• 更新日 : 2024年1月12日

ハロー効果とは?ピグマリオン効果との違いや具体例を紹介!

ハロー効果とは、特定の印象に引きずられて全体を判断してしまうことを指す心理学用語です。たとえば「優秀だ」と判断した相手なら、優秀ではない分野も優秀だと判断することを意味します。ハロー効果が人事や営業、マーケティングに与える影響や、ハロー効果の影響を受けないようにどのような対策ができるのかについて、例を挙げて解説します。

ハロー効果とは?

ハロー効果とは、特定の印象に引きずられて、全体を判断してしまうことを指す心理学用語です。ハロー(halo)とは聖人の頭上に描かれることがある後光のことです。後光が射していることで、対象をありのままに見られず、正しい評価ができない様子になぞらえています。

ハロー効果は直感や先入観などの認知バイアスの一種で、アメリカの社会心理学者エドワード・L・ソーンダイクによって提唱されました。ソーンダイクは、上官が兵士を評価する傾向を知るために、全体評価と項目別評価を調べました。

その結果、優秀と評価された兵士はほとんどの項目において高い評価を得ていました。しかし、優秀ではないと評価された兵士はほとんどの項目において低評価を得ていることに気付きます。このことから、上官の「この兵士は優秀だ」という先入観が認知を歪ませ、項目別に公正な評価ができていないのではと思い至り、ハロー効果と名付けられたそうです。

ピグマリオン効果との違い

ピグマリオン効果とは、期待をかけられるとモチベーションが高まり、成果を上げやすくなる現象のことです。アメリカの教育心理学者ロバート・ローゼンタールにより提唱されました。

なお、ピグマリオンとは、ギリシャ神話に出てくる王の名前です。ピグマリオンは自分が彫刻した女性の彫像に思い焦がれ続けました。その思いを知った女神は、彫像に命を吹き込み、ピグマリオンは人間となった彫像と結ばれました。このことから、特定の相手に強い思いをかけることで、相手が本来以上の働きをすることをピグマリオン効果と名付けたとされています。

ピグマリオン効果は育成の際に使う手法、一方、ハロー効果は評価に対する現象です。どちらも実際の姿が歪められている点は同じですが、ピグマリオン効果は手法、ハロー効果は現象である点が異なります。

ホーン効果との違い

ホーン効果とは、好ましくない印象に引きずられて、全体の評価が悪い方向に歪められてしまう現象です。

印象に引きずられる点はハロー効果と同じですが、ハロー効果は良い印象にも悪い印象にも使われる点が異なります。なお、ホーン(horn)とは悪魔の角のことです。

ハロー効果の具体的な例

ハロー効果は、さまざまな場面で見られます。日常生活や人事領域、マーケティング・営業領域で見られるハロー効果の例を紹介します。

日常にあるハロー効果

好きな人なら欠点であっても好ましく思ってしまうことは、ハロー効果だと考えられます。たとえば、好きな人と映画に行く約束をしていたとしましょう。寝癖がついたまま待ち合わせ場所にやってきても、「急いで準備をしてくれたんだ!」「かわいい」のように好意的に受け取るかもしれません。

反対に好ましいと思っていない相手が、寝癖がついたままやってきたとしましょう。「身だしなみくらいきちんとしてほしい」「一緒にいるのが恥ずかしい」と、ネガティブな感情を持つのではないでしょうか。このように、同じことをしても、相手に好意を持っているかどうかによって、受け止め方は大きく変わることがあります。

人事領域でのハロー効果

採用面接の前に応募者の履歴書に目を通しておくのは、普通のことです。しかし、学歴や資格に引きずられてしまうと、評価にバイアスがかかり、ハロー効果が生じてしまうことがあります。

たとえば、有名大学の出身者と、あまり聞いたことがない大学の出身者がいたとしましょう。同じような受け答えでも、有名大学の出身者のほうがなんとなく賢く思えて、高く評価してしまうかもしれません。

マーケティング・営業領域でのハロー効果

好感度が高いとされる有名人をキャラクターに起用することで、企業や商品、サービスのイメージアップを図るのは、ハロー効果を利用した戦略といえます。「あの人が勧めるならば、きっと信用できる良い商品に違いない」と消費者に思わせ、信頼度アップを狙います。

マーケティングや営業領域では、ハロー効果を利用したイメージ戦略が実施されることが少なくありません。そのため、起用している有名人が不祥事を起こすと、ネガティブなイメージに企業や商品、サービスが引きずられないように契約を打ち切ることがあります。

ハロー効果の種類

ハロー効果には、次の種類があります。

  • ポジティブ・ハロー効果
  • ネガティブ・ハロー効果

それぞれの違いについて見ていきましょう。

ポジティブ・ハロー効果

ポジティブ・ハロー効果とは、特定の良い印象の影響を受けて、全体的に良いと評価することです。

たとえば、好感度の高い著名人をキャラクターに採用することは、その著名人の良い印象に引きずられて、企業や商品も良いと評価されるポジティブ・ハロー効果を利用した戦略といえます。また、高学歴の人材に対して、すべての領域に対して高いレベルで対応できるだろうと判断することも一例です。

ネガティブ・ハロー効果

ネガティブ・ハロー効果とは、特定の良くない印象の影響を受けて、全体的に悪いと評価することです。

たとえば、不祥事を起こした著名人をキャラクターから外すことは、その著名人の良くない印象に引きずられて、企業や商品も悪いと評価されるネガティブ・ハロー効果を避けるためと考えられます。また、知名度の低い学校の出身者に対して、仕事ができないだろうと判断することも一例です。

