• 作成日 : 2022年9月30日

長時間労働者への面接指導とは?流れを解説

長時間労働者への面接指導とは?流れを解説

近年は、長時間労働による心身面の負担が問題視されることも多くなりました。こうしたワークスタイルによる健康リスクを軽減するためには、いくつか方法があります。今回はそのなかでも、医師による面接指導制度に焦点をあてて解説します。労働者に実施する面接指導の概要や面接指導相手のパターン、面接指導の工程などを確認してみましょう。

長時間労働者への面接指導とは

長時間労働者は心身への負荷がかかりやすく、放置していると健康被害につながる恐れがあります。そこで用いられるのが面接指導です。これは長時間労働者に対して、医師が心身の不調や疾患などの事態を予防するために取る措置です。

労働安全衛生法により、事業主は労働者に対する面接指導の実施が義務付けられています。月に80時間を超える時間外・休日労働で疲れが溜まっている労働者が対象です。

労働安全衛生法は2024年から改正版が施行されます。法改正以降の面接指導について、以下で解説します。

参考:労働安全衛生法|e-Gov法令検索
参考:長時間労働者への医師による面接指導制度について|厚生労働省
参考:「労働安全衛生規則及び厚生労働省の所管する法令の規定に基づく民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する省令の一部を改正する省令案要綱」の答申|厚生労働省

労働安全衛生法改正により面接指導が強化

2022年に労働安全衛生法の改正をおこなう諮問がおこなわれており、2024年から施行される見込みです。面接指導の実施は改正される前の労働安全衛生法でも義務付けられていましたが、法改正によって面接指導の対象に医師が追加されました。

医師のなかでも面接指導を受けるべき人の基準として、月100時間以上の時間外労働が見込まれて、かつ面接指導を受けていない人が含まれます。医師以外の労働者は、基本的に月80時間が時間外労働の基準として定められています。

医師の激務が続くと医療サービスの質的低下を招き、非常に多くの人が悪影響を被ります。医師に対して面接指導をおこなえば、医師以外の人々も同時に健康維持しやすくなるでしょう。

参考:「労働安全衛生規則及び厚生労働省の所管する法令の規定に基づく民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する省令の一部を改正する省令案要綱」の答申|厚生労働省
参考:労働安全衛生法|e-Gov法令検索
参考:長時間労働者への医師による面接指導制度について|厚生労働省

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医師による面接指導の対象者

基準の時間より長く働いている労働者の多くは、面接指導を医師から実施してもらうように義務付けられます。月あたりで時間外・休日労働が80時間を上回っている場合は、高確率で実施が求められるため注意しましょう。一般的な労働者以外の場合は、異なる基準が設けられていることもあります。しかし、いずれも長時間労働から心身の健康を守るために面接指導が求められます。自社の労働者に面接指導が求められる状況をあらかじめ把握しておきましょう。医師による面接指導の対象者3パターンを以下で解説します。

労働者

多くの労働者において、月に80時間以上時間外・休日労働をして疲労蓄積がみられる場合に面接指導の実施条件を満たします。一般の労働者に加えて、管理監督者や裁量労働制を採用する労働者も対象です。

事業主は基準の労働時間より長く働いている労働者に対して、面接指導の機会を設ける義務が課せられます。しかし、同時に労働者自身も面接指導を希望しなくてはなりません。労働者自身が面接指導を受けようとしない場合、面接指導を実施できなくなるため注意しましょう。労働者からの希望があれば、面接指導の実施が必須です。

また、労働者に対して面接指導を実施する際、事業主には努力義務も課せられています。法的に定められている基準以外に各事業主が独自の基準を設けます。労働時間がどちらかの基準時間を上回っているならば、該当する労働者に対して面接指導を実施します。自社の状況にあわせて、可能な限り実用的な基準を設けましょう。

参考:長時間労働者への医師による面接指導制度について|厚生労働省

研究開発業務従事者

研究開発をおこなう業務に勤めている場合、一般的な労働者とは異なる基準が設けられます。月80時間以上の時間外労働をおこなって面接指導の実施を求めている場合や各社の独自基準を超えた場合は、一般的な労働者と同じ扱いです。

研究開発業務従事者の場合、月100時間より多くの時間外労働をおこなった人は全員面接指導を受けなくてはなりません。本人の希望にかかわらず必須になるため、事業主は間違えないよう注意が必要です。

なお、研究開発業務従事者は一般的な労働者と異なり、残業時間の上限規制が設けられていません。特殊な業務内容のため労働時間が長引きやすい点もあり、月100時間で面接指導が必須になるような措置を取られています。

参考:長時間労働者への医師による面接指導制度について|厚生労働省
参考:時間外労働の上限規制 わかりやすい解説|厚生労働省

高度プロフェッショナル制度適用者

高度プロフェッショナル制度が適用されている労働者には、ほかと異なる独自の面接指導実施基準が設けられています。高度プロフェッショナル制度とは、特定の条件を超えた従業員から同意を得て労働時間や割増賃金などの規定を適用しない制度のことです。高度な専門的知識を持ちつつ職務範囲が明確に定められており、年収1,075万円以上稼いでいる従業員が該当します。各種規定は適用されませんが、年104日以上の休日確保や健康・福祉確保などの措置は取られます。

