を整えることで、生産性の向上やイノベーションの創出、モチベーション向上による定着率の改善など、さまざまな効果が期待できます。

一方で、無秩序な動きを招かないよう、組織としてのガバナンスやマネジメント体制の整備が不可欠です。従業員のマインドセット醸成にも注力する必要があります。ジョブ・クラフティングを戦略的に実践することで、従業員と組織の Win-Winを実現できるでしょう。


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