• 更新日 : 2026年9月1日

有給休暇の計算方法とは?付与日数・出勤率・賃金の求め方をわかりやすく解説

Point有給休暇の計算方法は?

有給休暇の計算は、勤続年数と出勤率から付与日数を求め、取得日の賃金を3つの方法のいずれかで算出します。

  • 付与要件は継続6ヶ月+出勤率8割以上
  • 短時間勤務は所定労働日数で比例付与
  • 繰り越しは最大20日・時効は2年

Q. フルタイム勤務の有給日数は勤続年数でどう変わる?

A. 入社6ヶ月後に10日付与され、以降1年ごとに加算され最大20日になります。

有給休暇の計算は、勤続年数と出勤率に基づく付与日数の算出、取得日の賃金計算という2つの軸で行います。フルタイム勤務とパート・アルバイトなど短時間勤務では有給日数の計算方法が異なるため、雇用形態ごとの違いを正しく理解することが重要です。本記事では、有給休暇の計算方法について、出勤率・付与日数・賃金・半休・時間単位まで、実務担当者が押さえるべきポイントを解説します。

有給休暇はどのような要件で付与される?

有給休暇は、雇い入れの日から6ヶ月間継続して勤務し、その期間の全労働日の8割以上出勤した労働者に付与されます。この2つの要件を満たせば、企業は労働基準法に基づき必ず有給休暇を与えなければなりません。

有給休暇は、労働者の心身の疲労を回復し、ゆとりある生活を保障するための制度です。取得しても賃金が減額されることはなく、パートやアルバイトといった非正規雇用の労働者にも同様に適用されます。

会社が制限できない事項

有給休暇の取得に関して、会社は次のような対応を行うことができません。

  1. 取得理由を尋ね、理由によって拒否すること
  2. 労働者が希望する日程での取得を拒否すること
  3. 取得を理由に給与や昇進などで不利益な取り扱いをすること

ただし、事業の正常な運営が妨げられる場合に限り、使用者は取得日をずらす時季変更権を行使できます。単に業務が多忙であるという理由だけでは、時季変更権は認められません。 参考:年次有給休暇に係る労働基準法のあらまし|厚生労働省

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有給休暇の出勤率はどう計算する?

出勤率は「出勤日数÷全労働日×100」で計算し、8割以上であれば付与要件を満たします。全労働日とは、算定期間の総暦日数から会社の休日や不可抗力による休業日などを除いた日数です。

出勤率の計算では、全労働日と出勤日それぞれの範囲を正確に把握することが欠かせません。分子と分母の両方から同じ日を除外するかどうかを間違えると、計算結果がずれてしまうためです。

出勤日・全労働日から除外する日

次に該当する日は、全労働日・出勤日のどちらからも除外して計算します。

  • 使用者の責による休業日
  • 休日労働した日
  • 正当な争議行為により労働できなかった日

一方、実際には勤務していなくても、次の期間は出勤日として扱います。

  • 業務上の負傷・疾病による療養休業期間
  • 育児・介護休業期間
  • 産前産後休業期間
  • 有給休暇を取得した日
  • 終日出張や在宅勤務の日

出勤率の計算例

たとえば4月1日入社の従業員が10月1日に有給休暇の付与判定を受ける場合、半年間の暦日数が184日、所定休日数が54日であれば、全労働日は184−54=130日です。130日×0.8=104日となるため、104日以上出勤していれば出勤率8割の要件を満たします。

有給休暇の付与日数はどう計算する?

有給休暇の付与日数は、勤続年数と所定労働日数の組み合わせで決まります。フルタイム勤務は勤続年数のみで日数が決まり、パート・アルバイトなど短時間勤務は週の所定労働日数に応じて比例付与される点が異なります。

労働基準法第39条にこの基準が定められており、要件を満たすすべての労働者に適用されます。以下、雇用形態別に付与日数の求め方を整理します。

フルタイム勤務(正社員など)の場合

週の所定労働時間が30時間以上、または週5日以上(年間216日超)勤務する場合、入社から6ヶ月経過時点で10日の有給休暇が付与されます。その後は1年経過ごとに、出勤率の要件を満たせば次の表のとおり日数が加算されます。

