• 更新日 : 2023年9月12日

労働条件通知書とは?提出しないとどうなる?

労働条件通知書とは、使用者と労働者が雇用契約を結ぶ際に交付する書類のことで、給与や勤務時間をはじめとした労働条件を記載します。労働者を不利な条件から保護するのが主な目的であり、雇用形態に関係なくすべての労働者に交付しなければなりません。今回は、労働条件通知書の概要や交付のタイミング、書き方のポイントなどを解説します。

労働条件通知書とは?

労働条件通知書とは、使用者である企業と労働者が雇用契約を締結する際に交付する書類で、記載するのは給与や就業場所、勤務時間をはじめとした労働条件です。雇用形態にかかわらず、すべての労働者に交付されることが労働基準法で定められています。

労働条件通知書を交付する主な目的は、賃金や労働時間などに関する不利な条件から労働者を保護することです。労働条件通知書があれば、労働者は自分の労働条件を書面で確認できます。結果的に、不利な労働条件から労働者を守ることにつながるのです。

また、企業側が労働条件を伝えたつもりでいても、労働者は認識していないというケースは少なくありません。「聞いていた労働条件と違う」といった理由からの採用後のトラブルを防ぐ効果もあります。

参考:e-Gov法令検索(労働基準法)|デジタル庁

労働条件通知書の交付のタイミングや対象者

ここからは、労働通知書を交付するタイミングと対象者について解説します。企業は労働条件通知書をいつ交付するのかを、正しく把握する必要があるでしょう。また、交付する対象者は、雇用形態にかかわらず雇用するすべての労働者であることに注意が必要です。

労働条件通知書の交付のタイミング

労働条件通知書は、以下のタイミングで交付します。

  • 新卒者を雇い入れるとき
  • 求人募集時
  • 労働条件に変更があったとき

新卒採用の場合、職業安定法の改正により2018年1月1日以降は、正式な内定までに労働条件通知書を交付しなければならなくなりました。これまでは内定時に「内定通知書」のみが交付され、そのタイミングでは労働条件の詳細を知らされることはほとんどありませんでした。そして4月に入社する際に、はじめて正式な労働条件を知るという流れになっていたのです。

しかし、内定は労働契約は労働契約の成立であるという観点から、本来はこの時点で労働基準法に定められる労働条件の明示が行われる必要があります。そのため内定の時点で、内定通知書とあわせて労働条件通知書も交付されることが求められるようになりました。

また、パートやアルバイトの採用や中途採用を行う際にハローワークなどに求人を出したり、自社サイトに採用情報を掲載したりする際にも、募集要項で労働条件を明示します。その際、スペースの関係上すべての内容を掲載できない場合は、初回の面接など、求職者と接触する前に労働条件を明示することも必要です。

そのほか労働条件が変更したタイミングでも、変更内容をできるだけ早く示すことが望ましいとされます。その際、変更前と後の内容を比較できる書面を交付する方法が理想的です。それが難しい場合は、労働条件通知書で変更事項に下線を引いたり着色したりする方法でもよいとされています。

労働条件通知書を交付する対象者

労働条件通知書を交付するのは、雇用するすべての労働者です。正社員やパート、アルバイトなどの雇用形態に関係なく、全員に対して配布が必要な点に注意しましょう。

休暇の取得方法、給与の計算方法など、全従業員に共通する内容に関しては、就業規則として発行することが可能です。しかし、人によって就業場所が違ったり、雇用形態によって勤務時間や始業時刻・終業時刻が異なっていたりすることもあるため、労働条件通知書は個別に発行する必要があります。

参考:労働者を募集する企業の皆様へ|厚生労働省
e-Gov法令検索(労働基準法)|デジタル庁

労働条件通知書の書き方やポイント

労働条件通知書労働条件通知書は、書式が統一されているわけではないため、各社が独自に書面を作成して問題ありません。しかし、明示しなければならない項目が決まっているため、その記載漏れを防ぐ必要があります。そのため、厚生労働省や労働局のホームページに掲載されているテンプレートを利用することをおすすめします。

