• 更新日 : 2024年5月1日

介護休暇とは?介護休業との違いや選び方、取得条件、手続きを解説

介護休暇は、介護が必要な家族がいる従業員なら誰でも取得できる休暇です。法律で定められた休暇であり、従業員から申し出があれば、会社は原則として断ることはできません。

家族の世話や入院付き添いなど、介護をしながら働いている従業員がいることもあるでしょう。介護休暇制度の取得条件や申請方法、介護休業との違いについて解説します。

介護休暇とは?

介護休暇は、要介護状態にある家族がいる労働者が家族の世話をするために取得することができる休暇制度です。ここでいう要介護状態とは、「ケガや病気、身体や精神上の障害により、2週間以上の期間にわたって常時介護をする必要がある状態」を指します。

参考:育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律 第2条| e-Gov法令検索

労働者は年次有給休暇とは別に取得することが可能です。育児・介護休業法に定められた休暇制度であり、会社は、従業員から申し出があった場合、原則として断ることはできません。

介護休暇の利用目的

介護休暇が有給であるか無給であるかは企業によって異なります。介護を必要とする家族のために利用できる休暇となるため、従業員が短期間でも休みが欲しいときに以下の目的で有効に活用することができます。

  • 家族の通院の付き添い
  • 家族の入院手続き
  • 介護保険手続きや介護サービスの申込みの代行
  • ケアマネとの打ち合わせ など

介護休暇の取得条件

日雇いのような「日々雇入れられる労働者」は除かれますが、介護休暇は原則として誰でも取得することが可能です。介護休暇の取得条件について見ていきましょう。

参考:介護休業制度|厚生労働省

雇用期間

介護休暇は雇用期間を問わず取得できるのが原則です。ただし、労使協定を結ぶことによって、以下に該当する従業員の介護休暇の取得を断ることができるようにすることは可能です。

  1. 雇用されてから6ヵ月未満の従業員
  2. 所定労働日数が週2日以下となる従業員
  3. 時間単位で介護休暇を取得することが困難な業務に就く従業員※(1日単位で取得することは可能)

※ 国際路線のキャビンアテンダントのように航空機内で従事する業務や、長時間の移動が必要な遠隔地での業務、流れ作業や交替制勤務など、時間単位の介護休暇の取得が困難な業務などが考えられます。

取得可能な休暇日数

1年度の取得可能な休暇の日数は以下のとおりです。

  • 介護対象家族1名・・・5日
  • 介護対象家族2名以上・・・10日(上限)

介護休暇は、1日単位で取得することも時間単位で取得することもできます。時間単位で取得する場合には、1日の時間数は「1日の所定労働時間数」とするのが原則です。1日の所定労働時間が7時間30分などと1時間未満の端数がある場合は、端数を切り上げて(この場合は8時間)計算します。

また、パートやアルバイトなどで 日によって異なる所定労働時間数を設定している場合は、1日あたりの平均所定労働時間数を1年間の所定労働時間数から計算します。1年間の総所定労働時間数を定めていない場合は、所定労働時間数が定められている期間で1日あたりの平均所定労働時間数を計算することになります。

家族の入院の手続きや介護保険の手続きなどで、従業員が半日や2時間だけ休みたいということもあるでしょう。時間単位で取得して始業から遅れて出勤するケースや早退するケース、就業時間の途中で時間単位で取得するケース(中抜け)などがあるため、従業員の希望によって柔軟な対応ができるように配慮することが求められます。

家族の範囲

家族範囲は以下の通りです。

  • 配偶者(事実婚を含む)
  • 父母
  • 子(養子を含む)
  • 配偶者の父母
  • 祖父母
  • 兄弟姉妹

引用:介護休業制度|厚生労働省

介護の範囲(要介護状態の判断)

要介護状態といえるかは、「2週間以上の期間にわたって常時介護をする必要がある状態」であるかで判断します。ただし、要介護認定の通知書や病院の医師の診断書を提出しなければ介護休暇の利用を認めないなどといった運用はできません。厳格な判断をするのではなく、介護する従業員の事情に配慮して柔軟な運用をすることが大切です。
常時介護を必要とする状態の判断基準は、厚生労働省が令和6年1月に作成した「育児・介護休業法のあらまし」にも示されていますので参考になるでしょう。

引用:「育児・介護休業法のあらまし (育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律) ~令和4年4月1日、10月1日、令和5年4月1日施行対応~」(61,62ページ)|厚生労働省

介護休暇中の給料・賃金はどうなる?

