• 作成日 : 2023年1月27日

医療費が高額になったらどうする?社会保険の使用や自己負担割合を解説!

医療費が高額になったらどうする?社会保険の使用や自己負担割合を解説!

社会保険の医療費は3割負担です。入院や手術などの高額な医療費は、自己負担限度額を超えると高額療養費として返金を受けることができます。さらに、特定の疾病に罹患した場合は、自己負担額の一部または全額を助成する医療費助成制度を利用することも可能です。

当記事では、医療費が高額になった場合に利用できる制度を紹介します。

医療費が高額になったときはどうする?使用できる制度

公的保険制度が整備され、一定の自己負担割合で医療を受けられる日本においても、高額な医療費は大きな負担となります。特に、入院や手術など、高度な医療を受ける場合は医療費が高額になりがちです。社会保険や国民健康保険では、医療費の負担を心配することなく高度な医療を受けられるよう、さまざまな制度が整備されています。

ここでは、医療費が高額になった際に利用できる制度を紹介しましょう。

限度額適用認定

医療費が高額になりそうなときは、事前に限度額適用認定を受けましょう。認定を受けるには全国健康保険協会、いわゆる協会けんぽまたは健康保険組合に「健康保険限度額適用認定申請書」を提出してください。国民健康保険に加入している場合は、市区町村役場の担当窓口にて手続きする必要があります。有効期限は申請月の初日から1年間です。

発行された「限度額適用認定証」を保険証とあわせて医療機関等に提示することで、窓口での支払いが自己負担限度額までとなります。限度額適用を受ける際は、必ず保険適用医療機関ごと、外来・入院ごと、調剤薬局ごとに提示してください。ただし、入院時の差額ベッド代や食事代など保険適用外負担分については対象外です。

また、自己負担限度額は被保険者の標準報酬月額、所得区分に応じて分類されています。標準報酬月額、所得が多ければ多いほど自己負担限度額も多く、少なければ少ないほど少額です。さらに、受診した月以前の1年間に3ヶ月以上限度額適用を受けた場合は、4ヶ月目からは「多数該当」としてさらに自己負担限度額が引き下げられます。限度額適用認定の申請から限度額適用を受けるまでの流れは下記の通りです。

  1. 協会けんぽまたは健康保険組合に「健康保険限度額適用認定申請書」を提出する
  2. 所得区分に応じて「限度額適用認定証」が交付される
  3. 医療機関等に保険証とあわせて「限度額適用認定証」を提示し限度額適用を受ける

参考:医療費が高額になりそうなとき | こんな時に健保 | 全国健康保険協会

高額療養費

入院や手術で高額な医療費を支払った場合、自己負担限度額を超えた分は高額療養費として後から払い戻しを受けることが可能です。払い戻しを受けるには、協会けんぽまたは健康保険組合に「健康保険高額療養費支給申請書」を提出してください。国民健康保険に加入している場合は、市区町村役場の担当窓口にて手続きする必要があります。

払い戻しは医療機関等から提出される診療報酬明細書、いわゆるレセプトを元に行われるため、受診日から3ヶ月以上かかります。さらに、かかった医療費は一旦自己負担で支払わなければなりません。後から返金を受けられるとはいえ、高額な医療費は大きな負担となります。事前に医療費が高額になることがわかっている場合は、前章で紹介した限度額適用認定を受けておくと安心です。

自己負担限度額については限度額適用認定と同様、標準報酬月額、所得区分に応じて定められています。所得が多ければ多いほど自己負担限度額も多く、少なければ少ないほど少額です。高額療養費の払い戻しを直近1年間で3回以上受けている場合は、4回目以降は「多数該当」としてさらに自己負担限度額が引き下げられます。高額療養費の払い戻しを受ける流れは下記の通りです。

  1. 医療機関等の窓口で高額な医療費を支払う
  2. 協会けんぽまたは健康保険組合に「健康保険高額療養費支給申請書」を提出する
  3. レセプトに基づき自己負担限度額の応じた高額療養費が払い戻される

参考:高額な医療費を支払ったとき | こんな時に健保 | 全国健康保険協会

傷病手当金

病気やケガにより就労が困難で十分な報酬を受けられない場合は、傷病手当金を受け取ることができます。支給される条件は下記の4点です。

  • 業務外の事由による病気やケガの療養するための休業であること
  • 仕事に就くことができないこと
  • 待期期間3日間を含む4日以上仕事に就けなかったこと
  • 休業した期間に給与の支払いがないこと

