- 更新日 : 2024年1月30日
2024年度版 – 源泉徴収票の見方とチェックすべき項目を解説!
年末になると、会社から発行される源泉徴収票。その中身を理解しているかと聞かれたら、自信がない方が多いと思います。
サラリーマンの大半は、自分自身で税金の計算を行う場面がほとんどないのが現状です。なぜなら、給与から所得税が差し引かれる源泉徴収制度と、給与支払者が行う年末調整によって、税金の計算も支払いも自ら行う必要がないことが多いからです。
ですが、源泉徴収票の簡単な見方は知っておきたいですよね。源泉徴収票は「給与所得の源泉徴収票」「退職所得の源泉徴収票」「公的年金等の源泉徴収票」の3種類がありますが、ここでは「給与所得の源泉徴収票」をもとにチェックすべきポイントを見ていきましょう。
目次
源泉徴収票の発行とゆくえ
会社などの給与支払者は1月から12月までの給与をもとに年末調整を行います。年末調整後、1月31日までに2通の源泉徴収票を発行することが定められています。年の途中で退職した方には、退職後1カ月以内に発行するのが原則です。
発行した2通の源泉徴収票のうち、1通は本人に、もう1通は税務署に提出します。税務署に提出する対象者は限定されています。提出要件は次のとおりです。
- 年末調整したもののうち、給与等の支払金額が500万円を超えるもの
- 年の途中で退職して、給与等の支払金額が250万円を超えるものなど
- 法人の役員(中途退職者含む)のうち給与等の支払金額が150万円を超えるものなど
給与支払者は、受給者が住んでいる市区町村あてにも「給与支払報告書」を提出します。これは、翌年に課税される住民税の計算に使用されます。この書式の内容は源泉徴収票とほぼ同じです。
源泉徴収票は何に役立つ?
そもそも、源泉徴収票とは、給与支払者がその年に支払った給与の合計額と源泉徴収した税額の合計額を記載する書類です。
1カ所からのみ給与を受け取っていて他に所得がないケースなど、確定申告をする必要がない人の場合には、源泉徴収票がその年の“所得証明”の書類となります。そのため、活躍する場面をあげるとすれば、所得に応じて審査を受けるような場合です。例えば住宅ローンの借り入れや賃貸契約時の信用判断に利用されたりします。また、公的な手続きで提出を求められたりすることも珍しくありません。
確定申告をする場合には、給与所得の金額の証明として源泉徴収票を添付することになります。e-taxを利用して電子申告をすれば源泉徴収票の添付を省略することもできますが、省略した確定申告の提出期限から5年間は税務署からの提示または提出を求められる可能性があるため、必ず保管しておく必要があります。
年の途中で転職した場合には、転職先の会社の年末調整の際に源泉徴収票を提出しなければなりません。
源泉徴収票の読み解き方
では、給与所得の源泉徴収票の記載事項をどのように読み解くかを見ていきましょう。最大のポイントである「支払金額」「給与所得控除後の金額」「所得控除の額の合計額」「源泉徴収税額」の4種類の金額の違いを知ることで源泉徴収票がとてもわかりやすくなります。ひとつひとつ意味を見ていきましょう。
支払金額
まず「支払金額」というのは、その年の1月から12月中に支払いの確定した給与等の総額です。支払いの確定した給与等とは、支払いの有無にかかわらず支払われることが確定している給与等のことです。つまり、給与等の支払日が年末の会社が、銀行の営業日の関係で翌年4日に給与等を支給した場合にも、当年分の源泉徴収票に含まれていることになります。
したがって、「毎月の給与等を当月分翌月4日払い」とはじめから定められている場合には当年分の支払金額には含まれません。
支払金額欄に内書きされている金額があればその金額は源泉徴収票作成時で未だ支払われていなかった金額です。
給与所得控除後の金額
次に「給与所得控除後の金額」は、「支払金額」から給与所得控除額を差し引いて算出した金額です。「支払金額」と給与所得控除額の関係は、売上と必要経費の関係に似ています。売上から必要経費を差し引けば事業所得が算出できるように、「支払金額」から給与所得控除額を控除すれば給与所得が算出できるイメージです。