ハロー効果によって人事評価に偏りが出る場合も

ハロー効果により、人事評価に偏りが生じる可能性があります。たとえば、営業成績が良く、クライアントからも高く評価されている社員がいるとしましょう。人事評価をつける際に、営業だけでなくほかの項目も高く評価してしまうかもしれません。

また、クライアントから苦情をいわれることが多い社員に対しては、営業だけでなくほかの項目においても、実際よりも低く評価してしまうことが想定されます。

ハロー効果が人事評価に及ぼす影響を防ぐには

人を印象で判断してしまうことは、決して稀なケースではありません。そのため、ハロー効果が人事評価に影響を及ぼすことも、珍しいこととはいえません。

しかし、公正な人事評価をしないなら、従業員からの信頼を得られず、離職につながる恐れもあります。次の3つに注目することで、公正な人事評価を実施しましょう。

  • 成果評価を見直す
  • 能力評価を見直す
  • 情意評価を見直す

それぞれのポイントを説明します。

成果評価を見直す

公正な成果評価をするためにも、数字で設定できる部署は定量的な基準を採用しましょう。たとえば、営業のように成果を数字で表記できる部署については、数字と評価をリンクさせられます。

一方、人事や法務のように成果を数字で表現できない部署については、定性的な評価基準を用いることになります。定性的に評価するときは、評価者による「頑張っている」「意欲的ではない」などの主観的な評価が入り込まないように、注意することが必要です。

能力評価を見直す

能力評価の基準に主観的な判断が入り込まないか、確認することも大切です。コミュニケーションスキルなどのすべての職種に共通する能力や、営業力などの職種別に必要とされる能力、管理職のように階層ごとに必要とされる能力をすべて書き出し、企業が求める要件として定義し直しましょう。

情意評価を見直す

協調性や積極性といった仕事に対する姿勢を評価する情意評価も、見直しが必要です。階層が上がると成果評価が重視され、若手は上位評価を重視することで、階層に見合った公正な評価制度を構築しやすくなります。

評価者研修と被評価者研修を行う

人事評価を実施する評価者と、人事評価をされる被評価者の両方に対して研修を行うことも必要です。評価者研修と被評価者研修では、次のポイントの習得を目指します。

  • 人事評価制度の仕組みを正確に理解する
  • 評価基準を正確に理解する

評価者・被評価者の両方が人事評価制度と評価基準を正しく理解することで、評価基準に透明性が生まれ、また、評価内容に対して不満を持ちにくくなります。

ハロー効果以外の人事評価に影響を及ぼす観点

ハロー効果以外にも、次の観点が人事評価に影響を及ぼすことがあります。

  • 中央化の傾向
  • 寛大化の傾向
  • 逆算化の傾向
  • 論理的な誤差
  • 対比・比較による誤差
  • 期末重視による誤差

それぞれの観点について説明します。

中央化の傾向

中央化の傾向とは、評価結果が中央値に偏ることです。たとえば5段階評価なら「3」を選びがちになることは、中央化の傾向といえます。

低評価をすべき相手に嫌われたくないなどの心理が働き、良くも悪くもない中央値に評価することがあるようです。

寛大化の傾向

寛大化の傾向とは、評価結果が高評価に偏ることです。たとえば5段階評価なら「4」や「5」を選びがちになることは、寛大化の傾向といえます。

実際よりも高く評価することで、相手から良く思われたいなどの心理が働き、高評価につながるようです。ただし、実際よりも高い評価をすることは、相手の成長を阻害する恐れがある点に注意が必要です。

逆算化の傾向

逆算化の傾向とは、最初に評価を決めてしまい、その評価になるように各項目を評価することです。たとえば5段階評価で最終的に「4」にするために、平均が4になるように意図的に各項目を評価します。

相手を高く評価したい、チーム全体の評価を高めたいなどの意思が働くことで、逆算化の傾向が生まれるようです。

論理的な誤差

論理的な誤差とは、事実ではなく推論や印象で部下を評価する誤差のことです。たとえば、相手の成果ではなく、出身校や性格などの評価対象ではない事柄を元に評価を決めることを指します。

評価基準が明確ではないときや、自己主張が強すぎる人が評価者になることで起こる現象です。人事評価が公正でないと被評価者が感じるため、従業員の不満が高まる可能性があります。

対比・比較による誤差

対比・比較による誤差とは、評価基準ではなく特定の対象との比較により評価を決めることで生じる誤差のことです。たとえば、特定の従業員を基準として、他の従業員を基準よりも上か下かで評価することを指します。

対比・比較による誤差は、評価者と被評価者に類似部分が多いときや、正反対の特性を持っているときに生じることがあります。

期末重視による誤差

期末重視による誤差とは、期末評価が全体評価に影響を及ぼすことによって生じる誤差のことです。たとえば、普段は優れた成果を上げている従業員が期末時に大きなミスをした場合、全体的に低い評価をつけることなどを指します。

期末重視による誤差が生じると、従業員は期末時のみ努力をするようになるかもしれません。

公正な人事評価を可能にする制度をつくろう

人事評価は公正さが重要です。公正に評価されていないときは、従業員からの信頼を失い、人材流出につながる可能性も想定されます。

ハロー効果以外にも、中央化や寛大化など、公正さを歪ませる要素は多数あります。これらの要素が入り込まないような制度をつくり、人事評価を公正に行っていきましょう。


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