労働基準法に定められた年次有給休暇は、文字通り有給の休暇となるため賃金の支払いが伴います。しかし、介護休暇は、年次有給休暇とは異なり、会社の規定で無給扱いとすることも有給扱いとすることも可能です。そのため、介護休暇で賃金が支払われる企業もあれば、賃金が支払われない企業もあり、企業によってさまざまです。

なかには年次有給休暇を利用して家族の介護をする従業員がいることもあるでしょう。年次有給休暇を利用するか、介護休暇を利用するかは、労働者が自由に選ぶことが可能です。そのため、介護休暇が取得できるケースでも、給与が支払われないために年次有給休暇を利用する従業員が多くいます。

家族の介護は誰にでも起こり得ることです。従業員が仕事と介護の両立ができるように、介護休暇を有給扱いとすることも検討しましょう。

介護休暇の申請方法、手続きの流れ

介護休暇の申請方法や手続きの流れについて、具体的に解説します。

申請方法

介護休暇の申請方法は口頭でも可能です。しかし、法令で以下の事項を明らかにしなければならないことが定められているため、書面で申請するのが一般的です。

  • 従業員氏名
  • 対象となる家族の氏名・続柄
  • 取得年月日(時間単位で取得する場合は開始と終了日時)
  • 対象となる家族が要介護状態となっている事実

介護休暇申出書の無料テンプレート

介護休暇申出書の書式は厚生労働省の育児・介護休業等に関する規則の規定例にも示されています。書式を参考にひな型を作成しておくのがよいでしょう。マネーフォワード クラウド給与では、介護休暇申出書(エクセル)のひな形を無料でダウンロードすることが可能です。法令で定められた事項がカバーされているため、必要項目を入力するだけでそのまま利用ができて便利です。

参考:育児・介護休業等に関する規則の規定例|厚生労働省

手続きの流れ

介護休暇取得を希望する従業員がいる場合には、事前に介護休暇申出書の書式に必要事項の記入を依頼して提出してもらうだけです。急遽休暇を必要とするケースもあるため、当日の電話の申出により事後書面の提出を認めるなどといった柔軟な対応をしましょう。

介護休暇と介護休業の違い

介護休業も介護休暇も家族の介護のために取得できることは変わりがありませんが、取得できる日数などに大きな違いがあります。介護休暇と介護休業の違いについてまとめると以下のようになります。

介護休業介護休暇
対象者原則としてすべての従業員(日々雇用される労働者は除く)※有期雇用の場合は、申出時点で介護休業取得予定日から一定期間、労働契約期間が満了して更新されないことが明らかでないこと
原則としてすべての従業員(日々雇用される労働者は除く)
原則としてすべての従業員(日々雇用される労働者は除く)
労使協定で除外できる従業員・勤続1年未満の従業員
・93 日以内に雇用が終了する従業員
・所定労働日数が週2日以下の従業員
・勤続6ヵ月未満の従業員
・所定労働日数が週2日以下の従業員
・時間単位で介護休暇を取得することが困難な業務に就く従業員(1日単位で取得することは可能)
対象家族の範囲配偶者(事実婚を含む)
父母
子(養子を含む)
配偶者の父母
祖父母
兄弟姉妹
配偶者(事実婚を含む)
父母
子(養子を含む)
配偶者の父母
祖父母
兄弟姉妹
回数対象家族1人につき3回まで1年度に対象家族1人の場合は5日まで
対象家族が2人以上の場合は10日まで
期間対象家族1人につき通算 93 日

参考:「育児・介護休業法のあらまし (育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律) ~令和4年4月1日、10月1日、令和5年4月1日施行対応~」|厚生労働省

介護休暇と介護休業はどちら選ぶと良い?

介護休暇は、家族の通院の付き添いや家族の入院手続き、介護保険手続きや介護サービスの申込みの代行など、介護が必要な家族のために短期間の休暇が必要なときに利用するのがよいでしょう。短時間で終わるケアマネとの打ち合わせや、医師から話を聞くだけのケースでは、時間単位の介護休暇を取得するだけで用事が済むケースもあります。

介護休業は、通算して93日、3回に分けて休業をすることが可能です。介護を必要とする家族の介護ができる体制を整えるために、一定の期間がかかるケースで利用します。介護施設や老人ホームなどに入居させるために準備をするケース、自宅で介護を行うためにリフォームするケースなど、介護の体制を整え、さまざまな手続きや今後の介護の方法を相談をしなければならないケースでは、家庭で介護をするための態勢を整えるのに一定の期間がかかります。

介護休暇と介護休業は目的に応じて使い分けるのがよいでしょう。

介護離職を防ぐためには従業員への配慮が必要

近年、育児や介護を理由に離職する労働者が発生しないように、育児・介護休業法の法改正がたびたび行われています。企業としても、育児や介護を理由に優秀な従業員が退職してしまうことは大きな損失です。

介護休暇は1年に5日、従業員の家族の介護のために取得できる休暇です。介護を必要とする家族がいる従業員には、介護休業や介護休暇など、利用できる制度について事前に説明し、介護のために離職するようなことがないように配慮をすることが必要です。


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