高度プロフェッショナル制度の適用者は、「事業場内外での合計勤務時間が週に40時間を超えた」時間が月100時間超になると面接指導を義務として求められます。また、該当しない人でも面接指導を申し出た場合の実施が努力義務として設けられているのです。業務時間が長くなりやすい制度のため、労働者の健康を面接指導によって守らなくてはなりません。

参考:労働相談Q&A|日本労働組合総連合会
参考:⾼度プロフェッショナル制度 わかりやすい解説|厚生労働省
参考:長時間労働者への医師による面接指導制度について|厚生労働省

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面接指導の流れ

面接指導を実施する際には、一連の流れを把握しておくとスムーズに進められます。労働時間の基準より長く働いている労働者を探して、本人からの申し出を確認しましょう。各工程はいずれも遅滞なく進める必要があるため、事前の準備や流れの把握が重要です。この章では実際に面接指導をおこなう際の流れについて解説します。必要になる前に流れをつかんでおきましょう。

労働時間の算定

面接指導を実施する際には、最初に労働者が働いている時間を算定します。毎月一定の期日を決めて、1回以上の算定が必須です。労働時間を労働者ごとに算定して、結果によっては面接指導をおこなえるよう事業主が動かなくてはなりません。

一般的な労働者ならば月に80時間より多くの時間外・休日労働をおこなっている場合、面接指導が実施可能な旨を労働者に通知する必要があります。月80時間を超えていなくとも、各事業場で定めた基準時間を超えている労働者がいれば同様に通知します。労働時間を通知する際には、面接指導の実施方法や時期などの通知も同時におこないます。

参考:労働安全衛生規則|e-Gov法令検索
参考:労働者の健康を守るために~過重労働による健康障害防止対策~|厚生労働省

労働者が事業主に申出

事業主に対して基準の労働時間より長く働いている労働者から申し出があった場合、面接指導の滞りない実施が求められます。面接指導の実施は申し出からおおよそ1ヶ月以内におこないましょう。産業医からも、対象の労働者に対して申し出をするように勧奨されます。なお、申し出は書面・電子メールなど記録に残る形でおこなわなくてはなりません。専用の書類やテンプレートなどを用意しておくとスムーズでしょう。

また、事業主として労働者が面接指導を容易に申し出可能な環境整備をしておくことも大切です。手続きを簡単にする・申し出をほかの労働者に知られない構造をつくるなど、種々の工夫が求められます。

参考:労働者の健康を守るために~過重労働による健康障害防止対策~|厚生労働省

面接指導の実施

面接指導の申し出をおこなった労働者がいれば、速やかに面接指導を実施します。面接指導を実際に担当する医師として、事業場専属の産業医や事業場で産業保健活動に従事する医師が推奨されます。労働者が希望すれば、産業医などでなく外部の医師に委託することも可能ですが、結果を証明する文書を提出してもらう必要があります。あらかじめ、労働者に対してその旨伝えておきましょう。

面接指導では、労働者の勤務状況・疲労蓄積状況・その他心身の状況が確認されます。そして、面接指導が終わり次第、事業主は医師から意見を聞いた結果を記録・保存します。結果の記録は年月日・労働者名・医師名・疲労蓄積状況などが対象です。記録した結果は少なくとも5年間保存しなくてはなりません。

参考:労働安全衛生法|e-Gov法令検索
参考:労働安全衛生規則|e-Gov法令検索

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面接実施後の措置

面接指導の実施完了後は、労働者に対して都度適切なケアをおこないます。特に労働者がメンタルヘルス不調と判断されれば、精神科医などとの連携も必要になるでしょう。主な措置として勤務場所や作業内容の変更・労働時間の短縮・深夜労働の削減・休職などが挙げられます。ケアをおこなうためには事業主だけでなく、産業保健スタッフや労働者直属の上司などからも協力を得なくてはなりません。

各種ケアにより労働者の健康状態が改善すれば、通常業務に戻すなどの措置を取ります。業務を戻す際は面接指導をおこなった医師からよく意見を聞きましょう。再び労働者に不調が発生しないよう細心の注意を払わなくてはなりません。

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面接指導は企業のためにも重要な措置

長時間働いている労働者への面接指導について、概要や面接指導の対象者、面接指導の流れなどを紹介しました。面接指導は労働者の健康維持においても欠かせない措置であり、事業進行の円滑化にもかかわってきます。各労働者の労働時間と基準を把握して、必要に応じて面接指導や各種ケアなどをおこないましょう。

労働者の長時間労働は業務効率の低下や企業としての悪評などにもつながります。逆に長時間労働の発生を抑えられれば、面接指導やメンタルケアなどが求められる可能性を下げられるでしょう。自社から長時間労働をなくして、労働者が元気に働ける環境を作ってください。

よくある質問

長時間労働者の面接指導とは?

労働時間が長い労働者の健康を守るために、医師と面接して心身の状況をチェックする措置です。詳しくはこちらをご覧ください。

面接指導はどのような流れ?

基準の労働時間より長く働いている労働者から面接指導の申し出を受けて、医師との面接を経て結果を記録します。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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