• 更新日 : 2024年8月29日

勤怠管理表とは?作り方は?使えるテンプレート付き!

勤怠管理表とは、従業員の日々の出勤状況の記録をまとめた書類のことです。給与計算に必要なデータが記載されており、残業時間計算や36協定に違反していないかのチェックも勤怠管理表によって行えます。本記事では、勤怠管理表とは何か、そして作り方、エクセルや無料テンプレートを使用する方法を説明します。

勤怠管理表とは?

勤怠管理表とは勤怠表とも呼ばれ、従業員の出退勤時刻や休日出勤、欠勤、休暇などの勤怠情報を記録する書類のことをいいます。

勤怠管理表を作成する目的は主に3つです。

  • 給与計算
  • 法令の遵守
  • 給与の未払い防止

勤怠管理表を参照すれば従業員の勤務時間がわかるように作成されており、給与や休日手当、時間外手当、有給休暇などの計算をする際の重要な資料となります。また、雇用主が労働時間どおりに給与を支払ったという証拠にもなります。このように、勤怠管理表は事業所にとって不可欠なものなのです。

なお、似た呼び名の書類で「勤務表」があります。勤怠管理表(勤怠表)は実際の勤務実態を記録するもので、勤務表は今後の勤務スケジュールやシフトなどをまとめたものです。両者の意味は異なりますので、注意しましょう。

勤怠管理表の作成は義務?

先に説明した通り、事業所には不可欠な書類である勤怠管理表ですが、その作成や保管などに法律上の義務などはあるのでしょうか。

労働基準法の第108条には、「使用者は、各事業場ごとに賃金台帳を調製し、賃金計算の基礎となる事項及び賃金の額その他厚生労働省令で定める事項を賃金支払の都度遅滞なく記入しなければならない。」と定められています。賃金計算の基礎となる事項とは、出退勤の時刻、労働時間、時間外労働、有給休暇の取得歴など、直接給与計算に関わる項目です。

給与計算に関わる従業員の勤怠情報の管理を怠ると「賃金台帳調整義務違反」に該当し、労働基準法第120条により、30万円以下の罰金が科されます。また、同じく労働基準法の第109条には、労働関係に関する重要な書類を3年間保管しなければならないとあります。これに違反した場合にも30万円以下の罰金が科されます。「労働関係に関する重要な書類」には、勤怠管理表のほかにタイムカードや賃金台帳といった書類も含まれます。

勤怠管理表の内容に管理義務や保管義務があることがわかりました。では、主にどのような項目が法律と関係してくるのでしょうか。

  • 従業員の勤務状況把握
    従業員の出勤簿は、適正な労働時間で働いているかを示す大切な書類です。雇用主が確認するためだけではなく、労働基準監督署のチェック対象書類でもあります。紛失や改ざんなどの不正がないよう、慎重に取り扱いましょう。なお、既に退職した従業員についても、書類の保管は3年間ですので注意が必要です。

 

  • 残業時間について
    労働基準法では、労働時間について「1日8時間または1週に40時間以内」を法定労働時間としています(特例措置対象事業の場合は1日8時間以内、週44時間以内となります)。法定労働時間を超えて労働をさせるには、労働組合などと書面で労使協定を結び、労働基準監督署に届け出なければなりません。これは労働基準法第36条に定められており36(サブロク)協定と呼ばれています。
    法定労働時間を超えた時間外労働、また法定労働時間内であっても事業所の定める時間以上に働いた場合を一般的に残業と呼んでいます。
    勤怠管理表では、36協定に違反していないか、残業があった場合は既定通りの賃金が支払われているか、などをすぐ確認できるように作成しましょう。

引用:労働基準法|e-Gov法令検索
参考:36協定で定める時間外労働及び休日労働について留意すべき事項に関する指針|厚生労働省

勤怠管理表の作り方

では、勤怠管理表はどのようにして作成すればよいのでしょうか。
まず、必ず載せなければならない項目は以下のとおりです。

  • 出勤時刻、退勤時刻
    正確な労働時間を算出するために必要な情報です。この時刻をもとに労働時間や残業時間などを計算するため、データをとる際に間違いや不正がないよう、工夫が必要です。

 

  • 労働時間
    一般的に、出退勤時刻から算出した時間から休憩時間を除いた時間をいいます。所定労働時間を超えた場合には残業時間となり、足りない場合には賃金控除となる場合があります。

 