この欄には年末調整をした場合にのみ金額が記載されますので、1カ所のみから給与を受給している場合や年の途中に退職した前職分の給与も合算している場合には、給与所得控除後の金額が給与所得の金額と等しい金額となります。
所得控除の額の合計額
さらに「所得控除の額の合計額」も年末調整した場合にのみ金額が記載されます。この金額は社会保険料控除、小規模共済等掛金控除、生命保険料控除、地震保険料控除、障害者控除、ひとり親控除、寡婦控除、勤労学生控除、配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除、基礎控除の合計額です。この金額を前出の「給与所得控除後の金額」から差し引いた金額をもとに所得税の計算をすることになります。
源泉徴収税額
「源泉徴収税額」については、年末調整した場合には年末調整で還付等された金額も合算した税額が表示され、年末調整していない場合には給与受給の際に源泉徴収されていた金額の合計額が記載されます。「支払金額」の説明で触れた内書きされている未払いの給与がある場合には、ここで未徴収の源泉所得税が内書きされます。
その他の記載事項については、概ね税額計算の根拠となった条件を表示しています。
配偶者、扶養親族に関する控除
大幅な見直しがされた「源泉控除対象配偶者」「配偶者控除及び配偶者特別控除」についても触れておきましょう。
(源泉)控除対象配偶者の有無等
この欄は、年末調整していれば控除対象配偶者を有している場合、年末調整していなければ源泉控除対象配偶者を有している場合に丸印が付されます。控除対象配偶者は、同一生計配偶者のうち、合計所得金額1,000万円以下である受給者の配偶者を指します。源泉控除対象配偶者とは、合計所得金額900万円以下の給与所得者と生計を一にする配偶者で、合計所得金額が95万円以下(令和元年以前は85万円)である方をいいます。
配偶者(特別)控除の額
配偶者控除の額あるいは配偶者特別控除の額を記載します。受給者本人の合計所得金額が1,000万円を超える場合には、配偶者控除及び配偶者特別控除の適用を受けることはできません。また配偶者の合計所得金額が48万円以下(令和元年以前は38万円)の場合または133万円(令和元年以前は123万円)を超える場合には、配偶者特別控除の適用を受けることはできません。
(源泉・特別)控除対象配偶者
「(源泉・特別)控除対象配偶者」の欄には控除対象配偶者、配偶者特別控除の対象となる配偶者、源泉控除対象配偶者のいずれかの対象となる配偶者の氏名等を記載することになります。
参考:
国税庁|配偶者特別控除
国税庁|源泉徴収票の記載の仕方
納税意識を高めるきっかけに
源泉徴収票には、その年に自分が納税した金額が書かれているため、その記載内容を理解すると、様々な意識改革のきっかけになると思います。毎月の給料は、すでに所得税を源泉徴収された金額を受け取っていますが、源泉徴収されているということは毎月コンスタントに所得税を納めているということです。
例えば、脱サラして個人事業主になると、所得税の確定申告をしなければなりません。その際に納税に対する意識が薄いと、所得に対する税金のイメージがわきにくく苦労される方がたくさんいらっしゃいます。これを機に納税に対する意識が少しでも高まり、興味を持っていただければ幸いです。
よくある質問
源泉徴収票とは?
1月1日から12月31日までに支払日が到来した給与等に対する源泉所得税を確定・精算した結果を表す帳票です。 詳しくはこちらをご覧ください。
源泉徴収票が必要になるケースは?
住宅ローンやマイカーローンなど借入をするケースや、確定申告が必要になるケースなど、その年分の所得金額を証明する際に必要になります。詳しくはこちらをご覧ください。
源泉徴収票の提出先は?
給与等の支払者(源泉徴収義務者)は、納税者本人、税務署に源泉徴収票を提出しなければなりません。また、源泉徴収票と同じ内容の「受給者申告書」を納税者が住む市町村に提出しなければなりません。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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