• 作成日 : 2022年8月5日

年金はいくらもらえる?厚生年金と国民年金の支給額

年金はいくらもらえる?厚生年金と国民年金の支給額

年金がいくらもらえるのかは、加入している年金の種類によって異なります。国民年金は10年、20年と納付期間が長ければ満額の受取額に近づきますが、厚生年金の場合は所得や加入年数に応じて変動します。

ここでは、年金制度の基本や計算方法を解説するとともに、老後に支給される年金額について、受給額表を用いながら説明します。

年金額の決まり方

「老後は年金がいくらもらえるのか」は気になる問題ですよね。年金の受給額は、年金の種類によって変わります。

日本の年金制度は3階層になっており、まず第一階層に全国民が加入する「国民年金(基礎年金)」があります。第二階層で代表的なのは、会社員が加入する厚生年金や公務員が加入する共済年金です。そして第三階層として、確定給付企業年金や確定拠出年金厚生年金基金などの企業独自で加入する年金や、iDeCoなどの個人の意思で加入する年金があります。

第一階層から第三階層まですべての年金に加入している方は、国民年金に上乗せされる年金があり、老後の支給額が多くなるでしょう。対して、国民年金のみに加入している自営業者や個人事業主、専業主婦などは、年金の支給額が国民年金の最高額が上限となるため、支給額が少なくなります。

ただし、金額が年金の種類だけで単純に決まるわけではありません。それまでの収入や加入した期間によっても支給額は変動します。

参考:年金制度のポイント|厚生労働省

厚生年金の支給額の決まり方

厚生年金の支給額は、「保険料の納付月数」「収入額」によって決まります。厚生年金に加入していた年数が長く、また、給与所得の高い方ほど、老後に受け取れる年金額が多くなります。

国民年金の支給額の決まり方

一方、国民年金に収入額は関係ありません。国民年金の受給額は「保険料の納付月数」のみで決定されます。つまり、加入月の上限である480カ月(40年間)、20歳から60歳まで途切れることなく保険料を納付した人が、満額を受け取れるという計算方法になっています。

参考:令和4年4月分からの年金額等について|日本年金機構

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年金額の計算方法 – 年数ごとに解説

年金は、65歳など一定の年齢になったことにより受給できるのが原則です。厚生年金に加入していた分から支給される年金は「老齢厚生年金」、国民年金に加入していた分から支給される年金は「老齢基礎年金」と呼ばれます。以下に、年金額の具体的な計算方法を解説します。

また、厚生年金の計算方法に基づいた受給額をシミュレーションするとともに、国民年金については、10年、20年、25年、30年、35年、40年と保険料の支払い期間に合わせた支給額を一覧にまとめました。あと何年払えば満額の年金を自分が受け取れるのか、考える際の参考にしてください。

厚生年金の計算方法

厚生年金(老齢厚生年金)を65歳から受給した場合、以下の計算式で支給額を算出します。

老齢厚生年金の受給額=報酬比例部分の年金額+経過的加算+加給年金額

 

・報酬比例部分の年金額とは
年金額の計算の基礎となるものです。2003年3月の前後どちらで厚生年金に加入したかによって、計算式が異なります。2003年3月以前が、月々の給与をもとにした標準報酬月額を基礎としているのに対して2003年3月以後は賞与も含めた標準報酬額が基礎となります。

原則となる計算式を見てみましょう。

①2003年3月以前

平均標準報酬月額×7.125/1,000×2003年3月以前の加入月数

②2003年3月以後

平均標準報酬額×5.481/1,000×2003年4月以後の加入月数

※給付乗率は、受給する方の生年月日により異なります。

平均報酬月額は、2003年3月までの標準報酬月額を、平均標準報酬額は2003年4月以降の標準報酬月額と標準賞与額の総額を、それぞれ加入月数で割って算出します。

したがって、賃金水準や物価水準によって再評価(再評価率)するため実際の金額とは異なりますが、厚生年金の報酬比例部分の原則となる計算式は、「①+②」ということになります。

ただし、上記の計算式による金額が従前額保障による金額を下回るときは、従前保障による金額(1994年の水準で再評価した金額)である「①+②×0.995」で計算した金額が報酬比例部分の金額となります。

(従前額保障による計算)
①2003年3月以前

平均標準報酬月額×7.5/1,000×2003年3月以前の加入月数

②2003年3月以後

平均標準報酬額×5.769/1,000×2003年4月以後の加入月数

※給付乗率や係数は、受給する方の生年月日により異なります。

参考:報酬比例部分|日本年金機構

・経過的加算とは
経過的加算とは、いわば20歳前や60歳以降に厚生年金に加入している人に加算される支給額を指します。経過的加算を概算で求める場合は、以下の計算式を利用します。ただし、老齢基礎年金を満額もらえる方に加算はないことに注意しましょう。

経過的加算の概算額(2020年度)=1,628円×(20歳未満60歳以降の厚生年金加入月数)

 

・加給年金額とは
加給年金は、原則として原則として厚生年金保険に20年以上加入している人が、65歳になったとき、一定の要件を満たした配偶者や子どもがいる場合に加算されて支給されます。配偶者が65歳になり、老齢基礎年金を受給するようになると、加給年金の支払はなくなります。また、子に対する加給年金は、原則として子が18歳到達年度の3月31日になるまでが対象となります。

参考:加給年金額と振替加算|日本年金機構

20代前半で社会人となり、定年まで会社員として勤め上げた場合、当然昇給があり年収は変動します。また、人によっては加給年金が支給される場合もありますので、厚生年金保険の支給額を一律に計算するのは難しいものです。