業務外の事由による病気やケガは、入院だけでなく自宅療養についても傷病手当金の支給対象となります。一方、業務上の事由によるものや通勤災害によるものは、労災保険の支給対象となるため傷病手当金は支給されません。
傷病手当金は連続して3日間休んだ待期期間の後、4日目以降の休業に対して支給されます。なお、待期期間には有給休暇や土日祝日などの休日も含まれ、給与の支払いがあったかどうかは問いません。ただし、傷病手当金は休業期間の生活を保障するための制度なので、4日目以降の休業期間は給与を受け取っていない必要があります。給与の支払いを受けたとしても、傷病手当金より少ない場合は差額を受け取ることが可能です。支給期間は、支給開始日より通算して1年6ヶ月となります。

支給額は、一般的に給与のおよそ3分の2が目安です。傷病手当金を受け取るには、協会けんぽまたは健康保険組合に「健康保険傷病手当金支給申請書」を提出しましょう。

社会保険と医療費負担

会社員や公務員など、会社や組織に所属している労働者は社会保険に加入するのが一般的です。社会保険には被用者用の公的年金である厚生年金保険と、協会けんぽや健康保険組合によって運営されている健康保険が含まれます。

ここでは、社会保険加入者が医療機関を受診する場合の自己負担割合についてご紹介しましょう。

社会保険を適用した場合、医療費の自己負担割合

現行制度では、社会保険加入者が医療を受ける際の自己負担割合は3割となっています。これは、国民健康保険加入者の自己負担割合と同等です。

1927年に被用者用の健康保険制度が導入された当初、自己負担割合はゼロでした。1943年に定額の自己負担が導入され、1984年に定率の1割負担になります。さらに、1997年に2割へ、2003年に現在の3割負担へと引き上げられました。被扶養者については1940年に5割負担で保険給付の対象となり、1973年に3割に引き下げられ現在に至っています。
国民健康保険は1958年に5割負担でスタートし、1961年に世帯主が3割負担に、1968年に世帯員も3割負担に引き下げられました。現在では社会保険の被保険者と被扶養者、国民健康保険の被保険者すべてが3割負担となっています。

入院費は何割負担?

現行制度における入院時の負担割合は3割です。社会保険の被扶養者については、1981年に入院に限り2割負担に引き下げられましたが、2003年の制度改正に伴い一律3割負担に引き上げられました。国民健康保険についても一律3割負担となっています。

社会保険 入院費は何割負担?

参考:平成15年4月からサラリーマンの窓口負担は3割になります。|厚生労働省

制度の概要を理解し万が一の事態に備えよう

医療費が高額になった際に利用できる制度を紹介しました。現行制度では、社会保険・国民健康保険ともに医療費の自己負担割合は3割です。定率負担とはいえ、入院や手術など高額な医療費は大きな負担となるでしょう。

そこで、日本の公的保険制度においては医療費を心配することなく高度な医療を受けられるよう、さまざまな制度が整備されています。具体的には高額療養費・限度額適用認定・傷病手当金などです。高額な医療費を支払った場合は、支給申請することで高額療養費として後日払い戻しを受けることができます。ただし、高額療養費は診療報酬明細書に基づき後日返金となるため、窓口では一旦自己負担で医療費を支払わなければなりません。事前に医療費が高額になることがわかっている場合は、限度額適用認定を受けることで窓口負担を自己負担限度額まで抑えることが可能です。

さらに、特定の疾病に罹患した場合は、自己負担額の一部または全額を助成する医療費助成制度を利用することもできます。高額療養費や限度額適用認定、医療費助成制度を利用することで、安心して高度な医療を受けることができるでしょう。さらに、業務外の事由による病気やケガで就労できなくなった場合、休業期間中の生活を保障するための傷病手当金を受け取ることが可能です。社会保険・国民健康保険問わず、日本の公的保険制度にはさまざまな助成制度が整備されています。

当記事を参考に制度の概要を理解し、万が一の事態に備えましょう。

よくある質問

医療費が高額になった場合に使用できる社会保険の制度を教えてください

医療費が高額になった場合は、高額療養費・限度額適用認定・傷病手当金などの制度を利用することができます。詳しくはこちらをご覧ください。

医療費の自己負担の割合はいくらですか?

現行制度では、社会保険の被保険者と被扶養者、国民健康保険の被保険者で一律3割負担となっています。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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