- 更新日 : 2021年11月29日
厚生年金基金の8つのメリット
厚生年金基金とは、企業年金の一種であり、厚生年金保険料の一部を「代行部分」として運用し、その運用益による「プラスアルファ部分」を公的年金に上乗せ支給する制度です。厚生年金基金の仕組みや給付について詳しく知りたい方は、「厚生年金基金と厚生年金保険の関係について」を参照して下さい。
では、厚生年金基金に加入することで、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか?本稿では、厚生年金基金に加入するメリットについて、事業主・従業員の立場から4つずつまとめました。
目次
事業主にとってのメリット
メリット1:退職金の準備として有効
会社の経営者にとって、「従業員の退職金をどうするか?」は頭の痛い問題のひとつ。その原資を自社のみで準備することは、昨今の厳しい経済状況のなかでますます困難になっていると言えます。厚生年金基金に加入していれば、基金独自の上乗せ給付を退職金の資金として活用することができます。
メリット2:税制上の優遇が受けられる
厚生年金基金へ拠出する掛金のうち、会社(事業主)が負担する部分は、法人税上その全額が損金として扱われ、税制面での実質負担が軽くなります。
メリット3:役員も加入できる
厚生年金基金では「厚生年金保険の被保険者であること」が加入員の対象となります。厚生年金保険では、労務の対象として報酬を得ている場合は、会社社長や役員も被保険者になれるため、基金にも加入することができます。
メリット4:優秀な人材の確保や定着につながる
厚生年金基金は退職後の年金給付だけでなく、現役の加入員に対する結婚祝金や死亡弔慰金、住宅資金の融資などさまざまな福祉事業が充実しています(事業内容は各基金の規約により異なります)。
基金に加入することで企業のイメージアップや従業員のモチベーション向上を図ることができ、優秀な人材の確保や定着につながります。
従業員にとってのメリット
メリット5:負担増はないのにより多く年金が受けられる
厚生年金基金に加入しても、一般的に従業員の負担増はありません。基金の掛金のうち、従業員は厚生年金保険料の代行部分を会社と折半負担し、代行部分を除く残りの厚生年金保険料の従業員負担分を納付します。結果として、基金に加入していない会社の厚生年金保険料と負担は同じ額になります。
一方で、基金独自の「プラスアルファ部分」が増額された年金給付を受けられるため、公的年金のみの受給者よりも有利です。
メリット6:年金の受給要件が公的年金よりも緩やか
公的年金の受給資格は、被保険者期間が原則10年以上となっていします。厚生年金基金の場合、老齢基礎年金の支給要件を満たしていなくても、加入員である期間が1カ月以上なら、厚生年金の受給開始年齢から加入員として掛金を納めた期間に相当する年金が支給されます。
メリット7:加算部分の年金が終身支給される
厚生年金基金からの年金給付は終身支給されます。加算部分については、基金によって要件が異なる場合もありますが、受給者が受給から10年未満で亡くなった場合、残りの年金相当額が一時金として遺族に支払われる場合がほとんどです。
メリット8:加算部分は失業給付との調整がない場合が多い
公的年金を受けている60歳以上の人が65歳未満で雇用保険の失業給付受給の際は、その期間中の年金の支給は全額支給停止されます。一方、厚生年金基金の加算部分は支給停止の対象にならない場合が一般的です(各基金の規約に基づきます)。
まとめ
以上、厚生年金基金に加入するメリットについて見てきました。今厚生年金基金は、「代行割れ」などのさまざまな問題点があります。しかし、加入している会社や従業員にとって具体的なメリットが大きいのも事実。将来、少しでも多くの年金や退職金をもらうためにも、私たち自身が現在加入している年金制度に関する知識を正しく持つことがまず重要です。
皆さんもこれを機に、ご自身が加入している年金制度について見直してみてはいかがでしょうか。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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