絶対的明示事項」の7項目は、必ず明示しなければいけない項目です。ここでは、全体的明示事項の書き方のポイントをご紹介します。

項目書き方のポイント
労働契約期間・期間の定めの有無を記載
・定めがある場合は、具体的な年月日も
有期雇用契約の更新の基準・契約期間満了時の業務量 ・勤務成績、態度 ・能力 ・会社の経営状況などから選択
就業場所および業務・実際に働く店舗名や支店名
・具体的な業務内容を記載
・変更の可能性がある場合は、その旨も記載
始業・終業時刻、休憩、休日、残業の有無など・業務の開始・終了時間を記載
・シフト制など表記が煩雑になる場合は別途参照資料を添付しても可
・休憩時間は「〇分」と時間を記載
・休日は所定休日、休暇は年次有給休暇、代替休暇の有無などを記載
賃金の決定方法、支払時期・基本賃金、常に支払われる諸手当、時間外労働の割増賃金の決定や計算方法を記載
・最低賃金を下回らないよう注意する
退職に関する事項
昇給に関する事項
・定年制の有無や継続再雇用の有無を記載
・自己都合退職の際の手続きや解雇事由も
昇給に関する事項・口頭でよいものの、明示は必要

なお短時間・有期雇用労働者の場合、上記の項目に加えて、下記の明記も必要です。

  1. 昇給の有無
  2. 賞与の有無
  3. 退職金の有無
  4. 相談窓口の案内

そのほか、以下の相対的明示事項に該当する項目がある場合、労働者へは口頭で明示するだけでよいとされています。ただし労使トラブルを防ぐ意味でも、書面で交付しておくと安心です。

  • 退職手当の対象となる労働者の範囲
  • 退職手当の決定・計算・支払い方法、支払時期
  • 賞与などの臨時に支払われる賃金
  • 最低賃金
  • 労働者に負担を求める食費や作業用品など
  • 安全・衛生に関する事項
  • 職業訓練に関する事項
  • 災害補償、業務外の相互扶助
  • 表彰、制裁に関する事項
  • 休職に関する事項

労働条件通知書のテンプレート

労働条件通知書のテンプレートは、以下リンクからダウンロードできます。

無料で、利用制限なく自由にご利用いただけます。エクセル・ワードそれぞれのフォーマットがあります。ぜひご活用ください。

電子交付も認められるように

現在、労働条件通知書の交付は、労働者が希望した場合に限り、FAX、電子メール、SNSなどの電子交付も認められています。ただし原則は書面での交付であるため、書面として出力できるように、添付ファイルとして送ることが望ましいとされます。

労働者の希望があった場合の対応であるため、企業が一方的に電子交付を決めてはいけません。また、労働者への明示事項に関する変更はないため、内容を簡略化して送付するといった対応は認められないことに注意が必要です。

参考:e-Gov法令検索(労働基準法)|デジタル庁

労働条件通知書の作成義務について

労働条件通知書の作成を怠った場合、30万円以下の罰金が科される場合があります。

労働者に対する労働条件通知書の明示は、労働基準法第15条1項によって定められています。労働条件通知書の交付によって賃金や労働時間などに関する不利な条件から労働者を保護するという観点から、労働条件通知書の交付が義務付けられているのです。

参考:e-Gov法令検索(労働基準法)|デジタル庁

労働条件通知書に不備があった場合の対処方法や罰則について

労働条件通知書の作成を怠った場合だけでなく、労働条件の絶対的明示事項に関する事項が記載されていない場合も、30万円以下の罰金に処せられることがあります。また、労働条件通知書で明示された労働条件と実際の条件が異なる場合、労働者は契約を即時に解約することが可能です。

参考:e-Gov法令検索(労働基準法)|デジタル庁

労働条件通知書を交付し採用後のトラブルを防ごう

労働条件通知書とは、使用者と労働者が雇用契約を結ぶ際に交付する書類のことです。給与や勤務時間をはじめとした労働条件を記載し、労働者を不利な条件から保護するのが主な目的です。労働条件通知書があれば、労働者は自分の労働条件を書面で確認ができ、結果的に、不利な労働条件から労働者を守ることにつながります。

また、企業側は労働条件を伝えたつもりでも、労働者が認識していないというケースは少なくありません。「聞いていた労働条件と違う」といった理由からの採用後のトラブルを防ぐ効果もあるため、テンプレートなどを活用し不備のない労働条件通知書を交付しましょう。

よくある質問

労働条件通知書とはなんですか?

使用者と労働者が雇用契約を結ぶ際に交付する書類のことです。詳しくはこちらをご覧ください。

労働条件通知書の交付対象者について教えてください

雇用形態にかかわらず、すべての労働者が交付対象です。詳しくはこちらをご覧ください。


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