ただ、以下のように生涯年収の平均額を想定し、報酬比例年金額のおおよそのイメージをつかむことは可能です。

  1. 2003年4月以降、40年厚生年金保険に加入(480カ月)
  2. 40年間の平均標準報酬額は40万円
  3. 65歳時点で、18歳未満の子どもや65歳未満の配偶者はいないものとする

上記の想定を原則となる計算式に当てはめると、老齢厚生年金の年間支給額は以下のようになります。

老齢厚生年金の年間支給額=40万円×5.481/1,000×480カ月=105万2,352円

年間約105万円ですので、月額は約8.8万円が支給されます。これに国民年金部分を足したものが、月に受け取る年金額ということになります。

国民年金の計算方法

国民年金から支給される年金を、老齢基礎年金と呼びます。国民年金の受給額は、毎年改定される老齢基礎年金の満額をもとに計算します。2022年(令和4年度)の老齢基礎年金の満額は、77万7,800円です。計算方法は以下の通りです。

老齢基礎年金=77万7,800円×保険料納付月の合計÷480カ月

参考:老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額|日本年金機構

40年間の保険料をすべて納めると、満額の老齢基礎年金を受け取ることができます。老齢基礎年金の支給条件は、保険料の納付月や免除期間などを合算した期間が10年以上(受給資格期間)ある場合です。保険料を支払った年月に合わせて、支給される老齢基礎年金の金額を一覧にすると以下のようになります。

保険料納付期間(期間中は免除月等なく納付したと想定)老齢基礎年金の支給額
10年(120カ月)19万4450円(月額1万6,204円)
20年(240月)38万8900円(月額3万2,408円)
25年(300カ月)48万6,125円(月額4万510円)
30年(360カ月)58万3350円(月額4万8,612円)
35年(420カ月)68万575円(月額5万6,714円)
40年(480カ月)満額77万7800円(月額6万4,816円)

保険料を納付している受給資格期間に、全額免除や半額免除などの月があった場合は、その納付月数に応じて支給額が変わります。また、65歳未満で老齢基礎年金の受給を開始する繰り上げ受給や、66歳から75歳までの間で受給を開始する繰り下げ受給の場合も、支給額が変動します。

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厚生年金・国民年金の受給額平均

「老後」となると、年齢が若い人ほどイメージがしづらいものです。とくに国民年金の満額は毎年改正されるため、どれくらい受け取れるのか不安に思う人もいるでしょう。

自分が年金をいくら受け取ることができるのか、おおよそのイメージをつかむには、現状を知ることが役に立ちます。厚生労働省が発表している資料では、厚生年金と国民年金の支給額や年齢別の平均額など、過去の推移をもとに確認することができます。

令和2年の最新情報によれば、国民年金の平均月額は約5.6万円、厚生年金と合わせた平均月額は約14.6万円です。

・年金受給額の平均月額

年度厚生年金(国民年金を含む)国民年金
平成28年147,927円55,373円
平成29年147,051円55,518円
平成30年145,865円55,708円
令和元年146,162円55,946円
令和2年146,145円56,252円

参考:P8,22令和2年度厚生年金保険・国民年金事業の概況|厚生労働省

また、年代別の受給額も公開されています。年金は、年齢が若いほど受給額が少なくなっていきます。年金制度は20歳から60歳の現役世代が、高齢者を支える仕組みです。少子高齢化が進む日本では、現役世代の数が少なくなる一方で年金受給者は増加しています。年齢が若いほど年金受給額が下がるのは、こうした背景があります。

・年齢別の平均年金受給額

年齢厚生年金(国民年金を含む)国民年金
65歳~69歳143,069円57,502円
70歳~74歳145,705円57,010円
75歳~79歳150,569円55,880円
80歳~84歳159,529円56,916円
85歳~89歳162,705円55,633円

参考:P28 令和2年度厚生年金保険・国民年金事業の概況|厚生労働省

自身が支払った年金額や年金見込み額は、日本年金機構が毎年1回送付する「ねんきん定期便」で確認できます。50歳以上の加入者には、年金見込み額が記載されているため、老後の生活のシミュレーションに便利です。
また、条件を設定し将来の年金見込み受給額をシミュレーションできる「ねんきんネット」を利用してみるのもいいでしょう。将来受け取ることができる自身の年金額の最低額・最高額などあらゆるパターンを想定し、老後のライフプランの設計に役立ててください。

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年金の仕組みを理解し老後シミュレーションに役立てる

老後に受け取れる年金の額は、自身が加入していた年金の種類や、保険料を納付していた期間、そして所得によっても異なります。令和2年の情報では、会社員や公務員など厚生年金に加入していた人のおおよその受給額は月額約14.5万円、自営業者等で国民年金のみの人は月額約5.5万円となっています。

現在は個人型確定拠出年金のように、老後の資産形成の手段が増えている時代でもあります。まずは年金の基本の仕組みを理解することが、老後のシミュレーションに役立つでしょう。

よくある質問

厚生年金の支給額の決まり方について教えてください

厚生年金の支給額は、「保険料の納付月数」「収入額」によって決まります。厚生年金に加入していた年数が長く、また、給与所得の多い人ほど、老後に受け取れる年金額が増えていきます。詳しくはこちらをご覧ください。

国民年金の支給額の決まり方について教えてください

国民年金の受給額は「保険料の納付月数」で決定されます。つまり、加入月の上限である480カ月、20歳から60歳まで途切れることなく保険料を納付した場合に満額の年金を受け取ることが可能です。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

監修:加治 直樹(経営労務コンサルタント)

銀行に20年以上勤務し、融資融資から資産運用、年金相談まで幅広く相談業務の経験あり。中小企業の決算書の財務内容のアドバイス、資金調達における銀行対応までできるコンサルタント。退職後、かじ社会保険労務士事務所として独立。現在は行政で企業及び労働者の労働相談業務を行いながら、セミナー講師など幅広く活動中。

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