勤続期間 付与日数
6ヶ月 10日
1年6ヶ月 11日
2年6ヶ月 12日
3年6ヶ月 14日
4年6ヶ月 16日
5年6ヶ月 18日
6年6ヶ月以上 20日

参考:年次有給休暇の付与日数は法律で決まっています|厚生労働省

短時間勤務(パート・アルバイトなど)の場合

週の所定労働時間が30時間未満かつ週の所定労働日数が4日以下の場合は、週の所定労働日数(または年間所定労働日数)に応じて日数を比例付与します。週の所定労働日数を定めていない場合は、年間所定労働日数の実績から区分を判定します。

週所定労働日数 年間所定労働日数 0.5年 1.5年 2.5年 3.5年 4.5年 5.5年 6.5年以上
5日 217日以上 10日 11日 12日 14日 16日 18日 20日
4日 169〜216日 7日 8日 9日 10日 12日 13日 15日
3日 121〜168日 5日 6日 6日 8日 9日 10日 11日
2日 73〜120日 3日 4日 4日 5日 6日 6日 7日
1日 48〜72日 1日 2日 2日 2日 3日 3日 3日

週5日勤務であれば、週の所定労働時間が30時間未満であってもフルタイム勤務と同じ付与日数が適用されます。また、週や年間の所定労働日数があらかじめ定まっていない場合は、直近1年間の実績から52週あたりの平均所定労働日数を算出し、区分に当てはめます。

付与日数の計算例

2024年4月1日入社の正社員であれば、2025年10月時点の継続勤務年数は1年6ヶ月にあたるため、付与日数は11日です。継続勤務年数は在籍期間で数える点に注意しましょう。

有給休暇取得日の賃金はどう計算する?

有給休暇取得時の賃金は、通常の賃金・平均賃金・標準報酬月額(標準報酬日額)の3つの方法のいずれかで計算します。どの方法を用いるかは会社が就業規則にあらかじめ定めておく必要があります。

労働基準法および同法施行規則に計算方法が定められており、給与形態(月給制・時給制・出来高制など)によって具体的な算出式が異なります。

通常の賃金で計算する方法

通常出勤したときと同じ賃金を支払う方法で、多くの企業が採用しています。月給制の場合は「月給÷所定労働日数」、時給制の場合は「時給×所定労働時間」で1日分の賃金を求めます。給与計算の手間がかからないことが主な採用理由です。

平均賃金で計算する方法

過去3ヶ月間の賃金総額から算出した平均賃金を用いる方法で、シフト制など日によって労働時間が異なる働き方に適しています。次の2つの式で計算し、いずれか高い方を採用します。

  1. 直近3ヶ月の賃金総額÷暦日数
  2. 直近3ヶ月の賃金総額÷労働日数×60%

賃金総額には各種手当や通勤費、残業手当を含めて計算します。

標準報酬月額(標準報酬日額)で計算する方法

健康保険や厚生年金保険料の算出に用いる標準報酬月額を用いる方法で、「標準報酬月額÷30」で1日分の賃金を求めます。既に算出済みの金額を使うため、平均賃金より手間は少なくなります。ただし、社会保険の対象とならないパート・アルバイトは個別に相当額を算出する必要があり、かえって手間がかかる場合があります。また、この方法を採用する際は労使協定の締結が必須です。

出来高払制・請負制の場合の計算方法

出来高払いや請負制で働く従業員については、施行規則に定められた別の算出式を用います。賃金総額を総労働時間で割り、1日あたりの平均所定労働時間を掛けて1日分の賃金を求めます。日ごとに労働時間が変動する働き方であっても、公平な賃金計算ができる方法です。

半休(半日単位)の有給休暇はどう計算する?

有給休暇は1日単位での付与が原則ですが、労働者が希望し会社が同意すれば半日単位の取得も可能です。労働基準法に半休の直接的な規定はなく、厚生労働省の通達で認められている運用です。

半休を導入する場合、「半日」の定義と賃金計算の方法をあらかじめ労使協定や就業規則で明確にしておく必要があります。

半日の定義方法

半日の考え方には、午前・午後で区切る方法と、所定労働時間を2で割る方法の2種類があります。午前(9時〜12時など)と午後(13時〜18時など)で区切る場合、時間数は同じになりませんが、どちらを申請しても半日分の消化として扱われます。時間のバランスを重視する場合は、所定労働時間を2で割って取得する方法が適しています。

半休取得時の賃金計算

半休取得時の賃金も、通常の賃金・平均賃金・標準報酬月額のいずれかの方法から、1日分の有給休暇取得時と同じ計算式を用いて算出します。半日分であるため、算出した1日分の金額の2分の1を支給するのが一般的です。

時間単位の有給休暇はどう計算する?