  • 残業時間
    所定労働時間を超えて働いた分は残業時間となり、法定労働時間の8時間を超えた場合には賃金は通常より25%割増して計算されます。また、残業時間が22時を過ぎた場合、深夜割増としてさらに25%、合計50%の割増賃金を支払わなければなりません。

 

  • 休日労働時間
    法定休日に休日出勤をした場合、35%の割増賃金を支払わなければなりません。法定休日とは、法律で定められた「週1回または4週に4回以上の休日」のことです。
    なお、所定休日(事業所で独自に定めた休日)の場合には割増賃金を支払う必要はありません。

 

  • 早退、遅刻
    早退や遅刻があった場合にも、記録が必要です。労働時間が所定労働時間に満たない場合には、賃金控除となる場合もあります。

 

  • 欠勤
    欠勤とは、労働しなくてはならない日に出勤しない状態のことで、給与が支払われない休みのことです。賃金控除の対象となります。

 

  • 有給休暇の取得日数
    有給休暇の取得日数は、付与された日数によって管理する必要があるため、勤怠管理表に記載します。労働基準法では、年に10日以上有給休暇を付与されている従業員には、必ず5日以上取得させなくてはならないと決められています。

 

  • 日付、休日、出勤状態の区分
    給与計算の単位(通常1ヶ月)で、開始日から締め日までの日付と休日を記載してはっきりさせます。また、休日出勤、有給休暇、欠勤など、出勤状態の区分を作成しひと目でわかるようにしておくと、給与計算などの処理を効率的に行うことができるでしょう。

なお、正社員だけではなくパート・アルバイト、契約社員、派遣社員など雇用形態によって給与計算に違いがある場合には、それぞれの違いがひと目でわかるような工夫をしておくと良いでしょう。

はじめに述べた通り、勤怠管理表の目的は給与計算に必要な情報をまとめることと、法令に則った情報の保存や給与未払いの防止などです。そのため、上に挙げた多くの項目をただ羅列するのではなく、機能的で見やすく配置することが必要でしょう。
作成方法としては、以下の方法が考えられます。

  • エクセルで作成
    ある程度エクセルの知識がある場合には、エクセルを使用して作成するのが手軽でコストもかかりません。計算式を入れておけば自動的に計算してくれるため、計算間違いなどもなくなります。

 

  • インターネットの無料テンプレートを利用
    インターネット上では、無料で勤怠管理表のテンプレートが配布されています。用途によってさまざまなタイプのテンプレートが公開されているため、必要な形式のものをダウンロードして利用するという方法もあります。

 

  • 勤怠管理ソフトの利用
    コストはかかりますが、市販の勤怠管理ソフトを利用する方法もあります。たいていは勤怠管理表の作成だけにとどまらず、周辺業務についてもカバーしていることが多いため、勤怠管理業務全体を効率化したいと考えている場合に便利です。

参考:労働基準法|e-Gov法令検索

勤怠管理表のテンプレート – 無料でダウンロード

勤怠管理表をエクセルで作成するのが難しい、しかし市販のソフトを導入するにはコストがかかる、という場合には、無料テンプレートを利用してみてはいかがでしょうか。

勤怠管理表のテンプレートは以下からダウンロードできます。無料テンプレートを利用し、効率よく勤怠管理しましょう。

▼ 勤怠管理表のテンプレートをダウンロードする(ダウンロード用のフォームに遷移します)

勤怠管理表は法律に定められた重要な書類

勤怠管理表は、その名の通り、従業員の勤怠を記録する書類です。その内容は、出退勤時刻だけではなく、残業や休日出勤、欠勤や遅刻、早退、有給休暇の取得日数など、給与計算などの勤怠管理に必要な項目を網羅していなければなりません。また、勤怠管理表をはじめタイムカードや賃金台帳などの勤怠の記録は、労働基準法により適正な管理と3年間の保管が義務付けられています。

従業員の給与を正しく計算し、円滑な業務を行うためにも、正確でわかりやすい勤怠管理表の作成と管理が求められます。

よくある質問

勤怠管理表とはなんですか?

従業員の出退勤時刻や休日出勤、欠勤、休暇などの勤怠情報をまとめた書類のことで、主に給与計算に使用されます。法律により適正な管理、保管の義務が定められています。詳しくはこちらをご覧ください。

勤怠管理表の作り方について教えてください。

書式に指定はないため、自社でエクセルを使用して作成したり、無料テンプレートをダウンロードしてカスタマイズする方法があります。また、市販の勤怠管理ソフトを使用する方法もあります。詳しくはこちらをご覧ください。


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