有給休暇は、労使協定を締結し就業規則に定めることで、1時間単位で取得する時間単位年休制度を導入できます。時間単位で取得できるのは年5日の範囲内に限られます。

制度導入には、対象労働者の範囲や、有給休暇1日分が何時間に相当するかを労使協定で定める必要があります。

時間単位の上限計算

1日の所定労働時間が8時間であれば、「8時間×5日=40時間」が年間の取得上限です。所定労働時間に1時間未満の端数がある場合は切り上げて1日分とします。たとえば所定労働時間が7時間30分であれば8時間に切り上げ、「8時間×5日=40時間」が上限となります。

参考:年次有給休暇の付与日数は法律で決まっています|厚生労働省

有給休暇の残日数や取得日数はどう管理する?

有給休暇の取得日数・残日数を給与明細に記載する法的義務はありませんが、記載することで従業員の取得促進と企業側の管理効率化につながります。あわせて、有給休暇管理簿の作成・保存は法律上の義務です。

給与明細への記載方法

給与明細に「有給休暇取得日数」「有給休暇残日数」の項目を設けて数字を記載すれば、従業員は自分の取得状況を把握しやすくなります。記載様式に決まりはないため、既存の給与計算システムの項目を活用する方法で問題ありません。

有給休暇管理簿の作成義務

使用者は労働者ごとに年次有給休暇管理簿を作成し、3年間保存しなければなりません。取得時季・日数・基準日を記録することで、年5日の取得義務の履行状況を確認しやすくなります。

有給休暇の繰り越しや消滅時効はどう計算する?

余った有給休暇は翌年度に繰り越せますが、繰り越し可能な日数は最大20日です。また、取得日から2年間で時効により消滅します。

たとえば20日分の有給休暇が付与され、消化義務のある5日分だけ使用して残り15日を繰り越した場合、翌年度は前年度繰越分の15日と新規付与の20日を合わせて35日を保有できます。この繰り越した15日分から翌年の消化義務である5日を消化すれば、新規付与された20日はそのまま繰り越せることになり、翌々年度の新規付与分である20日を合わせて、保有日数は最大の40日となります。

時間単位年休の繰り越し

時間単位年休制度を導入している場合も繰り越しは可能ですが、年5日以内という上限は繰越分を含めた合計に適用されます。次年度に使用できる時間単位年休は、前年度からの繰越分を合算しても5日以内に収める必要があります。

有給休暇の計算や管理業務の実態

有給休暇の付与日数の計算や取得状況の管理は、企業の担当者にとって大きな負担となることがあります。マネーフォワードが有給休暇の管理業務に携わる担当者を対象に実施した調査で、管理実務において特に工数がかかっている作業を尋ねたところ、最も多かったのは「半日単位や時間単位など、複雑な取得形態への対応」で、29.6%でした。次いで、「繰り越し分の有効期限(時効)の管理」が28.9%、「入社時期や労働条件に応じた付与日数の算出」が28.5%となっています。

手作業での有給休暇管理には限界も

また、現在の有給休暇の管理ツールについて尋ねた結果、最も多く利用されているのは「勤怠管理に特化したクラウドサービス・パッケージソフト」で44.1%でしたが、「表計算ソフト(Excel、Googleスプレッドシート等)」を利用している割合も40.9%に上りました。有給休暇の付与日数の計算や、半休・時間単位での有給取得などの複雑な処理を表計算ソフトなどを用いて手作業で行うと、多くの工数がかかるだけでなく計算ミスの原因にもなります。有給休暇の計算を正確に行い、業務効率化を図るためには、自社に合った適切な管理システムの導入を検討することが大切です。

出典:マネーフォワード クラウド、管理実務において特に工数がかかっている作業、有給休暇の管理ツール・方法【有給管理に関する調査データ】(回答者:お勤め先において従業員の有給休暇の管理業務に携わっていると回答した646名、集計期間:2026年4月実施)

有給休暇の計算は正確な理解に基づいて行おう

有給休暇の計算は、継続勤務年数と出勤率から付与日数を求め、パート・アルバイトなど短時間勤務であれば所定労働日数に応じて比例付与するのが基本です。取得時の賃金計算方法や半休・時間単位のルールも就業規則で明確にし、年5日の取得義務や繰り越し・時効の管理まで含めて、有給休暇の計算方法を正しく運用していきましょう。


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